授賞式はすっ飛ばして2章最終話。よろしくお願いします。
「じゃあ、廃部にはならないんですね。」
「うん!」
3日も眠っていたとのことで、ミレニアムプライスの授賞式はすでに終わっており、結果をお見舞いに来たゲーム開発部の皆さんから聞いていた。
「ユウ君、手伝ってくれてありがとう。G.Bibleを見つけるときも、鏡を取り戻すときも、ユウ君がいなかったらダメだったと思う。」
「うん…ユウさんはいろんなことを手伝ってくれた。本当にありがとう。」
肝心のゲーム開発の部分ではあまり活躍できなかったから少し複雑な気持ちだが、感謝されるのは素直に嬉しい。
「こちらこそ、楽しかったです。」
ゲーム開発部で過ごした数週間。それはとても記憶に残るもので、楽しかった。
……休暇と言えたかは微妙なところだが。
ピロリン
通知が鳴る。
「ん?……先生からだ。」
『”起きてこれを見てからでいいから、セミナーまで来てほしいな。”』
まるで狙っていたかのようなタイミングで先生から連絡が来た。
僕はすぐに返信し、セミナーへと向かった。
■
コンコン
「失礼します…」
扉を開ける。中には先生とセミナーの二人。そして、ネルさんがいた。
「ユウ君。早かったですね?」
「ちょうど起きたところだったので。」
「ずいぶん長いこと寝てたみたいだが…大丈夫なのか?」
「心配はいりません。ちょっとした反動のようなものなので。」
「そうか?ならいいんだが…」
軽い会話をするが、なぜ僕が呼ばれたのかは見えて来ない。
「…あの、なんで僕は呼ばれたんでしょうか。」
僕の質問に、ユウカさんが答える。
「この前ユウ君とネル先輩が起こした戦闘で出た損害についてよ。」
「あ。」
自分の顔が青ざめていくのを感じる。
ネルさんとやり合っているときは周りなんて気にしていなかったが、冷静になった今考えてみると周りにはとんでもない被害が出ているに違いなかった。
「それで、ユウ君はシャーレ所属として扱っているから、その請求をシャーレにしなきゃいけないんだけど…」
「ご、ごめんなさい!!」
勢いよく頭を下げる。
「あっ!待って待って。」
「え?」
「まだ続きがあって、実はその請求をネル先輩が請け負うって言うのよ。」
なんと。どうしてだろうと思っているとネルさんが口を開く。
「まぁ、元はと言えばあたしたちが悪いからな。ゲーム開発部を襲撃したわけだし。」
なるほど。たしかにそうだけど……
「…さすがにそこまでしてもらうわけには行きませんよ……」
「はぁ?だってユウたちは何も悪くねぇだろ?あんなの自己防衛の範囲内だろうしよ。」
「いえ…僕もネルさんを煽ってしまったので……」
「いや…それもあたしが先にチビだなんだって言ったからだろ?」
「ですが……」
「あーっ、分かった!じゃあ全部とは言わねえから少しはあたしに負担させろ。それで文句はないだろ?」
「…はい。」
結局、シャーレ(僕)に届く請求の7割をネルさんが負担することになった。
「まあ、負担してくれたんだから、そう落ち込むことはないんじゃないかな?」
「うぅ…でも、損害を出したことに変わりはないですし…」
「…ユウ君って、なんというか…その、自己犠牲の考えなところがあるわよね。」
ユウカさんがそう言う。
自分ではそんな自覚はない。
「僕はただ、他人の役に立ちたいだけなんですけど……」
「その役に立ち方が自己犠牲になっちまってるってことだよ。」
「ま、悪くわねぇが、行きすぎると危なくなることだってある。気をつけろよ。」
ネルさんのアドバイスに僕は素直に頷いた。
「そう言えばユウ、これからどうする?ミレニアムでの私の仕事は終わったわけだけど…」
「うーん……僕はもう少しミレニアムにいますね。色々と見て回りたいのもあるので。」
「そっか。というかユウは休暇中だから好きにしててよかったんだけどね。」
「…僕が勝手について行ってただけですよ。」
■
セミナーの用事はそのまま終わり、部屋を出て廊下を歩いていた。
「んーっ!なんか、大変な休暇だったな。…というか、休暇ってなんだっけ……」
ウィーン
「ん?」
すると、目の前に一台のドローンが止まった。そして、ホログラムで文字が映し出される。
[ついてきてください。]
やることも思いつかないし、暇なため、大人しくそのドローンについていくことにした。
[ここです。]
ドローンについていくこと数分。一つの部屋の前にたどり着いた。
「失礼しまーす。」
少しワクワクしている自分がいるため、陽気にドアを開ける。
「きましたね。ユウさん。」
「えっと…はじめまして…?」
「ふふっ、見惚れているのですね、この”超天才清楚系病弱美少女ハッカー”の明星ヒマリに。」
なんなんだ、この人は。たしかに、美少女なのは間違いないし、車椅子に乗っているから病弱というのもそうなのだろう。
「ヒマリ…って、もしかしてヴェリタスの部長の?」
「あら、さすがにご存知でしたか。…まぁ、そのへんは一旦置いておきましょう。」
「そうですね。用件は何でしょうか。」
「はい、…単刀直入に聞きますが、アリス…”AL-1S”について、あなたはどう考えていますか?」
驚いた。アリスさんのことをAL-1Sと知っていたのもそうだが、なぜ僕にそんなことを聞くのだろう。
「どう……と言われましても。」
「アリスと過ごした数週間、あなたがどう感じたのか。それを聞きたいだけです。」
「……アリスさんは、ゲームのことが大好きな一人の”生徒”だと思います。」
最初こそ、アリスさんのことは、なぜ作られたのか、敵となるのか。そんなことを考えていたが、今はただ、アリスさんはゲームが好きな一人の少女であり、ミレニアムの生徒だと思っている。
「そうですか。…ふふっ、その答えが聞けてよかったです。」
「…なんでこんなことを聞くんですか?」
疑問に思ったので聞いてみる。しかし…
「今はまだ詳しく言えませんが…そう遠くないうちに、分かるはずです。」
「……分かりました。」
「では、用件は以上ですので帰ってもらっても構いません。あ、もちろん、この”ミステリアス系天才美少女”の私に聞きたいことがあれば、何でも答えますよ♪」
…フレーズ変わってない?
「……結構です。」
「あら、それは残念です。まあ、聞きたくなったらいつでも連絡してくださいね。」
そうして僕とヒマリさんは連絡先を交換し、別れることに。
「お邪魔しました。…あ、あの自己紹介、結構好きなんで次も楽しみにしてますね。」
「!、えぇ、また会うとき楽しみにしておいてください♪」
部屋を出る。
ユウカさんがミレニアムに泊まるところを用意してくれたらしいのでそこに向かおうとするが……
「……どこ、ここ。」
ドローンにただついて行っていただけなので、ここが広大なミレニアムのどこに位置するかが分からなかった。
結局宿にたどり着くまで2時間ほどかかり、ついた途端、僕はベッドに倒れ込んでそのまま寝てしまった。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
まとまりのない話になってしまったかも。
ヒマリの自己紹介のフレーズがなにげに難しい。
そして、2章はこれで終わりです。このあとですが、しばらくは2.5章とミニストーリー的なものを書いていくと思います。3章はエデン条約編の予定です。
最後に、これで30話、そして毎日投稿一ヶ月が経過します。もともと自分が書いてみたいというのと毎日続ける日課を作りたいという考えから書き始めたこの作品ですが、正直ここまでいろいろな反応をもらえるとは思っていませんでした。
こうして続けられたのも、お気に入り登録や評価、感想を書いてくださる読者の皆様のおかげです!これからも、どうぞよろしくお願いします!