銃社会を、吸血鬼は生きる   作:MIKAZUKIN2525

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過去。よろしくお願いします。



ユウと”ユウ”

 

 

 

 

『じゃあパパはユウって名前なの?』

 

 

……夢だ。僕の過去であろう夢。

 

 

『ああ、お前と同じで、ママがつけてくれたんだ。』

 

『えへへ〜、おそろいっ!』

 

 

僕に似た雰囲気でありながらも僕より長い髪、高い身長の男性が赤髪の少女と話している。

 

「あれは君かい?」

 

気づけばまた隣に狐耳の少女が立っていた。

 

「…わかりません。けど……たぶん、僕だと思います。」

 

あの長髪、繭を破った後の姿が変わった僕ととても似ている。

 

「そうか。それより……一つ、苦難を乗り越えたようだね。」

 

「見ていた…というか、”知ってた”んですよね。」

 

「ああ、そうだとも。」

 

この人はおそらくだが未来や過去を見ることができる……予知のような力を持っているのだろう。それに、こうして他人の夢にも干渉できる…

 

「それに、君は”過去と同化”したわけだ。」

 

「過去と同化……ですか。」

 

僕が繭を破った後の姿の事を言っているのだろう。

 

「あの男性、”ユウ”と呼ばれていたね。……そして、君の名前もユウだ。」

 

「偶然……とは、言えませんよね……」

 

「そうだとも。姿もあれに似ていたのだろう?」

 

「……はい。」

 

決まりだ。この夢、そして彼は”僕の過去”。失われた記憶の一部だ。

 

「君はこの過去と向き合うべきだろう……とはいっても、その機会はすぐ近くまで来ているがね。」

 

「……予知ですか。」

 

「ああ、だがそれもまた、苦難だろう。」

 

「…もう一度聞くが……君はあの少女をどうしたい?」

 

この前の夢でも聞かれた問いだ。

 

「助けたい……いえ、助けます。」

 

答えは変わらない。だが以前より決意を込めて言った。

 

「…そうか。頑張ってくれ、応援しているよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「…体のあちこちが痛い……」

 

パチリと目を開け、意識がはっきりしてくると、かなりの痛みが体を襲っていた。

 

「あっ、目が覚めましたか。」

 

声のした方に視線を向けるとそこにはナース服を着たピンク髪の生徒が立っていた。

 

「えっと……もしかして、僕を手当してくれた方ですか?」

 

「はい、救護騎士団所属、鷲見セリナです。」

 

セリナと名乗ったその少女は明るく笑った。

 

「それにしても、良かったです。ユウさん、こちらに運ばれてから2日も目を覚まさなかったので……」

 

…今回は2日も寝ていたのか。

 

「あ、先生を呼びますね。」

 

そう言ってセリナさんは連絡をいれ、数分して先生が病室に駆け込んできた。

 

 

「ユウ、目が覚めたんだってね。」

 

先生は優しく微笑んでくれた。

 

「はい、迷惑をかけてすみません……」

 

「迷惑だなんて思わないで。」

 

「そう…ですか。」

 

「むしろユウには感謝してるんだよ?」

 

「あっ!」

 

僕は思い出したかのように声をあげる。

 

「試験は!?」

 

そう、補習授業部の皆さんのことだ。あのあと無事に試験を受けれたのか。そして…

 

無事に受かったのか。だ。

 

すると、先生はサムズアップして答える。

 

「大丈夫、皆合格だった!」

 

それを聞いて僕はホッとした。

 

「……それと、ミカさんは…?」

 

もう一つ、ミカさんのあの後について聞くと、先生の顔が少し曇った。

 

「ミカはね……牢屋に閉じ込められてる。」

 

「っ…」

 

予想できたことではあったが、ティーパーティーであるミカさんが閉じ込められたというのは流石に驚いてしまう。

 

でも、ミカさんには会って聞きたいことがある。

 

「……先生。」

 

「ん、何?」

 

「ミカさんと面会することは…可能ですか…?」

 

僕がそう聞くと先生は少し考えた後に答える。

 

「…ユウなら大丈夫だと思う。手続きさえすればね。」

 

少し含みのある言い方だ。おそらく、先生は面会させてもらえないのだろう。ミカさんが断り続けているとかかな?

 

「では、面会してきます。」

 

「待って、まだ目が覚めたばっかりでしょ?もう少し後でも……」

 

先生の言っていることはごもっともだ。だけど……

 

「いえ、今じゃなきゃだめだと思うんです。」

 

僕は先生の静止を振り切ってベッドから降りる。セリナさんにも止められたが、頭を下げて行かせてもらった。

 

 

 

 

 

 

 

 

少々面倒な手続きを終え、僕はミカさんがいる部屋の前に立っていた。

 

「ふぅ………よし…」

 

コンコン

 

「ユウ君でしょ?入っていいよ。」

 

僕がノックをすると、この前戦ったときと同じような陽気な声で返事が入る。

 

「失礼します…」

 

部屋に入ると、ミカさんは中央に置かれたテーブルに礼儀よく座っていた。

 

「座って。」

 

ミカさんの言葉に軽く頷き、ミカさんと向かい合うように座る。

 

「今日はどうして来たの?もしかして、煽りに来たとか?…って、そんなわけないよね。」

 

「まぁ、はい。」

 

僕は一息ついてから話し始める。

 

「ミカさん、赤髪の不審者…いえ、アリウスにいる”ヒガン”という生徒について教えてくれませんか?」

 

「へえ……いいけど、逆にどうしてそんな質問をするのか教えてほしいな〜?」

 

「…理由は2つあります。一つはミカさんがアリウスとつながっていたこと。そして2つ目。こっちのほうが理由としては強いです。……僕の名前の由来を知っていたこと。」

 

「名前そのものなら僕は風紀委員会かつシャーレ所属という立場上知っていてもおかしくはありませんが……名前の由来までは、普通であれば知らないはずです。」

 

「あ〜、あれね。確かに、君の名前の由来はヒガンちゃんから聞いたよ。なんで知ってたかまでは教えてくれなかったけど…」

 

ビンゴ。やはりミカさんはヒガンという生徒とも関わりがあったか。

 

「では…教えてくれますか?」

 

「うん。」

 

ミカさんは語り始める。

 

「まず初めに、ヒガンちゃんは生徒じゃない。年齢的な問題じゃなくて、出自の問題かな。聞いた話だと、あの子、拾われた子らしいの。」

 

僕はその話を聞いて静かに驚く。

 

「それに、詳しくは分からないんだけど…結構大事にされてるみたい。実際、自由に出歩けているわけだし。」

 

「あとは……ユウ君のことを知ってたってことかな。あの子、君のこと結構詳しく知ってたんだよ?名前だけじゃなくて、さっきも言ったけどその由来とか、好きな食べ物とか…あと…君が吸血鬼だってことも知ってた。」

 

「っ!?」

 

僕が吸血鬼だということを知る人はあまりいない。それなのに、まともに会ったことのない人がそれを知っている………

 

確定と言ってもいいだろう…あの”ヒガン”という赤髪の少女は、あの夢に出てきた少女と同一人物。そして……

 

 

過去の僕の娘だ。

 

 

 

「ありがとうございました。」

 

「うん、……また来てね。」

 

その後、少しの雑談をしてから僕は部屋を去った。

 

 

「困りましたね……どう動けばいいのやら……」

 

僕はそれからずっと悩んでいた。

 

 




ここまで読んで読んでいただきありがとうございます。

ちょっとのネタバレみたいになりますが、ヒガンの見た目について。

・髪色は真っ赤。かなりの癖っ毛。
・瞳の色は青。(ユウと似ている)
・イメージは彼岸花

名前の由来については今後出てきます。(予想してみてね)
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