覚醒の時。よろしくお願いします。
「ミカ……」
「…どうしますか?」
先生は少し悩んでから答えた。
「うん…とりあえず、ミカにお灸を据えよう。」
その言葉に、僕や皆さんは武器を構え直す。
「良かった。ちょっとムカついてきたところだったから。」
「…さっさと終わらせましょうか。」
こうして、ミカさんとの戦闘が始まる。
バンッ!ドカッ!ドドドドッ!!
ミカさんの圧倒的なパワーに苦戦を強いられる。
「くっ……」
「やっぱ、先生がいると手強いね。でも…」
ミカさんは一気に距離を詰めてくる。
「これは痛いよ?」
バンッ!!
「がっ……」
ゼロ距離での射撃をお腹にくらい、膝をついてしまう。
「まずは一人……次。」
そして、ミカさんはターゲットを変更し、またもや一気に距離を詰めていく。
……援護に入らなきゃ。でも……体が動かないよ……
『血を回復に回すぞ。』
その時、頭に響いた一つの声。
その言葉が聞こえた途端、血が前身を駆け巡るのを感じる。そして…
シュルシュルシュル!!
僕の体を、繭が囲んだ。
「(この前とは……何かが違う……)」
パキパキ……パキンッ!
繭を破る。視点はかなり高くなり、髪も伸びている。
「(……なんだか、自分が自分じゃないような。でも。)」
これで守れる。
ヒュンッ
「え?」
ドカッ!!
僕に気づいていなかったミカさんを蹴り飛ばす。
「『大丈夫ですか?』」
……なんか、声がダブってるような…
「えっと……ユウ…だよな?」
衝撃で尻もちをついてしまったサオリさんは、僕の姿を見て困惑していた。
「『はい。それよりも……』」
「いや…多分、今の攻撃で終わりだ。」
そう言われ、ミカさんが吹き飛んだ方向を見てみると、彼女はそこに倒れていた。
しかし。
「けほ……けほ……」
ミカさんは、よろよろと立ち上がった。
「本気モードは…ずるじゃんね……」
「『ミカさん。諦めて、トリニティに戻ってください。』」
背が高くなっているせいでミカさんを見下ろす形になりながら僕はそういった。
「……無理だよ…」
僕の言葉に、ミカさんは小さな声でそういった。そして、涙を流した。
「もう、帰る場所なんて、どこにもないんだよ……」
「私は裏切り者で……みんなの敵だから………魔女だから……」
「『……』」
ギュッ…
「ふぇっ?」
僕は、ミカさんの言葉を遮るように、抱き寄せた。
『帰る場所は、自分で作り出すものだ。だから……そう諦めるんじゃない。私も、そして先生も、いくらでも協力するさ。そうだろう?』
「…うん。もちろん。」
『子どもの過ちは、いくらでも取り返せる。だから、誰かを憎むことは、やめるんだ。』
「……」
『私は昔、間違いを犯しすぎた。そしてそれは、取り返しのつかないことになった。……私は、そのことを一生後悔している。だがそれは、私が”大人”だったからだ。』
自分の意志だけど、そうじゃない。過去の自分が、言葉を重ねていく。
『他人の幸福を呪うな。ただ、自分が幸せになるよう、努力をしろ。』
「……そんな事、急に言われてもさ…」
『いいんだ。いきなりでなくても。人生は、これからも長く続いているのだから。』
僕…いや、”私”の言葉に、ミカさんはゆっくりと頷いた。
「……うん。こんなことは、もうやめにする。」
そう言うと、ミカさんは僕から離れた。
「いまさらこんなことを言うのは遅いと思う……けど、言わせて。」
全員がコクリと頷く。
「ごめんなさい。」
静かな。でも、誠意のこもった謝罪。
『よく言った。』
そう言いながら、”私”は優しくミカさんの頭を撫でた。
「それと…私にも手伝わせてほしい。二人を助けるのを。」
その申し出に真っ先に答えたのは先生だ。
「もちろん!でも、無理はしないこと。」
それに続くように、サオリさんも答える。
「この状況の原因はすべて私にある……むしろ、お願いしたいのはこっちの方だ。」
そして、残りの二人は少し複雑な表情をしながらも答えた。
「ミカ、帰ったら、ちゃんと皆とお話するんだよ?」
「……うん。」
少し落ち着いてから、僕たちは地下回廊へと進んでいった。
■
地下回廊にたどり着いた僕たち。
「そう言えば……ユウのその姿は戻らないの?」
「『えっと…僕も戻ろうとはしてるんですけど、拒否されてるみたいな感じでして…』」
静かな道を歩いていた、その時。
ザッザッザッザッ……
「…敵。」
眼の前…いや、四方に、聖徒会が集まって来ていた。
しかも、その中に、一際大きな武器を持った者がいた。
そして……
『そろそろ、お遊びはおしまいです。』
ベアトリーチェが、再び通信で現れた。
『ユスティナの聖女。バルバラ。彼女を、あなたたちに止められますか?』
「『ベアトリーチェ……!やってやりますよ……』」
『威勢はいいようですが……急いだほうがいいですよ?』
『儀式は、既に始まっていますので。』
プツリ。
『!?』
「『日の出までは、まだ時間があるのに……!』」
「……元から、彼女の手のひらの上だった……ってことか。」
ベアトリーチェは元から約束を守る気はなかったようだ。……しかし、まずいな…もっと急がないと行けないのに…この数は……
「…私が止めるよ。」
そう名乗り出たのは、ミカさんだった。
「少しは役に立たせてよ。」
首を横に振るものはいなかった。…先生は、ちょっと渋い顔をしてたけど……
『ミカ。これを。』
”私”はミカさんに赤い玉を渡した。
「これは…?」
『私の血で作った丸薬だ。飲めば傷は癒える、力も湧くはずだ。』
……なんてものを渡してるんだ、”私”は。
「……うん、ありがとう。」
ミカさんも困惑しながらそれを受け取っていた。
「……ミカ、気をつけてね。」
「心配しないでよ。こう見えても私、結構強いんだよ?」
ミカさんが聖徒会を引きつけ、そのうちに、僕たちはバシリカの至聖所へと向かっていった。
ここまで読んで読んでいただきありがとうございます。
同化とか言いつつもほぼ二重人格みたいなもんです。
あ、ベアトリーチェはボコボコにします。そっちのほうが気持ちいいからです。