無双回。よろしくお願いします。
「…やっと来ましたか。」
至聖所にたどり着いた僕たちを待っていたベアトリーチェ。
「ですが…少し遅かったようですね。儀式は既に半分ほど進行しています。」
『!?』
至聖所の奥にあるステンドグラスの前には、アツコさんとヒガンが貼り付けにされており、血が流れていた。
「ロイヤルブラッドの神秘。そして吸血鬼の王の血……それらを搾取し、力を借り……私は自分の存在をより高位のものへと昇華しています。」
……とんだクズ野郎だ。自分の為にあんなふうに他人を利用するなんて……
ベアトリーチェは、言葉を連ねていく。
「さあ、先生。不可解な大人、私の敵対者よ。」
「あなたは、もしかしたら私を誤解しているのかもしれませんね。」
「私たちはこの世界を通じて各自が望むことを追求しています。あなただって、同じ。何にもなる事もできるし、すべてを識ることができます。」
……だめだ。我慢ならないな。
『そこまでにしろ。』
「っ!?」
”私”は殺気を飛ばす。
『お前の”理想”は、そんなに腐りきっているんだな。』
「…なんですって?私のこの”崇高”を……否定するつもりですか?」
『ああ。そうだ。』
「では、あなたは何を望むというのですか?」
『そうだな………”誰もが笑って、仲良く過ごせる世界”。私はこれを、ずっと望んでいたからな。』
「そんな幼稚な理想……証明できるなら、証明してみせなさい……!」
そう言うと、ベアトリーチェは姿を変えていく。人の形はどんどんと大きくなっていき、変化した姿には、”怪物”という言葉がお似合いだった。
「さあ、その目にしかと映しなさい!これが私……高位の存在となった姿です!これ子ぞが本来の姿……偉大なる大人の姿なのです………!!」
「それが正体なんだね、ベアトリーチェ。」
全員が姿を変えたベアトリーチェに驚いている中、”私”は……
『偉大な大人…?笑わせるなよ。』
そう言って、血で全身を囲った。
シュルシュルシュル……
『お前のそれは、ただの”怪物”だろう?偉大さと言うのは…こう示すものだ。』
囲っていた血が流れると、”私”の姿は変わっていた。
服装は派手なマントに鮮血色の豪華な服。そして、背中には大きな翼が生えていた。
『この姿はあまり好きではないが……今ばかりは、これのほうがいいだろうな。』
そして、”私”は先生にミカさんにも渡した丸薬を渡す。
『先生には、二人の救出をお願いしたい。』
「うん。任せて。」
先生はそう言うと、丸薬を飲む。
「……力が湧いてくる。」
『スクワッドの3人は、私と共にあの”怪物”を。』
「ああ。」
「…はい!」
「うん。」
『怖がることはないさ。君たちの道は…私が拓こう。』
「……頼んだ。」
「さあ……来なさい!!」
最終決戦が、今始まる。
■
ヒュンッ!!
「ぐっ!?」
高速の槍を投げ、戦闘が始まる。
そして、大きな翼を使いベアトリーチェに接近する。
『遅いな。』
「このっ…!」
ザシュッ!!
血の剣で、ベアトリーチェの腕を切り落とす。
そして、そこにスクワッドの3人の射撃も加わる。
『いい調子です。このまま一気に攻めますよ。』
「ああ!もちろんだっ!」
「っ!調子に…乗るなぁッ!!!」
ベアトリーチェの頭に光が集まっていき……
シュオオオォォォォオオッ!!!
ビームが発射された。
だが。
『その程度か?』
”私”は同じように血のビームを打ち返す。
「グアアァァッ!?!?」
ビームをくらい、ベアトリーチェはよろける。その隙を逃すまいと、全員が総攻撃を仕掛ける。
撃つ。撃つ。撃つ。撃つ。そして、ベアトリーチェは倒れ込む。
『終わりだ。』
「ぐっ、ああ……なりません……!!私の権能が……!!……そうです…あの小娘の血を…!!」
ベアトリーチェは至聖所のステンドグラスのほうに視線を向ける。
だが…
「何ッ!?」
そこに二人の姿は、なかった。
「悪いけど、二人は返してもらったよ。」
捕らえられていた二人を救出し、壁際に寝かせながら先生は言う。
「…ぁ……貴様ぁぁぁぁ!!!」
ベアトリーチェは、叫びながら先生へ襲いかかる。
「…裁きを受けるときだよ。ベアトリーチェ。」
先生は、二人を守るようにベアトリーチェの正面に立つ。そして、拳に力を込めていく。
「っ…これなら…!!」
「先生ィィィィッッッ!!!」
先生とベアトリーチェの距離がゼロになる…その瞬間に、先生は拳を突き出し、ベアトリーチェを殴り飛ばした。
相当な威力で殴られたベアトリーチェは、反対側の壁まで吹き飛び、大きな音を立てて倒れた。
『よくやった。先生。』
「ありがと。ユウのおかげだよ。」
「……終わった…のか?」
僕たち全員が、ベアトリーチェが吹き飛ばされた方向を見る。
だが、いくら経っても、ベアトリーチェが起きる気配はなかった。
『…終わり。だな。』
”私”の言葉を聞いた皆は、その場に座り込んだ。
「はぁ……大変だった…」
「…ああ。……待て、アツコは!?」
サオリさんの言葉に、スクワッドの3人の視線が壁際の二人へ向いた。
「大丈夫。息はしてる。」
『念のため、二人にも丸薬を飲ませよう。』
そう”私”が丸薬をアツコさんに飲ませようとした時……
「ん……」
アツコさんが、ゆっくりと目を開けた。
「アツコ…!」
「サオリ、ちゃん……?」
「姫…」
「ひ、姫ちゃん!!気が付きましたか!?」
「うん……サオリ、ヒヨリ、ミサキ……みんな、おはよう。」
そう言うと、アツコさんにサオリさんが抱きついた。そして、何度も何度も、感謝を述べていた。
その間、”私”は、ずっと、ヒガンを見つめていた。
「……ユウ。」
それを見て、先生が近づいてくる。
『吸血鬼の生命源というのは、血だ。ヒガンは血を多く失っている状態……おそらく、一週間は目を覚まさないだろう。』
「そっか……」
『さて…私はミカの様子を見に行ってくる。先生は、もう少しここで皆のことを見てやってくれ。』
「うん。ミカを頼んだよ。」
ミカさんは強いし、丸薬もあるから大丈夫だとは思いつつも、”私”はミカさんの元へ向かっていった。
■
至聖所を出て少し進むと、戦闘音が大きくなってくる。
「あっ!ユウ君!」
戦闘をしながらも、僕に気づいたミカさんは明るく声をかけてきた。
『ずいぶんと余裕なようだな?』
「うん!あのもらった丸薬すごいね!?最初はちょっと押されちゃってたけど、あれを飲んでから力が湧いてきて負ける気がしないよ!」
『そうか。それなら良かった。だが、ここからは、私も力を貸そう。』
「おっ、それは助かるかも。じゃあ……一気に行くよ!!」
こうして、”私”とミカさんは、聖徒会との戦闘に入っていった。
ここまで読んで読んでいただきありがとうございます。
ちょっと変なところで切っちゃったかもしれませんが、まあ一段落ということで。
そろそろ、3章の終わりがみえてきました。もう少しお付き合いください。