銃社会を、吸血鬼は生きる   作:MIKAZUKIN2525

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アビドス編。よろしくお願いします。



ユウと先生とアビドスと

 

先生がアビドスに行くとのことで、シャーレのお手伝いは少し落ち着いた。

 

「お姉ちゃん、アビドスってどんな場所ですか?」

 

「アビドス...?一言でいうなら、砂漠。かな?」

 

「砂漠...ですか。」

 

砂漠と聞いて、少しだけ不安だった。

 

先生はとても真面目な方だ。でも、たまにおっちょこちょいな所がある。それが出なければいいけど...

 

「先生が心配?」

 

「まぁ...はい。」

 

「直接会ったことはまだ無いけど、先生なら大丈夫だと思うわ。」

 

「...そうですね。」

 

不安を押し殺し、仕事を始めた。

 

 

 

 

この時先生が遭難しかけていたことを、ユウは後々知るのであった。

 

 

 

■

 

 

 

先生がアビドスの支援に行ってから数日、特に何も無い日が続いていた。

 

「暇ですね...」

 

アコさんは居るけれど、ヒナさん、イオリさん、チナツさんは居ない。

 

「暇でしたら、見回りにでも行かれては?」

 

独り言を拾われ、アコさんにそう提案された。

 

「そうですね。行ってきます。」

 

 

 

 

僕は後に、この判断が間違いだったことを知るのであった。

 

 

 

 

「今日も変わりませんね。」

 

変わらないというのはゲヘナらしさが、ということだ。どこに行っても不良だらけ。

大きな騒ぎを起こした生徒は鎮圧。

 

いつもと変わらない見回り作業だった。

 

...この時までは。

 

プルルルルル。

 

「ん、先生から電話...?」

 

2コール程度で出たが、先生はかなり焦っているようだった。

 

『あっ、ユウ!今、風紀委員がアビドスまで来てるの!』

「!それは本当ですか?」

 

『うん、銀髪の子とチナツもいる。』

 

銀髪の子、というのはイオリさんのことだろう。

 

「...すぐに向かいます。場所は?」

 

『今送るね。』

 

「...確認しました。3分ほどで着きます。では。」

 

そうして電話を切る。驚く声が聞こえた気がするが、気にせず走り出した。

 

 

 

走り始めてきっちり3分。僕は送られた場所に到着していた。

 

そこには、風紀委員と対面する先生と4人の生徒。...1人は通信っぽいけど。

 

「先生、ただいま到着しました。」

 

「あっ、ユウ!」

 

「ちょ、ちょっと先生!こいつも風紀委員じゃない!」

 

着いた途端、黒髪猫耳の生徒にそう言われた。

 

「大丈夫、セリカ。この子は私が呼んだから。」

 

「はぁ...?」

 

「アビドスの皆さんですか?ごめんなさい、風紀委員の子達が迷惑をかけているようで。」

 

「ん、本当に。」

 

「まぁまぁシロコちゃん。」

 

『同じ風紀委員なんですよね...?』

 

アビドスの方たちを見る体をくるりと回し、風紀委員へ向ける。

 

「アコさん、説明して貰えますか?」

 

『っ。』

 

アコさんが怯む。

 

怖かったかな...?

 

そんなことを考えていると、もうひとつの声が聞こえた。

 

「...私にも、説明してちょうだい。」

 

声の主はヒナさんだった。

 

「お姉ちゃん!」

 

「い、い、委員長!?一体いつから...!」

 

「!」

 

『えっ...ええっ!?』

 

「あれが風紀委員長...」

 

「ちょ、ちょっと待って。あの男の子、お姉ちゃんって言ってなかった!?」

 

「セリカちゃん、それは後で。」

 

『外見情報...一致。間違いなく風紀委員長の空崎ヒナです。』

 

 

『そ、その...これは、素行の悪い生徒たちを捕まえようと...』

 

「便利屋ですか?辺りには見えませんが...」

 

「そうね、風紀委員とアビドスが対峙しているとしか見えないけど。」

 

『え、便利屋ならそこに...』

 

指を刺された方向を見ても誰もいない。そもそも僕が着いた時点で便利屋なんて居なかったし。

 

『いつの間に...!...えっと、委員長、ユウ君、全て説明いたします。』

 

「............もういい。だいたい把握した。」

 

「僕もです。...先生の確保が目的ですね?」

 

『うっ...』

 

「アコ、私たちは風紀委員よ。生徒会じゃない。そういった政治的なことは万魔殿のタヌキにでも任せておけばいい。」

 

 

「詳しい話は帰ってから。今はもう通信を切って校舎で謹慎していなさい。アコ。」

 

『......はい。』

 

プツリと通信が切れる。

 

「......ユウは、先生に呼ばれたのね。」

 

「はい。戦闘には関与していません。」

 

「そう。」

 

そして、ヒナさんはアビドスの皆さんと話し始めた。

 

『この状況については理解されてますでしょうか。』

 

「もちろん。事前通達無しでの他校自治区における無断兵力運用。及び他校生徒たちとの衝突。......けれど、そちらが風紀委員会の公務を妨害したのも事実、違う?」

 

『っ!?』

 

「お姉ちゃん...それは...」

 

「...ユウは少し黙って。」

「......はい。」

 

黙ってる内にも話は進んで行ったが、アビドス側が出した名前にヒナさんが引っかかった。

 

『...こういう時に、ホシノ先輩がいたら...!』

 

「ホシノ...?もしかして、小鳥遊ホシノのこと?」

 

ホシノ、という名前は僕も聞いたことがあった。

 

「うへ〜、こいつはまた何があったんだか。すごいことになってるじゃ〜ん。」

 

そう言いながら現れたピンク髪の生徒。アビドスの人達の反応を見るに、この人がホシノさんなのだろう。

 

「ごめんごめん、昼寝しててちょっと遅れちゃった。」

 

確かに昼寝をしていたであろう雰囲気だったが、どうも僕にはそうは見えなかった。

 

「小鳥遊......ホシノ...」

 

「ん〜?その子供は?......って、君も風紀委員か。」

 

呟きを拾われてしまった。...掴みどころのない人だ。

 

「......お姉ちゃん、帰りましょう。」

 

「そうね、イオリ、チナツ。撤収準備。」

 

「っ!...はい。」

 

『かっ、帰るんですか!?』

 

僕とヒナさんは改めてアビドスの皆さんを見て...

 

頭を下げた。

 

「事前通達無しでの無断兵力運用、そして他校の自治区で騒ぎを起こしたこと。このことについては、私、ゲヘナの風紀委員会の委員長として、アビドスの対策委員会に公式に謝罪する。」

 

「僕からも、同じように。」

 

「今後、ゲヘナの風紀委員会がここに無断で侵入することは無いと約束する。どうか許して欲しい。」

 

ヒナさんの謝罪に、アビドスの方たちは驚いていた。

 

「ほら、帰るよ。」

 

その一声で風紀委員のみんなは帰り始めた。

 

「イオリさん、チナツさん。反省文、待ってますからね?」

 

2人にからかうように言った。

 

「うぅ...分かった。」

「...はい。」

 

先生と話していたヒナさんが戻ってくる。

 

「あっ、お姉ちゃん。僕も先生に話したいことがあるので、先に戻って貰っててもいいですか?」

 

「うん、分かった。」

 

 

 

先生に近づく。

 

「ん?ユウ。どうしたの。」

 

「この前の事について話したくて。」

 

この前、というのはシャーレの加入についてだ。

 

「......シャーレに加入しても、いいでしょうか?」

 

僕の言葉を聞いた先生は嬉しそうな顔をしていた。

 

「!うん、いいよ。」

 

「待って待って!先生。こいつ、さっき攻撃してきた風紀委員会のやつだよ!?本当にいいの?」

 

アビドスの生徒が突っかかってきた。まぁ、無理もないけれど。

 

「セリカさん...でしたよね...?このことについては前から打診されていたので。」

 

「っ。ならいいわ。」

 

「セリカちゃん、ダメだよ〜?すぐに人に突っかかっちゃ。それに、その子は3年生だよ?」

 

「「「『!?』」」」

 

ホシノさんの言葉にセリカさんだけでなく他の3人までもが驚いていた。

 

「3年!?先輩ってこと!?」

 

「あはは...気にしなくてもいいですよ...」

 

「ん、ユウ先輩。」

 

「見た目的に言うならユウ君ですね〜。」

 

『それで...ユウさんはシャーレ所属になる訳ですよね?』

 

「うん。兼部って感じだけど。」

 

「シャーレ所属として、僕もアビドスの問題に取り組みますよ。」

 

「ん〜、いいよ、別に。先生だけで十分。」

 

「ですが...」

 

「じゃあ、もし私たちに困ったことがあったら、手伝って欲しいな〜?」

 

「...分かりました。必要であれば、風紀委員会も動かします。」

 

「うへ、そんな事できるの?」

 

「権限は委員長とほぼ同じですので。」

 

「...それは頼もしいや。」

 

「...では、僕も報告に戻らないとなので。また。」

 

そうして先生とアビドスの皆さんと別れ、風紀委員会へ戻った。

 

 

 

■

 

 

 

風紀委員に戻った僕は、シャーレ所属になったことをヒナさんに報告していた。

 

「そう、頑張ってね。」

 

「はい。」

 

報告をしている脇では、3人が反省文をカリカリと書き続けていた。

 

「...お姉ちゃん、何枚出したんですか...」

 

「軽く200枚よ。」

 

「うわぁ...」

 

楽しみにしてる。なんてからかったが、ここまで来ると可哀想に思えてくる。

 

 

「あと、ユウ。シャーレの方を優先していいからね。」

 

「いいんですか...?」

 

「えぇ、こっちは私だけでも何とかなる。でも、シャーレはそうはいかないでしょ?」

 

「そう...ですね。」

 

「先生のこと、ちゃんと守るのよ。」

 

「はい!」

 

ヒナさんに背中を押され、シャーレでの活動が始まった。

 

 




ここまで読んでいただきありがとうございます。

少し長くなってしまいました。ごめんなさい。

ユウはシャーレ所属として動かして行きます。
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