銃社会を、吸血鬼は生きる   作:MIKAZUKIN2525

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3章終了。よろしくお願いします。



ユウとヒガンとこれから

 

 

 

すべての事件が片付いてから1週間が立った頃。

 

『ユウさん、ヒガンさんが目を覚ました。それで……今すぐユウさんと会いたいとおっしゃっていて……』

 

セリナさんからそう連絡が来た。

 

『分かりました、すぐに向かいます。』

 

そう返事を返すと、ヒガンがいる救護騎士団の病室へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

コンコン

 

「どうぞ。」

 

その言葉を聞いてから扉を開ける。そこにはヒガンと、初めて見る救護騎士団の方がいた。

 

「はじめまして。救護騎士団の団長を務めています。蒼森ミネと申します。」

 

「ああ…ご丁寧にどうも……僕はユウです。」

 

「ええ。セリナから聞いています。……では、私は席を外しますので後はご自由に。もし何かあれば、隣の部屋にいますので声をかけてください。」

 

丁寧な挨拶をしてミネさんは病室から出ていった。

 

そして、僕はヒガンがいるベッドの横の椅子に座った。

 

「おはよう。体調はどう?」

 

「万全……とは、まだ言えないかな。」

 

確かに、まだ顔が少し青い気がした。

 

「なら、僕の血を吸っていいよ。」

 

ならば、と思いそう提案する。僕と同じ吸血鬼であれば、血を吸って回復するはずだ。それに、ヒガンは血を失いすぎていたということもあるし。

 

「いいの……?」

 

「うん。それに、君は僕の娘なんでしょ?少しは甘えてよ。」

 

僕がそう言うと、ヒガンは少し顔を赤らめながら、僕の首筋に口を近づける。

 

「……いただきます。」

 

そして、ヒガンは僕の首筋にかぷりと噛みついた。

 

部屋には、ちゅうちゅうと血を吸う音だけが響く。

 

「(なにげに血を吸われるの、初めてかも……)」

 

”私”がどうだったかは分からないが、少なくとも僕は初めてだ。

 

 

数分間、ヒガンはゆっくりと血を吸い、そして口を離した。

 

「ぷはっ……えへ…ありがとう、パパ……。でも、ちょっと吸いすぎちゃったかも…」

 

ヒガンはそうにへりと笑った。

 

……かわいい。

 

「そんなことはないよ。むしろ、この前から結構元気なんだ。」

 

そう。この前、同化した影響なのか、以前よりも力が出るし、血を消費量が多くなっても倒れることがあまりなくなっていたのだ。

 

「そっか…」

 

 

少しの沈黙。そして、僕は口を開いた。

 

「それで、ヒガンは、これからどうしたい?」

 

優しく問いかける。

 

「君はアリウスから解放され、何をするも自由だ。」

 

「……」

 

ヒガンはうつむいて考える。

 

「ああ、ごめん。急がなくてもいいんだ。でも、したいことがあるなら、なんだって協力するよ。」

 

またもや沈黙が起こる。

 

そして……

 

「………たい…」

 

「ん?」

 

「学校に…通いたい。」

 

そう言われ、少し考えてしまう。

 

「……」

 

「だめ……?」

 

「ダメなわけないさ。」

 

ダメと言うつもりはなかった。

 

「このキヴォトスには様々な学園がある。それぞれに特徴があるから、よく比べて決めるんだよ。」

 

もちろん、どこの学園にするかは本人の意思で決めるべきだ。だから、あくまで僕はそれのお手伝いまでに留めるつもりだ。

 

「うん。分かった。」

 

「それと、決まるまではシャーレにいると良いよ。」

 

「シャーレ……って、あの先生がいるところ?」

 

「そう。僕もよくいるよ。」

 

というか、今はヒナさんからシャーレでの活動に注力してと言われているから、僕の活動はほとんどがシャーレだ。

 

「パパもいるなら……うん。少しの間、お世話になるね。」

 

「少しと言わず、ずっとでも良いんだよ?」

 

僕の言葉に、冗談でしょ?とヒガンは笑った。

 

「じゃあ、ここを退院できる様になったら、シャーレに行こう。」

 

「うん。楽しみにしてる。」

 

 

そして、その日の面会は終了した。

 

 

 

「少し、良いですか?」

 

その帰り道、面会前にも会ったミネさんから声をかけられた。

 

「はい。なんですか?」

 

「盗み聞きのつもりはなかったのですが、話の内容が聞こえてしまいまして。……それで、その…ヒガンさんを入学させるなら、トリニティは避けたほうが良いかと思います。」

 

「!」

 

なんと、聞かれていたらしい。でも…

 

「もちろん。僕にもその気はありません。でも、ヒガンがどうしてもと言うなら、入学させると思います。僕は、あの子の意思を尊重したいですから。」

 

「ふふっ……どうやら杞憂だったようですね。失礼しました。」

 

そう言って、ミネさんは去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

面会から数日。ヒガンがやっと退院し、僕たちは約束通りシャーレに来ていた。

 

 

「一応はじめまして…かな?ヒガン。」

 

先生はいつも通り優しく接する。

 

「うん……あの…」

 

ヒガンはエデン条約のときの申し訳なさがあるのか、少し声が小さかった。

 

「ヒガン。」

 

「ひゃいっ!」

 

……少し緊張しすぎではないか?

 

「この前のことは、私はもう気にしていない。それに、君たちはベアトリーチェに指示されていただけなんだから。気に病む必要はないよ。」

 

「……はい。」

 

「ヒガン。君の中での大人のイメージがどんなものかは分からないけど……先生はとっても優しいからね。」

 

僕は付け足すようにそう言った。

 

「そうだよ?ヒガンがここで暮らすって聞いて部屋もちゃんと準備したし。生活で困ることはないよ!」

 

先生はそう自信満々に言うが……

 

「先生、基本的な家事ほとんどできないじゃないですか。」

 

「うっ……そこはユウがなんとかしてくれるかなって……」

 

「はあ……まあ、良いですけど……。娘の面倒を見るのは、父の務めですし。」

 

「確かに……って、え!?」

 

先生は驚いた。多分、僕がヒガンのことを娘と言ったからだろう。

 

「あれ、言ってませんでしたっけ?」

 

「聞いてない聞いてない!!初耳だよ!」

 

確かに、僕とヒガンの関係や過去については言ってなかったな。

 

「まあ、詳しい話は省きますが……ヒガンは僕の娘です。厳密に言えば、過去の僕の娘。ですけどね。」

 

「絶対省いちゃダメなやつじゃん。」

 

「今も、パパは私のパパだよ?」

 

「それはもちろん。」

 

そう言って僕はヒガンの頭を撫でる。

 

もう、自分の過去とはちゃんと向き合うことにした。だから、パパと言われても何も言わなくなった。

 

 

「いいなぁ……」

 

 

先生のそのつぶやきは、誰にも聞こえることはなかった。

 

 




ここまで読んで読んでいただきありがとうございます。

これにて3章も終了となります!
そして明日からは日記の更新をまた初めて行こうと思います。
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