ごめーん、今回はあんまり進展ないや。よろしくお願いします。
「うん、よく似合ってるわ。」
「えへへ……ありがとうございます。」
ミレニアムの制服に袖を通した私。合格通知をもらって翌日の今日、私は正式にミレニアム生となった。
頑張って手に入れた学校生活、絶対に楽しんでやる。
「はい、じゃあこれ。」
そう言ってユウカさんは学生証を手渡す。
「大事なものだから、なくさないようにね。」
「はい。」
「あ、でも、もし失くしちゃったら遠慮なく言ってね。再発行するから。」
私の手に握られた学生証は自分が入学したということを強く実感させる。なくさないようにすぐさま胸元に取り付けた。
「それじゃあ、これからよろしくね、ヒガンちゃん。」
「よろしくお願いします、ユウカさん。」
私たちは軽い握手を交わした。
「今日は授業も特にないし、この後は色々なところを回ってみて。もうあなたは、ミレニアムの生徒だからね。」
「(……それなら、エンジニア部に行ってみようかな。武器も無いし……)」
ということで、ユウカさんに見送られた私はエンジニア部の部室へと向かった。
■
ウィィィィン
「失礼します……」
部室へと到着し、恐る恐る中へ入る。
「おや?」
この前会ったウタハさんと目が合う。
「君は確か……あぁ、ユウ君の知り合いの。…ヒガンと言ったかな?」
「はい。覚えててくれたんですね。」
そしてウタハさんの視線は私の胸元へ向いた。その視線の先には取り付けた学生証がついている。
「それは……そうか、ミレニアムに入学できたんだな。」
ウタハさんは優しく微笑み、祝福してくれた。
「はい…!パパのおかげです。」
「えっと……パパというのは?」
あっ。いつものクセでパパって言っちゃた………まぁ、いっか!
私の反応を見て何かを察したウタハさん。
「いや……なるほど、ユウ君のことか。」
「……はい。」
ちょっと恥ずかしくはあるけれど……パパはパパだもんね!
少しの間を置いて……
「それで、今日はどういった用件だい?…もしや、入部希望とか?」
「えっと、今日は私の武器を用意したくて……」
改めて私がここに来た理由を話す。
「なるほど。それなら、完成品があっちに置いてある。一緒に見ようか。」
「いいんですか?」
「もちろん。まぁ、中には危険なものもあるから、というのもあるがね。」
私はウタハさんに案内されて部室の奥へ行く。
そこには、かなりの量の銃が置いてあり、壁にかかっているもの、立てかけられているもの、ゴミ山のように積み上げられているものなど、とにかくたくさんあった。
「さて、気になるものはあるかい?」
そう言われてざっと辺りを見渡す。
「もし無いようであれば、こちらからおすすめするが……ヒガン?」
辺りを見渡した私の視線は、ある一つの銃に釘付けになっていた。
「あれは?」
私はその銃を指さす。
とにかく長い、筒のような銃。
「ああ、あれか。」
ウタハさんは一呼吸置いて説明を始める。
「あの銃は、とにかく射程距離を伸ばそうとしたスナイパーライフルだ。理論上は、20km先まで狙えるはずだよ。」
「すごっ!」
とてもすごい発明品だな。と思っていると、ウタハさんはただ…、と付け加える。
「あくまで理論上。普通に考えても、そんな距離まで行くことはない。銃の弾は落ちるものだ。どんなに高いところからまっすぐ撃ったとしても、飛ぶのは良くて5kmほどだろう。」
たしかに……そんな距離正確に狙えちゃったら強すぎるもんね……
でも……
「……私なら、多分使えると思います。」
「え?」
「使ってみても……良いですか?」
私にはちょっとした考えがあったのだ。
「もちろんだとも。」
そう言ってウタハさんはその銃を取り出して私に渡した。
手に銃が乗った瞬間、ずしりと重さが伝わる。今まで銃なんて持ったことが無かったから、ほんの僅かだけ恐怖があった。
「あ、ありがとうございます……(これが……銃。)」
「一応、向こうに的も用意してある。好きに試してくれ。」
ウタハさんの言葉に頷く。
そして私は、血を操り始める。
考えというのは、血で弾を作れば、弾の落下や威力など、色々と補えるのではないかと思ったからだ。
私の得意分野は血の操作速度。銃で打ち出した弾もギリギリ操作できる範囲だろう。であれば、それを操作して高速の弾を打ち出せるはずだ。
ちゃちゃっと弾を作って銃に込める。ウタハさんは興味深そうにその光景を見ていた。
「よし……準備完了…!」
銃を構える。
そして、トリガーを引いた。
弾が発射される瞬間、操作をして推進力をもたせる。この間0.1秒。そして、放たれた弾丸はまっすぐ、そして高速で的のド真ん中を撃ち抜いた。
「……すごいな。」
その光景を見ていたウタハさんは驚愕の声を上げる。
私も流石に驚いた。ここまで上手くいくなんて。
「言っていなかったが、その銃は精度も悪ければ威力も低い。だが、君はあの的の真ん中を撃ち抜き、後ろまで貫通させた。…それはいったい……いや、ユウ君も同じようなことをしていたね。」
「はい。血の弾を使いました。それと、撃ち出す瞬間に弾に推進力を追加で加えてます。」
「なるほど……吸血鬼というのはすごいな……つまり……それを使えばあれの実現だって……あっちだって………」
ウタハさんはブツブツとつぶやき、色々と考え始めてしまった。
「あの……」
「っ、ああ…すまない。君の力を見て色々とアイデアが浮かんでしまってね。もしよかったら、今度開発を手伝ってくれないか?」
「えっと……構いませんけど……」
「! ありがとう、助かるよ。ああ、それと、その銃は持っていってくれて構わない。定期的にメンテナンスに立ち寄ってくれ。」
……こんな感じで武器を手に入れてしまっても良いのだろうか。
「ありがとうございます…。大切に使いますね。」
こうして、武器を手に入れた私。エンジニア部に長いこといたため、外に出ると、空は少しオレンジがかっていた。
「あれっ、もうこんな時間かぁ……」
プルルルルルルル……
その時、電話が鳴った。
スマホの画面を見ると、電話の相手は先生で、切る理由もないため電話に出る。
「はい、もしもし。」
『ヒガン……』
電話越しの先生の声は震えていて、ただならぬ空気を感じ取った。
『……落ち着いて、聞いてくれる?』
「? はい。」
『あのね……アリスとユウが……』
『……連れて行かれた。』
「え……?」
理解が追いつかないまま、私の手から、するりとスマホが落ちた。
ここまで読んで読んでいただきありがとうございます。
今度こそ!次回から物語を進展できそうです!