前座。よろしくお願いします。
二人を取り戻すため、まずは居場所を特定しようと私たちはユウカさんとノアさんに連絡をした。
『会長が、アリスちゃんとユウ君を……?』
「うん。それで、ユウカならリオの居場所を知ってるんじゃないかって。」
『最近、何か裏で進めている気配はありましたけど……。そんなことになってしまっていたんですね……。少し、ショックです。』
『会長……一体何を企んでいるのかしら……』
どうやら、二人にも居場所は分からないらしい。……そういえば、この前セミナーにいったときもリオ会長はいないって言ってたしなぁ。
そして二人は、痕跡を辿って居場所を特定しようと動き始めた。
「一旦、待機かな?」
調べている間、私たちは戦力の確認や助っ人を呼んだりしていた。
するとその時。
”………ン……ヒガン……”
「!」
これは……パパからの通信だ。
「? ヒガン、どうかした?」
「いえ、ちょっと……」
他の人には聞こえない。これは私たち吸血鬼ができる通信手段。
血の繋がりだ。
”…これ、届いているかな?やり方があってるか分からないけど、とりあえずこっちの状況を話すね。”
どうやってやり方を知ったんだろ……記憶喪失だって聞いてたんだけどな……
”僕とアリスさんが連れて行かれたのは、要塞都市エリドゥ。リオさんが秘密裏に作り上げた都市だって。僕とアリスさんが監禁されているのは、都市の中央にあるタワーの中。別々に監禁されているから、アリスさんについては分からないけど、まだ無事だと思う。”
なるほど……要塞都市エリドゥか……これは、みんなにも共有しなきゃ。
”僕からの情報はこれくらい。最後に、こっちからなにかできる状況じゃない。……だから、皆さんに任せたよ。”
そう言って、血の繋がりは途切れた。
「あの……」
『先生!リオ会長が二人を連れて行った先が分かりました!』
ちょうどのタイミングでユウカさんたちの調査が終わった。
私の声はかき消され、全員の意識はユウカさんへと向いていた。
「……」
ユウカさんは、調査結果を述べていく。
内容はさっきパパから聞いた内容とほぼ同じ。リオ会長が作り上げた”要塞都市エリドゥ”について。…どうやら、セミナーの予算を横領してまで作っていたらしい。
そして、エリドゥは、”終焉に備えるための要塞都市”とのこと。
『一体、いつの間にこんな規模の都市を……』
モニターに映された映像を見る限り、かなり巨大な都市だった。……確かに、これほどの都市を誰にも気づかれずに作れるものなのかな?
「どうして、都市を作ったんだろうね?」
先生の疑問が飛ぶ。
『リオ会長は、ご自身がやると決めたことに関して絶対に迷いません。合理的な判断を……時には重大な決断が必要な場面でも何ら迷うことは無く、目標達成のためであれば、ブルドーザーみたいに強引に事を進めてしまう。』
ノアさんが答えていく。
『そうして危険を排除し、キヴォトスの終焉を防ぐべく奔走した結果できたのが……』
『あの要塞都市、”エリドゥ”なのでしょう』
……とんでもない会長だな。と私は思った。普通、そういった事は周囲の人と話し合ったりするものではないのか?
『二人は、”エリドゥ”の中心部にあるタワーに連れて行かれた可能性が高いわ。』
ユウカさんがそう言ったとき、私は補足するように、さっきのことを話すことにした。
「あの……」
「なに、ヒガン。…そういえばさっきも何か言いたそうにしてたけど……」
「さっき、パパから連絡があったんです。」
『!?』
その場にいる全員が驚いた。……と言っても、私が連絡を取れたことに対してじゃ無さそうだけれど……
「……パパは、エリドゥに監禁されているとのことです。場所も、ユウカさんの推測通り、中央のタワー内部らしいです。」
「そっか……じゃあそこに…二人が……」
『”エリドゥ”の座標をお伝えしますね。』
『立場上、私たちがお手伝いできるのはここまでですが……』
『お願いします……リオ会長を止めて、二人を連れ帰って来てください!』
「うん、任せて。」
二人のお願いに、先生は応えた。
それから少しして……
「ふむ……座標は確認できたけど、問題は潜入方法だね。」
助っ人として先生が呼んだエンジニア部も合流し、作戦を練っていた。
「会長ならきっと、対侵入者用の防御システムを構築してるだろうから。何の準備もなく接近したら……エリドゥが何故”要塞都市”と呼ばれているのか、身を持って知ることになるだろうね。」
その言葉を聞いた私は少し、一人で考える。
「(防御システムの範囲はどれくらいだろう……いや、私の”アレ”なら、容易に侵入できる。……でも、それはあくまで私だけ。)」
うーん、難しい。
そう考えているうちに、ウタハさんは侵入の作戦を決めていた。どうやら、別ルートを知っていて、そこから侵入するとのこと。さすがはエンジニア部の部長だ。そこまで分かるだなんて。
そして次に、エリドゥ内部での作戦だ。
「一番の障害になりうるのは……」
「あの護衛のメイド…ですね……」
護衛のメイド、というと、パパが戦った相手のことだろう。
「なら、そうだな……」
ネルさんが口を開く。
「ここは一つ、”陽動作戦”と行こう。」
『?』
「あたしらの一番の目標は、あのチビどもを救い出すこと。だから、あたしらC&Cが正面から突っ込んで騒ぎを起こしてやる。そうしたら、リオはもちろんトキ、あいつもあたしらの相手をせざるを得ないだろ?その間にお前たちがチビ二人を救え。どうだ?簡単な話だろ?」
確かに、理にかなっている。私たちはエリドゥを破壊するとか、そんなのじゃなくて、ただ二人を救えばいいだけなんだから。
それに、ネルさんは自信たっぷりだし、あのメイドにリベンジしたいとも思っているようだ。
ネルさんの作戦に、他のC&Cの方々は納得し、陽動作戦が決まった。
そして、その他のエンジニア部やゲーム開発部は後方から潜入。そこには先生も。
ヴェリタスの方たちは遠隔支援をしてくれるとのこと。
私?私は先生たちについていこうとしたんだけど……
「ヒガン、君にはもっと適任な場所がある。」
「え?」
ウタハさんは私の背中の銃を指さす。
「それなら、長距離からの援護射撃が可能だ。…つまり、あの要塞都市のビルの上から全体を見渡し、射撃するのが一番だろう。」
ということで、私は単独行動でみんなの援護というポジションになった。
潜入方法はそれならば、と例の吸血鬼の能力を使った侵入をするつもりだ。
「よし、じゃあこれで行こっか!」
作戦もまとまり、モモイさんが号令する。
「目標は”要塞都市エリドゥ”の中央タワー!二人が連れて行かれた場所!」
「勝手に家でしたアリスを!なんか連れ去られちゃったユウを!」
「私たちの手で連れ戻すんだよ!!」
そして、先生が合図をする。
「それじゃあ、これより……作戦開始!!」
ここまで読んで読んでいただきありがとうございます。
話の時間軸を整えるための編集を行ったのでご了承ください。私が下手すぎて出たミスですので申し訳ないです。
さて、ここからどんどんと進めていきます。ですが、主にヒガン、ユウの視点で進めて行きますので、原作と比べると少し味気なくなってしまうかもしれません。