いざ、二人を助けに。よろしくお願いします。
風に乗り、上空を飛ぶ。エリドゥに侵入するために。
少し前……
「ヒガンは、どうやって侵入するんだ?」
「吸血鬼の力を使って、上から。」
考えていた方法。それで私は単独でエリドゥに侵入する。
「上から……って、できんのかよ?」
「はい、これなら。」
そう言って、私は身体に霧をまとわせた。
私のもう一つの得意技、”血の霧化”だ。
「……なるほど。それならば、システムに検知されない……と。」
ウタハさんがそうつぶやいた。さすがエンジニア部部長、正解だ。
「そのとおりです。それに、上手いこと使えば壁だってすり抜けられますから!」
そう、霧化を応用すれば物体を貫通できるのだ。と言っても、本当に精密な操作が必要だから、吸血鬼の中でできるのは私とパパくらいだったけどね。
「分かった。なら、ヒガンはその方法で侵入しろ。後はさっきの作戦通りに動いてくれ。」
「はい!」
そして今に戻る……
「(流石に、これを検知はできないよね〜)」
霧化したことで防衛システムをすり抜け、エリドゥの中へと侵入することができた。
「さて……このへんで一番高い場所……」
辺りを見渡し、狙撃がしやすそうなポイントを探す。
その時。
[侵入者、発見。]
背後から、ロボットの声がした。
「!?」
バレた!?霧化してるってのに……このロボット、高性能すぎない!?
「(私がいるってことはあんまりバレないようにしなきゃだから……)」
あまり騒ぎを起こさず、確実にロボットを仕留める方法。
「ふっ!!」
私はロボットへと急接近する。
[目標補そk]
「遅い。」
細かくした血をロボットの隙間から流し込む。私の高速操作だからこそできる技だ。
[……]
内部機構を一瞬で認識し、主要部分を故障させたことにより、警備ロボットは動かなくなった。
「ふぅ……よし。先を急ごう……」
私は再び見晴らしの良い場所を探して動き出した。
■Sideユウ。
「暇だなぁ……」
監禁部屋の中で、小さくつぶやく。
見張りはトキさんじゃなくなってしまったため、話し相手がおらず、僕は大変退屈していた。
「脱出しようと思えばできるけど……今の状況で、またあのロボットとか、トキさんと戦うのは嫌だしなぁ……」
この部屋のセキュリティは確かに手強い。でも、純粋な力でこじ開けようと思えば脱出はできる。
「ん?」
なんとなく、部屋の外が騒がしいのを感じる。覗いてみると、ロボットが大勢移動していた。
「これは……先生達が、動きましたね。」
この動き方は、間違いなく何か問題が起こった時。つまりは、先生達がアリスさんの救出に来た。というわけだ。
「……頼みますよ……先生……ヒガン…!」
■Sideヒガン
「ここなら……うん、行ける。」
少しの間走り回り、辺りで一番高いであろうビルの上に登った。
『ヒガン、狙撃ポイントに到着。いつでも支援できます!』
そう通信を入れる。
『了解。私達は隠密行動寄りだから、C&Cの子達の援護をお願いね。』
先生からそう返ってきて、C&Cの皆さんがいる所を探す。
「ん〜……あ、あれか。」
スナイパーのスコープを覗き、C&Cの位置を確認する。そして、C&Cの皆さんに改めて通信を入れる。
『C&Cの皆さん、そちらを狙っていますので、いつでも。』
『助かります。タイミングはそちらに任せますね。』
そして、ちょうど。C&Cは5人目、トキさんと対峙した。
……
C&Cの3人は、トキと対峙していた。
「思ったより早く現れてくれましたね。」
「私たちがここに来ることは最初からお見通しだったわけだ。」
この出会いは想定内である。むしろ、こっちのほうが陽動作戦として成功に近い。
「はい。リオ様はすべて把握されておいでです。C&Cの判断も、その動きも……そしてもちろん……先生のねらいも、すべて。」
トキは淡々と言葉を重ねていく。
「ですので僭越ながら申し上げます。これ以上の抵抗は無意味です。大人しく投降をお願い致します。」
「ほう、なるほど。」
「う〜ん、それはちょっと難しいかなぁ?」
もちろん、C&Cに投降するという選択肢は存在しない。任務が成功するまで。
ドカアアアァァァン!
アカネの爆弾による先制攻撃。
トキは驚きながらも回避する。
「……!?」
「あら、この程度では相手にもなりませんか。」
「……室笠アカネ先輩。戦闘では爆発物を利用した広域制圧を得意とする……C&Cの要注意人物。」
「ふふ、初対面の後輩にそう言われると少し照れくさいですね。先程のは、あくまでも挨拶のつもりだったのですが……。始めまして後輩さん。トキ……でしたね?先日は部長が大変お世話になったと伺いました。それに……投降しろという丁寧なご勧告までいただくなんて……。ふふ、あなたがリオ会長のボディーガードだということは伺っていましたが……まったく。」
アカネの声色が、変わる。
「……C&Cを、見くびってもらっては困りますね。」
「……!」
「目には目を、歯には歯を。本日はそのために来ておりますから。」
全員が武器を構え直す。戦闘は、今にも始まりそうだ。
「……もちろんここで大人しく投降するのでしたら、水に流すこともできますよ?」
「……それはできません。私はリオ様から命令を受けております。”指示に背いて行動しているC&Cを制圧せよ”と……。そのため、この場から退くことはできません。」
「ふ〜ん、真面目ちゃんなんだね、トキちゃんは♪」
「想定通りの反応だ。」
「C&Cは秘密エージェント組織……最初は、潜入によってこちらを撹乱すると踏んで、備えておりましたが……まさかこんな正面からいらっしゃるとは……。想定外でした。ですが、私がここにいることもあなた方の作戦のうちなのでは?」
トキもC&C。そこらの内容を予想することは容易なようだ。だが……
「……そうなのか?」
「あはは♪そういうのじゃないかなぁ〜?」
「あら、そうですねぇ……私たちとしても想定外ですよ。」
こちらもC&Cだ。そこの情報は漏らさない。
「誤魔化そうとしても無駄です。すでに先輩方の思惑など分かっております。ネル先輩と先生がおりませんね。つまり、そういう作戦なのでしょう?先輩方は私の足止めを任されている。それはある意味で正しいです。リオ様の”武装”を纏った私との正面対決を避け、その間にミレニアムの最強戦力であるネル先輩を自由にさせる……それであれば、ええ……確かに勝算はあるでしょう。」
……どうやら、トキの予想は少しばかり外れなようだ。
「誰に勝算があるって?」
「っ!」
「あははっ!遅かったじゃん部長!」
ネルがこの場に現れた。
「ネル……先輩が何故……ここに……?」
自分の予想が外れたトキは、混乱が隠せないようだった。
「あぁ?んなの決まってんだろ。リベンジマッチだよ。」
「リベンジ……?」
「あたしが別行動してたら、てめぇは絶対止めに来るだろ?面倒なのはごめんだからよぉ。それなら、チビどもを助けに行くのは……てめぇを倒した”後”でも、遅くねぇってことだ。」
ネルのもう一つの目標、トキへのリベンジ。それを果たすためにも、今ここに立っている。
「おい、後輩。この間はよくもやってくれたな。先輩に楯突いたらどうなんのか、じ〜っくり教えてやるよ。」
ババババッ!!
そして、ネルのに二丁のサブマシンガンが火を吹いた。
「…!対応、開始。」
トキの”武装”が変わる。
「は!いいぜ!やってやろうじゃねーか!」
いざ、開戦の時。
ここまで読んで読んでいただきありがとうございます。
次回、「C&C&ヒガンVSトキ」お楽しみに。