最強VS最強。よろしくお願いします。
「ん、やっと来やがったか。先生。」
「みんな…!……ということは、トキは?」
「ちっ。悔しいが、逃がしちまった。」
タワーの前で、先生とゲーム開発部、C&Cが合流した。
「ぶちのめしたってのによ……!」
「?」
先生達は、C&Cがユウの丸薬のせいでトキを逃したことを知らない。トキとの戦いについて、説明していたが、ネルたちは少し屈辱的だったようで、丸薬について話すことは無かった。
「なるほど……って、その後にヒガンはこっちの援護もしたってこと!?」
「ああ、だろうな。あいつはまだ隠密行動してるみてぇだがよ…」
『念のため、ですよ。』
この場に現れないヒガンも、近くのビルの上で待機していた。
「うん、ならそのままお願い。」
『了解です。』
そして先生たちはタワーを見上げる。
「ここにアリスが……」
「よし、じゃあ行こう!!」
そうして歩を進める。
だが、先生達の前に一つの人影があった。
「……まぁ、何もなし…ってわけには、行かないよね……」
「お待ちしておりました、先輩方、先生。」
その人影は、先ほど撤退したトキだった。
「やっぱり、トキが門番なんだね……」
「あっ!また会えたね〜!トキちゃんやほ!」
「あぁん?またぶちのめされにきたのか?」
一触即発。そんな空気の中、通信が入る。
『作戦を変更したのは、貴女たちだけだと思って?』
「……リオ。」
調月リオ。敵の総大将からであった。
『貴女たちがくることを見越していくつもの計画を準備してきたけれど……まさか、防御システムをすり抜け、壊し、ここまで到達するなんて……変数として機能し、私の計算を狂わせたのも、すべては……シャーレの先生、貴女が関わったからかしら?』
「…リオ。」
『それならそれで構わないのよ。貴女が規格外の力を見せるのなら、こちらもそれ相応の切り札を出すまで。』
『トキ。現時刻をもって”アビ・エシュフ”の使用を許可するわ。』
リオの口から出された謎の名前。先生たちには緊張が走った。
「……リオ様、それは。」
『ええ、本来は”名もなき神々の王女”との戦闘用だけど……仕方ないわ。ここでこの子達を阻止できなければ、すべてが無に帰してしまうのだから。』
「……イエス、マム。パワードスーツシステム”アビ・エシュフ”へ移行します。」
「…パワード……スーツ……?」
トキは目の前で装備を外していく。
そして全員の耳に、謎の音が聞こえてくる。……何かが落下してくる音。
「……?この音は?」
「……ッ!上!」
「呼出信号確認。」
上空から、大きな物体が落ちてくる。
「くっ…!一体なに!?」
中にある座席にトキは入る。そして、落ちてきた物体から次々と武装が展開されていく。
「パワードスーツシステム”アビ・エシュフ”、起動。戦闘、開始。」
「……来る!!」
トキとの戦闘が、再び始まる。
だが、その戦闘はトキの一方的なものであった。
主な相手はC&Cが取っていたが、
ネル、アスナの射撃も、アカネの爆弾も、カリンの狙撃も。その攻撃が届くことは無かった。
何故か?
「こんなに攻撃してるのに、傷一つつかないなんて……」
「特殊金属で耐久力を増加させている……いや、耐えているわけじゃ、ない……?…そもそも、すべての攻撃を無力化してる……?弾丸は到達前に撃墜され、死角からの攻撃も回避している……。」
そうだ、アビ・エシュフは、すべての弾丸を撃墜あるいは回避しているのだ。
そして、こんなことが実現できてしまう理由というのは……
「要塞都市エリドゥ全域の電力と演算機能が、すべてあの”機体”に集中している……!?」
巨大なエリドゥの力が集結した武装。それがアビ・エシュフなのである。
「これだけの強化を施されたら……未来を予知することだって……できてしまう……!」
「未来予知……!?」
チヒロの分析によって出された答え”未来予知”。それは、今の状況では絶望的であった。
「まずい。もう戦略とか戦術を話すような段階じゃない……」
「唯一の変数である先生……貴女の指揮能力を奪い、終止符を打たせてもらうわ。」
「イエス、マム。」
「先生!逃げて!」
アビ・エシュフに乗ったトキが、先生に近づいていく。
「なら、その未来予知さえもすり抜ければいいの♪」
その時、誰かの声が先生たちの耳に聞こえる。
それはトキの方からだった。
「いただきます♪」
「ッ!!?」
咄嗟の出来事だった。トキの目の前に赤髪の少女が現れ、トキの首筋に噛みついた。
「くっ……これしき…!」
トキは必死に目の前の少女を振りほどこうとする。だが、難しい。なぜなら、少女の力が段々と強くなっていくのである。また、それに比例して、トキ自身の力が抜けていく。
「……っ」
トキは、その場に膝をついてしまった。
「んぅ、ごちそうさまっ♪」
少女は口を離し、くるりと回って先生たちの方を見た。
「えっと……ヒガン……だよね?」
「うん、合ってるよ♪」
その赤髪の少女は、ヒガンである。だがその姿は前も見た、高い身長に長い髪、そして豪華な衣装。”悪姫”の姿であった。
「先生、行くなら……今のうちだよ?」
「! ここは……任せても良いんだね?」
ヒガンはコクリと頷いた。
「あたしらもここに残るぜ。」
「……分かった。」
そうして、先生とゲーム開発部はタワーの内部へと駆け出していった。
……
残った私たちは、まだ何体もいるロボットと対峙していた。
「さて……ガラクタいじりはあまり好みではないのですが……やってあげましょうか♪」
「ああ。あたしらはあっちをやる。ヒガンはそっち側だ。」
「分かりました、ネル先輩♪」
私はロボットへ詰め寄っていく。そして、霧化させた血を内部へ送り込む。
「そちらから向かってきてくれると好都合なのですが……」
ロボットたちは私からなにを感じ取ったのか、後退りをしていた。
何体ものロボットに血を送り……
「えいっ♪」
私が手を動かすと、ロボットが大きく爆発していく。
「やはり……内側から壊れるのは何度見ても最高……」
何故私が昔”悪姫”と呼ばれていたのか。ここにすべてが詰まっている。
爆発したロボットからは流れるはずのない血が吹き出し、私の身体を染めていく。
「おい、そっちは終わったか…………って、何だこれ!?」
「はい、終わりましたよ♪」
「……そうか。」
ネル先輩がちょっと引いてる気もするけれど……ま、楽しいから別に良いかな。
その後、私たちはタワー入口の前で休憩、見張りをすることに。
「ん、誰だ?」
ネル先輩が気配を感じ取ったのか、立ち上がる。
「あれ……もう全部終わっちゃいましたか?」
そこにいたのは、パパだった。
ここまで読んで読んでいただきありがとうございます。
前章にもあった、吸血鬼の強さを見せる回でした。
蛇足になるかも知れない解説を挟むと、ヒガンの霧化は自身の体そのものにも適応できます。また、原子レベルまで細かくできるので演算範囲から逃れられる……そんな感じです。
最後に、申し訳ないのですが、明日から数日、投稿がお休みもしくは日記更新になると思います。まぁ、更新されたらラッキー程度に思っていてください。