やっと本編更新。よろしくお願いします。
「あれ……もう全部終わっちゃいましたか?」
きょとんとした顔をして現れたパパ。
「……パパ?」
なんでこの場にいるんだろう。パパは確かタワーの中に捕まっているはずじゃ……
「あー……えっと……」
パパは頭をポリポリと掻いて言葉をつまらせている。
でも……そんなことより……
「パパっ!!」
「わわっ」
私はパパに抱きついた。
今はただ、またパパに出会えたことが嬉しい。
「よかった……よかった……」
「……心配させちゃったね。ごめん。」
パパは私の頭をぽんぽんと撫でる。……あぁ、パパの温もりだ。
「よお、ユウ。」
横からネル先輩が話しかける。
「あっ、ネルさん。」
「あんた、タワーに捕まってるって話じゃなかったのか?」
「あー……僕はタワーの中ではなかったんですよね。……なんか、すみません。」
「……はぁ。てめぇ、一発殴らせろ。」
「!?」
いきなりなにを言ってるのネル先輩!
私の事など気にせずにネル先輩はどんどんとパパに近づいていく。
「ちょちょちょ!ネルさん!ほんとなんでなんですか!!」
ネルさんの拳がパパに振り下ろされる。……その時だった。
「ネル先輩!前方に敵影を確認しました!」
後ろからアカネ先輩がそう報告した。さすがのネル先輩も拳を振るのを止め、銃を構える。
「あれか。……って、この前戦ったロボと一緒か?」
「ええ、そのようです。」
二人の言うこの前、と言うのは私には分からなかった。だが、少なくとも良い存在ではないというのは分かったので戦闘態勢に入る。
「なら、ここは僕がやりましょう。捕まってただけでしたし。」
そう言ってパパは姿を変えた。……自由に操れるようになったんだ。すごい。
「ヒガン、後のことは頼みますね。」
「……うん。」
後のこと。おそらくパパはここで大量の血を使うつもりだ。そうすれば、あのロボットたちを一掃できるだろう。その代わり、血を大量に失ったパパも倒れる。ほぼ諸刃の剣である。だが、それがパパが最強であった所以でもあるのだ。
「おいおい、なにするつもりだ?」
ネル先輩達が前で出ようとするが、私は手で制止した。
「見ていてください。今から私たちが見るのは、……”最強の魔王”です。」
パパが空中へと浮かんでいく。
「……私にとって血は武器であり手足である。」
パパが詠唱を始め、手の先に血が集まっていく。
「今、その血を軍隊とし、進撃させる。」
タイミングを見たかのように、エリドゥ全域が停電する。
時刻は夜。集まっていく血だけが、空で輝いていた。
「すべてを食らう津波のように。この地を……洗い流そう。」
詠唱が終わるとともに、巨大な血の玉が決壊し、水のように流れていく。
パパはその血を操るように手を動かす。そしてその血は、確実に敵を流し、破壊した。
「すげぇ……ユウの野郎、あんなもん隠してやがったのか……」
「どうです?パパはすごいでしょう!」
「何故そんなヒガンが誇らしげなんだ……」
私達はその光景を見ながら、元から近くにいた物や漏れ出してきたロボットを撃っていた。
数分間ずっと血を操り、ロボットを破壊していたパパだったが……
「くっ……」
パパの動きに若干の鈍りが見える。
そして、段々と血の波が収まっていく。
だが、ロボットが出てくる気配はもうなかった。
「パパっ!!」
上からゆっくりと降りてくるパパを抱きとめる。
「はぁ……はぁ……流石にあの量を一度に操るとなると……きついですね……」
「大丈夫、パパのおかげでもう終わったから。後はもうゆっくり休んで。」
「……うん……そうする……。」
パパはゆっくりと瞼を閉じていく。私はパパを横にし、頭を自分の膝に乗せる。
そして血を与え、少しでも回復が早くなるようにする。
「はぁ〜っ、つっかれたぁ!」
どさりと地面に座り込むネル先輩。戦闘の終了によって、場の空気は少し緩んでいた。
「リーダー、まだ終わっていませんよ。」
アカネ先輩の言葉に、確かに。と私たちは気を改める。
まだ、先生たちが戻っていない。
私たちの目標。アリスさんの奪還がまだである。先生達は上手くやってくれただろうか。
しばらくして
「みんなーっ!!」
タワー入口の方から、聞き覚えのある元気な声が聞こえてくる。モモイさんだ。
その後ろには先生、ミドリさん、ユズさん。
「みんな……!ということは……」
そして、アリスさんがいた。
「勇者アリス、この地に帰ってきました!!」
武器を大きく掲げ、高らかに宣言するアリスさん。
魔王は、勇者になったのだ。
ここまで読んで読んでいただきありがとうございます。
久しぶりの本編なのにかなり短いですが、申し訳ないです。
4章、次回ラストの予定です。