風紀委員加入後のちょっとしたお話です。よろしくお願いします。
正式に風紀委員に加入してから1週間。風紀委員の制服を着た僕は、かなり馴染めていた。
「ユウ〜、この資料お願いしてもいい?」
「もちろんです。」
「ユウ君、この前頼んでた奴だけど...」
「こちらです。少し修正を加えたので確認をお願いします。」
僕の主な仕事は書類作業だ。と言っても、簡単なものばかりだけれど...
でも今日は少し違った。
「ユウ君!一緒にパトロールいくよ!」
「えっ!?」
そう、ナナト先輩からパトロールに誘われたのだ。これまでは危ないからダメだとヒナさんに止められてたけど...今日は用事があるからとこの場にはいない。つまりは......
「行きます!」
即答である。
「やったぁ〜!ほらっ、準備して。」
せっせと机の上を片付け、日傘を手に持ち、銃を背負う。
「準備万端です!」
「おっけ〜。行こっか!」
ナナト先輩に手を引かれ、パトロールに出た。
■
「そういえば、パトロールは基本的に何をやってるんですか?」
「ん〜、普通のパトロールかな?暴れてる子がいれば止めるし、犯罪者は捕まえる。やる事は普通だけど......ここはゲヘナだからね〜」
「あ〜...なるほど。」
多分、このパトロールは骨が折れそう...より一層気を引き締めないと。
「あ、早速だね。」
ナナト先輩が指さした方向を見ると、ガラの悪い生徒同士での小競り合いが起こっていた。
「てめぇが先にぶつかったんだろうが!」
「はぁ!?ただ銃が当たっただけだろ!」
うわぁ......しょうもないことで言い争ってる...あ、銃構えた。
「止めるよ。」
「あっ、はい。」
ナナト先輩は短くそう言うと、走り出して行った。
「(あんなナナト先輩初めて見る。)」
あまり見ないナナト先輩に驚きつつ、僕も銃を構えた。
「はいストップ。銃を下ろして。」
「なんだぁ?って、風紀委員かよ...」
「でもこいつ、ヒナではねぇな。」
「...一時休戦だ。やっちまうぞ。」
「ああ、そうだな。」
「っ...」
さっきまで銃を向けあってた生徒は、2人してナナト先輩に銃口を向け直し、威圧した。
「(ヒナではない...?どういうこと......?まぁ、でも...)」
疑問を抱きつつも、やらねばと思い発砲をする
バン!バン!
「「ぐあっ!」」
頭に1発ずつ。それだけで2人は倒れた。
「ナナト先輩、大丈夫ですか。」
ナナト先輩に駆け寄り声をかける。
「大丈夫だよ......やっぱり強いね、ユウ君は。私なんて、ああやって舐められてばっかりなのに。」
「でも、ナナト先輩。カッコよかったですよ。」
「あ...えへへ、そう?」
僕たちが話していると、倒れていたふたりがむくりと起き上がり、言い争いを再開していた。
「おい、ヒナじゃないって言ったじゃねぇか!」
「知らねぇよ!雰囲気は似てるけど、ヒナではねぇ!」
「あの〜...」
「「ひっ」」
怖がられた......ちょっと悲しい
「もうあんなことで喧嘩しないでくださいね...?」
優しく話しかけてみる。
「「すっ、すみませんでした〜!!!!」」
ガンダッシュで逃げられてしまった......そんなに怖いの...?
「うぅ......」
「そんなに落ち込まないでよ、ユウ君。君もカッコよかったよ?」
「ありがとうございます......」
ナナト先輩が慰めてくれた。好き......
その後もパトロールを続けていたが、不良生徒達は僕を見るなりすぐに逃げていった。
.........泣きたい。
「......僕ってそんなに怖いですか...?」
少し涙目になりながらナナト先輩に聞いてみる。
「う〜ん...怖いというか、ヒナちゃんに似てるからみんな怖がってるんじゃないかな?不良ちゃんたちからしたら、ヒナちゃんは怖いからね〜」
「......」
嬉しいんだか、悲しいんだか、なんとも言えない。
「よしっ。そろそろ切り上げて帰るよ!」
そうして僕たちは帰った。
■
執務室に戻ると......
「...............やっと戻ったか、ナナト。」
「......ユウ。」
明らかに怒っているヒミ先輩と涙目のヒナさんがいた。
「ちょっと来い。」
「えっ、えっ。ちょ、先輩...?」
ナナト先輩はヒミ先輩に肩を掴まれると、引きずられながら奥の部屋に連れ込まれて行った。
その場に残った僕とヒナさん。するとヒナさんが近づいてきた。
そして......
ヒナさんは、静かに抱きついてきた。
「......」
突然のことに、僕は何も言えずにいた。
数分の沈黙の後、ヒナさんが口を開いた。
「......よかった...」
「......ごめんなさい。」
「用事から戻ったら貴方がいなくて...皆に聞いたら、パトロールに出たって......」
「......ごめんなさい。」
僕は、ただ、謝ることしか出来なかった。
よく考えてみればそうだ。散歩がバレて怒られた時も、風紀委員に入ると決めた時も、ヒナさんはいつも僕の心配をしてくれていた。僕はその気持ちがわかっていなかった訳ないだろう。
「(本当にバカだな。僕は。)」
「ユウ、もう心配させないでね...?」
「...はい。」
その後、奥の部屋からはしおれたナナト先輩が出てきた......何をされたんだろう...
「ユウ君...勝手に連れ出してごめんね...」
「いえ...僕も乗り気でしたから......」
「ヒナちゃんも...ごめんね...」
「......大丈夫です先輩。」
なんとも言えない空気感だ......
「はぁ、今回の件はナナトが悪いということで。だが...やはりユウ君には書類作業だけでなく、実戦経験も必要になってくるだろう。そこで、だ。ヒナ、今後パトロールなどに出る際はユウ君も連れて行け。」
「え、本当ですか!」
「それは...」
「まぁ、自分の弟が心配なのはよく分かる。だが、ユウ君は強いんだ。信じようじゃないか。」
「...そうですね...分かりました。」
これは正式に戦闘の許可が出たってことだよね。やった!しかもヒナさんと一緒だなんて。
「よろしくね、お姉ちゃん!」
「ふふっ。よろしく。」
■
ヒナさんとパトロールを初めてからしばらく経った後...
「ツインヒナだ!」
「逃げろ!!」
"ツインヒナ''。そんな異名がついてしまった。
「うぅ〜、僕はお姉ちゃんじゃないし...それに、そんなに怖いのかな...」
ヒナさんと間違われる分にはまだいいが、怖がられて逃げられると、ちょっと悲しい。
「大丈夫、貴方は可愛いわ、ユウ。あと、事件数は減っていってるわ。私たちの存在が少しの抑止力になっているってこと。もっと自信を持っていいのよ。」
「はい......」
まぁ、最近はヒナさんの仕事も減っていて、これまでみたいにめちゃくちゃ疲れて帰る。なんてことは少なくなっていた。
「(もっともっと......強くならなくちゃ。)」
ここまで読んでいただきありがとうございます。
ヒナはユウに対して家族に対しての愛情みたいな感じでクソデカ矢印を向けています。かわいいですね。
ユウは可愛いと言われるのは小っ恥ずかしいので苦手ですが、怖がられるもの嫌いです。かわいいですね。
あと...ヒミ先輩の出番は、ほぼ終わりです......