今回ほぼ会話、そして原作をなぞる。よろしくお願いします。
シャーレに突入しての奪還作戦は思ったよりもあっさり終わった。
先生の指揮に加え、SRTのRABBIT小隊もいれば鬼に金棒である。
「いやー。みんなありがとうね。お陰様でこんな早く取り戻せたよ。」
「いえ、この程度楽勝です。」
皆が奪還したオフィスの中で一息をつく。
「(先生は無事だったし、これで戒厳令もなんとかなるはず……一旦、問題は解決かな。)」
『よーし、行政制御権に介入完了。まずは通信網を繋げるね。D.U.全域の通信網と行政システムを、復旧させちゃうよ〜』
連邦生徒会の助けもあり通信が復旧。先生のところには300件近くのメッセージが届いていたようだ。その中にはヒガンたちが送ったものも勿論含まれていた。
「あわわ……」
その瞬間。
キヴォトスの空が赤く染まった。
「……これは。」
『なっ、何……!なにこれ、キヴォトス全域に……?』
全員が外を見た。真っ赤な空に、数本の巨大な塔。その一つはサンクトゥムタワーと激突しており、大災害と呼べるレベルだった。
皆が唖然と困惑している中、先生は冷静だった。
「はい、みんな落ち着いて。今、招集と声明を出した。この事態の対策を行うよ。」
いつも通りの落ち着いた声。誰もがその声に安心感を覚え、従った。
■
しばらくして
招集に応じた各自治区の生徒たちが続々とシャーレに集まってきていた。
「あれ、一番乗りか……まあ、良いけど。」
「……鬼方カヨコさん。」
「来たわよ、代行!これは私たちの方で現状を分析したレポート。大した量じゃないけど――」
「ユウカさん!!」
「あれっ、ヒガンちゃん?あなたも来てたのね。」
「ゲヘナ風紀委員会所属、天雨アコです。シャーレの要請に応じるべく、ただいま到着しました。」
「アコさん。」
「ところで、先生はどちらに?」
「先生は現在、D.U.を守るべく席を外しております。まもなく帰還されるかと。」
「なるほど……この方々と手と手を取り合うことになるのですね♡」
「ん……?浦和ハナコ……?」
「ふふっ、お久しぶりですユウカさん。」
「アビドス高等学校代表、奥空アヤネです。先生の要請を受け、ただいまシャーレに到着しました!」
続々と各学校から生徒が集まってくる。先生も戻って来て、会議が始まろうとしていた。
「皆様お手元の資料をご覧ください。こちらが作戦計画書となります。」
全員が資料に目を通す。各々が情報の確認を進めていると、会議室の扉が開いた。
「はぁ……はぁ……間に合いましたか?」
「! ユウさん。」
そこにいたのは、ユウだった。
「ユウ!目が覚めたんだね。怪我は大丈夫なの?」
「あはは……正直言って、まだきついですけど。こんな事態になっているのにのうのうと寝ているわけにも行きませんから。」
「心強いばかりです。資料を渡しますね。」
「はい。ありがとうございます。」
ユウは席に座り、会議に参加する。
「では改めて。……結論から申し上げますと、あの塔を二週間以内に破壊しなくてはなりません。」
「……。」
「現在、キヴォトスに出現した6つの塔。それを今から”虚妄のサンクトゥム”と命名します。」
「えーっと、つまり。あれは偽物のサンクトゥムタワーって事?まあ、それならこの空の色も超高濃度エネルギー体のことも納得が行くけど……」
「これを……2週間以内に破壊する、と……?」
「はい、そうです。」
付け加えるようにハナコがあるデータを見せる。
「こちらはティーパーティーとシスターフッドが協力して発見したデータです。そちらによると、この現象の原因は……”色彩”と呼ばれるものによるそうです。また”色彩”は、人々を狂気に陥れる光だとか。」
「色彩……?狂気に陥る……?いったい何の話?」
多くの生徒がその言葉が初耳で上手く理解ができていなかった。
『信じがたいですが、事実です。ユウカちゃん。』
「ノア?」
『今、エンジニア部が例のタワーを分析してくれていまして……そこから人の精神を錯乱させる信号を感知しました。……といっても、まだ仮説段階の部分もありますが……』
『ああ、だがやはりデータがまだまだ足りない。信頼度は10%未満……と言ったところだろう。』
通信の先では慌ただしく動くエンジニア部の生徒の声が聞こえてくる。
「……そっか。やっぱり……」
「先生?」
「いや、なんでもない。それより、その”色彩”ってのは2週間後にキヴォトス全体に広がるってことでしょ?それなら……」
「はい、早期決戦をしなければなりませんね。」
「うん。」
「まとめますと、”虚妄のサンクトゥム”はこのままでは約2週間後に臨界点到達の見込みとなります。」
「そうなったら……」
「世界は終焉を迎える……すべてが終わりですね。」
「それを防ぐために、”虚妄のサンクトゥム”を破壊する……まあなんともシンプルな話ですね。」
「アコさん、でも……」
「そう――2週間以内に、ね。」
アコの言う通り、6つの塔を破壊する。これだけ聞けばとてもシンプルに聞こえる。…が、それを2週間以内に行うともなれば一気に大変になってくる。
「”虚妄のサンクトゥム”は、計6箇所存在します。アビドス砂漠、D.U.近郊の遊園地、ミレニアム郊外の閉鎖地域、トリニティとゲヘナの境界付近、ミレニアム近郊の新しい都市――そして、D.U.の中心地点。」
「この中ですと、D.U.のエネルギー体が一番大きいので、まずは他の5つを破壊してからD.U.の塔を処理したほうが良いかと……」
アユムの言葉に誰もが頷こうとしたその時。
『でしたら良かったのですが――そう簡単なお話でもないみたいですよ。』
「ヒマリ先輩……!?」
『ふふふっ、ええ――ミレニアムの超天才病弱美少女ハッカー、満を持しての登場です♪』
「変わりませんね、ヒマリさんは。」
いつも通りの挨拶を付け加え、ヒマリが通信で話し始める。
『私たちは、ビッグシスターが残したデータを利用して”虚妄のサンクトゥム”にアクセスを試みたのですが……”虚妄のサンクトゥム”を防衛している存在に阻まれました。通常の戦力では到底太刀打ちできないようなものに。』
「つまり……守護者…ってことですよね。」
『平たく言ってしまえばそうですね。』
「まあでも、それらを倒せば万事解決よね?」
「そういうことですね。時間もないですから、すぐに準備を。6つのエリアを同時攻撃……連合作戦を想定して動きましょう。」
「そうだね、時間も限られてるし。」
守護者がいたとしても、シンプルな作戦には変わりない。
「みんな一旦落ち着いてよ〜。やる気があるのは分かったけどさ〜、この作戦を進行するなら、各自治区の市民や生徒の避難先の確保、それと同時に自治区の治安維持もしなきゃいけなくなるんだよ。……要するに、敵は守護者だけじゃないってこと。」
モモカの言葉に全員がハッとする。言う通り、敵は守護者だけではないのだ。
すると、通信で参加していた生徒たちが次々と名乗りを上げた。
『それについてはご心配無く。各自治区の治安維持は私たちが対応いたします。』
トリニティのティーパーティー。
『ゲヘナ自治区の防衛は私たちに任せてくれ。』
『私たち風紀委員が、責任をもって生徒の避難と護衛を担当します。』
ゲヘナの風紀委員会。
『分かりました。では、私たちも準備いたします。』
『レッドウィンターの同士のことは、私たちに任せろ!』
レッドウィンター事務局。
『百鬼夜行自治区は、私たちにお任せを。』
『うん。任せて、先生〜』
『修行部もいるよ〜』
百鬼夜行の陰陽部と修行部。
『みんなの避難と救護は、私たちお祭り運営委員会が担当します!』
そして、お祭り運営委員会。
『避難場所や食料が足りなくなったら、私たち玄武商会に言ってね』
山海経の玄武商会。
『D.U.エリアの避難は本官たちに任せてください!』
『ま、ここはヴァルキューレの出番だよね。』
『ああ、動かせる戦力はすべて動員している。』
ヴァルキューレ。
『ミレニアムも問題ありません。ビッグシスターが各地に作ったシェルターを確保しておきました。ミレニアム自治区はこれで大丈夫かと。』
ミレニアム。
「……大方、まとまりましたね。私たちの目標は、キヴォトスに到来した6つの塔”虚妄のサンクトゥム”を破壊すること――」
「同時に、各自治区の避難や防衛作戦を遂行することです。すべての作戦は”シャーレ”の先生を中心に展開します。」
「全自治区の防衛及び避難状況の把握。そしてサンクトゥムの攻略……すべて先生の方で確認していただかなくてはなりません。大丈夫でしょうか?」
「うん、大丈夫。いけるよ。」
「ひゃ〜先生も忙しくなるねぇ。」
「先生、僕も手伝えることは手伝います。どっちみち、この傷ではまともに戦えないので……」
「で、ではみなさん……時計をキヴォトス標準時にご設定いただけますでしょうか?」
全員が言われた通り時計を設定し、時間を見る。
「”虚妄のサンクトゥム”、最終臨界点までの予想時間は、残り14日と23時間59分59秒……」
「これが私たちに残された時間ってことだね。」
「は、はい。よろしくお願いします……この時間で――作戦を立て、攻略を終えねばなりません……」
「分かりました。それでは……先生、合図を。」
「おっけー。よし、みんな。これより――”虚妄のサンクトゥム”攻略作戦を始めるよ!!」
『はい!!!』
キヴォトスの滅亡を賭けた戦いが、始まった。
ここまで読んで読んでいただきありがとうございます。
虚妄のサンクトゥム攻略は主にヒガン視点で書いていきます。
頑張ります。