省エネモードが切れないまま。よろしくお願いします。
ユウは夢から覚め、そのまま夜明けを迎えた。
そして、作戦メンバーが再びブリッジに集まった。
「みんなー!オペレーターの衣装が間に合ったって!!」
「そうですか。では、オペレーターの皆さんは着替えましょうか。」
「間に合ったのね……」
先生から衣装を受け取ってオペレーターの生徒たちは着替えるためにブリッジを出ていった。
「はいこれ、ユウの分。」
「え?僕、オペレーターではないんですけど……」
先生はユウにも衣装を渡した。
「私が無理言ってね。お願いして作ってもらったんだ〜。さっ、ユウも着替えてきてよ。」
「えぇ……」
ユウは困惑しながらも更衣室へと向かっていった。
そして少しして……
「おお……!?これがオペレーターの衣装!!」
オペレーター、そしてユウは専用衣装に着替えて来た。先生はかなり興奮していたが、中にはやはり困惑している生徒も見えた。
「というか、ユウ君の分も用意してたのね。オペレーターだけじゃなかったの?」
『先生がどうしてもって。だから作ったよ。』
「だとしても……どうしてこんなにサイズぴったりなんですか……?」
『え?先生からサイズを教えてもらったんだけど……それもめちゃくちゃ細かく。』
「先生?」
「私しーらないっ。」
「でも、似合ってるわよ、ユウ君。」
「あ、ありがとうございます……」
衣装についての話は終わり、改めて作戦の話となった。
「今から私たちは”ウトナピシュティムの本船”に乗り、キヴォトスの上空75,000mにある”アトラ・ハシースの箱舟”に突入……箱舟を占領し、機能を無効化――そして、無事地上に戻らなくてはなりません。」
リンの言葉に全員が頷く。
「それでは、点呼をとります――」
リンによる参加メンバーの点呼が行われた。
オペレーター。ハナコ、アコ、アヤネ、ユウカ、カヨコ、ヒマリ、モモカ、アユムそしてリン。
地上での航空管制及び技術支援。ヴェリタスのコタマ、ハレ、マキ、チヒロ、そしてエンジニア部のヒビキ、ウタハ、コトリ。
突入後の占領戦のサポート。アビドス対策委員会のホシノ、セリカ、ノノミ。そして、ゲーム開発部のアリス、モモイ、ミドリ、ユズ。
食事担当。ゲヘナ給食部のフウカ、そして美食研究会。
最後に、先生の補佐兼護衛。ヒガン、ユウ。
「うん。よろしくね、皆。」
全員がそれぞれ反応する。
そして、出発の時がやってきた。
「全員、持ち場についたかな?」
「はい、確認済みです。」
それぞれが持ち場につき、いつでも出られるという状態。
「……では、先生。起動を。」
「了解。”シッテムの箱”、繋げるね。」
このウトナピシュティムの本船を起動できるのは現状、シッテムの箱のみである。
だが、それをすると先生の体にとてつもない負担がかかるということが判明しており、生徒たちは心配していた。だけれど先生は、
『大丈夫。これは私の果たすべき責任だから。』
そう言って、全員を納得させたのである。
「メインパワーの起動、確認しました!」
「メインコントロールシステムの稼働、完了……!!」
「各エリアの通信システム、演算システムのチェック、オールクリア――ここまではマニュアル通り、ばっちりだね。」
船の起動がどんどんと進み、離陸が近くなってくる。見ているだけのユウとヒガンはそわそわしてままならない。
「エンジンシステム、クリア。」
「多次元解釈システムのチェック、クリア。オールクリアです!」
「管制システムチェック、オールクリア……よし!これで全部使えるわよ!」
起動が完了した。いつでも発進できる。
「発射準備、完了!命令待機中です!」
「先生、発進の号令をお願いします……!」
「先生、かっこよく決めちゃいましょ。」
「うん。よし、ウトナピシュティムの本船、発進っ!!」
ガタガタと揺れを感じる。船が段々と動き始めているのだ。
「これより、ウトナピシュティムの本船――離陸します!!」
アヤネの合図とともに、砂漠の砂を突き抜け、船は空へと浮かび上がった。
「高度上昇……現在、780m!」
「くっ……揺れますね。先生、シートベルトはしましたか?」
「子どもじゃないんだから…………してるし。」
かなりの速度で上昇する船。だが皆落ち着いてオペレートを続ける。
「多次元解釈システムの起動は今でいいのよね?」
「計算は終わりました。ハナコさん、お願いします。」
「計算完了……多次元解釈システム、起動します!」
そう言ってシステムが起動された瞬間、全員に衝撃が走る。先生は一際強く感じたようだった。
「っ……結構来るね……」
「先生、大丈夫ですか?」
先生の体は、震えていた。
「ちょっと乗り物酔いがね……」
「……そっか。先生って乗り物酔いする方だったんだね。」
先生の明らかな嘘であったが、ヒガンは気づかないふりをした。
「システムの正常動作を確認!現在、私たちのウトナピシュティムの本船は、箱舟と同じ、”確率的な存在”となりました!」
「分かりました。――航路の目標設定をお願いします!」
「目標高度75,000mにある箱舟までの航路を計算……設定、完了。」
さらに速度が上がり、衝撃も増していく。
「これより、”アトラ・ハシースの箱舟”に向かって加速します。」
「うわっ、みんなしっかり捕まっててね!マニュアル通りなら、尋常じゃない速度が出るはずだから!」
モモカの言葉を聞いて、ユウとヒガンは先生が座席に固定されているか今一度確認し、更にその上から抑えた。
「えっと、そこまでしなくても……」
「いえ、心配ですので。」
そうこうしているうちに加速の合図がかかる。
「最大出力……加速します!!」
ものすごいスピードが出て、何人かはよろけていた。
また、先生は……
「……(ダメ。まだ……落ちるわけには……)」
視界がぼやけ、意識も遠のき始めていた。
慌ただしく動くオペレーターたち。
「っ、先生!」
ユウとヒガンだけが先生の異常に気づき、声を掛ける。
だが。
「……ダメです。意識がないですね。」
「ね、ねえ、それって先生は大丈夫なの…?」
「分からない。……でも、先生は戻って来るよ。必ず。」
今はただ、この衝撃に耐え、箱舟に突入するのを待つことしかできなかった。
ここまで読んで読んでいただきありがとうございます。
このまま、終わりまでサボらず続けたい……
がんばりまちゅ。