銃社会を、吸血鬼は生きる   作:MIKAZUKIN2525

94 / 94


過去との別れ。よろしくお願いします。


未来へ

 

 

 

 

 

 

 

「……ありがとう。」

 

ユウの攻撃が命中し、ルナは倒れた。

 

死んだわけではない。ただ意識を失っているだけ。でもそのルナの表情は、どこか安心しきっている、安らかなものだった。

 

 

「ふぅ……。おつかれ、ルナ。……っは。」

 

戦闘を終えたユウに一気に疲れが襲い、倒れそうになる。……が、そういうわけにも行かないのだ。

 

 

「みんな急いで!!順番に送るから!!」

 

オペレーター達の尽力により、アトラ・ハシースの箱舟の自爆シーケンスを起動させることに成功しているのだ。

 

つまり、この場所はもうじき墜ちる。

 

そしてリオが用意していた脱出シーケンスで生徒たちを順番に地上へと送っているのだ。

 

「……よし。」

 

「ユウたちも!こっち!」

 

先生に言われ、ユウはルナを抱きかかえて先生のもとへ駆け寄る。

 

残っているのはユウ達だけ。他の生徒は既に地上へと送られ、……黒いシロコも、同様に送られていた。

 

「終わったんだね。」

 

先に寄っていたヒガンが優しくそう言った。

 

「うん。ルナは、これでちゃんと進める。」

 

「そっか。」

 

「……ユウ――」

 

「さっ。ヒガン、先に送ってもらって。」

 

先生の言葉を遮り、そう促す。

 

「分かった。……待ってるね。」

 

「ルナもすぐに送ってもらうから、よろしくね。」

 

先生は端末を操作し、ヒガンに脱出シーケンスを使った。

 

足元に光が現れ、ヒガンを包んでいく。

 

「転送、開始!」

 

そして、ヒガンは転送され目の前から、消えた。

 

 

「よし。後はユウだけど……」

 

先生はユウに抱きかかえられたルナを見た。

 

「……その子を、送りたいんだよね?」

 

「はい。でも、脱出シーケンスはあと一つしかない……違いますか?」

 

「バレてたか。」

 

そう。脱出シーケンスは残り1つ。何故ならば、リオが用意したのは仲間の分のみ。敵であった黒いシロコ、ルナの分は用意されていないのだ。

 

そして、先生は1つをすでに黒いシロコに使っている。

 

「僕はこの子に未来を見せてあげたい。創らせてあげたいんです。」

 

「そう言われちゃ、断れないよね。」

 

先生は優しく微笑み、端末を操作してルナに脱出シーケンスを使った。

 

同じく、ルナは光に包まれ……

 

「転送、開始!」

 

2人の前から、消えた。

 

 

 

「……これで、終わりかぁ。」

 

残された2人は、床に座った。

 

75,000mも上空から落下して生き残れる可能性は、ない。

 

この箱舟が崩壊するのをただ待つだけ。

 

……と、思われたが。

 

「先生は、生きたいですか?」

 

「え?そりゃもちろんそうだけど……」

 

「僕もです。……じゃ、いきますよ。」

 

「え?行くって、どこに。」

 

「もちろん、地上です。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃ先生、血を吸わせてください。」

 

「えっ、今!?」

 

「早くしてください。死にたいんですか?」

 

「うっ……わかった、分かったよぅ……」

 

先生は首元をあらわにする。

 

ユウは素早く噛みつき、血を吸い始めた。

 

「んぅっ!そんな勢いよく……」

 

わずか5秒ほど。短い吸血であったものの、先生は少しのだるさを感じていた。

 

「ふぅ。ごちそうさまです。」

 

ユウがそう言うのと同時に、体が大きくなった。

 

「失礼しますね。」

 

そしてユウは先生を抱きかかえた。

 

「えっ、ちょっ、何!?」

 

「先生!”シッテムの箱”のなんとかバリアでも守ってもらってくださいね!」

 

「まって!ほんとになにするつもり!!?まって、まってぇぇぇぇ!!!」

 

ユウは、先生を抱え箱舟から飛び降りた。

 

 

「あんまり喋んないほうが良いですよ!舌噛んじゃいますからね!」

 

ユウは周りにバリアを纏って高速で降下していく。

 

「うわぁぁぁぁぁあああぁ!!?」

 

先生は悲鳴を上げ、大事に抱えたシッテムの箱からも元気な声が2つ聞こえてくる。

 

「ははっ。……綺麗だ。」

 

ユウはこの状況と景色をかなり楽しんでいるように見えた。先生はそれどころではないけど。

 

「これが僕たちが掴み取った、未来。そして……奇跡。」

 

「! ……うん。」

 

彗星のように落ちていく2人の目には、青く、綺麗に輝く空が映っていた。

 

「最高の景色ですね。」

 

「でっ、でもっ!それどころじゃないってぇぇぇぇぇ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そんな……嘘……」

 

「………先生。」

 

地上では、脱出シーケンスによって送られた生徒たちが暗い顔をしていた。

 

ヒガンとルナが地上へと送られたあと、脱出シーケンスが残っていないこと、先生とユウが残っていることが判明したためである。

 

「パパがいなくて、どうやって未来を創れっていうの……?」

 

あの遥か上空からの生存が絶望的なのは全員が理解している。だからこそ辛いのだ。自分たちには何もできない。待つことしかできない、信じて。

 

そんな雰囲気の中、ヒマリが声を上げた。

 

「あれは……?……っ!」

 

空を見上げていたヒマリは、赤い、流れ星のような何かを見つけた。そして、すぐに観測を開始した。

 

「ヒマリ先輩……?」

 

「っ!あれは……」

 

「先生とユウさんですっ!!」

 

『!!?』

 

全員の心に光が灯った。そして、予測された落下地点へと全員で向かう。

 

 

 

 

「うわああぁぁぁぁぁあああ!!!」

 

声が段々と近づいてくる。

 

「ああああぁぁぁぁぁぁあああ!!」

 

「ちょっ、本当に大丈夫なの!?」

 

「ああああぁぁぁあああ――」

 

「到着っ!!」

 

ドスンと着地する音が聞こえ

 

元気な声と、土煙が上がった。

 

「よしっ。無事ですね!」

 

「ぶじ……うん……”体”は無事だね……」

 

「服のことですか?しょうがないです。そこまでは守りきれません。」

 

そういつも通りに楽な会話をしている先生とユウを見て、その場にいる全員は空いた口が塞がらなかった。

 

でも……

 

『先生!!』

 

「パパぁぁっ!!」

 

全員が、2人の帰還を優しく出迎えた。

 

 

 

 




ここまで読んで読んでいただきありがとうございます。

このラストは最初から決めてた。書けて嬉しい。

ラストと言いつつ、もうちょっとだけ続きます。よろしくお願いします。

がんばりまちゅ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

楽しい銃社会の生き抜き方(作者:WEVE)(原作:ブルーアーカイブ)

ミレニアムサイエンススクールに所属するキヴォトス唯一の男子生徒『居待(イマチ) ウツキ』がなんやかんやありながら学園生活を満喫(?)する話▼今後必須以外タグ追加の可能性があるので苦手な方はブラウザバックを推奨してます▼大体許せるよって方は是非読んでいってください!▼現在の進捗▼アビドス編1,2章 完結▼ミレニアム編1章 完結▼エデン条約編1,2章 更新中


総合評価:536/評価:6.89/連載:50話/更新日時:2026年08月20日(木) 15:30 小説情報

キヴォトスでひっそりと生きる少年(作者:オーバジン)(原作:ブルーアーカイブ)

ブラックマーケットの奥の方には一つの飲食店が営まれている。そこには一人の少年がひっそりと暮らして生きている。少年は周りの優しい大人の手を借りながら生きていて、最近ようやく一人で過ごせるぐらいになった。▼そんなキヴォトスで暮らす少年の生活を覗いてみようじゃありませんか。


総合評価:796/評価:7.94/連載:6話/更新日時:2026年08月11日(火) 16:19 小説情報

自由自在に反転できる男(作者:天叢シャマク)(原作:ブルーアーカイブ)

転生してから反転できる何でもありな男がキヴォトスで生きる話▼尚、元の世界でもチートだった模様


総合評価:409/評価:5.36/連載:26話/更新日時:2026年08月20日(木) 23:10 小説情報

一般シャーレ事務員ケモミミ男子高校生(作者:ひやめし)(原作:ブルーアーカイブ)

ケモミミ+しっぽ付きのシャーレ事務員男子高校生の狐塚イナリが生徒や先生とわちゃわちゃする話。▼主な登場人物(増える可能性アリ)▼孤塚イナリ(16)▼ケモミミとしっぽのある男子高校生、髪と瞳は金色、まんまキツネの擬人化みたいな生態をしており冬になるとケモミミとしっぽのもふもふ度が限界突破する、あと発情期もある、少しだけならキツネの姿にもなれるが疲れるからあまり…


総合評価:513/評価:7.86/短編:3話/更新日時:2026年07月20日(月) 19:04 小説情報

死にたい限界男子生徒が見届ける青春(作者:湯たんぽ猫)(原作:ブルーアーカイブ)

▼なんか思いついた話です。気が向いたらまた投稿します▼追記▼・話を一部並び替えました。▼・今最新話(21話)でアンケートやってます


総合評価:768/評価:7.89/連載:28話/更新日時:2026年08月21日(金) 22:03 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>