5章ラスト。よろしくお願いします。
一件が落ち着き、復興作業も進んできた頃、ずっと眠っていたルナが目を覚ました。
その連絡を受け、一番に病室に向かったのはユウだった。
「ルナ!」
「……お父様。」
ベッドの上の起きているルナを見てユウは一安心した。
「良かった……本当に。」
「大げさですよ、ただの血の使いすぎです。」
「……そっか。」
この前まで敵同士だったとは思えないほど優しい空気が流れている。
「お姉ちゃん!」
ドアが開き、元気の良い声が響いた。
「よかったぁ……元気そうだね。」
「貴女ほどではないわよ。……まあでも、ありがと。」
ヒガンも同じく連絡を受けてすぐに来てくれたようだった。
「そういえば、先生は?連絡は先生から来たのでいると思うんですが……」
ユウがそう疑問を口にした時、またドアが開いた。
「あっ、もう来てたんだ。はやいね。」
「先生。……って、それは!?」
ユウは先生が手にもっている物を見て驚いた。
なんと、お盆に乗った料理があったのだ。
「先生が……料理をっ…!?」
「失礼な!私だって料理くらいするもん!ま、まぁ、これはユウの作り置きのやつだけど……」
「やっぱりそうでしたか。」
「とっ、とにかく!何か食べたほうが良いと思ってね。ルナのために用意してたんだよ。」
そう言って先生はベッドのテーブルを広げ、料理を置いた。
「はいどうぞ。ゆっくりでいいからね。」
「お父様の……手料理……いつぶりでしょう。……いただきます。」
そしてルナはゆっくりとその料理を口に運んだ。
「……ぅ」
「!?」
ひとくち食べた瞬間、ルナの瞳に涙が浮かんだ。
「ちょちょ、大丈夫!?まずかった!?」
「先生、僕の料理ですっ!まずいわけありません!でっ、でも……本当に……?」
「い……いえ。この味が………とても懐かしくて……美味しくて……うう……」
「ま、パパの料理は昔から美味しいもんね〜」
ヒガンの言う”昔”がどれほどのものかは分からないが、とにかくルナは、感動で涙を流しているということだった。
「そっか。これから、いつでも作ってあげるからね。」
「……うん。」
その後、ぺろりと料理を平らげたルナとユウたちは雑談していた。
「んー、こうしてみると、やっぱり三人とも似てるね。」
先生が3人の顔をまじまじと見たうえでそう言う。
「そうですか?……まあ、一応親子ですもんね。」
「パパ、一応じゃないよ、本当だからね。」
「そうですね。生まれ変わっても私たちは”親子”ということでしょう。似ていて当然です。」
「まあ、3人ともこれから仲良く。ね?」
「もちろんです。」
他2人も同じく頷いた。
「あ、それで言うと、ルナのこれからはどうしようね?どこ所属ってわけでもないだろうし……」
「……それでしたら、ここで働きます。」
冗談などではなく、かなり本気のトーンだった。
「! ほんとに?」
「はい。このキヴォトスの皆さんにはかなりの迷惑をかけてしまいました。それでここ、シャーレであればいろんな学園の方と関わるのですよね?それでしたら、迷惑をかけた分役に立ちたいと………ダメでしょうか。」
「ううん。ダメじゃないよ。ルナの考えは立派だから、尊重するよ。」
「僕も、ルナがそうしたいと思っているのであれば異論はありません。」
「シゴデキだったもんね。納得納得。」
ルナの申し出に異議を唱える人はいなかった。
「じゃあ……」
「うん!シャーレへようこそ、ルナ。」
「よろしくお願いします!」
シャーレの事務員として、ルナが所属することとなった。
■
その日の夜、ルナはユウに呼び出され、シャーレの屋上にいた。
今日は綺麗な満月の夜で、月明かりでとても明るい。
「寒くない?一応コート2着もってきたけど……」
「……大丈夫で――くしゅんっ。」
「ふふっ、大丈夫じゃないね。はいどうぞ。」
ユウからコートを受け取り、ルナはそれを羽織った。
「それで……用件は……?」
「ルナとゆっくり話がしたかったんだ。」
「そう……ですか。」
2人は月明かりに照らされたキヴォトスの町並みを見ながら話始める。
「ルナは、この景色をどう思う?」
「えっ……と。そうですね、……とても、綺麗だと思います。」
「それがキヴォトスだよ。争いはあれども、この景色だけは失われない。……まあ、この前は失いかけちゃったけど。」
「……」
「ルナ。君はこれからここで、創っていくんだよ。今を、未来を。」
「……はい。」
ルナの返事は、小さくも、嬉しそうだった。
「ということで、プレゼントがあります。」
「え…?は、はい。」
ユウは小箱を取り出した。そしてルナに手渡す。
「開けて。」
「はい……」
ルナは箱を開ける。
中に見えたのは、綺麗に輝き、月の意匠が付けられたネックレスだった。
「……これは。」
「ネックレスだよ。僕からのささやかなプレゼントってことで。」
「この月の意匠……もしかして…?」
「うん。君の名前からだよ。」
ルナは、月を表す言葉である。そこから、ユウは月の意匠が付いたネックレスを選んだ、ということだ。
「……ありがとうございます。大切に、しますね。」
ルナはそのネックレスを大事そうに包んだ。
「うん。……じゃ、用件は終わり。僕は寝るね。」
ユウは部屋へと戻っていった。
ルナはその場に残り、月を眺めていた。
「綺麗だなぁ……」
今日の月は、今だけでなく、未来までも照らしてくれているのかもしれない。
ここまで読んで読んでいただきありがとうございます。
5章、終わりです。改めて、ここまで読んでくれた方々、大変ありがとうございます。
これからも”銃社会を、吸血鬼は生きる”の更新は続きます。しばらくは、日記などのミニストーリーの更新をしていこうと思います。
また、ありがたいことにリクエストもいくつかいただけているのでそちらも書けたら良いなと思っています。まだまだリクエストは受け付けていますので活動報告にある同様の投稿のコメントかメッセージまでどうぞ。
最後に、お気に入り登録、評価、感想ありがとうございます!!感想はちゃんと読ませてもらっています。そしてモチベーションをもらっています。ありがとうございます。
では。