ホームカミングガーリー~ごきげんようお姉さま。わたし百合もバトルも無双します!~ 作:天野ぬぼ子
演劇部辺りの一日早いコスプレかと思った。
全身を覆う銀のプレートアーマーと青のマント。腰に剣を下げている。その足元に4人の少女が倒れていた。睦子さま、るるりん、志鶴さま、花音さん。生徒会のメンバーだ。
「待ちかねたぞ、プロトエンジン。いや、この時を待っていたと言うべきか」
その声には聞き覚えがあった。忘れもしない、ロイヤルヴァンガードのパイロットの声!
「私はエレーヌ。騎士エレーヌと呼んでくれたまえ」
「で、そのエレーヌさんが何のご用?」
強がって見せたが、私の背中には冷や汗が走っていた。
「無論、君を連れ帰る為に来た」
一歩、また一歩と私との距離を詰めるエレーヌ。その分私はじりじりと後退した。
「知っているぞプロトエンジン。パートナーが居ないと力が使えないのだろう?」
手の内がバレている。エレーヌの言う通り、私は蛇苺さまか姫子が居ないと力が使えない。その二人は私が帰してしまった。こんな事態になるとは知らずに!機関を甘く見すぎていた。武装していないとはいえ、あのるるりんがやられる相手だ。今の私にどうにかできる相手じゃない。どうする?
「忠告しておくが逃げようなどと考えない事だ。この4人がどうなるかわからんぞ」
エレーヌが更に距離を詰め、手が届くところまで来た。私は
「無様だなプロトエンジン。以前の勢いはどうした?私は構わんぞ、このままお前を半殺しにして連れ帰っても。そうなる前に大人しく従った方が得策だと思うがな!」
ストレートパンチを放つエレーヌ。今度は来る事がわかっていたから両手を交差させて防ぐ事ができたが、またしても吹っ飛ばされた。グラウンドに引かれた白線の石灰で私の制服は真っ白になった。
手立てが無い。仰向けになったまま、もうどうする事もできなかった。星空が涙で歪む。自分がこんなに非力だったとは!もういっそのこと投降しようか。思いかけたその時。
「この大馬鹿者!」
声とともに剣が
「戻れ!カトリーヌ!」
カトリーヌと呼ばれた剣はその呼び声に応じ、スッと地面から抜けると声の主の元に飛んで戻った。私はなんとか立ち上がり、声の主の方を見る。そこに立っていたのは3人の先生だった。即ち、
「ミレイユ先生!比良坂先生!李!」
「おいおい、私にも先生を付けてくれよ」
李がむくれる。剣の持ち主はミレイユ先生だった。
「困った時は言えといっただろう?結合」
ミレイユ先生がふんすと鼻を鳴らす。エレーヌがチッと舌打ちをした。その刹那、李が踏み込みエレーヌとぶつかる程に距離を詰めた。縮地。いつか漫画で読んだ名が脳裏をよぎる。そして放たれる掌底!鎧を貫通する打撃!今度はエレーヌが吹っ飛ぶ番だった。放物線を描いて飛んだエレーヌは金属の朝礼台とぶつかり、ガンと音を立てた。
「飲んでなくても強いよ、私は」
李が自らの
「この裏切り者め…!」
エレーヌは剣を杖代わりに立ち上がった。
▲騎士エレーヌ
▲カトリーヌ