ホームカミングガーリー~ごきげんようお姉さま。わたし百合もバトルも無双します!~ 作:天野ぬぼ子
「『一人で抱え込もうとするな』か…あの子も言うようになったねえ」
「あの子?ミレイユ先生のこと?知り合い?」
「そう。昔ちょっとね」
ここはいつもの夢の中。…といっても久しぶりに見た気がする。窓枠の外に見える地球。炬燵。煎餅。そして。
「なに?人のことじっと見て」
「本当なの?前言ってた事って」
「前言ってた?何だっけ」
「その…あなたが、私の…」
うーん、言い辛い。考えたら産まれてこのかたお母さんやらママやら口にした事が無い気がする。…いや、どうやって産まれたのかすら定かではないんだけど。
「あーはいはい。私がゆりっぺの母親だって話ね。言いにくいわけだ。お母さんって」
「そりゃあそうでしょ。いままで放っておいていまさら母親だなんてそもそも信じられないっていうか」
「仕方ないでしょ、ゆりっぺ1億年くらい寝てたんだから。そこまで面倒見切れないわよ」
「1億!?なんで!?なんのために!?」
「いずれ来る事態のために眠って貰ってたの。地球最後の希望としてね。目覚めたという事はその時が来たということ」
「でもずっと前から人類と機関はやり合ってるわけでしょ?なんで今?」
「もう、質問の多い子ねえ。今までとはケタ違いの危機が迫ってるって事よ」
「はあ、危機ねえ…。いや、そうじゃなくて!あなたが本当に私の母親なのかどうかって話!」
「あなたなんて他人行儀だわね。そりゃあちょっーと遺伝子操作とかしたけど、正真正銘、私の遺伝子で私がお腹を痛めて産んだ私の子よ、
ニコニコと笑う母親。なんか不穏な単語が混じってたんですけど?
「ほら、呼んでくれていいのよ?お母さんでもママでも」
「遠慮しときます!」
信じるにしろ信じないにしろ、口に出して母と言うのは照れ臭いというか気まずいというか。
「遠慮すること無いのに…」
母親は拗ねて煎餅を手の中で弄んだ。やがて思いついたように「あ、」と口を開く。
「最初の話に戻るけどさ、『一人で抱え込もうとするな』って話。よく考えといてね」
「一人で抱え込むとか、そんな事…してないと思うけどなあ」
「してるわよ。今日だってあの騎士に付いて行こうとしてたでしょ」
う。図星だった。
「でも人質も取られてたし、力が無いと戦えないし、他にどうしようも無かったし…」
「素直に助けを呼べばよかったのよ。あの子…ミレイユ達が機関だと知らなかったとしても李やモルタリアだって居たわけでしょ?もっと大人を頼りなさい」
李はともかく今のモルタリアに何ができたかは疑問だが、言われてみればその通りである。
「しっかりしてよね、人類の希望なんだから」
そんなもの勝手に押し付けられても困るよ。