ホームカミングガーリー~ごきげんようお姉さま。わたし百合もバトルも無双します!~ 作:天野ぬぼ子
「「「おおー」」」
食卓に並んだ料理に蛇苺さま、女王、ステフが感嘆の声を上げる。
朝食のメニューはごはん、みそ汁、肉じゃが、だし巻き卵、ほうれん草のゴマよごし。それとたくあん。いつもながらどれも美味しそうだ。
思わず手を付けようとした女王をエレーヌが羽交い絞めにして止める。
「いけません女王陛下!下民の食べ物を口にするなどと」
「嫌じゃー!もう
私と姫子が子供の頃に使っていた持ち手がプラスチックのお子供用フォークを手に暴れる女王。
「これこれ、お嬢ちゃん方、ちゃんと『いただきます』してから食べなさい」
「わー、これなに?これなに?」
「
今日の食卓は賑やかだ。ダイニングキッチンのテーブルには全員分並びきれないので、私と姫子はリビングのテーブルで食べる事にした。
「「「いただきます」」」
たぶん女王とステフは意味がわかってないだろうが、それでも周りに合わせてペコリと礼をしてから食事を始めた。
「あんたは食べないのかい?」
気を使ったばあばがエレーヌに声をかける。
「我が主と食事を共にするなどもっての外。お気になさらぬよう。そもそも女王陛下の口にするものとしてこのようなもの…」
「うひょー!この黄色いの!甘くて美味しいのじゃ!!余は気に入ったぞ!!ばあば!これは何じゃ!?」
初めての人間の食事を目の前にし、女王にはエレーヌの言葉など全然耳に届かないようだ。
「だし巻き卵だよルミちゃん」
「ルミちゃん?」
「オレリアーヌ…オレちゃんだと言いにくいからルミエールから取ってルミちゃんさ」
それに異を唱えたのはまたしてもエレーヌ。
「女王陛下をそのような名前で呼ぶなどと何たる侮辱!死罪にあたるぞ御老」
「控えよエレーヌ!構わんばあば!特に許す!」
しょんぼりと一歩下がるエレーヌ。ふふふとにっこりと笑うばあば。
「大婆様、どれも美味しいです!この米の炊き方ひとつにしても…一粒一粒がしっかり立っていて、私は…私は…!」
感涙しながらご飯を掻っ込む蛇苺さま。あの有様からすると、家庭の味など久しぶりなのだろう。気持ちは解るが喋るか食べるかにして欲しい。
「まだ沢山あるからゆっくり食べな」
「は゛ぃ~」
ばあばに背中をさすられる蛇苺さま。いつもの生徒会長の威厳はどこへやら。こう見てみると蛇苺さまも普通の女子高生みたいだ。
そんな中、やはりお子様用フォークで肉じゃがをほくほく食べていたステフがこそーっと自分の分の小皿、すなわちほうれん草のゴマよごしをルミちゃんの方に押しやった。
「これ!ステフ!好き嫌いせずに食わんと余のように大きくなれんぞ!?」
早速バレて小皿を押し返されるステフ。
「やだ!苦いのきらい!」
「これ、喧嘩しないの!…やれやれ、今日は子供が一気に増えた気分だよ」
そう言うばあばの顔は全く困っておらず、むしろ楽しそうに見えた。