ホームカミングガーリー~ごきげんようお姉さま。わたし百合もバトルも無双します!~ 作:天野ぬぼ子
がふっ
息が止まってた。いや、息ができない。肺に入り込んだ血が口から噴き出す。
「結合ちゃん!結合ちゃん!」
床に倒れこんだ私の身体を蛇苺さまが揺さぶっている。距離を取った謎の生徒が手をブンと振って血を払った。
生きてる。まだ。
『そこに愛はあるかい?』
夢で見た言葉が脳を過る。
あるさ。
出会って間もなくても。相手をよく知らなくても。誰かを愛する気持ちなら、ここにある。
───
できるだけ上体を起こす。残った力を振り絞って蛇苺さまの腕を掴むと、思い切り引き寄せた。まるでぶつかるように二人の唇が重なる。蛇苺さまとのファーストキスは血の味がした。
どくん、と。穴の開いた心臓が鳴った。細胞が騒いでいる。血が止まり、穴が塞がり、傷が塞がっていくのがわかる。体が熱い。光だ。光が体の内側を駆け巡っている。それが
ゆっくりと二人の唇が離れる。瞳を開くとびっくりした顔の蛇苺さまが見えた。ごめんね、蛇苺さま。驚かせちゃったね。
口の中に溜まった血を飲み込み、立ち上がる。よくもやってくれたな。
体を駆け巡る光を右拳に集める。光は拳から水のように溢れ出してナイフのような形を作った。さっきまでぼんやりしていた意識が急激にクリアになっていく。
「あちゃ~、
謎の生徒が少し焦った様子を見せた。
「まあいいっしょ、もう一回殺せば同じだし!」
謎の生徒が床を蹴って間を詰める。突き出した右手のネイルを私は光のナイフで薙ぎ払った。何の抵抗もなくネイルが切断され、弾け飛んで床に天井に突き刺さる。
「げっ、そんなんアリ!?」
身を引いた謎の生徒が右手を見て
「結合!」
教室の扉がガラっと開いた。姫子だ。気を取られた瞬間、謎の少女は素早く窓から飛び出していた。追いかけるつもりが足がもつれてまた派手に転んだ。この力が何なのかわからないが、体はまだ本調子ではないようだ。
うつ伏せになった視界の端で姫子と蛇苺さまが駆け寄ってくるのが見えた。
「結合ちゃん!」
「結合!」
この力の事以外にもわからない事がたくさんある。あの生徒は一体どこの誰で何が目的だったのか。なぜ帰った筈の姫子が駆け付けたのか。頭がぼーっとする。何も考えられない。
二人が私の腕を担いで立ち上がらせた。
「歩ける?」
「ええ…たぶん…なんとか」
蛇苺さまの問いにどうにか頷く。
私はされるがままになり、二人に体重を預けた。