異常過ぎるのは間違っているだろうか?   作:ダーク・シリウス

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大罪の暴龍 グレンデル

 

 

夕餉の時間が終わろうと一誠の一言が各々のホームに戻る足を引き留め、後に独自で増築した地下トレーニングルームに降りた。四方一kmもある広さが確保されている地下空間は真っ白だった。

 

「広すぎんここ?」

 

「このぐらいあった方が色々と試すことができていいんだよ」

 

「その色々とは、これから会わせてくれる邪龍も含まれているのか」

 

「お前らがいつも勝負を仕掛けてくるからだが?」

 

ジト目で睨まれたマキシム、ザルド、【女帝】は素知らぬ顔で一誠を見返す。

 

「毎度毎度、俺の好物を持ってくりゃ勝負をしてくれる認識されちゃって、アップルパイをその度に食べさせられるとさすがに飽きてくるんだぞこっちは」

 

「だから規制が入ったのか。アップルパイを持ってこずとも戦いに応ずると」

 

「そーだよ悪いか」

 

「悪くはないが、ベヒモスとリヴァイアサンの次に強く何時でも何度でも手頃に戦える人型のドラゴンがいるとなれば、俺達は黒竜戦に備えて強くなりたいからいつも挑みたくなるのさ」

 

「有名税と思いな」

 

悪びれる様子もなく言われてしまい、真剣な面持ちで声のトーンも落とす一誠の口から零れた言葉。

 

「・・・・・黒竜、挑んでみて倒してみるか。そうすれば勝負を仕掛けられずに済むし」

 

「「「「「勝手に倒すな!!」」」」」

 

ゼウスとヘラまで異口同音で一誠にツッコミを入れた。ルームの中央辺りまで移動した一同は足を停めた一誠と一緒に歩みを停止した。

 

「会わすと言ったが、他言無用で頼むぞ。同じ【ファミリア】の身内にもだ」

 

「何故じゃ?」

 

「絶対に邪龍と戦いたい理由で毎日のように来るのが目に見えるんだよ。もしも言ったら、絶交する上で来年になったらオラリオからいなくなるから覚悟しろよ」

 

あ、ガチの目をしている。本気だこの男、と目が据わっている一誠から伝わる気配に神々もそれは困ると理由で秘密にすることを誓った。言葉にもしたので神の契約は信じた証として右目の眼帯を外して濡れ羽色の瞳を解放。次に横で深緑の魔法円を展開した。

 

「―――出てきていいぞ、グレンデル」

 

カッ!!!

 

深緑色の光が最高潮に達すると巨大な黒い龍が魔法円から召喚された風に出てきた。

 

『グオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!』

 

背中に大きな翼、腰辺りに野太い尾を生やす巨人が現れたが、顔は龍であるのでマキシム達は初見のモンスターであるのは間違いない。召喚された龍の大咆哮は神々を仰け反るほどの大音声。一目見て緊張が走った冒険者達は、目の前にいるだけで強烈なプレッシャーを放ち感じさせるほどの存在感に神々を守らんと臨戦態勢の構えを取った。

 

「こいつは【大罪の暴龍】クライム・フォース・ドラゴン。名前はグレンデルだ。暴れることが好きな頭のネジが外れた邪龍だよ」

 

「グレンデル・・・・・異世界から直接召喚したというのか」

 

「いーや、ずっといたよ。俺の中に封印していたからな。他にも封印しているドラゴンは複数いるぞ」

 

「なんじゃと!?」

 

「どうなっているんや自分の身体っ!!」

 

ズンッ! とグレンデルが一歩近づいてきたのでその分遠ざかるロキ達。

 

『おい兵藤一誠! こいつらと戦っていいよな!』

 

「同意の上でだ」

 

『だ、そうだこの世界の人間共。俺と戦う意思はあるか? あるよな。無くてもこっちから仕掛けるけどな!』

 

人語を当然のように操るグレンデル。異世界のドラゴンは理知と知性を備えている大発見でありながらそれ以上に訊いてみたいことがあった。

 

「この世界のモンスターのレベル的にグレンデルはどのぐらいだ」

 

「適当に決めていいならレベル5ぐらいかな。素材集めに集中したいがために俺の中にいるドラゴン達もリヴァイアサンと戦わせても生き残ったし」

 

「そうなのか・・・・・ザルド、言うまでもないな」

 

「ああ」

 

「黒竜戦前の肩慣らしに丁度いい。一応訊くけれど殺す気で戦ってもいいんだね?」

 

第一級冒険者の三人が得物を持って戦闘態勢に入った。飼い犬もとい飼い龍の生命の安否を確認した【女帝】に問題なしと首肯した一誠。

 

「殺しても死なないからいいぞ」

 

『逆にテメェ等を殺すがな。肉片の一つさえあれば蘇らせてくれるだろうよ。安心して死ね』

 

「ああ、でも制限時間は設けるからな。長々と暴れられると困る。3分間のみだ。それ以上やりたいというなら外でやれ。飛べないお前らが高い空から一方的に攻撃されるだけの蹂躙される運命を迎えることになるがな」

 

まぁ、そんなことはないと思うけど。と付け加える言葉の後に天使の姿になった一誠と金色の結界に包まれながら宙に浮き三人と邪龍から遠ざかり、180という数字が浮かぶ六面の立体的な映像が具現化した。

 

ピッと数が減った瞬間。合図なしで先にグレンデルが腹部を膨張して口から特大級の火炎球を連発で放った。

 

「ヴァルガング・ドラゴンよりも小さいな」

 

「これでレベル6なんて過剰評価じゃない?」

 

「温い」

 

火炎球を斬ったり、軽く躱し、振るった武器から衝撃波を放って掻き消したりする三人の背後に瞬間移動で回ったグレンデルが巨拳を打ち下ろした。巨人の速さではない動きをされようと驚かずザルドが振り返り様に握った拳でグレンデルの拳に殴りつけ、はじき返した。

 

『おほっ! やるじゃねぇかよ!』

 

喜々として深い笑みを浮かべるグレンデルに対してザルドは殴った拳から伝わった感触で察した。すぐ記憶に思い浮かぶのはダンジョンの18階層にいる巨人並みに大きいモンスターだった

 

「ゴライアスより力と硬さがあるのは確かだな」

 

『知らねぇよ! 誰だそいつは!』

 

「俺達を忘れるなよ」

 

マキシムが無防備な脇腹、【女帝】は太腿へ鋭い一撃を叩き込んだ。並みのモンスターならそれで真っ二つの斬撃であるが、グレンデルの浅黒い鱗に弾かれて傷一つ付かなかった。

 

「硬い・・・・・」

 

「防御力が取り柄みたいね。これなら上方修正してレベル6と評価してもいいわ」

 

迫りくる拳にも斬撃を叩き音でも斬れず、押し返されたマキシムと【女帝】は着地する。

 

「だったら目を斬って視界を奪うか」

 

「じっくり料理してやる」

 

『やってみろやぁっ!!』

 

2人がグレンデルに飛び掛かる姿を見送るザルドがイッセイに話しかけた。

 

「イッセイ、こいつは食えるのか?」

 

「ドラゴンを食べようなんて発想を浮かべるなよザルド。止めておけ、ドラゴンの血が人間を変異させかねない。理性を失った化け物に成り下がる可能性がある」

 

「食えないとは言わないのだな」

 

―――え、喰うの?

 

ギョッと目を丸くする一誠から視界を外し、遅れてグレンデルに駆け出すザルド。マキシムと【女帝】相手に夢中でも接近してくるザルドにも意識を向けていたグレンデルが、その場で回転して横凪ぎに振るった尾で叩きつけた。が、ザルドは逆にその尾を片手で難なく受け止めて噛みついた。

 

『たかが人間の弱い歯で俺の鱗を砕けると思うな!』

 

「おいおい俺を無視しないでくれ」

 

自分の尾ごとザルドに目掛けて炎の塊を放つつもりでいたグレンデルの目と鼻の先まで接近していたマキシム。視界いっぱいにマキシムの姿を映す眼が、グレンデルの脳に緊急回避を促す警鐘を鳴らすも当の龍はそれを無視して自ら頭突きの勢いで頭から突っ込んだ。

 

「異世界のモンスターでも身の危険を感じず突っ込んでくるのだな」

 

グオオオオオオオオオオオオオオオオ!!?

 

マキシムの斬撃がグレンデルの目から緑色の液体を迸らせた。ダンジョンのモンスターならば次で瞬殺であるが、相手は三人の武器を弾く最硬の鱗を誇っている異世界の黒い龍。

 

『しゃらくせぇっ!!』

 

なりふり構わずといった風に周囲に火炎球を撒き散らして火の海にした。並大抵の人間ならばこの一撃で消し炭になるが、相手は神の眷族となった人間、英雄達―――火の海の中、炎で身を焦がしながら恐れもなく【女帝】が突貫して床にクレーターが出来るほどの脚力から跳躍した。それを肉眼で捉えていて、拳で叩き落とそうとしたが尾を引っ張られる感覚に、噛み砕けなかった尾を抱えながら引いていたザルドに意識が背後に割かれた刹那に【女帝】の足がグレンデルの顎に直撃した。ドゴォ! と人間が出す音ではない音とその威力を当たり前のように出す【女帝】の蹴りに、グレンデルの両足が床から高く浮き、巨人並みの大きさの巨体が後ろへ傾き背中から落ちた。

 

「おお・・・・・強い事は知っていたけど、あんなことできるのか」

 

「異世界の実力ある人間はドラゴンを殴り倒すことはできないのかい?」

 

「一部を除いてほとんどできないししないな。そもそも俺の世界の現代じゃあ、ドラゴンと遭遇するなんて超越者や超常の存在と関わらない限り一生ないんだ。殴り倒す経験はできないし、神器や魔法といった特殊な能力や血縁を持つ人間以外はモンスターの餌でしかない」

 

「奴らが優勢になっておるが、グレンデルと言うドラゴンもしぶといな」

 

「持ち前の防御力と戦闘狂の性格、滅多な事では怯まないイカレた精神力のおかげでな。―――おいグレンデル」

 

一誠がグレンデルに話しかけた。

 

「そろそろ違う戦い方の楽しみを感じてみたらどうだ」

 

『―――ああ、そういやそうだったなァッ!!!』

 

思い出した風に哄笑する巨人龍の身体が急激に萎みだした。マキシム達は骨格まで変わる異常な形状変化をする異世界の龍はこんなこともできるのかと攻撃の手を止めて見守った。

 

「ふぅ・・・・・この姿になるのは慣れてねェが、これでクロウの姐御みてェな戦いができるぜ」

 

2Mを優に越している筋骨隆々の巨躯の肌は浅黒く、裸の上半身に相手を威圧させるような刺青が彫られていて、下のズボンは盛り上がった筋肉で今にも引き千切れそうなジーンズの短パンを履いている。頭髪は黒と深緑の髪が入り乱れた獅子を彷彿させる長い鬣、銀の双眸の姿に成ったグレンデル。

 

「お前ら異世界のドラゴンは人の姿になれるのか」

 

「そのまんまの姿で身体を小さくすることができるぜ。クロウの姐御が人間の姿になってっから真似てみたらチョロチョロ動くお前らの動きについて行けるとわかった。んだが、俺は元の大きさで戦うのが好きだがこっちも悪くねぇと思っているぜ」

 

「そうかい。ならその姿のまま負けるがいいよ」

 

「やってみろやぁっ!!」

 

仕切り直しと言わんばかりに真正面から飛び掛かるグレンデル。対して【女帝】が呼応するように前へ飛び出し、握っている拳で殴りかかった。

 

「オラァッ!!」

 

「っ!?」

 

突き出したグレンデルの拳が急激に巨大化して、ゼロ距離まで詰めてしまった【女帝】に躱す暇も与えず初めて攻撃を受けてルームの奥へ殴り飛ばされた。

 

「人間の姿に成れば攻撃パターンも変わるか」

 

「イッセイの奴も出来る芸当だろうよ。コイツをイッセイと思って戦えば勝てるかもな」

 

後ろへ吹っ飛んだ【女帝】と擦れ違い様に人間サイズの腕に戻すグレンデルの前後から斬りかかるマキシムとザルドの動きは銀の双眸が捉えていて、大きな浅黒い手が自分の身体を引き裂かんとする剣を掴んで受け止め―――グッと力を籠めて二人の武器を砕いた。

 

「「っ・・・」」

 

「テメェ等のやる事なんざ見え見えだわ!」

 

剣を砕いた手を大ぶりで振られ直撃する前に距離を取って回避する二人のうち一人、マキシムへ猪突猛進するグレンデル。

 

「グハハハッッッ!!! 武器がなくなったら殴り合うしかねぇよなァー!!」

 

「そういうことか。お前の好みの戦いに持ち込まれるとはしてやられた」

 

「上等だよ!!」

 

殴り飛ばされた【女帝】が怒り心頭の顔で戻って来てはグレンデルの顔面に槍の如く伸ばした足で蹴りを入れた。が、その足を顔だけドラゴンに戻して噛んで受け止めたグレンデルの顔の硬さに始めて驚きの色を染まった【女帝】。足を砕かんとする圧力を感じ片足の膝蹴りをグレンデルの顎に叩き込んだ。レベル7のモンスターの身体も粉砕する一撃を全力で叩きこんでグレンデルの顎を砕いて足を抜こうとした瞬間、ガシッと【女帝】を捕まえることができる唯一の千載一遇の好機を逃がさんと掴まれて放されなかった。

 

「ふんっ!」

 

砕かれた剣だろうと未だ残っている刀身で斬れることも打撃として殴れることもできる。ザルドがグレンデルの横っ腹に剣を横凪ぎに振るって吹っ飛ばした。そのグレンデルに駆けて追いつき、砕かれた剣で【女帝】を掴む手の腕に突き刺し、一瞬の力の緩みを感じた【女帝】が噛まれている口から抜いたのと同時に。

 

―――ブツッ!!

 

咥えられて離せなかった【女帝】の足が噛み千切られて部屋に赤い液体が初めて白を汚した。

 

「大丈夫か」

 

「はっ、黒竜の前でも心配する暇があると思うのかい」

 

「ああ・・・そうだな」

 

「―――お、意外と美味ぇ!!」

 

団長同士の会話を覆す場に合わない歓喜の声。グレンデルが噛み千切った【女帝】の足をモゴモゴと口の中で咀嚼していた。

 

「今まで喰らったどの人間共より美味いな。神の眷族とやらになった人間共に神の血が入っているからか? ―――若干だが、力が湧いている気がするぜ」

 

ゴクリと腹の中に送ったグレンデルの言葉に信じ難いのと受け入れ難い事実に一誠を見つめる視線が集まる。

 

「イッセイ、あんなこと言っているがどうなんだ」

 

「嘘を言うドラゴンではないからそうなんじゃないのか。俺は元人間だから人間を食べないから知らないけどな。それにそれを言うならこの世界のモンスターが眷族の人間を食らったら強化するのかって話になるんだが」

 

「いや、そんなことはない。しかし、モンスターの核たる魔石をモンスターが喰らえば『強化種』となり、魔石の味を知った『強化種』のモンスターが同種や同族であるモンスターを襲って過剰に魔石を摂取することはある」

 

ダンジョンのモンスターの知らない情報と知識を学んだところで3分が経ち、グレンデルは軽傷で【女帝】が片足を失う重傷を負った。

 

「三人掛かりでも倒せなかったグレンデルと戦ってどうだった」

 

「本当にお前が定めたレベル5なのかと疑うぐらいの防御力だぞ」

 

「俺個人の見解をさせてくれるなら、グレンデルのレベルは7でも十分通用する。トップクラスと言ってもいい」

 

マキシムとザルドの傍により失った【女帝】の足を青白い天使と化して切断面に癒しの力を注ぎ、骨、神経、筋肉、皮、爪、細胞まで復元しては完全に戻った様子に誰が見ても凄まじい回復力だと感嘆した。

 

「グレンデル、どうだったこいつらと戦って」

 

「コイツ等を喰えば俺はもっと強くなれそうだぜ。悪食野郎じゃねェが一部とはいえ美味かったからもっと喰いてぇぞ」

 

「性根腐って心底救いようがない冒険者がいたら喰わせてやるよ。それ以外は絶対にダメだ」

 

兵藤一誠の返答にグレンデルの口角が吊り上がって、濡れ羽色の瞳に浮かぶ魔法円に呼応してグレンデルの足元に浮かぶ魔法円が発現し、光りに包まれる異世界の龍が一同の目の前で消えた。

 

「一応聞くんやけど、グレンデルは自分の中に?」

 

「ああ、龍だけが潜れる龍門って魔方陣を介して魂の状態で俺の中に戻った」

 

「あなたの中に複数のドラゴンがいるって言う話だけれど、グレンデルは何番目に強いのかしら?」

 

「下から数えた方が早い」

 

―――あれで、一番弱い方なのか。神々も含めて冒険者達は愕然した。

 

「では・・・一番強いドラゴンだったらマキシム達を倒すことができるのか?」

 

「出来なくはないと思うぞ。千の数の魔法を操るし、海を黒くして触れた物を溶かして消し去る闇を操るから」

 

―――それムリゲーでは?

 

神々は心中、異口同音で悟ってしまった。

 

「そのドラゴン達を倒した人間はいるのかい?」

 

「どうやって倒したんだって不思議なぐらいいたんだ。闇を操るドラゴンの方は神だったけど、グレンデルを古代の英雄が神の加護も無しで倒したらしいが、神器を使って倒したかもしれないな」

 

「そうなのか。うーむ、興味深いな。ドラゴン殺しの英雄の物語、あるのであれば読んでみたいわぃ」

 

「物語か。異世界には確かに竜殺しの英雄の話や童話の絵本があるけどこの世界にも英雄の物語があるのか?」

 

「うむ、あるぞ。なんなら作ることもできるわぃ。儂、天界にいた頃には下界をずっと覗いておったから数千年の間にモンスターと戦っておった英雄の子供達を覚えておるからな」

 

心が好奇心で刺激されて一誠は、ゼウスに詰め寄り老神の肩を掴んだ。

 

「じゃあ描いてくれるか。この世界の英雄の話、英雄譚の本が欲しい! 読みたい!」

 

「お、おぅ、わかった。・・・・・その代わりといって何じゃが、イッセイちと・・・・・・」

 

一誠の肩に腕を回して一同から離れたところで声を殺して何かを告げるゼウス。何を言っているのか集中して聞き取ろうとする冒険者達でも聞き取れず、密談が終わって戻ってきた。

 

「ゼウス、イッセイに何を言ったんだ」

 

「なに、報酬の話をしておったんじゃ」

 

「・・・・・もしや、何時ぞやの女体の絵ばかりの本を欲しがったわけではあるまいな?」

 

「ゼ~ウ~ス~?」

 

「ち、違うわぃ! こればかりはヘラに口を裂かれようと言わんぞ!」

 

と弁解するゼウスの家に後日、一誠が訪問してマキシムとザルドにとある異世界の龍の牙で作った武器が渡った。それをしばらくして気付いたヘラと【女帝】が大層に―――怒り狂った。

 

「てめぇらぁぁぁぁぁぁぁ!!! 私が足を代償にして折ったグレンデルの牙を武器にしてもらうとかいい度胸じゃねぇかあああああああああ!!!」

 

「逃げるぞザルドっ!!」

 

「言われるまでもない!!」

 

「そういうことだったのかいゼェェェェェェウゥゥゥゥゥゥスゥゥゥゥゥゥゥー!!! 私の娘が折ったモンスターの牙はこっちの物じゃないか!! それを掠めとるなんてねぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっっっっ!!!」

 

「ギャァァァァァァァァァァァッッッッッ!!?」

 

いつもより激しめな日常をオラリオで繰り広げたらしい。

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