異常過ぎるのは間違っているだろうか?   作:ダーク・シリウス

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質疑応答

北西と西の区画で家を手に入れた。これで安定感と安心感を得られて一息付けれるところだが、俺は面倒事に好かれてるらしい。異世界の料理を食わしてから【ゼウス・ファミリア】【ヘラ・ファミリア】【ロキ・ファミリア】【フレイヤ・ファミリア】の主神が主にほぼ毎日遊びに来ては飯を集る。それに交じって眷族達も食べるのだから俺はこいつらの料理人になってきている。いや、そんな事実はないと言いたい!

 

「そうやって作るのか。異世界の調味料がなければ作れないものが多いのは難点だが、美味であるのは代わりない」

 

「似たような物も作れるだろ」

 

ザルドが料理を作れるということで料理の話が思いの外弾むのも意外であった。なおゼウス達は、よく人の家に遊びに来ては・・・・・。

 

「そこやぁっ!!」

 

「抜いてみせるっ、ぬおおぉっー!!」

 

「フレイヤ邪魔をするんじゃないよ!!」

 

「ふふふ、ごめんなさいね?」

 

この世界にはこの時代にはないテレビの前に陣取り、四人でレースゲームをしている。端から見るとなんか、親戚の集まりで遊んでいる人達みたいだなこいつら・・・・・。

 

「「・・・・・」」

 

なお団長のマキシムと女帝は日本語(+漢字)をこの世界の共通語に翻訳する眼鏡をかけて異世界のファンタジー漫画を夢中に読んでいて、獣人の青年ことオッタルはフレイヤの背後に座り地蔵と化していた。そしてアルフィアとメーテリアは・・・・・。

 

「すっかり定位置になっているな」

 

「懐かれることした覚えないんだが」

 

家にいる限り、俺の両隣に居座る姉妹。最初こそ気にしなかったが、メーテリアがしょっちゅうくっついて話し掛けてくるだけでなく、静かで常に俺の側をホームに帰るまで居座るアルフィアにもはや無視できなくなった。

 

「それを言うならそっちの団長達も漫画に夢中だし」

 

「ホームでも読み漁っているほど気に入っているようだぞ。なんでも戦闘の瞬間を事細かに描かれて凄いものだとかな」

 

「この世界にはないのか?」

 

「絵本や小説ならばあるが、何十何百も絵が描かれた本はオラリオにはない」

 

「じゃあ、魔法使いが読みそうな本は? 魔法を覚えるとか」

 

「魔導書のことか? それならば数億ヴァリスで売られていることもあるぞ」

 

たっっっっっか!!?

 

「なんでそんなに高いんだ?」

 

「魔法を強制的に覚えれるからだ。一つしか覚えず読んだ魔導書は効力を失いガラクタの本に成り下がるがな」

 

「それは確かに高い筈だ。それってどこに行けば手に入る? 買うことができる?」

 

「魔法大国アルテナだ。たまにオラリオにも流れてくるが誰かの手に収まり、保管してるか使用されてるのが多いだろう」

 

アルテナか。一度行ってみようかなとても興味あるし。

 

「オラリオにも売られてるならどこに行けばいい?」

 

「魔術師専門の店、他は富豪の大商人が売っている。欲しいのか?」

 

「そりゃ、元の世界に帰れる魔法を覚える可能性があるんだし。手に入るなら手に入れてみたい。もしくは作れないか?」

 

「魔導書を作るには魔導も神秘のアビリティが必要になるぞ」

 

うん・・・・・? 魔導と神秘のアビリティ・・・・・?

 

「あ、意外だな。それなら揃ってるぞ」

 

「なに?」

 

思わずと聞き返すザルド。漫画を読んでいた二人も顔を上げてこっちを見た。

 

「それは本当か?」

 

「嘘つく理由はないって。それに鍛冶のアビリティも覚えてるから何か凄いもの作れるかなー」

 

今思えば、色んな試しをしていなかった。それならばザルド達が帰ったら早速作って・・・・・材料がないなそういえば。

 

「ザルドさんや、この世界でよく使われてる金属ってなんだ?」

 

「魔力の伝達率が高いミスリル、輸入しないと手に入らないアダマスとアダマンタイトにオリハルコンだ」

 

「オリハルコンか。手に入るなら使ってみたいな。一つだけでも手元にあったら複製できるのに」

 

「複製? どうやってだ」

 

「神器の力で」

 

と、そうザルドに語ったのその後の事、なんかフレイヤが見たことがない金属を持ってきたある日の早朝の時間帯。

 

「なにこれ」

 

「これはミスリル、こっちはアダマスに、アダマンタイト、オリハルコンよ」

 

輸入しないと手に入らない代物があっさり用意してみせたフレイヤ。これが警戒せずにいられない。一つだけならともかく、乱雑に木箱に入れられたそれらは数多くあり、オッタルの腕の中に抱えられているからだ。

 

「・・・・・欲しいと言ったけど、頼んだ覚えはないぞ」

 

「今までの美味しい料理の代価、それから今後の料理の代金の代わりとしてあげるの」

 

代価、ねぇ・・・・・。

 

「そういうことなら、素直に受け取らせてもらうよ」

 

「ええ、受け取ってちょうだいね」

 

オッタルから木箱を受け取る。さて、この金属とどんな素材で作ろうか・・・・・。

 

「オッタル、質問だけど。倒したモンスターは灰になるのはわかるけど、倒さず爪や牙だけ手に入ることってできるか?」

 

「・・・・・可能だ」

 

「へぇ、それならあのモンスターの素材が手に入りそうだな」

 

「どんなモンスター?」

 

フレイヤの疑問に不敵の笑みを浮かべて言い返した。

 

「リヴァイアサン」

 

「「っ!!?」」

 

ということで、やってきましたメレンの港ーーーから離れた大海原! ウラノスのお爺ちゃんから大雑把な場所を教えてもらい、リヴァイアサンの居場所まで飛んで移動した。海上からじゃあ見つけられないが、こうすれば出てくるよな。

 

膨大な魔力の塊を作り、思いっきり海へ叩きつけて沈めた直後。核爆発並に膨大な海水の量が蒸発してはきのこ雲を作った。その音も凄まじく軽く鼓膜が破れ、心臓の鼓動も停止しかけるかもしれない。全てが静寂を取り戻しても空の上で待ち続けた時、ソレがようやく現れた。海蛇のような長く蒼い体躯の巨大モンスター。全長数百Mはあるな。ミドガルズオルムを思い出させる姿だけど、ベヒーモスと同じで大きいな。

 

「さーて、倒さず身包みを剥ぐ作業を始めますか」

 

召喚した竜殺しにして龍を封じる特別な大剣の柄を握り、リヴァイアサンに挑戦する蛮勇の者のごとく前へ突き出す。そして始まる死闘はじっくり時間をかけてリヴァイアサンから素材を大量に剥ぎ取った。最終的に海の覇王が逃げ出すまでがタイムリミットだった。

 

「よしよし・・・角に鰭に鱗に牙、皮が手に入った。牙は少ないがこの大きさならいくつか試作品が作れそうだ。どんな風に作ろうかなー」

 

他にも防具や何かの道具が作れそう・・・・・と脳内で設計図を描きながら久しぶりにオラリオへ帰還を果たす。

 

「正座」

 

でもさ・・・・・何故か四柱に囲まれ、数多の冒険者にも囲まれた状態で正座をさせられることになろうとは想像できなかったよ。

 

「俺、悪い事でもしたか?」

 

「自覚がないんか。自分、単独で独断でリヴァイアサンに挑みよったらしいやん」

 

「うん」

 

「あのモンスターは簡単に手ぇ出してはいかんのや。いたずらに挑んで倒せんのならなおさらやで」

 

倒せなかったんじゃなくて、倒さなかっただけなんだが。ロキからの小言を聞きながら首を傾げ、この茶番に付き合ってやっているとフレイヤが横から割り込んできた。

 

「何日も帰ってこなかったけれど、リヴァイアサンの素材は手に入ったのかしら」

 

「手に入れて来たぞ。ほら、これだ」

 

虚空に浮かぶ魔方陣から巨大な牙を出した。マキシムがリヴァイアサンの牙に触れながら問うてきた。

 

「海の覇王を倒したのか」

 

「太ったエルフに勝手に倒すなって怒られたからまだ生きてるぞ」

 

「生きたまま、リヴァイアサンの牙を斬って手に入れたのか?」

 

「牙だけじゃなくて、これとこれも、他にもこれもとかもな」

 

一つずつ角、鱗、皮、鰭も魔方陣から出すとロキの顔が引きつり、フレイヤが笑みを一層深め、ゼウスとヘラが神妙な顔で見つめてくる。

 

「イッセイ、量はこれだけなのか」

 

「剥ぎ取れるだけ剥ぎ取って来た。リヴァイアサンに逃げられたけど」

 

そういうと冒険者達の間で囁く声が聞こえてくる。

 

「・・・・・海の覇王が逃げ出す」

 

「話だけなら信じられねぇってのに、リヴァイアサンっぽい身体の一部を・・・・・」

 

「何者なんだよあいつ。レベルが【女帝】と同じなのも信じられないのに単独で生きたままリヴァイアサンの素材を剥ぎ取るって」

 

「倒すより難しいことをしてのけるあいつはある意味【女帝】を越えてやがる」

 

「それなのに改宗状態待ちの野良冒険者って・・・・・」

 

「なんでそんな男が今時どこかの【ファミリア】に入っていないのよ・・・・・」

 

うーん、いい感触じゃなさそう。でもま、俺には関係ない事だ。と他人事のように思っていた時。

 

「イッセイ。太ったエルフってロイマンのことだろうけど、勝手に倒すなと怒られた理由はなんでだい。話からして神ウラノスからリヴァイアサンの討伐の許可を得る際に言われたからかな?」

 

説明を求めるフィンからそう言われ、間違っちゃいない予想にさらに真実を付けさせてもらった。

 

「ああ、それな。オラリオに来る前に何も知らず黒い巨獣に挑んで倒しちゃったからだ。後で知ったんだけど、陸の王者ベヒーモスだったんだな? その一件でロイマンて太ったエルフに怒られたんだよ」

 

「「「「「「「「「「は?」」」」」」」」」」

 

「そんで、リヴァイアサンも勝手に倒したらまーた怒られそうだから倒さず素材だけ剥ぎ取るだけにしたんだ。どんなモンスターでもそれができるってオッタルから聞いて興味が湧いて、それならリヴァイアサンもそうしようと、あののモンスターの素材でどんな武器を作ろうかなって行動して今に至るんだが」

 

理由を話し終えたところで場の雰囲気がピリついていたのを肌で感じた。はて、この剣呑は一体・・・・・。

 

「イッセイ、ベヒーモスを倒した事実は本当か」

 

「ギルドに大量の魔石とドロップアイテムを換金したぞ」

 

「・・・・・その時はまだ【ステイタス】の更新もままならなくてレベルが1だったはずだ。それを単独で?」

 

「言っておくけど、俺ぐらいの奴は俺が暮らしていた異世界ではいるぞ。何なら俺より強い人間や神は特にだ」

 

「自分より強い子供って・・・・・マジ?」と信じられないと呟くロキだった。それに首肯する俺にまた質問してくる。

 

「リヴァイアサンと戦って一人で倒せると感じれたのかい」

 

「確実に倒せる。それだけは言えるな。黒竜は見たことないからわからないけど」

 

分ってたまるかー! とヘラの怒声を受けた次に唾を飛ばす勢いで提案というか、強制的な事を言われた。

 

「お前、それだけの力がありながら野良のままでいるんじゃない! 絶対に【ファミリア】に入りな! 単独でベヒーモス、リヴァイアサンと戦い無傷で生き残る実力が勿体ないわ!」

 

「確かにじゃな。お主の協力があれば三大冒険者依頼も達成できるかもしれぬのに、お主の気分でリヴァイアサンを生殺しされては儂等の立つ瀬はない」

 

「ああそれな。ウラノスからも協力してやってくれって言われてる。だからゼウスとヘラの【ファミリア】と一緒に戦うつもりはあるぞ」

 

ゼウスとヘラが間抜けな表情を浮かべている間にリヴァイアサンの素材を回収する。シン、とまだ沈黙する二柱が静寂を纏う。話はこれでお終いかと思って立ち上がったら今まで黙ってたザルドが口を開いた。

 

「残りのリヴァイアサンと黒竜だけ協力してくれるのか。共にダンジョンの攻略の協力は?」

 

「んー、そこまでウラノスから何も言われちゃいないんだけど・・・・・ザルド達だけで十分なんじゃないのか? ダンジョンに入ったことないからわからんけど。全部洞窟みたいな場所だろ?」

 

「全てではないぞ。森や植物が生えている階層があるならば地下迷宮とは思えない水の都と呼ばれるほどの巨大な滝があり、砂漠の世界、湿地、氷の世界もあるんだ」

 

「【ゼウス・ファミリア】と【ヘラ・ファミリア】だけで十分とも言い難いからな。お前は知らないだろうが俺達が攻略できている階層は62階層。地上からそこまで辿り着くのに十日以上も掛かる。モンスターからの襲撃にも遭えばさらに日数が遅れる。長期の遠征で運び込める水と食料、その他諸々の物資を考慮すれば長居は出来ないんだ」

 

ダンジョンを長らく攻略している先達者からの指摘に感嘆の息を漏らす。自分の足のみでダンジョンの中を歩き、自分の命を引き換えに探索している冒険者達の過酷と苦労、危険と命懸けの片鱗を教えられたような気分になった。

 

「イッセイの世界にはダンジョンがないと聞くが、モンスターもいないのか?」

 

「いなくはないぞ。ただ、人類に危害を加えることは滅多にない。人の姿に変身して人間社会に紛れ込んで暮らしているモンスターもいるしな」

 

人の姿に化けるモンスター、その言葉に強く反応する冒険者達。警戒を強めて武器に触れるある男の冒険者を制するマキシムに問い詰められた。

 

「おい、そのモンスターが一番危ないじゃないのか? 人知れず襲っていると思わないのか」

 

「そういうことができるモンスターを全部知っていたり見たわけじゃないから断言しないぞ。俺が知っている範囲の友好的なモンスターでしか知らないからな」

 

こいつ等にとって『友好的』なモンスターは信じられないだろうがな。また別の女冒険者にも問い詰められる。

 

「まさかだと思うが、お前がその人間の姿に変身したモンスターじゃないだろうね」

 

「おいこら、そこのお前。そういう人間同士が疑心暗鬼を生ずることを言うなよ。それだったら日頃ダンジョンの中で探索して寝ている内にモンスターに寄生されて無自覚に身体を乗っ取られてないだろうな、って似たような事を言われて身の潔白を訴えられることができるのか? 信用と信頼だけでは見抜けないこともあるんだぞ」

 

「っ―――!」

 

名も知らぬ女冒険者は言い返されて口を閉ざしてダンマリとなった。視線を変えて【ゼウス・ファミリア】と【ヘラ・ファミリア】を見回せば誰一人として答えなかったので鼻を鳴らす。

 

「まぁ、さっきの質問に答えるとするなら・・・・・その通りだ。俺はモンスターだよ。ある方法で人間からモンスターに転生してしまったけどな」

 

全身から迸る莫大な真紅のオーラ。人の形を変えながら真紅の鱗に覆われた異形に変わる俺を見て冒険者達は俺を人ではなく別の何かを見る眼差しで向けてきて、臨戦態勢の構えに入った。

 

「『砲竜』ッ!!?」

 

「違うっ、あの竜は翼を持ってないっ。そもそもあんな小型じゃない!」

 

「倒すかっ」

 

「待てっ! レベル9のモンスターだぞ、オラリオで暴れられたら大災害になる!」

 

「リヴァイアサンを凌駕してる本当の理由がこれなら納得できる!!」

 

頬を掻きながら人の姿に戻る俺をまだ警戒する数多の冒険者を置き去りにフレイヤが話し掛けてくる。

 

「あなたの正体がドラゴンなのは理解したけれど、人間からドラゴンに転生することができたのはあなただけかしら?」

 

「今のところ、そうだな。ドラゴン以外で転生できる種族を挙げるなら悪魔と堕天使に天使だけだ。とある神器の能力を使えば生きたまま他の種族に転生することができる」

 

「その転生の方法は?」

 

「悪魔の場合は悪魔の駒【イーヴィル・ピース】というチェスの駒の役割をベースにした特殊な道具で、人工的で純粋じゃない転生悪魔に転生することができる。天使は俺の世界の天界で創った転生天使になれるトランプを使う」

 

「その道具を持っているのかしら?」

 

いい質問ですね~。勿論ありますとも。虚空に描かれた魔方陣からからケースを取り出して、中身を見せた。

 

「これが悪魔と天使の力を振るえる道具だ」

 

フレイヤだけじゃなくロキも興味深々で近付き、この世界では唯一の道具を見下ろす。

 

「異世界では子供を違う種族にしてしまう道具があるんやなぁ~・・・・・。触ってもええ?」

 

「ダメだ。神でも転生するかわからないけど、万が一ってことで触らないでくれ」

 

「イッセイ、転生したら何か特別な恩恵を得られるのかしら?」

 

「共通の恩恵は半永久的に生き長らえることはできること。ドラゴンに転生した俺もそれぐらい長生きするみたいだ。実感はないけどな」

 

これを言ったらこの二柱の女神が驚きながらも称賛するだろうなーと思ってたら案の定だった。

 

「そら凄いわっ! そんならウチらとずーっと生き続けられるやないか!」

 

「そうね。それが事実ならますますあなたが欲しいわ」

 

勝手に盛り上がるロキと熱い視線を送ってくるフレイヤ。対してゼウスとヘラは難しい顔と凄く何か言いたげで睨んでくる。

 

「・・・・・のぅ、イッセイ。お主は元人間でドラゴンであること兵藤誠に式森一香は知っておるのか?」

 

「知ってるぞ。で、俺に人間の時と変わらず深い愛情を注いでくれたから今の俺がいるんだよ」

 

「人間ではなくてモンスターになってしまっても、自分の子供として愛情込めて育てるなんて、相変わらず常識外れな奴らね」

 

ヘラが呆れ混じりに言う言葉に否定できない。うん、まぁ・・・・・否定できないどころか俺も同感だよそこは。

 

「俺もそんな親の子供だから今後も常識はずれなことをたくさんすると思うからよろしくな」

 

「例えば?」

 

「えーと、各階層と地上と行き来できる転移の魔方陣を創ってみたり、異世界式の武器を作ったりとか? 魔方陣の方は何時するか未定だけど」

 

所々から感嘆の息が漏れ出した。

 

「うん、それについては是が非でも完成して欲しいものだね。ダンジョンの中の移動が大幅に短縮するし、探索の時間が大幅に増えるからね」

 

「おお、確かにその通りじゃ。荷物を運ぶ手間も省けるわぃ。よろしく頼むぞイッセイ」

 

「今後の【ファミリア】のことを思えば必要不可欠になる移動手段となるな」

 

フィン達が期待の眼差しを向けてくる。これ、本当に作らないといけないな・・・・・。

 

「この世界のモンスターではないのであれば、変に警戒しても損するだけだなザルド」

 

「モンスターなのは認めているが、俺達に襲わない保証はないぞ」

 

「それは彼を襲うか、悪意や敵意を向けたらの話だろう。ベヒーモスを倒し、リヴァイアサンを凌駕するモンスターの、彼の力は黒竜討伐をしなくてはならない俺達にとって些細なことを気にしていられないのは事実だ。【女帝】もそうだろう」

 

「色々と思うところはあるけれど、アルフィア達の病を治してくれた貸しがあるからね。モンスターの件は目を瞑る。それで構わないでしょ」

 

話し合いが終わったそのあと、解放された俺は工房に籠った。龍神化となった状態で青白い天使変化、青白く燃え盛る炉、熱気で充満する工房。鋏で高温に熱した赤く染まった鉄床の上に置かれた金属に振るう鎚が叩くと、不純物が飛び散る火の粉となり、それは空中に走る真っ赤な閃光ともなる。カァンカァンと金属を叩く音が飽きるほど鳴らし、炉から漏れる火照りに顔を汗流しながらも目の前の鉄と真摯に向き合っている、長髪を結った俺の作業はカァンと最後の鎚を振り下ろしを経て、手の動きを止める。そこから一呼吸も置かず鉄床の上にできた剣身を鋏で持って水が張った鉄器の中へ差しこむように入れた。じゅううっ、と立ち上る湯気。研がれ、磨かれる刃。素人が傍から見ても理解が及ばない作業を長い時間を掛けて行った後、一振りの大長剣が完成する。

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