元不死人と愉快な仲間たちによるハッピーエンド検討会 作:コネコネさん
そして、とうとう今回は水着回+芦花さんヒロイン回です!
どうぞ、お楽しみください!
俺の説教が終わってひと段落したところで、全員浜辺でゆっくりして雑談に興じていた
「この前の歌配信めっちゃよかったけど~」
「ね~。かぐやちゃんゲームも歌も上手いよねぇ」
「シューティングゲームに関しては俺よりうまいしな」
「天っ才!歌姫ですから!」
「オリジナル曲も良かったしさ」
「わかる~」
「ふふん♪」
かぐやは二人から褒められて嬉しいのか文字どおり天狗になっている
かくいう俺もかぐやが褒められて鼻が高い
得意げになっている俺たちを見て彩葉は呆れている
まあすぐに褒めの矛先が彩葉の方に行って本人は恥ずかしがっているようだ
というか俺も裏方の準備を手伝っていたとはいえ二人とも色々やったよなぁ....
歌配信だろ?鬼畜ゲー耐久に巨大ペットボトルランチャー*1、俺(太陽として)とのギャンブル配信....あれは、嫌な思い出だったな....*2
「う~、まだまだ足りない!どうすればいいのだー!」
現在かぐやの順位は280位
無名からここまで行くのはほぼ不可能に近い
しかし我らがお姫様はまだまだ満足していないようで「私は不満だー!」とでも言うように、足をバタバタさせながらツインテールを振り回している
「ゆうしょうしたい~!」
「でももう結構いろいろやったしねー」
「やはりここは彩葉が着ぐるみを脱ぐことで新たな需要をだねぇ...あぁ!うそ!今の嘘!!」
余計なことを言った真実への仕返しは、真実の焼きそば一気食いであった
悲しそうな真実に一瞬同情したが、さっき同じ焼きそばを二つ食べていたことを思い出し、すぐに同情の念は消え去った
二人のコントが終わったタイミングでかぐやが何かいいアイデアを思い付いたようで
「やっぱ歌!オタクたちも皆喜んでたし♪」
「オタクゆうな」
「そうそう。そのオタクたち(リスナー)に支えられてるのが俺たちライバーなんだからな」
リスナーがいなけりゃそもそもライバーって職業は成立しないからな
「あ!それに加えてパパとコラボすれば「それはダメだ」...なんで!?」
「これだけはほんとにダメ」
かぐやから疑問に満ちた視線を向けられるが、今は...今だけはダメなんだ....!
現在の俺のリスナー層は80%以上がマネモブ、残り15%は対人狂、マトモなのはほぼいねぇんだ...!
直ぐに彩葉と芦花も加勢に入り、コラボ配信は見送ることが決定したのであった
そしたら今度はこっちの要求を呑んでもらうとでも言わんばかりに新曲の提案をし始めたかぐやと、それに対抗する彩葉という構図になっていった
「彩葉、新曲作ってよ~。伴奏もして♡」
「これ以上勉強とバイトの時間は減らせません」
「彩葉断れると思う?」
「今までの経験からして、もって10分当たりとみた」
「お~流石かぐやパパ」
「でも海来てんじゃん!」
「マジなエリートは遊びもおろそかにしないはず。睡眠時間削ってでも遊ぶ」
「倒錯してるなぁ...」
「多分それってそういう意味じゃないだろ...」
そんなことを言っている間にかぐやの泣き落とし作戦が始まり、彩葉を追い詰めていく
そしてついに...
「まあ、時間が空いてたら...」
絞りだしたかのようなうめき声と共に、かぐやの勝利は決定した
「よしゃー!!もっともっと配信するぞー!!!」
「何故断れない...何故!」
「ちょろ葉~」
「ちょろ葉だねぇ~」
「ちょろ葉だなぁ」
最低5分は持つと思ってたんだが当てが外れたな
「三人ともうっさい!特に太陽には人の事言われたくない!!」
「俺は元々甘いからなぁ」
「ぐぬぬ....って何!?カニ!?」
彩葉が釈然としない、という顔をしていると、かぐやのひっくり返した石の裏から数十匹のカニが出てきて何故か彩葉の足元を集中的に狙っている
「いっぱいカニいた!いっぱい集めて、軍隊作る!」
元気いっぱいにとんでもないことを言うかぐやとそれを聞く余裕のない彩葉の茶番は、端から見ると結構面白いのだが...
小さい敵...たくさん...甲殻類...ウッ、頭が
俺がトラウマに脳を支配されていると、芦花と真実が話かけてくる
「彩葉、明るくなったよね~」
「突然ふっ、て消えていっちゃいそうだったからね」
「まあそうなったとしても俺ががっちり捕まえておくけどな」
「変わったのは太陽君もだよ~」
「えっマジ?」
そうだったん?
「太陽はなんていうか...私たちと一線引いた感じだったからね」
「そうそう、違う世界を生きてるみたいだったよ~」
.....確かに言われてみれば心当たりあるな
俺はあのくそったれな世界出身な上に転生者だ
この世界にとって俺は異物なんだと心の奥底では思ってたんだろう
だけど、この星にとって異物なのに、そんなこと欠片も気にしてないかぐやの姿を見て、吹っ切れたのかもしれない
今更ながらそれに気づかせてくれた芦花と真実、かぐやには一生頭が上がらないな
彩葉?元々頭が上がらないからノーカン
そして、二人の声が重なる
「「どんな魔法。使ったの?」」
「?」
どうやら自分がすごいことをしたという自覚はかぐやにないようだ
あ、そうこうしてるうちに彩葉がこっちに向かってきた
「か~ぐ~や~!」
「わ~彩葉が怒った!逃げろ~!!」
「待てー!!!」
二人はそのまま遠くまで走り去っていった
というか何気にかぐや足早いな
彩葉体力テスト満点とかいう
「当分この鬼ごっこは終わらなそうだな」
「だね~」
「腹減ったし彩葉のご機嫌取りも兼ねて何か買ってくるわ」
「あ、じゃあ私の焼きそばもおねが~い」
あんだけ食ってまだ食べるのか...(戦慄)
「いやまあいいけど...芦花はどうする?」
「あ、なら私も一緒に行く」
「? 別に一人でも問題ないぞ」
「いーの。私が行きたいだけだから」
「それならいいんだが...」
「ほうほう、これはもしやデートなのでは~?」
「デッ!?!?!?!」
「...勘違いさせるようなのはやめてくれ」
本当にやめてくれ
精神はクソジジイ、けど体は若者なせいで精神が肉体に引っ張られてるんだよ...
「私は勘違いしてくれてもいいんだけど...」
聞こえてるんだよ畜生
あークソ、今ほど不死人に戻りたいと思った瞬間はねえよ
ぜっっっったい戻りたくねぇけど
「それに、俺みたいなロクデナシよりもっといいヤツいるだろ」
「うんうんそういうことにしておくね~」
「そういうことにしといてくれ。んじゃ行くか」
そう言って芦花の手を取って屋台の方に向かう
芦花の顔が真っ赤になってることなんて知りません
知らないって言ったら知らないんだよぉ!
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SIDE:芦花
今、私の手を取って前を歩いている太陽という男は、私が惚れた人だ
何で惚れたかって?あれは確か高校に入学してすぐあたりだったかなぁ...
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「ねぇねぇ今一人?お茶とかどう?」
「連絡先とか教えてよ~」
「あの、やめてください」
この時私は今時珍しいナンパをされていた
こう言っては何だが私は美人だ
将来は美容系の道に進みたいという目標もあり、努力は怠っていないつもりだった
でも、この時ばかりは自分の容姿を恨んでしまった
だって、自分より大きい人が下心に満ちた目で私の体を見てたんだよ?怖くて、心細くて、兎に角逃げたいって思ってたっけなぁ...
「私これから友達と予定があるので、それじゃあ」
勿論嘘だ
理由は何でもいいからこの人たちから離れたかった
でもあっちはそんなこと関係ないと言わんばかりに私の腕をガシッと強く掴んできた
「ッ...! 離してください!」
「あ~そういうの良いから」
「大丈夫大丈夫、変なことはしないから...」
目が合った瞬間、それが嘘だと気づいた
まったく目が笑っていなかった
私がこれからどうなるのかを直感的に理解し、同時に絶望した
その時、心の中で「誰でもいいから助けて!」と叫んでいた
その行動に意味は無いことは分かっていたが、そうでもしないと可笑しくなってしまいそうだった
しかし、私の予想に反して助けが来たのだ
「てめえら何してんだ?」
この時助けに来てくれたのが太陽だった
「君こそ誰かな~?」
「もしかしてヒーローごっこ?うっわダッサw」
当時の太陽は今と違って平均位の身長しかなかったからナンパしてきた男たちも余裕そうな雰囲気だった
「この光景見られちゃったからにはこうするしかないよねッ!!」
口封じのつもりか、ナンパ男たちの片割れが太陽の事を黙らせようと攻撃を仕掛ける
その瞬間私は反射的に目を閉じた
何度か鈍い音がして、恐る恐る目を開けてみると
太陽は棒立ちのまま、顔を思いっきり殴られていた
もう一人の男に手を掴まれて何もできない自分の無力を呪った
名も知らない男の子に申し訳がなくて泣きそうにもなった
しかし、それは大きな勘違いだったのだ
黙ったまま顔を何度か殴られていたが、何故か突然殴っていた男の方が蹲ってしまった
「ウグッ...て、手が!!!」
まさかの殴っていた拳の方が砕けたのだ
そして、蹲った男を一瞥して太陽は静かにこう言った
「これで正当防衛成立だな」
そう言って蹲った男の後頭部にコンクリが割れるほど強烈な拳骨を叩き込み、一撃で気絶させた
一瞬何が起こったのかわからず放心してしまったが、仲間を失神させられた片割れが私より早く現実に戻る
「て、てめぇ何しやがる!!!」
「そりゃこっちのセリフだ。テメエらこそ何しようとしてやがった」
目に見えない威圧感とも言うべきものが片割れを襲う
片割れは仲間をちらっと見て、おびえた様子で太陽に叫ぶ
「お、俺たちをなんだと思ってやがる!!!俺たちはあの
しかし太陽は興味なさげに飄々としていた
「....で?それがどうした。今、この場は俺とお前がやるかやらないかの二択しか無いんだぜ?」
「最も、やるってんなら容赦はしねぇぞ」
「竜殺しは騎士の誉れだからなぁ...!!!」
「ヒッ....!」
最後の一言で片割れの心が完全に折れたようで、片割れは仲間を置いて私を突き飛ばしながら走り去っていった
私が突き飛ばされた先には太陽がおり、あの男たちがいなくなった事への安心感と、巻き込んでしまったことへの申し訳なさが混ざり合って泣き出してしまった
...あの時は本当に申し訳ありませんでした
太陽は突然泣き出してしまった私に混乱して、どうにか泣き止ませようとしてくれた
「えっ、あ、ごめんなさい!怖かったですよね!え~っとこういう時どうすれば...」
あの手この手で私を泣き止ませようとしていた太陽の姿が面白くてつい笑ってしまい、すぐに涙も引っ込んでくれた
太陽は泣き止んだ私を見て心の底から安心した、という表情で私に優しく語り掛ける
「良かった...お怪我はありませんでしたか?」
この瞬間、私は太陽に惚れたんだ
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今思い出しても漫画みたいなシチュエーションだなぁ...
あの後、駅まで送ってもらい家まで帰ったが、心臓がドキドキして全く寝れなかったのを覚えてる
高校でも彩葉と真実という親友が出来て順風満帆な高校生活を送っていた
しかも、学校から帰る途中で偶然太陽を見つけることが出来た
私は居ても立っても居られなくて急いで太陽を追いかけていった
でも、今はちょっと後悔してる
だって、
あの後、どうやって帰ったのか記憶にない
家に帰ってからもあの光景が頭の中をぐるぐる回ってしまい、まったく眠ることが出来なかった
学校に行く気分にもなれず、体調不良として休むことにした
休んでいる間は彩葉と太陽の事ばっかり考えていた
どうすればいいのか誰にも相談できず、考え付いた方法は一つを除いて二人を傷つけるものだった
そして、私が選んだのは二人が傷つかない方法だった
その方法とは、「諦める」ということだった
この選択をしたことで、ずいぶんと心は軽くなった
学校にも行けるようになり、太陽と再会することもできた
これでいいんだ、これで良かったんだ
そう思ってたはずなのに
「芦花、大丈夫か?」
「...うん、大丈夫!」
お願いします神様、
すごい負けヒロインっぽくなってしまいましたが、しっかりヒロインなので安心してください