勇者を殺してください。 〜 全ステータス#N/A《エラー》の俺が、レベル999の勇者を殺せる唯一の存在だった理由 〜   作:こうタロス

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第14話「グルーvsシルバーストリート」

「あ、あれは……」

 

マオはシーカの背後に突如現れた、黒い物体に注目する。

人型で頭はジャッカル、金の首飾りを拵えている。

身体は透けており脚はない。

 

あれは、アヌビス……?

シーカのスキルか?

 

「私のスキル、"三理合わさりて真理となる(クルード)"は、殺害した方法、場所、犯人を言い当てると発動する。

つまり、犯人は"アレク・ペトロ"さん、"ローラン・シロフ"さんあなたたちで間違いない。犯した罪は必ず自身に牙を向く……

私の助手"ジョンソン・ジェームス"を殺した罪は重いぞ……?」

 

アレクとローランは顔を見合わせ不適な笑みを浮かべる。

 

「ふははは!

俺たちの暗殺がバレたのは初めてだ!」

 

「まぁ、良い!おい、トスティ!

"ジョンソン・ジェームス"は殺したんだ!

早く宝石を……」

 

「な、なんのことだ!」

 

犯人とトスティのやりとりに疑問を覚えるシーカ。

 

「トスティさん、あなたもグルなのか?」

 

「し、知らない!

こいつらが勝手に……」

 

白を切るトスティにアレクとローランは近づく。

アレクはトスティの顔の前に手を伸ばす。

 

「宝石を早くよこせ!

死んでもいいのか……?」

 

トスティは手をあげる。

トスティのポケットを調べるローラン。

 

「あった……これが、ローズジェム!」

 

ローランは宝石を取り上げ眺める。

 

———ゴォン……ゴォン……ゴォン……ゴォン……ゴォン……ゴォン……ゴォン……

 

時計台の鐘の音が鳴り響く。

どうやらPM8:00になったようだ。

8回目の鐘の音が響き渡る。

 

———ゴォン……

 

その途端、ジョンソンの遺体から勢いよく影が広がった。

影は部屋全体を覆い、光を奪う。

見覚えがあるのかシーカの声が部屋に響く。

 

「こ、この影は……!」

 

「ふはははは!

見事な推理であったぞ!

名探偵"シーカ・ホームズ"!」

 

「怪盗シャドウ……!!」

 

「では、予告状の通り"ローズジェム"は私がいただいていく!」

 

部屋を包んでいた影は引き、光が差し込む。

アレクとローランの騒ぎ声が聞こえる。

 

「お、おい!ローラン!宝石はどこにやったんだよ!!」

 

「あれ!?ない!」

 

ローランは辺りを見渡す。

どこを探しても宝石は見当たらない。

視線はトスティに向かう。

 

「おい、トスティ……

お前、俺たちをハメやがったな!!」

 

「わ、私は知らない……!」

 

「俺たち"グルー"を騙すなんていい度胸じゃねぇーか……!」

 

「殺される覚悟はできてるんだろうな!!」

 

アレクとローランはネクタイを緩め、帽子を脱ぎ捨てる。

アレクは手袋を投げ捨て、構える。

ローランはアレクの肩に手を置く。

 

"グルー"……

昨日のピアノ奏者の女性と同じギルドか……

つまり……暗殺者ギルド

 

ローランはスキルを詠唱する。

 

「【フィジカルブースターNo.3(ナンバー・スリー):軽きは重きを制す(フェザーコントロール)】!!」

 

「ははっ!身体が軽いぜ!!」

 

アレクはジャンプをする。

その高さは2mを超えていた。

3回ほどジャンプを終えると地面を蹴る。

身体はトスティを捉えていた。

 

「トスティー!!宝石をよこせ!!」

 

アレクは一瞬で距離を詰める。

トスティの顔面目掛けて手を伸ばす。

シーカは状況を理解したのかトスティに手を伸ばす。

 

「トスティさん……!!危ない!」

 

シーカの叫び声と同時に黒い影がアレクの前に立ちはだかる。

その正体はシーカのスキル、"三理合わさりて真理となる(クルード)"で出現した人型の黒いジャッカル(守護霊)であった。

 

アレクの手と守護霊の手が衝突する。

シーカのスキル、"三理合わさりて真理となる(クルード)"で出現した守護霊は殺害方法をコピーする。

つまり、真空を纏った手同士が衝突したのだ。

衝突地点を中心に身体が吸い込まれる。

 

「おい!!みんな頭を下げて!!」

 

シーカの叫び声が響き渡る。

その瞬間、身体を吸い込む風はなくなった。

そして、衝突地点から衝撃波が発生し身体を吹き飛ばす。

現場にいた全員が衝撃波により壁際へと吹き飛ばされた。

 

「な、なんだ!なにが起こったんだ!?」

 

マオは状況を把握するため、辺りを見渡す。

反対の壁には今まさに壁を蹴り、次の攻撃を仕掛けようとしているアレクの姿。

その方向はシーカを向いている。

 

「おい!シーカ!危ない!!」

 

マオが忠告したのと同時にアレクが壁を蹴り発射される。

 

「先にお前を殺してやるよ!名探偵さんよぉ!!」

 

「……っは!?」

 

シーカはせめてもの防御で手で顔を守る。

その前には守護霊が立ちはだかる。

 

「今だ!アレク!!探偵を!」

 

しかし、横からローランが守護霊を殴り飛ばす。

自信にスキルを施し腕力をあげたパンチは守護霊をいとも簡単に吹き飛ばした。

アレクはシーカ目掛けて手を突き伸ばす。

 

「ははっ!ナイスだローラン!!

あばよ!!探偵!」

 

突如カフラが行手を阻み、静かに詠唱を始める、

 

「【錬成術Formula.5(フォーミュラ・ファイブ): 姿は変われど、理は変わらず(メタモルフォーゼ)】……」

 

カフラが床に触れると、左腕に床と同じ素材の盾を作り出し、アレクの攻撃を受け止める。

 

「な、なんだ……急に盾が出やがった!」

 

すかさずカフラは一歩踏み込む。

盾は形を変え、右手にグローブのように纏わりつく。

右腕を大きく振りかぶり、アレク目掛けて殴り込む。

 

「ぐふぉっ!」

 

顔面に直撃。

アレクは吹き飛び壁に激突した。

カフラはシーカに駆け寄る。

 

「大丈夫か?シーカ!」

 

「カフラくん……

ありがとう……助かった!」

 

マオも隙を見てカフラとシーカに駆け寄る。

 

「カフラ……!

あんな強いスキルを持ってたんだな!」

 

「ふん!

俺の名前はあの伝説の英雄カフラマンからつけられているだ!

だから喧嘩も強い!!」

 

アレクに駆け寄るローラン。

 

「だ、大丈夫か?アレク!」

 

「あ、あぁ、なんとかな……

それよりなんだ、あの若造は……

奇妙なスキルを使いやがる……」

 

アレクは立ち上がり構える。

ローランも続くように構えた。

 

「遊んでいる場合じゃなさそうだな……

ローラン……プランFだ!」

 

「あぁ!分かった!

【フィジカルブースターNo.3(ナンバー・スリー):軽きは重きを制す(フェザーコントロール)】!!」

 

スキル詠唱と同時にアレクは腕をムチのように弾く。

高速の真空の刃がカフラ目掛けて発射する。

それに気づくマオ。

 

「カフラ危ない!!」

 

マオはカフラの頭を抑える。

真空の刃はカフラの髪先を通過し壁を切断する。

カフラは後ろを振り返るとそこには壁一直線に

切断の跡が。

 

「やっべえー……死ぬところだったぜ……

マオありがとな!」

 

「ふぅ……焦ったぁ……

あの真空使い、かなり厄介だな……」

 

カフラは切られた髪先を確認する。

 

「俺にあの真空のおっさんをやらせてくれ……!

マオはあの強化野郎を頼む」

 

「1人でいけるのか?」

 

「あぁ、俺に考えがある!」

 

シーカはマオに駆け寄る。

 

「マオ、私も戦うぞ」

 

「ありがとう!シーカ!」

 

それぞれターゲットに向かって構える。

負ければ殺される……

命がかかった重い空気が現場に流れる。

 

———ゴォン……

 

時計台の鐘が鳴り響く。

それを合図かのように一斉に戦闘が始まった。

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