お疲れ様。いま、暗い部屋でスマホの画面を見つめながら「明日も仕事行きたくないな……」って、ため息をついていなかったか?
毎日遅くまで残業して、理不尽な上司の機嫌をとって。
誰かがやるべき面倒な雑務を、「あ、私がやりますよ」なんて無理に作った笑顔で引き受けて。
痛いほどわかるよ。数年前までの俺が、まったく同じだったから。
今日は一つ、俺の話を聞いてほしい。
もしこの話にタイトルをつけるなら、そうだな。どストレートに『モンスター社員になるために俺が頑張ったこと』だ。
冗談を言っているわけじゃない。俺はいたって本気だ。
以前の俺は、いわゆる「社畜のエリート」だった。
会社から頼まれた仕事に「NO」なんて、口が裂けても言えない。自分の業務が完璧に終わっていても、フロアに先輩が1人でも残っていれば帰り支度すらできなかった。
上司の虫の居所が悪くて理不尽な八つ当たりをされても、「申し訳ありません、僕の努力不足です」と、すべての泥を飲み込んでいたんだ。
波風を立てず、ただひたすらに耐える「いい子」。それが社会人のあるべき姿だと思い込んでいた。
でも、その結果どうなったと思う?
ある朝、突然ベッドから起き上がれなくなった。
頭では「会社に行かなきゃ」と叫んでいるのに、体が鉛みたいに重くて指先一つ動かない。心臓だけが壊れたようにバクバクと音を立てていた。
その時、会社に欠勤の連絡を入れるため、震える手でスマホを握りしめながら……俺は決心した。
「そうだ、モンスター社員になろう」って。
会社でどれだけ嫌われようが、周りから「常識がない」と白い目で見られようが、もうどうだっていい。自分の心と体は、自分自身で守るしかない。
この理不尽に回る歯車のようなシステムの中で生き残るためには、こっちも
でも、長年「いい子」の仮面を被って真面目に生きてきた人間が、急にモンスターになるのは至難の業だ。
だから俺は、自分を変えるために、信じられないくらいめちゃくちゃ努力した。
第1の試練は、【定時退社】という牙を剥くこと。
定時のチャイムが鳴った瞬間、パソコンをシャットダウンして席を立つ。言葉にすればたったそれだけのことなのに、当時の俺にとっては、パラシュート無しでスカイダイビングをするくらいの勇気が必要だった。
「お疲れ様でした!」 と席を立つときの、周囲の「えっ、あいつもう帰るの?」という凍りつくような冷たい視線。
あれを背中に浴びても平静を保つために、休日に1人、部屋の中で「冷たい視線をスルーするイメージトレーニング」を何百回もやったからな。
第2の試練は、【魔法の呪文】を口にすること。
その呪文とは、「それは私の業務範囲ではありません」という言葉だ。
他部署から押し付けられた丸投げの仕事や、上司の思いつきで発生する謎のタスク。これらを真っ向から弾き返すために、家の洗面所の鏡に向かって毎晩練習した。
目をそらさず、無表情を作る練習。「そんな冷たいこと言うなよ」と情に訴えかけられても、絶対に揺らがない鋼の心臓を作る。
この呪文を噛まずに、堂々と言い放てるようになるまで1ヶ月はかかった。
そして極めつけの第3の試練が、【有給休暇の自由取得】だ。
「来月のこの日、休ませてください」と申請した時、「なんで休むの? 今の時期忙しいの、分かってるよね?」と圧をかけられるお決まりのパターンがあるだろ?
それに対して、「特に理由はありません。ただの有休消化です」と言い返す練習。
これにはしびれたよ。手汗をびっしょりかきながら、上司の目から視線を逸らさずに言いきった時のあの震えは、今でもはっきりと覚えている。
そんな血のにじむような(?)努力を重ねた結果、俺はどうなったか。
見事に社内で、「あいつは扱いにくい、自己中心的なモンスター社員だ」と腫れ物扱いされるようになった。出世コースなんてものは、一番に外れたさ。
評価会議での俺の点数は毎回低空飛行だし、誰も俺に無駄な仕事を振ってこなくなった。
でもさ、不思議なものでね。
俺の顔色は見違えるように良くなったし、睡眠薬に頼らなくてもぐっすり眠れるようになった。何より、自分の時間ができたことで、毎日息をするのが本当に楽になったんだ。
それに、最近ちょっとおかしなことが起きていてさ。
新入社員や若手たちが、なぜか俺のところにこっそり相談に来るようになったんだよ。
「どうしたら、先輩みたいに堂々と定時で帰れるんですか?」
「有給って、どうやって申請するのが正解なんですか?」ってね。
会社からはモンスター扱いされているはずの俺が、どうやら彼らにとっては「働き方の希望の星」らしい。笑えるだろう?
あなたも、もし今、会社や誰かのために自分の心をすり減らして、限界ギリギリの場所で立ち尽くしているなら。
騙されたと思って、少しだけ俺みたいな「モンスター」を目指してみないか?
もちろん、いきなり明日から会社で大暴れしろとは言わない。
まずは今日の夜、お風呂上がりに鏡の前で「会社の代わりはいても、俺の人生の代わりはない」って、声に出して言ってみることから始めてほしい。
人生は、会社を回すための歯車として消費されるためにあるんじゃない。
あなたが、あなた自身のために、笑って生きるためにあるんだから。
……よし、俺の話はこれで終わりだ。
俺? 俺はこれから家に帰って、キンキンに冷えたビールを飲みながら、録画して溜まっていたアニメを見るよ。
じゃあな。あなたも、あんまり無理するなよ。
明日1日くらい会社を休んじゃっても、世界は滅びないし、誰も死なないんだからさ。