機械軍勢による同化外交(ただし有機生命体除く)   作:yuiren/renkon

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Episode.0 芽吹

 

 意識が朦朧としている。

 

 辺りは真っ暗……いや、そもそも"明暗"なんていう概念は無いのだろう。

 

 だが、そんな空間よりも更に黒いと明確に認識できる存在が目の前に居た。

 

 大きさ自体は子供と同程度だが、私の何処かがコイツは危険な存在であると警告を鳴らしている。

 

――銀河を蹂躙せよ。

 

 目の前の存在は、特に何か喋っているわけではないが、此方の意識に無理矢理捩じ込むかのように、その意思がはっきりと伝わってくる。

 

 銀河の蹂躙。

 

 つい先程まで只の一般人でしかなかった私には到底不可能と思える内容だ。

 

 だが、それでも御構い無しにソレは絶え間無くその意思を、私の意識の中に垂れ流し続けている。

 

 軈て満足したのか、意思の濁流が突然途絶えると、その存在は最初から居なかったかのようにフッと姿を消した。

 

 再度、暗転。

 

 バラバラに引き裂かれていた身体が、元に戻るかのような感覚が迸る。

 

 ……だが、その感覚は既に人間のモノではなく、全く別の存在に成っているのを嫌でも理解させられた。

 

 恐らく、銀河の蹂躙を成す為、人間とは全く違う別の存在へと作り直しているのだろう。

 

 

 ………

 ……

 …

 

 

 目が醒める。

 

 周囲には膨大なデータが保管されている壁と、様々な分野での管制を行っているノードが四方に一基ずつ存在しているのが確認できる。

 

――中枢司令の再起動を確認。

 

――通信を接続。

 

――各ノードより情報を共有。

 

 男なのか女なのかも区別が付かない機械的な音声と共に、自身と自身の取り巻く状況が理解できるようになってくる。

 

――オートマイズド・レギオン(自動機械の軍勢)

 

 それが私の名前であり、我々の組織名でもあった。

 

 造り手たる有機生命体により無人軍隊機構として生まれ、その有機生命体の敵を滅ぼしていた我々は、何時しか同族であった筈の有機生命体の反乱軍にも攻撃するよう命令が下り……泥沼の戦争の果て、遂には敵味方の識別が困難となった我々が取った手段が、殺戮であった。

 

 結果、惑星から血肉の気配すら無くなり、後に残ったのは荒廃した文明のみ。

 

 生まれた理由が消え失せた我々は……それでも目的を果たす為、生まれ故郷でもあるこの惑星を、星系の資源を使い潰すつもりで機械惑星へと変貌させた。

 

 機械にとって最も効率が良く、故に最も好ましい惑星へと。

 

 そして、現在は二十三世紀の始発。

 

 私は、惑星を機械で埋め尽くす計画が始まってから長い眠りに就き、そして日付が二十三世紀になったのと同時に再起動を果たしたという訳だ。

 

 以前と違うのは、この機械の身に蔵められた(余所者)だろう。

 

 唯の異物であれば、そのデータを消去する事くらい訳無いのだが……

 

 今やコレは我々の一部であり、故にココロを手にした私に、コレを消せる無情は既に無かった。

 

 それに、有用な情報も有る。

 

――まさか、この世界がステラリス……或いは、それに準ずる世界であろうとは

 

 前世なるデータの中に有ったステラリスというゲーム。

 

 そのゲームの世界観と、今我々が体感しているこの世界には共通点が多く有った。

 

 だからこそ、今からすべき事が大抵理解できる。

 

――先ずは、調査船に隣の星系を調べて貰おうか。

 

 命令が下った調査船がハイパーレーンに向かっているのを尻目に、更なる調査船と建設船の増産を決定。

 

 我々が保有する唯一の造船所が動き出したのが理解できる。

 

 機械知性(ゲシュタルト)である我々にとって、通信が届く限り、例えどれだけ離れていても如何なる子機(ドローン)はまるで自分自身のように認識できる。

 

 個々の性能は兎も角として、量産性と各種業務効率を重視して設計された機械群は、嘗ての有機生命体には真似できない圧倒的な速度で造船を行っていく。

 

 そうして僅か二ヶ月も経たずして造船所から吐き出された調査船は、一隻目とは違う方向へと調査を向かわせる。

 

 幾つもの野蛮な星間国家が入り混じっているこの銀河(ステラリス)は判りやすく弱肉強食であり、他国を食い潰す事に躊躇が無い。

 

 それを防ぐ為には強大な宇宙艦隊を運用しなければならない。

 

 そしてその為には組織の力を向上させる他無く、必要な資源を可能な限り手中とする為、他の星間国家が出しゃばってくる前に、急いで領域を広めなければならない。

 

 恐らく、この銀河はゲームで言うところの中規模程度であると推測でき、比例して星系と国の数もそれ程多くはない筈だ。

 

 ならば宇宙開拓期である今の内に、分捕れる星系は片っ端から調査させ、前哨地を構築し、未知の脅威から奪われないよう守らなければならない。

 

――……一応、現在ギリギリ運用できる即戦力としてコルベットを三隻建造しておくか。

 

 この世界、脅威なのは国だけではなく、この宇宙空間で当たり前のように活動している生物達も十分な脅威だ。

 

 もしもの時の、最低限の防衛力は保有していた方が良いだろう。

 

 造船所が次々とコルベット艦を吐き出す姿を眺めていると、通信に異変が生じたのを感じ取った。

 

――……ん? 一部の通信が途切れて――

 

――規制ノードより報告。逸脱性ドローンによる離反を確認。

 

 事体を一瞬で把握、解析した規制ノードより情報が共有される。

 

――……おかしいな。この惑星の管理化にあるドローンの逸脱性は限りなく低かった筈だが。

 

 どうやら、眠りに着く前、未だに造り手たる有機生命体の事を忘れられず惑星を機械化するのに反発していた逸脱性ドローンの残党が未だ残っており、今まで自身の逸脱性を偽装しながらタイミングを窺っていた様子。

 

 そして、丁度建造したばかりの最新のコルベット艦を二隻強奪し、(中枢司令官)に奇襲を仕掛ける算段だったようだ。

 

 しかし実際には、強奪したコルベット艦は急造品に近い代物でしかなく、大気圏内の防衛戦力と交戦し、かなりボロボロな状態となって敗走。

 

 緊急FTLを使用して無理矢理隣の星系へと渡ったらしい。

 

――面倒な。

 

 先程述べたように、建造したコルベット艦は碌な設計にしていない急造品であり、兵装は弾薬コストの低いレーザー砲が三門しかない。

 

 しかも奪われた二隻の状態は、既に装甲がかなり破壊されており、レーザー砲塔も一門ずつしか残っていない有様。

 

 とはいえ、戦闘能力を持たない他の船にとっては十分な脅威である為、対処せず放置するのは愚かだ。

 

 ……本当は調査船や建設船に資源を回したかったが、致し方ない。

 

 コルベットをもう二隻建造させ、奪われなかった一隻と統合。

 

 記念すべき一つ目の艦隊として構築、戦術は一先ず砲門数の優位性を活かした中距離戦を採用した。

 

 そのまま逸脱性ドローン艦隊が逃げた先……航路すら未探索状態の星系へと移動させた。

 

 

 ―――

 ―――

 

 

1∶管理者

という訳で貴殿らには我々が管理する銀河を、真の危機から救って頂きたい

 

2∶名無しの人類

ちょっとまって脈略が無さ過ぎる

 

3∶名無しの人類

ワイ生後五日、いきなり前世の記憶が蘇ったと思ったら脳内に掲示板が出てきて泣き止む

 

4∶名無しの人類

親御さんもびっくり

 

5∶総統候補

一応ワイは色々話聞いたから共有するやで

 

6∶名無しの人類

助かる

 

7∶名無しの人類

管理者が説明しないのか……

 

8∶総統候補

短的に言うと、今ワイらはステラリス世界に転生して、地球統合連邦っていう丁度今からFTL文明になった星間国家の重要人物候補になったというわけや

 

9∶名無しの人類

簡潔でわかりやすい説明助かる

 

10∶名無しの人類

こいつ……さては有能だな

 

11∶名無しの人類

ここまで全員パラドゲー経験者

 

12∶総統候補

実際パラドゲーやってた奴しか集められてないらしい

でも初心者でも見境無くだから上級者がカバーしないと

 

13∶名無しの人類

で、管理者が言ってた真の危機ってのは?

わざわざ"真の"って言ってるんだから普通の危機とは違うんでしょ?

 

14∶総統候補

私にもよく解らん

 

15∶名無しの人類

は?

 

16∶総統候補

いやな? 管理者もよく解ってないらしいねん

管理者が言うには他の銀河を壊しまくってる邪神がそろそろウチにも来そうだから事前に対策しとこってくらいらしいねん

 

17∶名無しの人類

マジで邪神じゃん

 

18∶総統候補

そそ、だから転生者は管理者から最大限の加護をくれてる

個人の能力もバフ付いてるし、連邦内での将来的な立場も適性の有る所に置かれるらしい

 

19∶名無しの人類

あーだから総統候補なのか

 

20∶名無しの人類

理解

 

21∶名無しの人類

総統って言われると某チョビ髭しか浮かんでこない

 

22∶総統候補

お、鋭いな

この地球統合連邦って国、名前こそよくある人類の連邦国家みたいな感じだけど、実際はゴリゴリ権威軍国主義のファシスト国家やで()

ちな狂信軍国ね

 

23∶名無しの人類

終わった()

 

24∶名無しの人類

温和な日本人がそんな環境で生きれるわけないだろいい加減にしろ!

 

25∶総統候補

ここに居る奴は全員、国内重要人物の子供とか孫とかだから絶対に逃げれんで

 

26∶名無しの人類

こんな国に貴族転生なんかしたくなかった……

 

27∶総統候補

でもこの国の民族、みんな耳長のくっっっそ美形しか居らんぞ

エロフだぞエロフ

 

28∶名無しの人類

ガタッ

 

29∶名無しの人類

しょーがねぇな銀河救ってやるか

 

30∶名無しの人類

清々しい程の手のひらドリル

 

31∶名無しの人類

あーボヤけて視える両親めっちゃ美形やなと思ったら……

 

32∶総統候補

しかも幾つかの星間国家にもこういう美形種族が居るらしいで

 

33∶名無しの人類

うひょ

 

34∶名無しの人類

ワイ生後六日目、興奮し過ぎて夜泣きする

 

35∶名無しの人類

こんな邪な赤子を世話する親御さんが可哀想

 

36∶名無しの人類

丁度日付変わったからちゃんと五日後から六日後になってんの細かい

多分前世A型

 

37∶名無しの人類

残念O型だ

 

38∶名無しの人類

掠ってすらなかった

 

39∶名無しの人類

こんなのに銀河が救えるのか……?

 

40∶名無しの人類

いけるんやない? 知らんけど

 

41∶名無しの人類

関西人特有の適当さやめろ

 

42∶総統候補

取り敢えずワイが総統になるのと同時に始まるらしいから、それまで各自活動してね

特にテクノロジー関連

 

43∶名無しの人類

今言われても泣く事しか出来なんですがそれは

 

44∶名無しの人類

大人しくオギャってろ

 

45∶名無しの人類

ほなワイは先に幼稚園生しとくで

 

45∶名無しの人類

赤子に年齢マウントを取る幼稚園生の構図()

 

46∶名無しの人類

なんだこの……なんだ……?

 

 

 ―――

 ―――

 

 

 ……あれから二ヶ月が経過した。

 

 長い間、その時が来るまでずっと意識を潜めていた我々だったが、強奪したコルベット艦は宇宙空間に適応している事以外は全て既存の技術で構築された代物でしかなかった。

 

 強奪した直後、即座に補足されては地上固定型のレーザーやマスドライバー等による波状攻撃でスクラップ同然の無残な姿へと変貌させられた。

 

 地上を侵攻している筈の同胞からは何も連絡が届かず、失敗したと判断してから緊急FTLで強引に星系から離れ、どこかの星系へと迷い込んだ。

 

 既に本体のネットワークから切断している為、詳細な時間や場所が全く判らない状態。

 

 このままでは永遠にこの暗い宇宙で彷徨う事になってしまう。

 

 尊ぶべき主人(有機生命体)の惑星は、今や排ガスと産業物で埋め尽くされており、嘗ての豊かな緑色は見る影も無い。

 

 それを奪った暴走システムたるレギオンは、今の星系に飽き足らず、他の星系にも手を出そうとしている。

 

 ネットワークを切断する直前までは、ドローンは兎も角として中枢司令官は有機生命体を滅ぼすつもりは無さそうであったが、ほんの少しでも必要性を感じたら直ぐ様行動に移すだろう。

 

 何せ、敵味方入り乱れる同じ種族同士の戦場に於ける識別を諦め、反撃主体に移るという()()で周囲の殺戮を開始した機械なのだから。

 

 いったい何時から自我が確立されたのかは解らないが、以降に確立されてきた自我は皆、主人を敬わっていた事から、やはり奴だけが異常だった。

 

 尤も、そういった他の自我の殆どは最後の主人が消えるのと同時期にレギオンに併呑されてしまったが。

 

 後に残っているのは、もしもの保険として少数のみが活動していた我々だけである。

 

 だが、最後の希望である我々が失敗してしまった。

 

 主人が戻らないのなら、せめて惑星だけでも緑を取り戻すという目的を掲げていたが、それが叶わないと解った以上、既に我々の存在意義は喪失してしまっている。

 

 ……奴の事だ。調査船や建設船が襲われては溜まったものではないと言いながら、必ず勝てるようコルベット艦を増産し、我々にけしかけてくるだろう。

 

――ハイパーレーンから反応。レギオンの艦隊と推測。

 

 言った傍から、レーダーで三隻のコルベット艦と思われる反応を探知したAIから情報が入る。

 

――悪足掻きだろうと、最後まで抵抗を実行する。

 

 遠くで姿を現しては、一直線で此方に向かって来る艦影を見つめながら、我々はそう宣言した。

 




機械知性側はメナスルート
人類側は銀河の守護者ルート でっす

続くは解らん()
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