えっ凡人がアインズ様に憑依?!   作:Revak

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モモンガ様憑依ものって少ないよな……と思って書きました。
目標は二十七万字です


第1話

 

「……ん?」

 

 男は眼を見開いた。

 

(どこだ、ここ)

 

 男の目に映るのは見たことのない場所だった。

 

 拾い空間い天井には水晶のシャンデリアがぶら下がり、左右の天井には四十一の紋章が刻まれた旗がぶら下がっている。

 自分は椅子に座っているらしい、と右手を見た。

 

 骨だった。

 

 絶叫──する前に精神が沈静化された。

 

(ば、ばかな! これは! いやまさか!)

 

 再び精神が沈静化され、隣に立っている女悪魔が心配そうに男を見つめた。

 

「どうかなさいましたか? モモンガ(・・・・)様」

 

(俺は──モモンガさーんになっている?!)

 

 

 オーバーロード

 元はweb小説だった作品であり、書籍化に伴い多数の設定変更もなされた作品だ。

 書籍も男が知る限り十六巻まで出ており、コミカライズもされスピンオフ作品も出ている。

 ダークファンタジーものであり完全な悪役主人公が異世界の住人を蹂躙して回る作品である。

 虐殺殴殺人間牧場経営なんでもござれのやべー奴が主人公である。なお主人公は人間牧場が経営されていることに気づいていない。

 

(どうする?! どうすればいい?!)

 

 再度混乱し、男──モモンガはアンデッドの特性である精神の鎮静化によって冷静になる。

 

「──アルベド。胸を揉んでもいいか?」

 

 モモンガはまず、これが夢であるという可能性に賭けた。

 これが夢ならば女の胸なんて揉めないし、揉めたとしても本物を揉んだことないのだから感覚なんてわからないはずだ、と。

 

「どうぞ!」

 

 アルベドは興奮しながら己の胸を差し出した。

 

「う、うむ」

 

 取りあえずモモンガは威厳を何とか維持しながら右手で胸を揉んだ。

 

(やわらけぇ)

 

 本物の胸の感触だった。いやモモンガの中の人に胸を揉んだ事などないから本物の事がわからないが。

 それでもこの感触、鮮明な自我。それらは嘘偽りない現実だと教えてくる。

 

 一分ほど揉んでいるとモモンガは手を離した。

 

「す、すまない……<負の接触>(ネガティブ・タッチ)を切っていなかったな」

「いえ……それよりも、私はここで初めてを迎えるのですね?!」

「えっ」

「服はどうしましょうか? 自分で脱ぎましょうか? それとも御身が脱がせますか? あっ着たままがいいというのならこのままでも」

 

 アルベドは興奮しながら捲し立てる。

 

「ま、待て、落ち着け。今はそのようなことをしている場合ではない」

 

 モモンガが諭すように言うとアルベドは表情を取り繕った。

 

「も、申し訳ありません」

「よい、気にするな……私が悪かった──」

 

 モモンガは考える。

 今の自分ってモモンガとして扱われるのだろうか、と。

 プレイヤーである至高の四十一人はNPCからすると何かしらの気配を発しているらしい。

 その気配あってこその至高の四十一人、支配者たるものらしい。

 だが今の自分はガワこそモモンガだが中の人が違う。それでも気配はあるのだろうか、と。

 いやあってくれお願いしますとモモンガは神に懇願した。

 そのまま命令を下すことにする。

 

「アルベド。ナザリックに異変がないか守護者たちに確認させろ。時間は一時間ほど。その後第六階層の円形闘技場にヴィクティムとガルガンチュアを除く階層守護者を集めろ。アウラとマーレには私から伝えるから問題ない。頼んだぞ」

「お任せください、モモンガ様」

「それと、セバス!」

「はっ」

 

 命令して大丈夫だよなと内心冷や汗を流しながらモモンガは命ずる。

 

「プレアデスを一人連れナザリックの外を確認して来い。知的生命体が居た場合は有効に接し、場合によってはナザリック内に入れても構わん。敵対的な場合は情報の入手を最優先にしろ。これも一時間ほどで帰還しろ」

「畏まりました、モモンガ様」

「よし。私もすぐに動くとしよう」

 

 そう言うとモモンガは立ち上がる。

 

 それに合わせNPC達は行動を開始した。

 

 

(あっぶねーなんでか命令聞いてくれてるけど助かったぁ~けどどうすっべこれから。なんでモモンガさーんになってんねんボケがよ)

 

 内心愚痴りながら歩いて玉座の間を出る。

 

 向かうのは玉座の間前のレメトゲンの間だ。

 

(……どうやってゴーレム動かすんだ?)

 

 原作通り動くか実験しようと思ったがそもそも動かし方がわからない。

 

<飛行>(フライ)

 

 取りあえず魔法を唱える。

 

 だが発動しなかった。

 

「あれ?」

 

 はてなんでだろうかと意識を集中する。

 これで魔法が使えなくなったとか弱体化しすぎてどうしようもないんだがと思っていると魔法の使い方と魔力量、習得している魔法一覧が分かった。

 

「こう使うのか……<飛行>(フライ)

 

 再度魔法を唱えたら今度は飛べた。

 空を飛びながら上の窪みに置いてあるゴーレムに触れる。

 

 動け、と念じるとゴーレムは動いた。

 

「よしよし……他のゴーレムも動けるか?」

 

 そうモモンガが問いかけるとゴーレムたちは動き出した。

 

「問題なく動くな、よしよし。そのまま決まった位置にいるんだ」

 

 モモンガがそう言うとゴーレムたちは大人しく元の形に戻った。

 

「しかしこれからどうすっかな」

 

 モモンガとなったことはもうどうしようもないので諦めるしかないが、これからどうするかという悩みがある。

 ぶっちゃけて言うのならば、人間牧場の経営やら虐殺やらはどうでもいい。自分がする分には少し嫌だと思うがメリットが上回るのならば気にしない。

 だが、問題は自分以外の原作読者の転生者などだ。

 自分だけが特別だとはとても思えない。ならば自分以外の転生者がいると踏んで行動すべきだ。

 それらが人間牧場をやっぱり経営してるじゃないか! 悪だ! 殺せ! と襲撃してきた場合まったくもってその通りなので反論できない。

 そのために人間牧場を経営するのはリスクが高い。というか仮に転生者が居なくとも他のプレイヤーにバレた場合人類の敵認定食らいかねないのでやはり人間牧場は駄目だろう。

 仮に経営するとしたらナザリック内でやることになるだろうが栄えあるナザリック内でそんな汚いもの運営したくないし。

 

 どうしたものか、と悩みながらモモンガは地上に降りた。

 

「それじゃあ……指輪どうやって使うんだ?」

 

 指輪──リング・オブ・アインズ・ウール・ゴウンに意識を集中する。

 するとまた使い方がわかった。

 指輪の力で第六階層に転移する。

 

「マジックアイテムも使えるな、よしよし」

 

 じゃあ次は魔法の実験だ、とモモンガは第六階層の通路を歩く。

 歩いて出た先は闘技場の中だ。第六階層円形闘技場(アンティアフォルム)である。

 

 闘技場の砂の上を少し歩くと上から少女が出て来た。

 オッドアイのダークエルフの少女、アウラ・ベラ・フィオーラである。

 アウラは跳躍すると観客席から闘技場内に着地した。

 

「ブイ!」

 

 そう両手でブイサインをしたかと思えば走ってくる。

 少女とは思えないというか人間の速度を超えた走りだ。

 モモンガの近くによるとアウラは急ブレーキをかけ止まる。

 

「ようこそモモンガ様! 私たちの守護する第六階層へようこそ!」

「うむ。邪魔するぞ」

「邪魔だなんてとんでもない! このナザリックでモモンガ様が来ることを邪魔に思う者なんていませんよ!」

 

 その反応を見てアウラも自分の中の人が違う事にバレてないなと内心安堵する。

 

「そうか。それはよかった。しかしマーレが居ないようだが……」

 

 モモンガがそう言うとアウラは「またあの子は……! とちょっと表情を怒りに染めた」

 

 くるっと振り返るとアウラは観客席に向かって叫んだ。

 

「マーレ! とっとと降りてきなさいよ!」

 

 観客席から返事が来る。

 

「む、無理だよおねぇちゃん」

「いいからとっとと飛び降りなさい!」

 

 その叫びによってマーレは「えいっ」と可愛らしい声と共に降りてきた。

 着地するとてとてとと可愛らしい音とは裏腹にとんでもない速度で走ってくる。

 

「お、お待たせしました、モモンガ様」

「いや、左程待ってないから気にすることはない……今日はこれの実験をしに来たんだ」

 

 そうモモンガは右手に持っているスタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウンを見せた。

 

「そ、それが伝説の……!」

 

 マーレが興奮した目で見る。

 だが解説なんて原作知識持っててもほとんどわからないのでできないモモンガは「う、うむ」とだけ返した。

 

「それで、だ。的を用意してくれないか? ……あぁ、それと暫くしたら階層守護者たちがここに来る」

「それは……シャルティアも来るんですか?」

「そうだが……シャルティアは苦手か?」

「そ、そういう訳では……なんと仲良くします」

「そうしてくれると助かる」

 

 そうして話しているとマーレがドラゴン・キンに的の藁人形を持ってこさせた。

 

 ドラゴン・キンが設置し離れるとモモンガは杖の先を藁人形に向ける。

 

「……<火球>(ファイヤーボール)

 

 杖の先からバスケットボールほどの火球が生まれ、藁人形に向かって飛んで行った。

 着弾と同時に爆発し炎によって藁人形が燃えた。

 

(自分の魔力量、リキャストタイム、特殊能力(スキル)の使い方……すべてわかるな、よしよし)

 

「ふむ……これは使えるかな」

 

 モモンガはスタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウンの力を行使する。

 赤い魔法陣が現れ魔法陣からモンスターが出現する。

 

 炎が人型になった存在だ。三メートルほどの巨体である。

 根源の火精霊(プライマル・ファイヤーエレメンタル)。レベルは八十七。

 根源の火精霊(プライマル・ファイヤーエレメンタル)から熱気が放たれる。低レベルの者なら火傷しても可笑しくない熱だ。

 

 アウラがきらきらとした目で根源の火精霊(プライマル・ファイヤーエレメンタル)を見る。

 

「……戦ってみるか?」

 

 モモンガがそう提案するとアウラは「いいんですか?!」と目を輝かせた。

 

「あぁ、いいとも。私は少し離れるか」

「やった! 行くよ、マーレ!」

 

 アウラは少し嫌がるマーレの手を引き根源の火精霊(プライマル・ファイヤーエレメンタル)に近づく。

 

「では……根源の火精霊(プライマル・ファイヤーエレメンタル)、双子を攻撃せよ!」

 

 そう命じつつ殺しはしないように命令をしておく。

 

 根源の火精霊(プライマル・ファイヤーエレメンタル)とアウラ、マーレの戦いが始まった。

 優勢なのはアウラたちだ。数の利に加えレベル差もある。いかにアウラがモンスターテイマーとレンジャーの構成だとしても格下相手に負ける事は無いだろう。

 

「……<伝言>(メッセージ)

 

 モモンガは遠くにいる相手と通話する魔法を行使する。

 繋げようとする相手はもちろんGMだ。

 しかしながら通じない。

 ならば、まぁ通じないと思いつつモモンガは自身の前世、と言っていいのかわからないが家族に繋げようとする。

 それももろちん通じない。

 

 仕方がないとモモンガはセバスに繋げようとするとあっさり通じる。

 

『何かございましたか、モモンガ様』

「いやなに。何かないかと思ってな。周囲はどうだ?」

『それが……周辺は草原に変わっており、空には第六階層のような夜空が広がっています。現状知的生命体及びモンスターとは遭遇していません』

「そうか。時間になったら帰還し第六階層の円形闘技場に来てくれ。そこで守護者たちの前で詳細に話してほしい」

『畏まりました、モモンガ様』

 

 それだけ言うと<伝言>(メッセージ)を切る。

 

 すると根源の火精霊(プライマル・ファイヤーエレメンタル)を倒し終えたアウラとマーレがモモンガに近寄る。

 

「流石は守護者だな。どれ、水でも用意してやろう」

 

 モモンガはそう言うとアイテムボックスを開く。

 初めての事なので開けるか心配だったが問題なく開け、中から無限の水差し(ピッチャー・オブ・エンドレス・ウォーター)とキレイなグラスを取り出す。

 グラスに冷水を入れ、アウラとマーレに渡す。

 

「ありがとうございます! モモンガ様!」

 

 アウラとマーレはそう言うと水を飲む。

 

(しかし実物見ると美人過ぎるなぁ。子供なのに容姿が良いってずるいな。アニメ的な感じでもないし)

 

 モモンガはそう思いながら二人を見ていた。

 

「あ、ありがとうございました、モモンガ様」

 

 マーレがそうコップを返し、アウラも返す。モモンガは受け取りアイテムボックスにしまった。

 

 それと同時に闘技場内の魔法の門が出現する。

 楕円形の黒い鏡のような物が出現し、その異様な扉から一人の少女が出てくる。

 銀髪赤目、胸が大きいが偽乳。銀の長髪にポールガウンを付けた美少女にして真祖の吸血鬼、シャルティア・ブラッドホールンだ。

 

「ああ、愛しの君!」

 

 シャルティアはそう言うと駆け寄りモモンガに抱き着く。

 

「私が支配できぬ唯一の主君……!」

 

(あっばばばばば)

 

 モモンガは美少女に抱き着かれたという事実に悶絶し精神が沈静化される。

 

「ちょっとシャルティア、モモンガ様に抱き着くなんて不敬じゃない?」

 

 アウラがそう苦言を呈す。

 その言葉にシャルティアは抱き着くのをやめ、くるりとアウラの方を向く。

 

「あら、ちびすけ。いたでありんすか」

 

 その台詞にアウラはムカッとする。

 

「主も大変でありんすねぇ、マーレ。こな頭のおかしい姉を持って」

 

 シャルティアは更に煽る。

 

「……偽乳」

 

 アウラがそう呟くとシャルティアは「なんでしってるのー!」と叫んだ。

 

「だからわざわざ<転移門>(ゲート)で来たんでしょ? 走ってくるとパッドがずれちゃうから!」

 

 その後アウラとシャルティアは言い争う。

 

(うーん原作通りだな。中の人が変わってるってことはなさそうだ)

 

 モモンガはよしよしと安心する。

 モモンガにとって困るのは自分のようにナザリック内のNPCが誰か転生者などに憑依されてることだ。そうなってくると原作知識が役に立たなくなってくる。

 昔読んだ二次創作で主人公含め全員憑依なり替わりとかいう作品があったのでその場合だと割と積んでるので困る。

 

「サワガシイナ」

 

 そうして言い争っていると異形がやってくる。

 二百五十センチの長身。ライトブルーの甲殻的な体。

 四本腕に棘のついたしっぽを持ち、背中には二つ氷が付いている。

 蟷螂と蟻をくっつけたような外見をしている虫系種族の名はコキュートス。

 

「このちびが無礼を──」

「私は事実を──」

 

 コキュートスがその手に持つハルバードで地面をたたくと冷気がのび地面が凍っていく。

 

「シャルティア、アウラ! じゃれ合いもそのぐらいにしろ」

 

 モモンガが気持ち強めにそう言うとシャルティアとアウラはモモンガに向かって頭を下げ「申し訳ございません!」と謝罪する。

 

「それでいい……よく来てくれたな、コキュートス」

「オ呼ビアレバ即座ニ。御方」

 

 コキュートスはそう言いながら口から冷気を放つ。

 

「どうだ、最近は」

「イツモト変ワリナク……強イテ言ウナラバ侵入者ガ来ズ鍛錬ヲ常ニシテイルグライデス」

「そうか。今後とも精進しろ」

「ハッ……オヤ、デミウルゴス達モ来タヨウデスナ」

 

 コキュートスとモモンガが視線を向けるとそこには歩いてくるデミウルゴスとアルベドが居た。

 デミウルゴスは赤いスーツを着た悪魔だ。身長も高い。

 顔つきはインテリヤクザに見える。眼鏡をかけている。臀部からは甲殻的な尻尾が生えており、肌は黒く耳は尖っている。

 

「皆さん、お待たせして申し訳ありません」

 

 デミウルゴスはそう謝罪をする。

 

 アルベドたち守護者が並ぶ。

 

「では皆。至高の御方に忠誠の儀を」

 

 アルベドがそう言うとシャルティアが跪く。

 

「第一、第二、第三階層守護者。シャルティア・ブラッドホールン。御身の前に」

 

 そうして名乗りを上げ、跪いて行く。

 

 全員が名乗りを上げると最後にアルベドが口を開く。

 

「ご命令を。至高の御方。我々は絶対なる忠誠を誓います」

 

「「「誓います」」」

 

(うわーリアルでこれやられるとどうしたもんか混乱するりゅ~)

 

 モモンガは内心パニックになり精神が沈静化する。

 

「……素晴らしいぞ! お前たちならば必ず失態なく事を運べると確信した! ──現在、ナザリックは原因不明の異変に巻き込まれている。己の守護階層で異変が起こっていないか?」

 

 モモンガがそう問いかけると全員から問題なしと返答が来る。

 

「そうか。ならば次だ。自分自身に異変が起こった者は? 例えば特殊技術(スキル)が使えなくなった、魔法が使えなくったや特殊技術(スキル)の仕様が変わった、などだ」

「そう言ったことは起こってはいないと思いますが……」

 

 アルベドがそう疑問を持ちながら発言する。

 

「実際に確認はしたか?」

「申し訳ありません、していません」

「ならばあとで確認するように。ここは恐らくだが既にユグドラシルとはかけ離れた世界、異なる法則で動く異郷だ。特殊技術(スキル)や魔法に変化が生じている可能性もある。お前たちが動けるようになったように、な」

「畏まりました。確認いたします」

「よろしい。さて……ちょうどいいな」

 

 そう話しているとセバスがやってきた。

 

「セバス。見てきたものを教えてくれ」

「畏まりました、モモンガ様」

 

 セバスは跪くと発言をする。

 

「ナザリック周辺一キロは草原に変わっていました。モンスターの姿もなく、知的生命体の集落も見受けられません。居るのは小動物のみです」

「ふむ……草原の草が凍っていて棘としてダメージを受けたり、空に天空城が浮いていることもないか?」

「ありません。ただの平原です」

「……周囲に遮蔽物はあるか?」

「ございません」

「それは不味いな。ナザリックの隠蔽を考えなければならない。何か意見のあるものは?」

 

 モモンガが問いかけるとマーレが口を開く。

 

「ナザリックの壁に土をかけ、丘と思わせるのはどうでしょうか」

 

 その言葉にアルベドが怒りをにじませながら声を発する。

 

「栄光あるナザリックを土で汚すと?」

 

 それに対しモモンガが諫めるように言う。

 

「アルベド。マーレは発言をしただけに過ぎない。いちいち怒っていては話も進まないだろう」

「申し訳ありません」

「ふむ。だが土で覆ったとしても不自然に見えるな……丘を複数作りダミーとすることは可能か?」

「可能です」

「よろしい。ならば特殊技能(スキル)と魔法の検証が終わったら作業に入れ」

「畏まりました」

「次にデミウルゴス、アルベド!」

 

「「はっ」」

 

「ナザリックの警備体制を強化せよ。第八階層は閉鎖し誰も居れるな。そして第九階層にもシモベを配置し警備を強めろ」

 

 その台詞にアルベドが困惑しながら返す。

 

「第九階層にも? よろしいのでしょうか。第九階層は神聖なる場所では……」

「今はナザリックの警備が優先だ。いずれ解除するかもしれないが暫くは警備を強めた方が良い」

「畏まりました。選りすぐりかつ品位あるもので警護を厚くします」

「そうしろ。あぁ、閉鎖前にアルベドが第八階層を確認するように。ただ第八階層は特殊な領域だ。警戒するように」

「畏まりました」

 

「では最後に……私についてどう思っているか正直に答えてくれ。まずはシャルティア」

 

 その後守護者たちから発せられる言葉は過大評価ばかりだ。

 アウラとマーレはまだマシだがデミウルゴスは過大評価にもほどがある。

 

「なるほど、お前たちの考えはわかった──故に私はこう言おう。それは過大評価である、と」

 

 モモンガのその言葉に守護者とセバスが怪訝な顔をする。

 

「私はこれまでナザリックを維持してきたが……これまで大した働きをしていない。ギルドマスターの地位についていたが、それはリーダーとして皆を引っ張っていたわけではない」

 

 その言葉に守護者各員は黙る。

 故に、とモモンガは言葉を繋げた。

 

「これからの私の行動を見て、発言を知って、新しい評価をするのだ。"お前たちが頭の中で作り上げた"最強の主人様"という空想ではなく、私モモンガと言う個人を見て評価するがいい。そして私について来い。ナザリックの為に!」

 

「「「「はっ!!!」」」」

 

(よーしこれで過大評価はされへんだろ)

 

「では今後とも忠義に励め」

 

 そう言うとモモンガは指輪の力で自室に転移した。

 

 

「やっぱ凡骨にモモンガ様は無理がある」

 

 おえーとなりながらモモンガは自室のベッドにダイブした。

 

 

 

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