えっ凡人がアインズ様に憑依?!   作:Revak

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誤字報告ありがとうございます。
原作のコピーに該当しないよう所々バッサリカットしてますが大体原作通り進んでると思ってください


第17話

 

 アインズはカルネ村を訪れていた。

 

 カルネ村の奥、他の家から少し離れたところに目的地であるバレアレ家はあった。

 

 その家の前にはアインズとンフィーレア、リイジーが居た。

 原作通りンフィーレアにはアインズとモモンの正体がバレている。

 更に今回実験をするにあたってリイジーにもばらしてあった。

 

「邪魔するぞ。今回は実験をしたくてな」

 

 そう言ってアインズは強欲と無欲を見せびらかした。

 

「はい。ゴウン様。その実験とは……?」

 

 リイジーが問いかけた。

 

「うむ。若返りの実験だ」

 

 若返り、という言葉に二人が目を点にした。

 

「そ、そのような事出来るのですか?」

「可能だ。といっても、実験と言ったようにこれは確実な物ではない。それを確かめるための実験だ」

「な、なるほど……その対象に、ワシが?」

 

 そうリイジーが自身を指さした。

 

「そうだ。私の配下の中で若返らせてもいい年齢であり、相応の働きをしている者がお前しか思いつかなくてな……そして実験と言ったようにこれは安全性にかける。無論死ぬようなことはないだろう。だが若返りによって記憶を失ったり、あるいは一時的な若返りで時間経過──一日や二日で元に戻る可能性もある。無論断ってくれても買わないが……リイジー・バレアレ。お前はどうする?」

 

 その問いにリイジーは力強く答えた。

 

「受けたいと思います! 若返って記憶を失っても、必ずや真なる血のポーションを作って見せます!」

「そうか。ならお前の望み通りにしよう──I wish!」

 

 アインズを中心にドーム状に魔法陣が展開される。それは一瞬たりとも同じ形状にはならない。

 

「さて、行くぞ───リイジー・バレアレを二十歳にまで若返らせろ!」

 

 そして魔法が発動した。

 

 瞬間リイジー・バレアレが光り、次の瞬間には若い女性になっていた。

 皺もなくなり艶とハリのある肌に変わり、目の強さは変わっていない。少し曲がっていた腰は真っすぐとなっている。

 村一番の娘、と言われても納得できそうな女に変わっていた。

 

「ふむ。対価はこの程度か……」

 

 アインズが擬人化形態を会得するのに消費した経験値は最大消費量である五百パーセントを消費した。

 今回はその半分にも満たない。数値にして百パーセント程度だろう。

 

「おぉお……! 若くハリのある体! なんと素晴らしい!」

 

 そうリイジーがジャンプし、体の軽さを実感する。

 

「うむ。後は時間経過でこれが解けないかだな。解除されたらルプスレギナに言うように」

「畏まりましたゴウン様! より一層働きます!」

 

 うおおお! とリイジーは雄たけびをあげた。

 

 

 

 

 ■

 

 バハルス帝国、帝都アーウィンタール。

 そこには魔導国の馬車が居た。

 

 その馬車の中でプルトンは口を開いた。

 

「あの、陛下。私の眼に間違いが無ければここは帝国の首都、アーウィンタールのように見えるのですが……」

「その通りだ。転移の魔法で帝都に来ている」

「国境を越えた覚えがないのですが、まさか不法入国ですか?!」

「そうなるが、問題はない。エル=ニクス殿とは仲がいいからな。事後承諾してくれるだろう」

「それならばいいのですが……それで、帝都には何用で?」

「帝国の冒険者を我が国に勧誘する」

 

(まぁ、それは表向きで本当は帝国の属国化が狙いなんだが)

 

 そうアインズは内心苦笑した。

 原作の動きをなぞることで原作のイベントを起こそうというのだ。

 帝国単体との戦争は大した問題ではない。普通に勝てる。

 だが帝国が主導する人類圏VS魔導国の図は非常に困る。

 無論最終的にそれぞれの国家と敵対し戦争をしていく、というのは問題ないが一度にすべて敵対するのは駄目なのだ。

 そうなると後が続かない。力で勝っても支配地にした後も民は反逆心を持ち続けるだろう。それは国としては困るのだ。

 だからこそ、最初から叩き潰してそうならないようにする必要がある。

 

「なるほど。ですが……それはいささか急かと。現役の冒険者たちがこれまでの暮らしを捨てるのは困難です。陛下の望みは難しいかと」

 

 プルトンはそう少し否定的な意見を出した。

 その意見にアインズは懐かしく思う。

 ナザリックのNPCたちは全肯定マンばかりなので否定的な意見というのは出にくいのだ。こういったことで現地民は非常に便利だ。

 

 アインズの無言を怒りと感じとったのかプルトンが謝罪する。

 

「申し訳ありません。何か失礼を──」

「あぁ、そうではない。私の部下は基本私に対して肯定しかしてこないからな。否定的な意見が少し面白かっただけだ。不快になど思っていない。であれば、どうするべきだと思う? 

「それでは……まずは雛を集め、育てるというのはどうでしょうか? 誰しも最初から強い訳ではありません。ですので弱い者を鍛え上げる……未来への投資です」

「なるほど。道理だ。であれば、宣伝が必要だな。どうするのがいいと思う?」

「では……強者は良くも悪くも名が知れ渡ります。ここは帝都。闘技場で名を上げるのはどうでしょうか?」

「いい提案だ。だが、一からグラディエーターとして名を上げる暇はないぞ。どうする?」

「私は闘技場の覇者、武王のプロモーターと面識があります。武王と戦って、勝利するのはどうでしょう?」

「いい案だ。では、まずはその人物に会いに行くとしようか」

 

 

 

 武王のプロモーター、オスクの家に着いた。

 最初にアインズが出ると不味いのでプルトンがアポを取る。

 すると翌日には時間があるという事だったのでそのまま翌日に予約を取り付けた。

 

「しかしよろしいのですか? 魔導王陛下の名を出せば今日にでも会えたかと思いますが」

「なに、急に会うという無礼なことをしたのはこちらだ。ある程度は人の常識に合わせなければなるまい……それでは。今日はここで解散としよう。転移魔法でお前をエ・ランテルまで送る。受け入れろ」

「わかりました」

「<上位転移>(グレーター・テレポーテーション)」

 

 そしてプルトンは転移魔法でエ・ランテルに消えた。

 

「さて、気は進まないが……」

 

 

 

 

 アインズは帝都の城の一エリアに来ていた。

 

「ようこそお越しくださいました! ささ、どうぞおかけになってください」

 

 そう媚びるように言うのはこの帝国でも最上位の人物、フールーダ・パラダインだ。

 

「うむ」

 

 そう言ってアインズはソファに腰掛ける。

 フールーダと最初にあったのはパンドラだが、のちにアインズと会ってアインズこそを絶対の御方として忠誠を捧げろと言われているのでフールーダはアインズに対しても忠誠を捧げている。

 これで会うのは二度目だ。

 

「まずはお前にこれを渡そうと思っていてな」

 

 そう言ってアインズはアイテムボックスからある本を取り出した。

 死者の書という古い本だ。

 

「おお、これは?」

「お前が欲する知識について書かれた本だ。まずはこれを使って観るといい」

 

 そう言ってアインズは翻訳用のアイテムと共に本を渡した。

 

「では失礼して……おお! これは!」

 

 途端フールーダが興奮し始める。

 

「──師よ! まさにこれこそが私が求めて来た知識!」

 

 その興奮のしようにアインズは精神が沈静化されつつ答えた。

 

「そうか。なら翻訳用のアイテムは返してもらおう。それは貴重品なのでな……翻訳用の魔法は使えるだろう? それを使って翻訳していくといい」

 

 その言葉にフールーダはぐっと悩んだ表情と声を出したのち、苦しそうに「わかりました」と翻訳用の眼鏡を返した。

 

「さて。それでは聞きたいことがある。武王についてだ──」

 

 

 

 ■

 

 翌日。

 アインズは仮面をつけイルアン・グランベルという小手を装備し胸元を閉じる事で正体を隠した状態でオスクの屋敷に来ていた。

 案内されるがままアインズとプルトンは歩く。

 

(あれが首狩り兎か……リアル男の娘か)

 

 などの感動をしながら暫く歩く事である部屋に辿り着く。

 そこはオスクのコレクションルームだった。

 

 多数の武器が飾られている。

 アインズはある剣に注目した。

 

「これはルーン武器か」

 

 そうアインズがこっそり鑑定魔法をかけた。

 

「おぉ、流石は魔導王陛下。お分かりになりますか」

 

 そうこの屋敷の主、オスクが反応した。

 

「これはどこで手にした物だ?」

「アゼルリシア山脈のドワーフの王国からです。と言ってもここ百年新しい物は流れてこないのですが」

「ほう。ドワーフの王国……実に気になる存在だ」

「そうでしょう? 最近は彼らとの取引も下火になりつつありますが、やはりドワーフの武具は一味違います」

「なるほど。魔導国として正式に国交を結んでもいいかもしれないな」

「魔導王陛下も武具がお好きで?」

「武具、というよりは一点物が好きでね。よく集めている」

 

 アインズの中の人もゲームの限定アイテムなどは集めている人間だ。エリクサーなどの貴重品は貴重すぎて使わない人間である。

 

「なるほど。陛下とは趣味が合いそうだ……ささ、どうぞこちらへ」

 

 言われるがままアインズとプルトンはソファに腰掛ける。

 向かい側にオスクが座った。

 

「さて、魔導王陛下。私はしがない商人のオスクと申します」

「アインズ・ウール・ゴウン魔導王だ」

 

 オスクが小さく頭を下げた。

 プルトンが口を開いた。

 

「なぁオスク。何故連れているのが魔導王陛下だとわかった?」

「魔導国の領土になったエ・ランテルの冒険者組合長が顔を隠した重要人物と共に居る。となれば、浮かぶ人物は一人しかいないさ」

「なるほど……うかつだったようだ」

「気にする必要はない。さて、オスク殿。先日伝えていたが私の目的は武王ゴ・ギンと闘技場で戦う事だ」

「武王との試合を望まれていると? となると対戦相手は……もしや英雄モモンですかな?」

「いいや? 戦うのは私だ」

 

 その言葉にオスクは驚いた表情を見せた。

 

「陛下が、ですか? しかしながら陛下は魔法詠唱者(マジック・キャスター)。闘技場には不向きかと……」

「いや。最近はク──ンンッ! 部下と近接戦の訓練なども積んでいるから戦えるとも」

「し、しかし一国の王が闘技場で戦うとなると……万が一が起こってからでは困りますし」

 

 当然の反応をオスクは見せた。

 本人が幾らいいって言っても一国の王が闘技場で戦うなど非常識にも程がある。

 それで死なれればこちらが死ぬのだから。

 

「であれば担保をつけよう。これはどうだ?」

 

 そう言ってアインズはプルトンに渡したのと同程度の魔力を持つ短剣を取り出した。

 

「こ、これは……」

 

 それから感じる魔力を見て、オスクは戦慄した。

 

「これがあればお前の身の安全は保障されるだろう。後で書面も起こそうではないか」

「……わかりました。それだけの物を担保にするというのならば、お受けいたしましょう。日程は──」

 

 そうしてアインズと武王の戦いが決まった。

 

 

 ■

 

 

 

「こんなものだな」

 

 アインズは武装を変えた。

 原作で着ていた闘技場内用の服に、盾と殴打特化の杖だ。

 予備武器としてスティレットを二本装備している。

 スティレットは短剣判定になるのでアインズでも装備、使用が可能だ。

 

 闘技場の通路の中で自分の名が呼ばれるのを待つ。

 

 そして呼ばれ、アインズが入場する。

 

 闘技場内にどよめきが広がった。

 アインズは優れた視力で貴賓室にジルクニフが居るのを確認すると<飛行>(フライ)を唱え貴賓室前まで飛び上がった。

 

「ジルクニフ・ルーンファーロード・エル=ニクス殿」

 

 アインズはあえて本名をすべて言った。

 

 その台詞にジルクニフは引きつった笑みを見せた。

 

(まぁ、仮想敵国の王とこんなところで遭遇したらこんな表情もするだろうな)

 

 そして想定通り、スレイン法国の神官も居た。

 

「久しいなエル=ニクス殿。ご壮健なようで何より」

「こ、これはゴウン殿。まさかこのような場で会うとは」

「私も驚愕しているよ。そちらの方々はエル=ニクス殿のご友人かな?」

 

 そうアインズはスレイン法国の者たちを見る。

 そしてこっそりシャドウデーモンを放ち、影に潜ませる。

 別にばれても問題はない。バレたらバレたでやりようはあるからだ。

 

 今のアインズは別にスレイン法国に対し敵意は持っていない。だが最終的には敵対するだろうとは思っている。

 何せ人類守護を謡うスレイン法国と魔導国では敵対するしかないからだ。

 アインズとしては人類を守るつもりが無ければ、積極的に滅ぼすつもりもない。

 だが結果的に人類は滅びはするだろうとは思っている。

 

 何せアインズはあらゆる仕事に異種族を使うつもりだからだ。

 建築にはドワーフとジャイアントを。狩猟にはエルフを──と言った具合にその種族にあった仕事を回し、運用するつもりだ。

 と言っても個々人まで見ればその者に合った仕事はまた違ってくるので変わってくるが、ともかくそうするつもりだ。

 

 そうなると人類の仕事はどうなるのか、という問題が湧いてくる。

 

 土木にも商業にも工場にも特化していない人間という下等生物は、どうなるのか。

 無論この世界には職業レベルがある。レベルを上げれば他種族より特化できるだろう。

 だがそんなのは才能を持つ一握りの人間の話で、大多数の人間は凡人に過ぎない。

 であれば只人が生きていくには困難を極め……生きていくには生活保護などが無ければ生きていけなくなるだろう。

 異種族を雇うより人間を雇った方が良い強み──というのが存在しにくい以上、ただのレベル十にも届かない一般人は淘汰される。

 無論アインズは弱者救済措置として生活保護などはそのうち実装するが、それまで存続できるかが問題になる。

 

 つまるところ人類は子を成す金を獲得出来ず、スラム落ちするしかない。そしてアインズの治世ではスラムなんて物を作る訳が無く、野で生きるしかない。

 そうなればモンスターの脅威に襲われ人類は瞬く間に減るだろう。

 そしてアインズは別にそうなっても構わない。

 

 アインズとしては娯楽が欲しいが、別に娯楽を作るのは人間にのみ許された物ではない。エルフだろうがドワーフだろうが作れるのだから、人間だけを重視する理由もない。

 

 スレイン法国のやり方は人間の存続という意味ではまさしく正しいのだ。人間が居なくとも文明が成り立ってしまうこの世界では、人間だけ必要性というのが無い。

 だからこそ人間の敵対種族を滅ぼす。かつてホモサピエンスがネアンデルタール人を絶滅させたように。

 これがもし人間だけレベルキャップが違い七十とかまで簡単に上がるとかだったら別だったのだろうが──現実はそんなことはない。

 結果として人類は絶滅の危機に陥るだろう。

 

「失礼。私たちは急用ができて退室しなければならないところ。ここで失礼させていただきます」

 

 そう言ってスレイン法国の人間は頭を下げた。

 

「そうか。それは非常に残念だ。私も試合があるのでこれで失礼する」

 

 そう言ってアインズは下降し、闘技場内に戻っていった。

 

(この悪魔め!)

 

 ジルクニフは内心そう叫ぶのだった。

 

 

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