えっ凡人がアインズ様に憑依?!   作:Revak

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第2話

 

 モモンガは自室を確認する。

 部屋の構成を把握すると部屋にメイドが入ってくる。シクススだ。

 

「モモンガ様。おそばに控えさせてください」

「……いいだろう」

 

 本当は傍に人なんて置きたくないがここで断ってもあーだこーだの末受け入れざるおえないので受け入れる。

 椅子に座りアイテムボックスから遠隔視の鏡(ミラー・オブ・リモート・ビューイング)を取り出す。

 

 まず最初にすべき事はザイトルクワエの討伐だ。

 

 シャルティアの行動を変化させ、法国に支配されないようにするとスレイン法国がザイトルクワエを支配してしまう。

 そうなるとさすがに面倒だ。守護者クラスを出さないと死の騎士の軍勢程度では蹴散らされてしまうので手間だし使い方を考えられれば損害を受ける。

 だからこそ先手を打ってザイトルクワエを討伐しておくのである。

 そのためにトブの大森林を探していた。

 

 操作方法がわからずあーだのこーだの苦戦する事十分。ようやく操作方法がわかりカルネ村を探す。

 

(確か転移してから四日目がカルネ村襲撃だからまだ猶予はある)

 

 ナザリックから一番近い村がカルネ村のはず、と思いカルネ村を探す。

 カルネ村さえ見つければそこからトブの大森林を見つけられるのだ。

 

 夜の草原を遠隔視の鏡(ミラー・オブ・リモート・ビューイング)で見ていく。

 

(……コーヒーでも飲みたいな)

 

 そう思うもアンデッドの体は飲食不可能。コーヒーはもう二度と飲めない。

 

(いや待て。戦争で大虐殺をしたときに強欲と無欲で経験値を吸っておけば<星に願いを>(ウィッシュ・アポン・ア・スター)で擬人化能力を得られるか……?)

 

 と同時に貴重な経験値をわざわざ美食に割くのもな……と思いつつ調べていると村を発見した。

 

(よーしよし……まだデミウルゴスとアルベドが相談してるだろうからな、時間が少し余ってる……図書館にでも行くか)

 

 モモンガはそう思うと遠隔視の鏡(ミラー・オブ・リモート・ビューイング)をいったん閉じてから立ち上がる。

 

「これからと……出かける」

「畏まりました」

 

 モモンガが歩いて行くとシクススは先手を打って部屋の扉を開ける。

 

 それにどこか申し訳なさを感じる。元が一般人なのでこういったことをされる立場にはないんだがと思ってしまうのだ。

 

 廊下に出る。

 だが、図書館がどこかわからない。

 図書館に行くと明言しなくてよかった。これならば迷子になっても自分はここに行きたかったんですよとアピールできる。

 

(確か図書館は……第十階層か)

 

 取りあえず歩くか、とてくてくと歩く。

 

(そういやこの体ローブの下どうなってんだろ)

 

 ズボンとか履いてるのかな、と思いつつモモンガは歩く。

 歩いていると他のメイドたちとすれ違う。

 

(どいつもこいつも美人だな~くそが!)

 

 美人などテレビでしか見たことなかった中の人は内心悪態をつきながら歩いて行くと階段に着く。

 階段を降り、十階層に入ると扉を見つける。

 

 入ろうとするとシクススが動き扉を頑張って開ける。

 扉は両開きの物であり結構重そうである。

 

「ご苦労」

 

 何も言わないのもあれだしな、と思いつつそう言いながら図書館に入る。

 

(ひろっ!)

 

 図書館は広大だった。

 中の人が住んでいた街の市民図書館なんぞより広い。倍なんて広さじゃ足りないぐらいだろう。

 受付に行き司書に尋ねる。

 

 受付に立っていたのは司書Jだ。

 屍蠟化したような白色の顔。手は骨と皮。動くたびに体を覆う微かな闇が揺らめいている。闇に溶け込むような漆黒のフード付きのローブを身にまとい、腰のベルトには宝石が先端にはめ込まれた短杖(ワンド)と、複数の宝珠を紐でくくりつけている。

 

「帝王学について書かれた本を借りたい」

「畏まりました、モモンガ様」

 

 こちらです、と司書Jはモモンガを案内する。

 

 ちゃんと図書館はジャンル分けされており、中には特撮コーナーもあった。

 そのうち見てみようかなぁと思いつつ素通りし、奥へ行くと帝王学について書かれた本があった。

 

「こちらになります」

「感謝する」

「はっ」

 

 モモンガは適当に本を手に取りパラパラとめくる。

 

(うん、まったくもってわからない!)

 

 中の人は凡人だ。原作鈴木悟のようにカリスマがある訳じゃない。

 だからこそ帝王学を学び仮初でもいいのでカリスマを手にしなければならないのだ。

 

 取りあえずわかりやすそうな本を手に取り受付に戻る。

 そこでレンタル手続きをして本を借り、図書館を出た。

 

 そのあとは寄り道せず自室へと歩いて戻っていく。転移した方が速いが転移しても暇なので歩く。

 

 自室に戻り扉をシクススに開けてもらい中に入る。

 部屋の中に入り、椅子に座る。

 

<伝言>(メッセージ)。アルベド、聞こえるか?」

『モモンガ様? 何かありましたか?』

「少し命令したいことが会ってな。今やっている仕事が終わったら私の自室に来てくれ……ゆっくりでいいからな」

『畏まりました』

 

 それで<伝言>(メッセージ)を切る。

 

 そのあとは読書に入る。

 眼精疲労などとは無縁の為文字を問題なく読める。視力も良いのだ。

 そうして読むこと一時間。部屋にノックが入る。

 

 シクススが扉まで行く。

 

「アルベド様が入室の許可を求めています」

「そうか、いれてやれ」

「畏まりました」

 

 そう言うと扉を開きアルベドが入ってくる。

 

「モモンガ様。命じたい事とは?」

「ああ、まずは座わるといい」

 

 その言葉にアルベドは驚愕する。

 モモンガは今部屋のソファに座っている。向かい側にもソファがある。そこに座るよう指先で示した。

 

「し、至高の御方と共に座るなど!」

「そうか? 嫌だというのなら立っていても……」

「いえ嫌ではありません! では失礼して……」

 

 アルベドはそう言うとモモンガの隣に一瞬座ろうとしたのか卑しい自分を恥じて向かい側に座った。

 

「それで、だ。人間の村を見つけた。そこを監視するために八肢刀の暗殺蟲(エイトエッジ・アサシン)とシャドウデーモンを二体ずつ配置しようと思っている。出来るか?」

「問題なく可能です。しかし何故監視を? 襲撃し情報を得ればよろしいのでは?」

「襲撃するのは悪手だ。この世界の人間の強さを知らない今下手な行動は致命傷となる。監視するのは事前に多少情報を得た状態から動くためだ」

「なるほど、最低限の情報を入手した後配下を旅人として接触させるためですね」

「その通りだ。ではさっそく行動に移ってくれ」

「畏まりました」

 

 アルベドは「失礼します」と立ち上がり部屋を出て行った。出る時にも一礼して行った。

 

(次はアウラだな……)

 

 そう思いながら遠隔視の鏡(ミラー・オブ・リモート・ビューイング)をアイテムボックスから取り出しカルネ村(推定)を見て、そこから森に行く。

 その間に<伝言>(メッセージ)を使う。

 

「アウラか? 今ちょっといいか?」

『モモンガ様?! どうかなされましたか?』

「暇ならば今から私の部屋に来てほしいんだが、来れるか?」

特殊技術(スキル)の確認が終わったので行けます! すぐ行きますね!』

「うむ。待ってるぞ」

 

 そうして<伝言>(メッセージ)が切れる。

 アウラを待つ間枯れ木の森を探す。

 速いうちにザイトルクワエは討伐しておきたいのだ。スレイン法国にとられる前に。

 

 そうして探すこと十分。枯れ木の森をついに見つける。

 それと同時に部屋にノックがかかり、アウラが来る。

 入室許可を出すとアウラが入ってくる。

 

「来たな、アウラ。今から外に行くぞ」

「え、外にですか? 護衛は……もしかして私だけですか?!」

「そうだ。他の者たちは忙しいからな」

「だ、だとしても御身が外に出るならば護衛を複数つけなければ!」

「いや、結構だ。今から行う事は速度が重要だ。もしかしたら日をまたぐかもしれないし、護衛の編成で時間を待っている暇はない」

「……そ、そこまで言うのなら……わかりました。精一杯頑張ります」

「うむ、そうしてくれ」

 

 モモンガはアイテムボックスに遠隔視の鏡(ミラー・オブ・リモート・ビューイング)をしまう。

 

「では行くぞ、<転移門>(ゲート)

 

 黒い楕円形の門が開かれる。

 アウラが先に行きます! と先に入り、遅れてモモンガも入る。

 シクススの行ってらっしゃいませ、という言葉を背後にモモンガはトブの大森林に転移した。

 

 

 

「ここが目的地ですか?」

 

 二人が転移した先は枯れ木の森と普通の森の境目だ。

 変なところだな、とアウラは周囲を見渡す。

 

「そうだ。これからあるモンスターを討伐する」

「わかりました。森のモンスターと言うと魔獣系ですか?」

「それとは違うな」

 

 そう話していると第三者の声がする。

 

「き、君たち何者だい?」

 

 声の方向を二人は見る。

 そこにはドライアドが居た。

 木がそのまま人の少女の形を象っている。髪の毛は緑色の葉っぱで代用されている。

 

「そう言うあんたこそ何者?」

 

 アウラが警戒しながら問いかけた。

 

「わ、私はピニスン・ポール・ペルリア。ドライアドだよ……その先は危ないから行かない方がいいよ」

「ほう? 危ないとは?」

 

 モモンガがずいっと身を乗り出す。

 

「あ、アンデッド? エルダーリッチかな……えぇと、この先にはザイトルクワエっていうすごく強い奴が居るんだ。危険だから行かない方がいい」

 

(ビンゴ!)

 

「いや、私はそいつに用事があるのだ。悪いが行かせてもらうぞ」

「えぇ?! 危ないよ! 行かない方が良い!」

「目的がそいつなのでな、行かせてもらう」

「あー、じゃあわかった! 行く前にさ、人を呼んでもらえない? 翼の生えた人とドワーフとかの七人組! 彼らと一緒に行けば危険も少ないだろうからさ!」

「その七人組はどこにいるの?」

 

 アウラが尋ねる。

 

「さぁ? 危なくなったらまた来るとは言ってたけど……」

「要領を得ないな。そいつらはどれだけ前に来たんだ?」

「太陽がいーっぱい登って降りた時」

「わかってないも同然じゃん」

 

 アウラが呆れた。

 

「まぁ良い。行かせてもらうぞ」

 

 モモンガが枯れ木の森の方に足を向けるとアウラも着いて行った。

 

「すぐ帰った方が良いよー!」

 

 ピニスンはそう叫ぶと引っ込んだ。

 

 アウラが先頭に立ち枯れ木の森を少し進む。

 

 それだけで充分だった。

 

 

 枯れ木の森の大地が揺れる。

 地面から巨大な異形が出現する。

 

 全長百メートル。木の根は三百メートルほど。

 巨大な枯れ木にも見えるそれの名はザイトルクワエ。

 げに恐ろしき怪物である。

 

「ガァァァアアア!」

 

 ザイトルクワエが腹にある口で叫んだ。

 

 少し離れた地点にいるピニスンが「世界の終わりだー!」と叫んだ。

 

「レベルは八十五、HPは……測定不能です!」

「レイドボスか。どれ、私が倒すとしよう」

「モモンガ様自らが、ですか?」

「うむ。私もまだ特殊技術(スキル)や魔法の実験を全て終えていないのでな。あのサイズならサンドバックにはちょうどいいだろう」

「畏まりました!」

 

 そうしてモモンガは<飛行>(フライ)を唱えザイトルクワエの前まで飛ぶ。

 

「では行くぞ──<連鎖する龍雷>(チェインドラゴン・ライトニング)!」

 

 二つの雷で出来た龍がザイトルクワエを襲う。

 雷撃ダメージによってザイトルクワエのHPが削れていく。

 

「さぁ、実験に付き合ってもらおうか!」

 

 

 

 

 ■

 

「なぁにあれぇ」

 

 ピニスンは開いた口を閉じれなかった。

 見上げれば空を飛ぶアンデッドが多種多様な見たことない指揮いたこともない規模のでかい魔法を馬鹿みたいに乱発している。

 どれも一発で自分を消して余りある威力の魔法だ。

 気になったピニスンは同行者であるアウラの元に移動する。

 

「ねぇ、あの人なんであんな強いの?」

「あの人、じゃなくてモモンガ様だよ」

 

 アウラはピニスンのあの人呼びに起こり、訂正を求める。

 

「も、モモンガさ……まね。あの人が使ってる魔法何? 見たことないんだけど」

「だいたい八位階から十位階の魔法だと思うよ。モモンガ様は魔法詠唱者(マジック・キャスター)だからね」

「第八位階?! 伝説……いや神話の領域じゃないか!」

 

 ピニスンはそう絶叫する。

 

「ていうか世界を滅ぼせるはずのザイトルクワエを一方的に攻撃するってモモンガさーま何者?!」

「至高の御身だよ」

「わけがわからないよ!」

 

 そう叫んでいるとついにザイトルクワエのHPがゼロになる。

 あらゆる魔法を受けた結果ザイトルクワエは生命活動を停止……死んだのだ。

 

 モモンガは頭上まで飛び、そこに生えている薬草を採取する。

 七枚ほど採取出来た。

 

 それをアイテムボックスに仕舞いモモンガは転移魔法でアウラの元まで戻る。

 

「戻ったぞ」

「お帰りなさいませモモンガ様! どうでした?」

「あぁ。良い実験になったよ。やはりサンドバッグとして丁度よかった」

「えぇ……世界を滅ぼす魔樹をサンドバッグって……」

 

 ピニスンが驚愕しすぎて顎を外した。

 

「さて、これで目的は達した。我々は帰るが……ピニスン、お前はどうする?」

「え、私?」

 

「望むならばこれまで以上の環境の場所にお前を移してやってもいいぞ」

 

 その言葉にピニスンは少し悩んだ末、結論を出す。

 

「うん。私も行くよ……逆らったら怖いし

 

 そうしてモモンガはピニスンを連れナザリックに戻るのだった。

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