数日の旅を経て、聖騎士団一行とアインズは聖王国内に入り、ある洞窟に入った。
この洞窟こそが今の聖騎士団の拠点だ。
聖王国は南北に別れており、ヤルダバオトが北の地を襲い北の領土の都市全てが奪われた。
結果このような惨めな洞窟暮らしをするしかないのだ。
「申し訳ありません、魔導王陛下。陛下を迎え入れるには相応しくない場所ですが……最大限の歓待はさせていただきます」
「君たちの事情もある程度は把握している。だから問題はないさ」
そうアインズは言った。
アインズは広い洞窟内にある一番いい天幕に入った。
椅子に座り、アインズは台本をアイテムボックスから取り出し読む。
デミウルゴスの優秀な頭脳をもってして作られた台本だ。この通りに動けば計画は順調に進むだろう。
万が一失敗したとしても問題なく動くように設計されている為、仮に失敗しても問題ない。
そうして台本を読んでいるとアインズは呼ばれ、会議室に通された。
会議室の中の上座に通される。
そこで軽い挨拶を済ませる。
「そこで魔導王陛下のお力をお貸し頂ければと──」
レメディオスがそういうも、アインズはふむ、と声を発した。
「その場合君たちは私の──魔導国の指揮下に入る事になるがいいのかね? 勿論それでいいというのなら最良の手段をもって私が力を振るい事態を解決させて見せるが」
その言葉にレメディオスが反対した。
「いえ。私たちの主は聖王女様ただ一人……申し訳ないが、他国の指揮下に入る事は出来ません」
「そうか。ならば、私もでしゃばるような真似はしないが──そうだな。大きな戦の時には私は戦えない」
「どうしてでしょうか?」
「ヤルダバオトを倒す際、雑兵に魔力を消費して戦えない……などと言う事態を避けるためだ。あくまで私はヤルダバオトを倒すために来たのだからな」
「……なるほど。理解しました」
そうして会議は進んで行く──
■
アインズは与えられた自室──といっても天幕の中にネイアを呼んでいた。
「君に渡したい物があってな」
そう言ってアインズはアイテムボックスを開き、そこから豪華な弓を取り出す。
「これはアルティメット・シューティングスター・スーパーという弓だ。非常に強力な弓でね」
弓を見たネイアが断る。
「こ、これほどの弓をお受けする訳にはいきません!」
「なに。ただで渡すという訳じゃない。一時貸すだけさ。私の従者となったのならば、この弓で私を守ってくれないか?」
そう言われるとネイアは断ることが出来なかった。
「そ、そういう事ならば、お受け致します」
そう言ってネイアは恐る恐る受け取ったのだった。
(さて、ネイアは原作通り狂信者になるかな?)
アインズとしてはどっちでもいい。その通りになれば便利だが、ならなくとも軌道修正は幾らでも可能なのだから。
■
アインズは時折アルベド授業によって得た知識でそれっぽい助言をしたりしながら、捕虜収容所を襲撃する事になった。
夜陰に乗じての襲撃だ。
月明かりだけが地上を照らし、非常に暗い。だがアインズは暗視の種族
アンデッドの身体はこういう時便利だ。
「さて、いかような手段をもってして襲撃を成功させるのか……楽しみだ」
その言葉に隣の馬に乗っているネイアが疑問を抱いた。
「楽しみ、ですか?」
「うむ。どうやって襲撃するのか。こればかりは出し惜しみはないだろう。下手に温存すれば失敗するのだからな。聖騎士の戦いには興味がある」
「なるほど……」
「しかし……正面から破城槌を使っての攻撃か」
「はい。団長なら門を壊すことも可能ですが、時間がかかるので破城槌を使った方が早く終わりますから」
「なるほどな」
そうして襲撃が始まる。
神官たちが天使を召喚し、城壁上を襲撃。
その間に聖騎士たちが破城槌を使い門を攻撃する。
破城槌を使っている者たちを敵の攻撃から守る為に聖騎士たちが盾を掲げている。
(原作通りだな。さて、どうなるか)
アインズは自身の話術にあまり自信はない。
アルベドやデミウルゴス、パンドラ相手に練習はしているがそれも拙い物だ。
だから原作のようにカリスマあるアインズ・ウール・ゴウンを演じられるか不安なのである。
そうして門を攻撃し続けていると、一人の亜人──バフォルクが子供を手に持っていた。
「下がれ! 下がるんだ人間ども! そうでないとこの子供を殺すぞ!」
そうバフォルクは叫ぶ。
その言葉に聖騎士たちは大人しく行動を止めてしまった。
更にはレメディオスも下がれと指示を出してしまう。
「不味いな」
アインズがポツリと呟いた。
人質を取る相手の言う事を素直に聞く。それは非常にまずい事だ。
アインズの中の人としても多少の損害は無視して人質ごと相手をぶち殺すのが正義だと思っている。勿論人質側はそんな扱いされるのはたまったもんじゃないだろうが、殺すのは人質を取っている側なんだから仕方がないだろうとも思う。
アインズは乗っているソウルイーターを動かし、レメディオスのもとまで動く。
「どうした、カストディオ殿。このまま相手に従うのか?」
「黙れ! 今策を考えている!」
「その間にも事態は刻一刻と悪化するが、いいのかね?」
「黙れ! 本当はあるはずなんだ、誰も死なず、助けられる。聖王女様の望む世界を実現する術が!」
やれやれ、とアインズはため息を吐いた。
理想を追うのは良いが、それで他者に迷惑をかけてどうする、と。
まぁここまで追い込んだのは自分のせいではあるので多少の同情はするが。
そもそもアインズがヤルダバオト作戦を実行しなければよかったのだ。
だが、この作戦はアインズの名声を高めると同時に聖王国を将来的に魔導国の領土にする計画だ。世界征服、ないしは人類圏の統一が目的である以上避けて通れぬ。
魔導国──ナザリックにとって周辺国家は全て仮想敵国なのだ。だからこうなるのも仕方がない事である。
「であれば、私が事態を解決しよう……犠牲が皆無、とは言えないが」
その言葉にレメディオスは歯ぎしりした。
だが、すぐやめる。
「……犠牲は、出るか」
「残念ながらな」
「……わかった」
「では、行ってくるとしよう」
そう言ってアインズはソウルイーターを進め、門の方に進む。
「止まれ! 止まらないと──!」
バフォルクが何か言っているがアインズは無視し魔法を唱える。
「
強化された第三位階の魔法によって門は破壊され、炎によってバフォルクと子供は焼け死んだ。
「なっ……!」
そのことに一瞬、レメディオスが絶句した。
「さぁ、聖騎士たち。門は開いたぞ」
「くっ──全員! 突撃!」
レメディオスが苦渋の表情でそう叫び、聖騎士たちが突撃した。
「魔導王陛下……」
近くに来たネイアがポツリと呟いた。
「私が何かとんでもない魔法で事態を好転させると思っていたかね?」
「……はい」
「無論、私の力ならそれも可能だ。捕らえられている民が魔導国の者ならそうしただろう。だがここは聖王国。民を救うのは聖騎士でなくてはならない。他国の王が他国の民に慈愛を向ける訳にはいかない」
アインズはそう言った。
始めて無実の民を殺したというのにアインズの心に変化はなかった。
そうして聖騎士たちが捕虜収容所を襲撃していった。
アインズはソウルイーターを進め、焼け死んだ子供の遺体に近づいた。
アインズはそっと子供の目を閉ざした。
(さて、どうなるかな)
アインズは内心ため息を吐いたのだった。
■ 原作通り進んだので残りはカットだ!
小都市ロイツを解放し、聖王女の兄、カスポンドを救出した聖騎士一行。
そしてカスポンドの指示でロイツで亜人軍と一戦交える事になった。
アインズはその戦いを
「実際の戦争は悲惨だな」
アインズはそう他人事のように呟いた。
戦争とは悲惨で苦しく意味のない物だ、とアインズは考える。
戦争なんてアインズとしても本音を言えばしたくない。だが、アインズ──プレイヤーとして考えればしなければならない。
今後来るであろうプレイヤーや真なる竜王と言ったこの世界の強者。それらに対しギルド、アインズ・ウール・ゴウンは敵対関係になる。
竜王たちはプレイヤーというだけで敵対するだろう。例外はツアーぐらいのもので、最初から戦争は前提になってしまう。
だからこそアインズは世界征服を選択した。敵が先手を打って攻撃してくる前にこちらから打って出る為に。
「さて……」
アインズは原作通りその後動き、レメディオスを救援した後ネイアのもとに向かった。
死体に群がりつつある亜人たちに絶望のオーラで即死をばら撒き殺し、
そして蘇生魔法を行使する。
「魔導王……陛下」
「よかった。無事だったか。どれ、これを使おう」
そう言ってアインズはバレアレ工房で作った最新の回復のポーションを使った。色は紫だ。
余談だがリイジーは若返りが解ける事なくまだ若いままである。
「き、貴重な回復薬をこのようなところで……」
「気にすることはない。君を助けるためなら安い物だ」
そうアインズは微笑んだ。と言っても骨の顔なので表情は変わらないが。
「ああ──わかりました。陛下は正義なのですね!」
★この後は原作通りだからカットだ!