えっ凡人がアインズ様に憑依?!   作:Revak

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第4話

 

 翌日。アインズの自室にて。

 

 アインズは執務机に向かってデミウルゴスと話していた。

 

「こちらが陽光聖典及びその部下から得た情報になります」

 

 デミウルゴスが書類の束を渡す。

 

「うむ。ご苦労」

 

 アインズは書類を読む。

 

(タレント、周辺国家について。まぁ原作そのままの情報だな)

 

「あの男……ニグンについてはどうしている?」

「部下で情報を聞き出そうとしたところ三回答えると死ぬようですので今のところは実験に使っています」

「そうか。有効に使え」

「畏まりました」

「それで、だ。デミウルゴスには外に出て貰いたい。やってもらうのは巻物(スクロール)やポーションの材料集めだ」

「なるほど。不足する資源について今の内から補充手段を得るという訳ですね」

「その通りだ。だが、してはならないことを命ずる」

「なんなりと」

「まず、知的生命体を家畜のように扱うのは禁ずる。この知的生命体と言うのは言葉が通じ会話が成り立つ種族についてだ。個人で話せない奴が居るからとそいつを家畜扱いするのも禁止だ。何故だかわかるか?」

「……今後同格の者と接触した際に、心証を良くするため、ですか?」

「その通りだ。この世界における強者はどうかまだわからないが同胞……ユグドラシルのプレイヤーの殆どは人間を厚遇している。ユグドラシルでは人間一強だったからな。それらを考えると無駄に敵対者を増やす行為は禁じる」

「畏まりました」

「それと同時に魔王計画について話そう。今後アインズ・ウール・ゴウンが活動する際に分かりやすい敵対者が居た方がいいのわかるな。それと同時にある程度悪事をなした方が利益が出るだろう。そのためにヘイトを買う役である魔王が必要だ。だが魔王を演じる際にナザリックの者を使うのは禁ずる。これはアインズ・ウール・ゴウンを知る者が居ればアインズ・ウール・ゴウンとの繋がりを勘繰られるのは勿論の事、今後NPCを外で活動させる際(しがらみ)となるからだ。使うならば傭兵NPCや特殊技術(スキル)などで召喚したモンスターを使え」

「……なるほど。そう言う事ですか。畏まりました」

 

(何がわかったんだろう)

 

 そう思いつつアインズは神妙にうなずいて見せた。

 

「うむ。今のところはこれぐらいだな。あとは……あぁ、セバスとソリュシャンに人間の商人に変装させ情報収集をさせようと思っている。それに関して意見を欲しい」

「……人間の令嬢とその執事、と言ったところですか。良いと思います。護衛は?」

「シャドウデーモンと八肢刀の暗殺蟲(エイトエッジ・アサシン)をつけようと思っている」

「なるほど。それで問題ないと思います。商品はどうするつもりですか?」

「ナザリックの最下位の鉱石で作れる武器でも売らせようと思っている。鍛冶長ならば作れるだろう。この世界ならばデータクリスタルが入っていない物でも売れるだろうからな」

「でしたら壺などの調度品も作らせると良いと思います。それらも良い商品となるでしょう」

「なるほど、そうさせてみるとしようか……それで話は変わるが、私は冒険者として活動しようと思う」

 

 その言葉にデミウルゴスは眉を潜めた。

 

「恐れながらアインズ様、それは危険が高すぎます。まだこの地にどのような強者が居るかもわからない現状御身を危険にさらすわけにはいきません」

「──デミウルゴス。お前は私たちアインズ・ウール・ゴウンが何をしてきたのか知らないのか?」

 

 アインズはそうデミウルゴスに問いかける。アインズも知らないが。

 すぐにデミウルゴスは察した。

 

「……なるほど! そう言う事でしたか。考えが及ばず申し訳ございません。ですが必要最低限度の護衛を付けていただきたく存じます」

「あぁ。シャドウデーモンと八肢刀の暗殺蟲(エイトエッジ・アサシン)を何体かつけるつもりだ」

「ぜひそうしてください……しかし私は納得いたしましたが、アルベドは反対するでしょう。どうなさいますか?」

「……説得する。デミウルゴスも協力してくれ」

「畏まりました」

 

 

 

 ■

 

 

 数日後。

 アインズはモモンとなり漆黒の剣と共に冒険に出かけていた。

 そしてンフィーレアを連れカルネ村に向かう道中で一泊していた。

 焚火を囲い漆黒の剣にンフィーレア、アインズとナーベラルの二人が座っている。

 そしてふと、ペテルがアインズに「仲間が居たんですか?」と問いかけた。

 

「仲間……えぇ。彼らは私にとって掛け替えのない仲間でした」

 

 そうアインズが話始める。

 アインズはまぁその記憶ないんだがと内心苦笑しながら話す。

 

「かつて弱かった私を助けてくれたのは純白の正騎士でした。彼に連れられ、最初の仲間が出来ました」

 

 アインズは昔を懐かしむ雰囲気を醸し出す。

 

「二刀盗賊、大魔法詠唱者(マジック・キャスター)。錬金術師……かれらは私にとってとっても素敵な仲間たちでした」

 

 そこでアインズは台詞を止める。

 

(アインズ・ウール・ゴウン、モモンガの……いや、鈴木悟にとってのすべて、か)

 

「モモンさん……いつか、また素晴らしい仲間に出会えますよ」

 

 ニニャがそう言った。

 

「……そう、かもしれませんね」

 

 アインズはそう苦笑した。

 

「さて、宗教の関係なので、私は向こうで食べてきます」

 

 アインズはそう言うと器を持って離れていった。

 それにナーベラルも着いて行くのだった。

 

 

 

 

 ■

 

 翌日。

 トブの大森林、カルネ村に近い地点にて。

 アインズはアウラに命じ森の賢王を誘わせていた。

 

 グレートソード二つを抜いて構えていると風切り音と共に鞭のようにしなる尻尾が飛んでくる。

 グレートソードの腹で受けるも少し後ろにずらされる。

 

(強いな)

 

「ほう。某の攻撃を防ぐとは見事でござるな」

「……お前が森の賢王か? 姿を見せず声だけとは、恥ずかしがり屋か?」

「言うではござらぬか……では某の姿を見て畏怖するがよい!」

 

 そうして森の賢王が姿を現した。

 

 現れたのは五メートルほどの大きさを持つジャイアントジャンガリアンハムスター。尻尾だけが鱗の生えた蛇のような形をしている。

 

「……お前の種族、ジャンガリアンハムスターとかだったりしないか?」

「なんと?! 某の種族を知っているでござるか? 知っているのなら教えてほしいでござる。生物として子孫を残さねば失格でござるが故」

 

(ぐふっ)

 

 アンデッドとなり子作りできなくなったアインズには刺さる台詞だった。

 

「まぁ、無理じゃないか? 私が知ってるのは手乗りサイズだから、お前とはサイズ差がありすぎる」

「そうでござるか。残念でござる……さて、無駄話はこれぐらいにして、命のやり取りをするでござるよ!」

「ああ、そうしよう──ナーべ。手を出すなよ」

「はっ」

「ふむ。二対一でも構わぬでござるか」

「ハムスター相手にそんなことできるか」

「そうでござるか……では死ぬがよいでござるよ!」

 

 そう言いながら森の賢王が突撃してくる。

 アインズは右手のグレートソードで防御し突撃する。

 突撃によりアインズの足が地面に後を残しながら後ろに押されていく。

 

 アインズは左手のグレートソードで攻撃する。

 ガキン、という硬い金属同士がぶつかった音がした。

 

(俺の魔法で作った奴と同等以上か!)

 

 森の賢王の名は伊達ではないな、とアインズは想いながら後ろにジャンプする。

 そこに森の賢王も突撃し右手の爪で斬り裂こうとしてくる。

 爪とグレートソードが衝突する。パワーでアインズが負け弾かれた。

 だがそれと同時にアインズは左手のグレートソードで攻撃をしている。

 しかしその攻撃は森の賢王の左手の爪ではじかれた。

 

「ちっ」

 

 アインズが舌もないのに舌打ちをすると森の賢王が縦に一回転しながら尻尾で攻撃してきた。

 アインズの顎に当たる。人間なら脳震盪を起こしただろうがアンデッドなので問題ない。

 

 そのまま両手のグレートソードで攻撃するもその硬い皮膚ではじかれる。

 

 途端森の賢王が距離を取る。

 

 ぐるぐるアインズの周囲を走りながら体の文様を光らせ魔法を行使する。

 <全種族魅了>(チャームズピーシーズ)<盲目>(ブラインドネス)、その他の状態異常系魔法。

 だがアインズの持つ上位魔法無効化により無効化される。最もそれがなかったとしてもレベル差とアンデッドの種族特性でどっちにしろ効かなかっただろうが。

 

 走りながら森の賢王はしなる尻尾で攻撃する。

 死角からの攻撃であり防御も回避も間に合わず頭に受けてしまう。

 

 そのまま森の賢王は突進してくるがグレートソードを盾のように構え防御する。

 

 後ろにアインズは押された。

 

(やはりリアルでの戦闘経験が無いのがつらいな。雑魚なら兎も角このレベル相手だと近接職の真似事は不可能か)

 

「まずは某が一撃、でござるな」

 

 森の賢王がニヤッと笑みを浮かべた。

 

「しかし其方、なかなかの戦士でござるな」

「……私を見て戦士だと?」

「む? もしや騎士でござったか? その装備品のレベルの高さを見るにさぞ高名な騎士だと思うのでござるが……」

「……この私を見ても魔法詠唱者(マジック・キャスター)だと気づけない、か」

 

 予想ついていたと事とはいえ、森の賢王が名前負けしていることに思わずため息を吐いた。

 

「辞めだ──<絶望のオーラ>──れべるいち」

 

 アインズは相手に恐怖を与える特殊技術(スキル)を行使した。

 それにより森の賢王の毛が逆立ちひっくり返って腹を見せた。

 

「某の負けでござる~降伏でござる~!」

「所詮は獣か……」

「殺しちゃうんですか?」

 

 上から声がかかった。

 声の主はアウラだ。

 

「でしたら、皮を剥ぎたいって思うんです。結構いいの取れると思うんです!」

「そ、そんなぁ~」

 

 森の賢王が情けない声を出した。

 

「いや、それはしない。私のペットにする」

 

 その言葉に反応したのはナーベラルだった。

 

「こ、この獣をモモン様のペットにですか?!」

「そうだ。臣下にするには、まぁまだ弱いからな。ペットなら丁度いいだろう」

「さ、左様でございますか……」

 

「ほら、森の賢王。私に忠誠を誓え。そうすれば殺さないでやる」

「わ、わかったでござる。この森の賢王、殿に忠義を尽くすでござるよ!」

 

 

 

 

 

 ■

 

 翌日の夜。

 バレアレ薬品店の薬草保管庫に漆黒の剣とンフィーレアは来ていた。

 ンフィーレアが扉を開けて中に入ると其処には女が一人立っていた。

 ネコ科の動物を思わせる可愛らしい顔つきの女だ。金髪赤目である。ローブによって体を隠している。

 

「おかえり~ずっと待ってたんだよぉ」

 

 女──クレマンティーヌはそうネコナデ声を出す。

 

「あ、あの。あなた誰ですか?」

 

 ンフィーレアが自宅に知らない誰かが居るという事に恐怖しながら訪ねた。

 

「え? 知り合いじゃないんですか?」

 

 ペテルがそう言い、念のため持っていた薬草の箱を床に置く。

 

「私はねぇ、君をさらいに来たんだぁ」

 

 クレマンティーヌはそう言いながら腰に差しているスティレットを抜く。

 ペテルたちは武器を抜いてンフィーレアの前に出た。

 

「ンフィーレアさん! 下がって!」

「君の持つ生まれながらの異能(タレント)を使って、アンデッドの軍勢を操る第七位階魔法<不死の軍勢>(アンデス・アーミー)を使ってほしいんだぁ、お姉さんからの、お、ね、が、い♡」

 

 クレマンティーヌが放つ威圧感に一行は怯える。

 

 ぱたん、と後ろからドアを開けて男が入ってきた。

 頭髪を剃っている男だ。死者のように肌が青白く、黒いローブを着ている。

 

「遊びすぎるなよ」

「わかってま~すよっと!」

 

 クレマンティーヌはスティレットで刺突をかます。

 時間的に遊べるとしたら一人だけだろう。

 ならば男装している女一人だけで遊ぶとして、残るのはさっさと殺しておこう──クレマンティーヌはそう考えた。

 

 刺突はペテルへと向かい──途中ではじかれた。

 

「は?」

 

 ペテルが剣や盾で防いだ訳ではない。虚空から何かによって弾かれたのだ。

 

「なんだ……?」

 

 再度クレマンティーヌは刺突をするも同じように弾かれた。

 

(──生まれながらの異能(タレント)? いや魔法か?)

 

 クレマンティーヌは刺突を繰り返すがどれも謎の攻撃によって防がれる。

 

 この攻撃の正体はアインズが漆黒の剣につけた八肢刀の暗殺蟲(エイトエッジ・アサシン)である。

 アインズはいずれ第六位階魔法まで使えるようになるニニャを死なせるのは惜しいと思い護衛を派遣しておいたのだ。

 最優先に守るべきはニニャ、次点でその他の漆黒の剣メンバー、ンフィーレアは守らせていない。

 

「な、なんだ?」

 

 ペテルは何が起こってるのかわからず混乱するもすぐ攻撃に移る。

 だがクレマンティーヌはあっさりとそれを防ぎ、刺突が駄目ならばと素手で吹き飛ばす。

 それは防がれずペテルは奥へと飛ばされた。

 

「しゃーないか」

 

(ここで相手の生まれながらの異能(タレント)を見破るのに時間をかけすぎるのは不味い。時間がかかればリイジーが来るし一人逃がせば終わる。ならば──)

 

 クレマンティーヌはペテルたちを無視しンフィーレアの背後に移動する。

 そのまま首をトン、と叩き気絶させる。

 

「それじゃあ、バイビー」

 

 クレマンティーヌは懐から煙球を取り出し地面に投げ煙を放出させる。

 

「ま、待て!」

 

 ルクルットがそう叫びながら短剣を取り出しクレマンティーヌに襲い掛かろうとするもそこには既に誰も居なかった。

 

「逃げられた……!」

 

 ニニャが苦い顔で言った。

 

「く、ルクルット! 冒険者組合まで走ってこのことを伝えるんだ! 私たちはンフィーレアさんを探すぞ!」

「わかった!」

 

 そうしてルクルットは扉を開け出て行った。

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