えっ凡人がアインズ様に憑依?!   作:Revak

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第5話

 

アインズは冒険者組合で森の賢王、ハムスケの絵を描いてもらい、受付で処理を済ませたところだった。

そこにルクルットが慌てた様子で入ってくると同時に叫んだ。

 

「モモン!あぁ、よかった。ンフィーレアさんが攫われた!」

 

その叫びに組合の中に居た冒険者や受付嬢などがざわつく。

 

ルクルットがアインズの元に走ってくる。

 

「相手はアンデッドの軍勢を生み出す魔法なんてものを使わせるつもりらしい。戦士と魔法詠唱者(マジック・キャスター)の二人組だ!」

「なるほど。アンデッドとなると……墓地でしょうか。いや、確証が得られないな。少しナーベに魔法で調べさせます」

 

アインズがそう言うと慌ただしく組合に入ってくる老婆が居た。

 

「い、今ワシの孫が……ンフィーレアが攫われたと聞こえたんじゃが?!」

 

入ってきた老婆はリイジー・バレアレ。ンフィーレアの祖母だ。

 

「あんた、リイジーさんか?そうだ、妙な二人組に攫われちまった!」

「なんと?!ぼ、冒険者に依頼じゃ、ワシの攫われた孫を助けてくれ!」

 

ニヤリ、とアインズは笑みを浮かべた。

 

「その依頼、お受けしましょうーー報酬はどうします?」

「お主ならば……ワシが差し出せるものならなんでも!」

「良いだろうーー報酬については後で話すとしようか。ではこれからナーベに魔法を使ってもらう。すみませんが部屋を一室借りても?」

 

受付嬢が唖然としながら了承した。

 

「あ、はい。どうぞ」

 

アインズとナーベは二階に上がり、小部屋に入る。

 

「ここまでは計画通りだ。では……」

 

アインズはアイテムボックスから無限の背負い袋(インフィニティ・ハヴァザック)を取り出す。

この中には探知系巻物(スクロール)が山のように入っている。

幾つかの巻物(スクロール)を取り出す。

 

「探知魔法を使う際は相手に逆探知されないように対抗呪文を用意するのが常識だ。ナーベも今後こういった時があるならば対抗手段を用意するように」

「はっ」

「……これだけあれば充分だろう。探知目標はンフィーレアに渡したポーションだ。」

 

アインズが出したのは原作よりも少ない巻物(スクロール)だ。

 

「よし、魔法を行使しろ」

「畏まりました」

 

そうしてナーベが魔法を使っていく。

幾つかの魔法を唱えた後、最後に<物体発見>(ロケート・オブジェクト)を使う。

 

「見つかりました。ガガンボは墓地に居るようです」

「そうか。<水晶の画面>(クリスタル・モニター)を使って私にも見せろ」

「わかりました。<水晶の画面>(クリスタル・モニター)

 

ナーベラルが魔法を行使し水晶の画面が空に浮かぶ。

 

「なるほど、アンデッドの軍勢のおまけつきか。これも予想通りだ……では行くぞ、ナーベ」

「はっ!」

 

片づけをしてからアインズとナーベラルは部屋を出て一階に降りる。

そこにはリイジーが待っていた。

 

「ンフィーレアさんは見つかりました。墓地の奥地に居ます」

「墓地……孫は無事か?!」

「まだ無事ですが、時間が経てば不味いことになるでしょうーー更に相手はアンデッドの軍勢をもついている」

 

その言葉に組合内がざわついた。

 

「ですので急いでいく事にします」

 

そう言うとアインズはダッシュをした。ナーベラルも<飛行>(フライ)を使う。

 

組合の外に出る。

 

「ハムスケ、西に向かうぞ!」

 

そのままハムスケにジャンプで背に乗る。

 

「わかったでござる!行くでござるよ!」

 

そうしてアインズはハムスケに乗って墓地へと向かった。

 

 

 

 

原作通り墓地に突入しアンデッドの軍勢を薙ぎ払いながらアインズは墓地の奥地の神殿前に来ていた。

 

「……銅級(カッパー)の冒険者がどうやってここまで……」

 

カジットがそうぎろりとアインズを睨んだ。

 

「何、この剣で突き進んできただけさ」

 

アインズはそう両手のグレートソードを掲げた。

 

「それで……もう一人いるだろう?女の戦士が」

「ま、バレてるよね~」

 

神殿からクレマンティーヌが歩いてきた。

 

「ふん。二対二……そちらに勝ち目はないぞ」

 

カジットがそう告げた。

 

「いいや、一対一さ。そこの女、私たちは向こうでやり合わないか?」

「ん、いいよ。じゃあいこっか」

 

そうしてアインズとクレマンティーヌは離れていく。

 

少し離れた場所でアインズとクレマンティーヌは向かい合った。

アインズは両手のグレートソードを構える。

 

「さぁーー来い」

「ふーん……いいよ、行ってあげる」

 

クレマンティーヌはクラウチングスタートにも似た構えを取った。

そしてーー突撃。スティレットを前面に突き出している。

アインズは右手のグレートソードでそのまま叩き潰そうとするがクレマンティーヌは武技流水加速を使いぬるりと回避した。

そのままアインズの鎧の肩に攻撃するも少しへこませただけに終わった。

 

「ちっ!」

 

アインズは左手のグレートソードを振り払うように振るうとクレマンティーヌはジャンプで後ろに飛び回避した。

 

「かったいなぁ。今度は薄いところを攻撃しなくちゃ、ね」

 

クレマンティーヌはそう笑みを浮かべると再度しゃがみ独特な姿勢を見せる。

今度は本気の刺突だ。

 

(<能力向上><能力超向上><疾風走破>ーー)

 

幾つかの武技を重ね掛けし刺突を見舞いする。

アインズの視力をもってすれば余裕で見える攻撃だ。

グレートソードで振り払うように攻撃するも先ほどと同じく<流水加速>で回避される。

だがアインズも馬鹿ではない。回避した先にもう一つのグレートソードが来るようにすることで回避を封じた。

グレートソードがクレマンティーヌに当たるーー寸前にクレマンティーヌはスティレットを間に挟み武技<不落要塞>を使う事で防御した。

そのまま地面を蹴って跳躍しアインズのヘルムのスリットに攻撃する。

そのまま貫通ーーしたかと思ったが虚空を貫いた。

当然だ、アインズは骸骨、眼球なんてものはない。

 

アインズが右手のグレートソードで振り払うように攻撃するとクレマンティーヌは後ろにジャンプすることで回避する。

 

「なぁんで今ので死ななかったの?……防御系の武技かな」

 

クレマンティーヌはスティレットを舐める。

 

「……この戦いは勉強になるな。武技と言う物の存在。近接職の距離感……初心者である私には大変な勉強になった。感謝しよう」

 

アインズはそう礼を言った。

それに対し気味が悪いとクレマンティーヌは舌打ちをする。

 

「あんたさぁ、戦闘ド素人でしょ、戦ったこともない餓鬼がそれっぽく棒切れ降ってるだけ……それなのになんでそんな身体能力高いんだか」

「それには少し人には言えない事情と言うのがあるのさ、女--故にこう提案しようーー私の下僕と成れ、女。さすればお前は黄金の輝きによってその身を照らされるだろう」

「……何言ってるのか全然わかんないんだけど。まぁいいや、死ね」

 

クレマンティーヌが再度同じ構えを取るーー前に竜の咆哮が響いた。

 

骸の竜(スケリトル・ドラゴン)か……それも二対」

「そゆことー、あの魔法詠唱者(マジック・キャスター)ちゃんじゃあ、勝てない相手だね~」

「まぁ、ナーベならな……ぐだぐだと戦闘を長引かせる気はないーーとっとと終わらせるとしようか。ナーベラル・ガンマ!ナザリックが威を示せ!」

 

アインズはそう叫んだ。

それに対しクレマンティーヌは嘲笑する。なにそれ、と。

 

「さてーー」

 

 

アインズは<上位道具製造>(クリエイト・グレーター・アイテム)を解除した。

 

「な、アンデッド?!死者の大魔法使い(エルダーリッチ)か?!」

 

クレマンティーヌはそう叫んだ。

 

「いいや、それの上位種さーー<中位アンデッド創造>死の騎士(デス・ナイト)

 

アインズの前に死の騎士(デス・ナイト)が現れる。

 

「……マジ?」

 

クレマンティーヌは引きつった笑みを見せた。

死の騎士(デス・ナイト)ーークレマンティーヌより格上のアンデッドだ。

かつての、漆黒聖典時代の装備を持っているころなら兎も角今の劣化品しか持ってない現状では勝ち目が限りなく薄い相手だ。

一対一ならばなんとか勝利することも逃げることも出来ただろう。

だが、ここにはアインズも居る。逃げることも勝つことも容易ではない。

 

「さらに駄目押しだ」

 

アインズはそう言うともう一体死の騎士(デス・ナイト)を作った。

これでわずかにあった勝機はゼロになった。

 

「は、はは、ははは……」

 

クレマンティーヌは引きつった笑いをするしかない。

死の騎士(デス・ナイト)一体でさえ英雄級と同等以上なのだ。それを二体も容易く召喚ーーあるいは創造ーーするなど常人に出来る事ではない。

 

「もしかして……ぷれいやー……いや、神様」

 

(ーーその言葉が聞きたかった)

 

「面白いことを知っているな、女ーーどうする?まだ戦うかね?それとも……私に忠誠を誓うか?」

 

クレマンティーヌは跪いた。

 

「忠誠を、誓います」

「よろしいーー私の本当の名はアインズ・ウール・ゴウンという……この名に聞き覚えは?」

「いえ、ありません」

「そうか……では私について来い」

「はい……」

 

アインズはクレマンティーヌを連れて神殿前まで戻る。

そこにはカジットたちを殺し終えたナーベラルがメイド姿で居た。

そのことにクレマンティーヌは疑問を抱きつつ口答えしないようお口にチャックしといた。

 

「待たせたな、ナーベラル。問題はあったか?」

「いえ、何もありませんでした」

「そうか……では私はこの女を連れて神殿内に入る。ナーベラルは殺した奴らから有能な物がないか物色しておけ」

「畏まりました」

 

「行くぞ。案内をしろ」

「かしこまりました」

 

クレマンティーヌを先頭にアインズは神殿内に入り、隠し階段を開き降りていく。

降りた先の円形上の広間にはンフィーレアが立っていた。スケスケの服を着、頭には叡者の額冠を付けている。

 

「これはどういう状態だ?」

「叡者の額冠というアイテムを使い自我を封じ込め、高位魔法を発動する媒体にした状態です」

「そうか……<道具上位鑑定>(オール・アプレイザル・マジックアイテム)

 

アインズは叡者の額冠に魔法を使う。

効果が頭の中に入ってくる。

 

「なるほど……では壊すか。<道具上位破壊>(グレーター・ブレイク・マジックアイテム)

 

その魔法により叡者の額冠は破壊され、封じられていた自我をンフィーレアは取り戻した。

アインズはアイテムボックスから上位のポーションを取り出しンフィーレアにかける。これで失明も治っただろう。

 

「そう言えば、お前は質問をしても死んだりしないだろうな?」

 

アインズは気になったことを尋ねる。

 

「し、死にません。なぜそんなことを?」

「以前捕獲した連中は三度答えたら死んだからな。この世界の人間はそんな生態をしていないだろうかと思ってな」

「……スレイン法国の聖典ならばその魔法を受けますが、私は抜けた身なので魔法は受けていません」

「ならばいい」

 

そう言うとアインズがンフィーレアを担いで上へと戻る間にアインズは<伝言>(メッセージ)を使う。

繋げる相手はアルベドだ。

 

「アルベド、現地の強力な情報源を見つけた。今からナザリックに送るから情報を聞けるだけ聞き出せ。一応丁重に扱うように」

『畏まりました、アインズ様。情報を聞き出した後は?』

「使い道があるから殺さず客室にでも通しておけ」

『畏まりました』

 

それだけ言うと<伝言>(メッセージ)を切る。

 

地上に戻ると其処にはハムスケが居た。

 

「化け物がいるでござる?!」

「私だ阿呆……いや、この姿を見せるのは初めてか、モモンだ」

「おぉ、その声殿でござったか!殿はそのような姿をしていたでござるか!」

 

かっこいいでござるなぁ、とハムスケが褒めた。

そこにナーベラルが割り込む。

 

「アインズ様、これを」

「うむ」

 

アインズはナーベラルからただの石に見えるマジックアイテムーー死の宝珠を受け取った。

 

『お初にお目にかかります。偉大なる死の支配者よ。私は死の宝珠。私をあなた様のシモベの末席に加えていただけると幸いです』

「そうか……いいだろう。私に従え」

『感謝いたします』

 

アインズは死の宝珠に盗難防止や盗まれた後の探知追跡用の魔法をかける。

 

「ハムスケ、これをやる」

 

アインズはそう言うと死の宝珠をハムスケに投げ渡した。

 

「なんでござるか、これ?」

「マジックアイテムだ。有効に使え」

「わかったでござる!……少しうるさいでござるな」

「よし、あとはーー<転移門>(ゲート)

 

アインズが魔法を唱えるとゲートが開く。

 

「女、ここを通れ。通った先には私のシモベが居るからそいつに従うんだ」

「か、かしこまりました」

 

クレマンティーヌはそう言うとびくびくしながらゲートをくぐった。

潜ったのを確認した後アインズは魔法を解除する。

そして<上位道具製造>(クリエイト・グレーター・アイテム)でモモンの装備を身にまとう。

 

「それじゃあ……凱旋だ!」

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