えっ凡人がアインズ様に憑依?!   作:Revak

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原作よりイベントの時期が早いです


第7話

 

 数日後。ナザリックの第六階層円形闘技場にて。

 

 アインズは指輪の力で転移し、訓練を見に来た。

 

「精が出ているな」

 

 アインズは訓練しているシャルティアに話しかけた。

 

「アインズ様! はい、精一杯やらせていただいているでありんす!」

「どうだ、何か感覚はつかめたか?」

「申し訳ありません、今だ掴めず……近いうちにきっと掴んでみせます!」

「そこまで気張らなくていい。習得できなかったとしてもそれはそれで情報になるからな」

 

 今この闘技場ではシャルティアに死の騎士(デス・ナイト)骸骨戦士(スケルトン・ウォーリァー)にスケルトンなどのアンデッド連中にも武技習得のための訓練をさせている。

 popするアンデッドたちや戦士系のクラスを持つ者ならばNPCやシモベに関係なく訓練させている。

 教官はクレマンティーヌとブレインが担当している。

 

(原作では死の騎士(デス・ナイト)とハムスケが訓練していた。出来るかはわからないがNPCたちも訓練させた方がいい。出来なかったとしてもそれはそれで情報になるんだから)

 

 出来れば戦士系のプレイヤーも習得できるのか試したいが、アインズ自身が訓練して得られるかはわからない。

 クラス構成に戦士職が入っているならば兎も角完全な魔法職である自分が習得することは出来ないだろうと思っているのだ。

 

 最悪を考えるならばこの世界に過去に来ていたプレイヤーが武技を習得し強化されていたり、あるいは八欲王が残したNPCが武技を習得している可能性などがあるのだ。

 ただ原作者が今生きているプレイヤーはアインズだけだと明言していたのでプレイヤーの脅威は今後百年後を考えた方が良いと思うが。

 

 アインズはシャルティアと少し話してから教官であるクレマンティーヌに話しかけに行く。

 

「どうだ、調子は?」

「アインズ様……えぇっと、皆さんとても努力してまして、優秀です、はい」

 

 武技の習得には一年かかるが、それは完全な初心者……戦士として戦ったことがないモノの話だ。

 この場にいる者は最弱のスケルトンを覗き全て戦士系のクラスを持っている。

 

「そうか。お前自身のレベルは上がったか?」

「いえ、まったく……おそらくレベル上限かと……」

「ふむ。まぁレベルが上がらなくなったとしてもプレイヤースキルを鍛える事は可能だ。努力するがいい。今後動いてもらうかもしれないからな」

「畏まりました」

 

 アインズはそれだけ言うと時間になったので指輪の力で玉座の間に転移した。

 

 

 

 諸王の玉座に座る。隣にはアルベドが立っている。

 

「アインズ様。第五階層守護者コキュートス、入室します」

 

 アルベドがそう言うと部屋にコキュートスが入ってくる。

 シモベを連れず一人で玉座の前までくると跪く。

 

「コキュートス。準備は整ったか?」

「ハイ。万全ニ整エテイマス」

 

 ふしゅう、とコキュートスは冷気を吐いた。

 

「今回の目的は蜥蜴人(リザードマン)の殲滅だ。相手に情を抱くなよ」

「承知シテオリマス。必ズヤ蜥蜴人(リザードマン)タチを殲滅シテミセマス」

「そうか。吉報を持ち帰れ」

「ハッ!」

 

 そうしてコキュートスは退室する。

 

「定時連絡を欠かさないようにしろ」

「畏まりました」

 

「さて、どうなるかな……」

 

 

 

 

 

 ■原作通りに進んだからカットだ! 

 

 

 アインズはリ・エスティーゼ王国の王都を歩いていた。

 一人ではなく周囲に八肢刀の暗殺蟲(エイトエッジ・アサシン)やシャドウデーモンが控えている。案内役の王国戦士団の者も居る。

 向かう先は王国戦士長の家だ。

 王国戦士団の一人に案内され、アインズは王国戦士長ガゼフ・ストロノーフの家の前に着いた。

 

「戦士長の家はここです」

「ありがとう」

「戦士長も、あなたが来たと知ると喜ぶでしょう……自分は仕事があるので、ここで」

 

 そうして戦士団の一人は去っていった。

 

「さて……」

 

 アインズは少し緊張しながらガゼフの家を見る。

 

(王国戦士長にしては質素な家だ)

 

 アインズの中の人の家はマンションの一室だったのでそれを思えばこうして庭付きの一軒家持ちは相当な勝ち組である。使用人もいるし。

 門横のインターホン代わりのベルを鳴らすと奥から老人が出てくる。

 

「何か御用ですか?」

「初めまして。私はアインズ・ウール・ゴウン。ストロノーフ殿に会いに来ました」

「……あぁ、あなたが! 少し待っててください、すぐに呼ぶので」

 

 そうして老人は家に入る。

 少し待つと家から慌てた様子で普段着のガゼフが出て来た。

 

「ゴウン殿! お久しぶりです」

「えぇ。お久しぶりです、ストロノーフ殿。今日はあなたに相談があって来たのです」

「なんと! 私に出来る事ならば努力しよう。まずはうちに入ってくれ」

 

 そうしてアインズはガゼフの家に入り、客間の椅子に座る。

 

「あぁ、飲み物は結構。長居する気はないのでね」

「そうか? まぁゴウン殿が言うのなら……」

 

 そうしてガゼフも座る。向かい合った形になった。

 

「話と言うのは八本指が経営する違法娼館についてです」

「──! ゴウン殿がそれを知っているとは……どこでそれを?」

「私の知り合いの執事が娼館で違法に働かされていた娼婦を保護してね。彼女はひどい有様だったよ」

 

 既にツアレの事はアインズの元に報告が上がっている。

 これはセバスにも報連相をきちんと伝えたうえで命令を下した結果だ。

 自己判断で何かやったらちゃんと後で報告しろよ、ときつく言っておいた甲斐があったのである。

 

「そうか……申し訳ないが、私では力になれそうにないだろう」

「ふむ。王国戦士長という立場のストロノーフ殿でも?」

「逆にだからこそ、だ。八本指は貴族派閥と王派閥両方に深い影響力を持つ組織だ。王の剣である私が八本指の施設に関し何かしら行動を起こすとそこが致命傷になりかねない」

「そうか……」

 

 アインズがまぁ予想通りだな、という声を出す。

 

「だが、私では力になれないが……力になってくれそうな者たちならば知っている」

「ほう。それはどのようなものたちで?」

「青の薔薇という冒険者チームだ。知っているか?」

「あぁ、知っているとも。確かリーダーが若いのに第五位階魔法を使える神官で、確か貴族の出身だったかな」

「その通りだ。青の薔薇のラキュース殿はラナー殿下と友人で、八本指と戦っているらしい」

「ほぉ。冒険者がそんなことを? 危険な橋を渡っているんですね」

「……こういう時、立場に縛られ動けない自分を恥じるよ。私からの紹介だと言えばラキュース殿も力になってくれるだろう。場所は──」

「なるほど。ありがとうございます。今から向かってみることにしましょう」

 

 そう感謝を述べるとアインズは長居は無用とばかりに出て行った。

 

(これでガゼフからの好感度稼げてたらいいんだがなぁ)

 

 内心そう思いつつガゼフの家を出る。

 アインズの目的は二つ。

 一つはブレインを眷属にしてしまったことによるバタフライエフェクトの調整、つまり自身での娼館襲撃参加とガゼフの好感度稼ぎだ。

 ガゼフが魔導国に入ってくれるのならばそれ以上に楽なことはないと少し好感度を稼ぎに出たのだ。

 まぁ商売人ではないアインズの中の人にはこれで好感度が上がったかどうかわからないので出たとこ勝負なところはあるが。

 

 そうしてアインズはガゼフから聞いた高級宿屋へと向かった。

 

 

 アインズはアニメの身長、ガタイも良いので通行人の邪魔にならないように注意しつつ暫く歩くと聞いた宿屋を見つける。

 まだこの世界の文字は読めないので翻訳アイテムを仮面の下につけている。

 

 ドアを開けて中に入る。

 

 一階部分は酒場になっている。

 酒場にいるバーテンダーにアインズは話しかけた。

 

「すみません。青の薔薇のリーダーに話したいことがあるんですが」

 

 その言葉にバーテンダーは眉を潜めた。

 見てくれは金を持ってそうな魔法詠唱者(マジック・キャスター)だが、こんな仮面をつけた奴がいったい何の用なのか、と。

 

「ガゼフ・ストロノーフ殿からの紹介で来ました」

 

 アインズがそう付け加えてもバーテンダーの表情は怪訝な物だが、ガゼフの紹介ならば、とバーテンダーは「少しお待ちください」と二階に向かった。

 

 少し待っていると二階から普段着のラキュースとバーテンダーが降りてくる。

 

 アインズは小さく頭を下げながら自己紹介をした。

 

「初めまして、私はアインズ・ウール・ゴウン。ストロノーフ殿の紹介で貴女が力になってくれると聞き尋ねに着ました」

「ストロノーフ殿が? ……初めまして、ゴウンさん。私はラキュース・アルベイン・デイル・アインドラ。青の薔薇のリーダーです」

 

 ラキュースが握手を求めて来たのでアインズは失礼と知りながら小手を付けたまま握手をする。

 

「どういった事を尋ねに?」

「──八本指について」

 

 アインズがそう言うとラキュースは納得したような表情を見せた。

 

「わかりました。上に来てください。そちらで話しましょう」

「わかりました」

 

 そうしてアインズはラキュースと共に二階にあがり、ラキュースたち青の薔薇が借りている部屋に入る。

 

(女子の部屋とか興奮すんなぁおい)

 

 アインズは内心そう考えながら部屋に入り、進められて椅子に座る。

 

「詳細をお聞かせください」

「はい。実は私の知り合いの執事が八本指の違法娼館で働かされている女性を助けたのです。故にどうしたものか、と」

「なるほど……難しい相談ですね」

 

 ラキュースは考える。

 

(厄介なことを持ってきてくれたわね、戦士長……けど助けない訳にはいかない。今を苦しんでる人を助けたいのだから。けど──)

 

 どうするかと考えているとアインズが話し出す。

 

「私の考えを言うと私一人でも襲撃し娼館を潰そうかと考えています」

「ご、ゴウン殿一人で、ですか?」

「私はこう見えて高位の魔法を使える魔法詠唱者(マジック・キャスター)でしてね。ただの違法娼館一つぐらいなら容易く潰せます」

「……相手にはアダマンタイト級冒険者に匹敵するという六腕がいるんですよ? それでも勝てると?」

「勝てますよ。たかがアダマンタイト級程度なら相手になりません。それに私は戦士長を救う事の出来る魔法詠唱者(マジック・キャスター)だ。それでも信用ならないと?」

「……確かに、それほどの力あるならば……とれる手があります」

「ほう。その手とは?」

「私の友人、ラナーの部下と共に強制的に検査に踏み入ります。勿論相手も抵抗するでしょうが……ゴウンさんほどの強者なら問題なく蹴散らせるでしょう」

「わかりました。実行はいつで?」

「明日にでも。明日の朝またこの宿に来てください。それまでに準備を終えておきます」

「わかりました。私も準備をするのでこれで失礼します。本日はありがとうございました」

「いえ、こちらこそ……八本指を追い詰めるチャンスをくれてありがとうございます」

 

 アインズとラキュースはお互いに小さく頭を下げてから、アインズは部屋を出て行った。

 そのまま宿屋を出て向かう先はセバスが借りている宿だ。

 

 シャドウデーモンに案内させながらアインズは考える。

 

 原作とだいぶ違う状況になって来たけどこれ大丈夫かなぁ、と。

 これまでも色々と違う状況にはしてきた。ルプスレギナにカルネ村の重要性を説いたり、デミウルゴス牧場阻止したり。

 これらの行動がバタフライエフェクトとなって自分を襲いませんように、と祈っているとセバスが借りた屋敷に到着した。

 門横の呼び鈴を鳴らすと暫くしてからセバスが出てくる。

 

「アインズ様! ご足労をかけて申し訳ありません」

「よい、気にするな。私自身の手で王都を観たかったからな」

「そう言ってくださると助かります。どうぞ中へ」

 

 そうしてアインズはセバスと共に屋敷の中に入る。

 

 中に入り、二階へと上がり応接室に入る。そこには簡易的な玉座があった。

 アインズは小手を外し仮面を外した。

 

「ではここにお前が拾ったという女……ツアレを連れてこい」

「畏まりました」

 

 アインズは玉座に腰掛ける。

 

(まだ拾って二日目。スタッファンはまだ来てないだろうから猶予はあるだろう。どうなるかな)

 

 そう考えていると部屋にノックが入る。

 

「はいれ」

 

 そう言うと部屋の扉が開き、セバスとツアレが入ってきた。

 ツアレはアインズを見ると一瞬怯えた表情を見せるがすぐに取り繕い、部屋に入ってきた。

 

「……似ているな」

 

 アニメを見ていたときは正直ニニャとツアレって似てるか? と思ったが現実となると結構似ているなとアインズは思った。

 

「さて、ツアレとやら。お前に聞きたいことがある」

 

 アインズがそう尋ねるとツアレはびくりとした。

 

「そう怯えるな……お前に妹や姉はいるか? 魔法詠唱者(マジック・キャスター)の才を持つ妹だ」

「……い、妹ならいます。魔法がつかえるかは、わかりません」

「そうか……その妹はこんな顔をしていなかったか?」

 

 アインズは幻術の魔法でホログラムのような物を作り出す。

 アインズの掌には人形サイズのニニャが映っていた。

 

「! い、妹そっくり、です」

「そうか。つまりニニャはお前の姉妹という訳だ……つまり私はお前に恩があるという事になる」

 

 恩という言葉にセバスが驚愕の表情を浮かべた。

 

「それでだ、お前はどうしたい? ツアレ。私がお前に財を渡し、どこか離れた地で暮らすか?」

「せ、セバス様と一緒にいたい、です」

「そうか。客人待遇にしてもよいが、お前は……セバスと働きたいか?」

「は、い」

「そうか。ならばお前は今から私の部下だ。そして上司は部下を守る物だ──故にお前を苦しめている八本指を私の物としよう。まずは娼館からだな」

「アインズ様、それは……八本指を支配下に置くという事ですか?」

 

 セバスがそう尋ねた。

 

「その通りだ。明日には娼館を潰し、その翌日か明後日には他の施設も襲撃し支配下に置く予定だ」

「……畏まりました」

「なんだ? 何か意見があるならば言うが良い」

 

 アインズがそう言うとセバスは意を決したように口を開いた。

 

「でしたら……八本指の被害者に関しては、寛大な処置をお願いします」

「ふむ。それぐらいならばいいだろう」

「ありがとうございます!」

「よし、では明日の朝六時に私はまた来る。セバス、明日はお前も共に娼館を襲撃しに行くから準備しておくように」

「畏まりました」

「ではな、<上位転移>(グレーター・テレポーテーション)

 

 アインズは転移魔法でナザリックまで戻るのだった。

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