えっ凡人がアインズ様に憑依?!   作:Revak

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第8話

 

 翌日の朝。

 アインズはセバスを連れ青の薔薇が泊っている宿に来ていた。

 一階の酒場部分に入るとそこにはラキュースとイビルアイ、そしてフル装備のクライムが居た。

 

 ラキュースたちに近づくと挨拶をしてくるのでこちらも返す。

 

「ゴウンさん、そちらの執事は?」

「私の知り合いです。戦闘力が高いので今回連れてきました。人手は多い方がいいですからね」

 

 その言葉にラキュースとイビルアイが値踏みする用にセバスを見る。

 一分ほどの観察で納得したのか「わかりました」とだけ返された。

 

「まずは……初対面の人もいるので自己紹介を。私はアインズ・ウール・ゴウン。見ての通りの魔法詠唱者(マジック・キャスター)。こちらは──」

「私はセバス・チャン。ソリュシャンお嬢様に仕える執事でモンクでもあります」

「モンク……なるほど、鍛え上げられているのはそのためか」

 

 納得した、とイビルアイが言葉を零した。

 

「と、私も自己紹介をしよう。青の薔薇の魔力系魔法詠唱者(マジック・キャスター)のイビルアイだ。そしてこの小僧が今回の要の」

「クライムと申します。ゴウン様、セバス様。今回はよろしくお願いします」

 

 そうクライムが頭を下げた。

 

「えぇ。今回の作戦ではよろしくお願いします」

「よろしくお願いします、クライム君」

 

 そうして挨拶も程々に三人はセバスを先頭に違法娼館へと向かう。

 

 道中は軽く話す。

 

「裏口からはセバスが。表からは私とクライム君で侵入しよう。前日に魔法で調べているから裏口の場所もわかる」

「わかりました。前衛として頑張らせていただきます」

「そう気負う事はない。大船に乗ったつもりでいたまえ」

 

 そうして役割を話しているとセバスは裏手に向かい、アインズとクライムは表に入る。

 

「ここが入口だ。行くぞ」

「はいっ!」

 

 扉を開けて中に入る。

 

 中は受付とラウンジがある作りだ。受付には男が立っている。

 

「<魔法集団化・(マスターゲティング)魔法の矢>(マジックアロー)」

 

 アインズが入って早々魔法を唱える。

 十の魔法の矢が受付の男と用心棒らしき男に命中する。

 一発で男どもの体を抉り飛ばし絶命させる。

 

 そのまま奥へと進むと暇をしている男どもが居る。

 

「<火球>(ファイヤーボール)」

 

 アインズが魔法を唱えた。

 火球が椅子に座っている男どもに飛び命中。爆発を起こした。

 

 そのままクライムが突撃する。

 残る二人のチンピラを軽く切り伏せた。魔法の鎧の力だ。

 

「さて……」

「私がマジックアイテムを持っています。それで探索しましょう」

「便利な物を持っているな。なら頼んだ」

「わかりました」

 

 クライムは腰のバッグからマジックアイテムを取り出す。

 |隠し扉探知の鐘《ベル・オブ・ディテクトシークレットドアーズ》だ。ベルを鳴らすことで隠し階段の場所が光る。

 アインズとクライムが隠し階段に行き、再びクライムがバッグからマジックアイテムを取り出す。

 今度は罠解除の鐘(ベル・オブ・リムーブトラップ)を鳴らす。

 ガチャリ、と魔法効果が発動した。

 階段の蓋を開けると其処には毒やがセットされていた。

 

「毒の矢か……相手も馬鹿ではないな」

「はい。気を付けて行きましょう」

 

 そうして階段を下り奥へと進んでいく。

 道中人とすれ違うもアインズが<電撃>(ライトニング)で殺していく。

 そうして進むと奥の広間に辿り着く。

 広間には多数木箱があり大きめの木箱なんてものもあった。

 

「ふむ……」

 

 アインズが<下位アンデッド創造>を作りハイレイスを作り、魔法で視界を繋げる。

 

「ここだな」

 

 アインズがそう言いある大きな木箱の前で魔法を行使する。

 

「<上位道具破壊>(グレーター・ブレイク・マジックアイテム)」

 

 それにより隠し扉が破壊された。

 

「隠し扉……!」

「おそらく敵の首魁はここを通って逃げるだろう……クライム君にはここに残って敵が通らないか監視してほしいが、出来るか?」

「お任せください」

「そうか。よし、補助魔法をかけておこう」

 

 そう言うとアインズはクライムに幾つかのバフ魔法を唱えた。

 

「では私は先に進む。何かあったら大声で叫んでくれ。すぐに駆け付けよう」

「わかりました。お気をつけて」

 

 そうしてアインズは去っていった。

 

「よし……」

 

 クライムは周囲を警戒しつつほかに隠し通路がないか、この木箱の中は何なのかと確認する。

 ある程度見終わると強化された聴覚に足音がしてきたので剣を抜いて構えて待つ。

 

「む……先客が居たか」

 

 アインズが開けた隠し通路からはサキュロントと店のオーナーであるコッコドールが出て来た。

 

「六腕……!」

 

 クライムが剣を構えながら冷や汗を流した。

 

「あら、あの嫌な女の犬じゃない! ちょっとサキュロント、この犬も連れてってよ」

「別料金で頼みますよ、コッコドールさん……」

 

 クライムは己一人で六腕に勝てるとは思っていない。故に叫んだ。

 

「助けてくださーい!!」

 

 その叫びにサキュロントは舌打ちをした。

 これで時間制限が出来た。敵が来る前に雇い主の要望をかなえなければならない。

 

「手荒く行くぞ」

 

 サキュロントは幻術を行使した。

 己と姿形が完全に同じ幻影を生み出す幻術だ。

 

 だが──今のクライムには通じない。

 多数のバフ魔法を受けたクライムは幻術看破の魔法も受けている。これはアインズがどうせ出るのはサキュロントだろ、と思い己の魔法の内から選んで使っておいたからだ。

 

 幻影が四体出る。そしてサキュロント本体は透明化を使う。

 クライムは透明化も看破しこそこそこ動いているサキュロントに振り向き突撃した。

 

 大上段からの振り落とし。サキュロントは咄嗟に防御が間に合ったが腕に衝撃が入る。

 剣が振るえなくなるほどではないが振るのに支障が出る程度の痺れだ。

 

 そのままクライムは<能力向上>を使い剣で攻撃していく。

 サキュロントも負けじと幻術と剣技で応戦するもその幻術は看破され、更にステータス上でも今はクライムの方が上だ。

 さらに言えばサキュロントは幻術師とフェンサーの二つのクラスを収めている関係上純粋な剣術の技量ではクライムに劣る。

 

 故に──サキュロントは押されていく。

 

(この俺が……こんな餓鬼に?!)

 

 サキュロントは焦りだし、その焦りがさらなる隙を晒していく。

 サキュロントには己が強者だという自負があった。自分はあの六腕の一員なのだ、強者なのだ、と。

 まぁそれは間違いだったわけだが。所詮格下専用のビルドで同格以上相手だと特に何もできず死ぬしかないのである。

 

 そうしてクライムの剣によって袈裟斬りにされた。

 そのままどさっとサキュロントは倒れた。

 

 これで次はコッコドールだ、クライムが構え──倒れたサキュロントを見て警戒し防御の構えを取る同時に攻撃を受けた。

 

「ちっ、これも防ぐのか!」

 

 攻撃の正体はサキュロントだ。自身の死を偽装する能力を使ったがクライムにかけられた魔法で看破されたのだ。

 

(これ以上時間をかけるのは不味い!)

 

 クライムはそう思い攻撃に移る。

 それに対しサキュロントが回避する。

 

「なんだ? 急に弱くなったな」

 

 クライムがアインズから受けた効果時間が短いバフ魔法が切れているのだ。このままあと二分もすればすべてのバフ魔法が切れるだろう。

 つまり時間制限は二分。それ以内に再びサキュロントを倒さなくてはいけない。

 

 数度、サキュロントとクライムの剣が交差する。

 

 クライムがサキュロントの剣を下にはじくと剣を振り上げジャンプ。

 大上段からの振り落とし。クライムが考案した技である。<能力向上>も使っている。

 サキュロントは剣を盾のように構え防御するも防御は弾かれる。

 そのまま動きを止めたサキュロントをクライムは袈裟斬りにすることで致命傷を負わせるのだった。

 

「うそ、あんた六腕でしょ?! こんな餓鬼さっさとやっちゃいなさいよ!」

 

 コッコドールがサキュロントに向かってそう叫ぶも今度はサキュロントが動く様子はない。

 

「終わりだ、コッコドール!」

 

 そう叫びクライムは突撃する。

 コッコドールは逃げようとするがそれよりも鍛えているクライムの方が速い。

 クライムは剣の腹でコッコドールの頭を叩き、気絶させた。

 

「む……終わった後かね?」

 

 そこにアインズがやってくる。

 

「はい。六腕の一人を捕縛しました!」

「凄い大手柄じゃないか。素晴らしいぞ、クライム君」

「おほめに預かり光栄です!」

 

 こうして違法娼館は潰された。

 

 

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