原作十六巻分まではやりたいところです
現在0文字 リアルタイムプレビュー 表示切り替え: 縦書き(IEのみ) 文字サイズ:大きく | リセット | 小さく
翌日の夜。
アインズは王都の空高く上を飛んでいた。
雲より高く飛び、素顔を晒した状態で月を見上げる。
「俺は何がしたいんだろうな」
何故かアインズ・ウール・ゴウンとなり、謎の使命感に駆られアインズがしたことをやっている。
正直生きるだけならば適当にナザリックに引きこもってればいい。千年は財宝が持つのだからそうして閉じていればいい。
世界に出たいのならば配下は出さず己の手で歩いてみて回ればいい。それが怖くて配下に任せているが。
結局のところ、アインズ──■■には芯がないのだ。環境に流されるがままに動くだけの空っぽの人間だ。
それではだめだという思いとそれでもいいじゃないかという思いが反発する。
「どうしたいんだろうな……」
原作の悲劇を救いたいとは思わない。
いや、そもそも原作に悲劇なんてあっただろうかとすら考える。
よくフォーサイトや聖王国でのマッチポンプがあげられるがそれらは悲劇ではないと思う。
何せやってることは組織としてみれば正しいからだ。
ワーカーに関しては普通に侵入者をぶち殺しただけだし、聖王国では仮想敵国に対し先手を打っただけだ。
ならばそれ以外の自分のしたい事は。
「アニメ見てぇ! 漫画読みてぇ! ラノベどこ?!」
──それが本音だった。
中の人はいわゆるオタクだ。消費者側の。
ラノベ原作の漫画を読んだりラノベを読んだり、ジャンル問わず楽しむタイプのオタクだ。
「──決めた。文明発展させてオタク文化をこの世界に作る」
まずは人間国家全てを征服し支配下に置き、モンスターの脅威を取り除き娯楽を作る。
アニメも漫画もゲームも全てこの世界の技術で作り出してやる。
アインズはそう思い地上へと降りていった。
■
アインズは原作通りに進めた。
少し変わったところと言えばツアレが攫われるところを本人が攫われるのはかわいそうだとドッペルゲンガーを用意しドッペルゲンガーにツアレに変化させ攫われさせたぐらいだ。
そのあとは原作通り進み、ブレインが居ないのでクライムが少し危なくなったぐらいで後は問題なく進み──ついにエントマとガガーランが遭遇した。
夜。
ヒルマの館の前で。
「よぉ、そこのあんた。何を美味しそうにもりもり食ってんだ?」
男にも見える女──ガガーランがそうエントマに尋ねた。
「おにくぅ。人間の」
そう言うとエントマは食べ終えた人間の腕の骨を投げ捨てた。
「なるほどな。八本指がモンスターまで飼ってたとは。飼育には失敗した見てぇだが」
「あのさぁ、お互いに見なかったことにしない? 私は戦闘行為厳禁って言われてるんだぁ」
その台詞にガガーランは疑問を抱いた。
最初は八本指が飼ってたモンスターが逃げ出したのかと思ったがまるで上位者が居るかのような言い回しだ。
「悪いが俺も冒険者なんでな。人食いのモンスターを見てはいそうですかって見逃すわけにはいかねぇんだ」
「そうなんだ、それじゃあ──」
そうエントマは思考が戦闘にシフトしかけ──デミウルゴスからの命令を思い出す。
その命令内容はこうだ。八本指以外との戦闘行為の厳禁。万が一遭遇した場合は倒すよりも撤退を最優先にしろ、と。
「……あなたって八本指の一員だったりしないぃ?」
「俺は善良な冒険者だぜ。八本指と繋がりなんてねぇ──よ!」
そう言い終わるが早いかガガーランはウォーピックを持って突撃してくる。
攻撃は空振りし地面を壊すだけに終わり、エントマは華麗に回避した。
「そっか、じゃぁまた今度ね──爆散符!」
エントマは符を投げた。
真っすぐと飛びガガーランに命中。
それと同時にエントマはジャンプし飛行できる蟲を呼び出す。
エントマの背中をかっちりと掴みエントマは飛んで行った。
「ち、逃げやがったか」
ガガーランはそうウォーピックを担ぎながらぼやいた。
「俺より上のモンスターか……こりゃ何かあったと見た方が良いな」
取りあえず八本指の拠点に入ろうか、とガガーランが振り向いた瞬間──それは来た。
空から赤い彗星のように落下し着弾。その姿を現した。
憤怒を湛える恐ろしい顔つきで牙が顔ある。
鱗のある巨体で太い豪腕には鋭い爪を備えた燃え上がる拳を持っている。蛇のように長い尻尾の先と、バサリと広がる翼に炎を纏っている。
「悪魔か……?!」
ガガーランが武器を構えた。
「いかにも。我こそはヤルダバオト。魔皇である」
そう悪魔、
ナザリックに居る魔将である。
目的はただ一つ。この王都を襲撃しあらゆる物資を回収する事だ。
ついでにモモンと対峙する事でモモンの武勇を上げる事でもある。
ナザリックのNPCは使えないが、シモベは別だ。
所詮
だからアインズも出撃を許可した。
「悪魔さんが人間の都市に何の用だい?」
ガガーランは警戒しながら問いかけた。
その問いに
「無論、現世を地獄に変える為よ。我らが故郷であるムスペルヘイムのように祝熱の地獄に変えてやろう」
「そりゃ恐ろしい。なら──ぶった倒さないとな!」
そうガガーランは叫び突撃した。
ガガーランとて彼我の戦力差は理解している。
だがここで逃げても逃げの目は万が一にもない。
ある種やけっぱちともいえる突撃だが、勝算が完全に無い訳でもない。
時間をかければ仲間であるイビルアイが来るはず。イビルアイは青の薔薇全員よりも強い
「愚かな……」
そう言って
アダマンタイト級を殺して死体を見せびらかすだけでもいいが、それだとよくわかってくれないだろう。
故他者の前で圧倒的な力を持って殺す必要がある。
<炎のオーラ>で簡単に死んでもらっては困るのだ。
「おんどりゃぁぁぁあ!」
ガガーランがウォーピックで殴打をしてきた。
単純にステータスに差がありすぎてカスダメージにすらなっていないのだ。
「弱い弱い。脆弱よのぉ」
そう笑いながら蹴りを入れる。
本人にとってみれば蠅が止まるような速度でもこの世界の一般的な住人からすれば人知を超えた速度だ。
腹を蹴られ、サッカーボールのように跳んで行った。
ガガーランの体重は装備込みで八十キロ以上はある。その相手を軽く吹っ飛ばしただけで
「どれ、もう少しもてあそんでやろうか」
そう
「
唱えたのは第三位階魔法。
と言ってもステータス構成が戦士の物である
だが、この世界の者にとってみれば致命の一撃だ。
火球が当たる寸前、ガガーランの姿が書き消えた。
「転移魔法……いや、
(しかし転移系の
だが二人に増えたならば片方をさっくり殺せばいい。そう判断するが──更に追撃がかかった。
空から結晶で出来た槍が降って来たのだ。
(強いな)
事前情報で得ていたこの世界の平均レベルから大きく逸脱した者だ。
空からガガーランとティアの前に急降下してきたのはご存じイビルアイだ。
「ガガーラン! ティア! 逃げるぞ!」
そうイビルアイは叫んだ。
その声に応じ、二人が
イビルアイが一も二も無く逃げろと叫ぶ。それだけの強敵を前に自分たちが居ても何も出来ない。それどころか邪魔になる。
そう判断しての行動だ。
「逃げられると寂しいじゃないか──
炎の柱が空高く昇り、ガガーランとティアは焼死した。
「……たった一撃で……!」
そのことにイビルアイは驚愕する。
最初から気配で強いとはわかっていた。だが、仮にもアダマンタイト級をたった一つの魔法で即死させる程とは。
(ならば──!)
自分に出来る事は戦場をここからずらし、遺体を損傷させない事。
遺体させ無事なら後でラキュースが蘇生出来る。
勿論そんなことをしようとすれば自分はどうなるかわからないが、二百年以上生きた老人だ。死ぬのは老人だけでいい。
「行くぞ!
無数の結晶の弾丸が
「脆弱な魔法よな」
だが全て着弾するも、大したダメージにはならない。
しかし通じる事とダメージの有無は別だ。カスダメージにしかならないのである。
(とりあえず適当に蹴り飛ばして移動するか)
そう判断し
イビルアイが何かしらの魔法を唱える──その前に空からグレートソードが落ちて来た。
そのことに両者驚愕の表情を浮かべる。
「とうッ!」
そう空から一人の偉丈夫が降りて来た。
モモン扮するパンドラズ・アクターだ。
パンドラはシュタ! という擬音が出てきそうな感じに着地して見せた。
「悪魔が幼い子を襲う……絵面としては最悪だな。俺が倒してやろう」
そう言いながら落としたグレートソードを拾い、二刀流を疲労する。
「脆弱な定命の者が……弱い犬程良く吠えるというな」
「俺が弱いかどうか、その身で確かめてみるといい──行くぞデーモン!」
そう叫びパンドラが突撃した。
パンドラはあえて手加減をする。
今のパンドラはアインズの姿をしたうえで
故ステータスはレベル百戦士の物と同等になっている。そのためステータス上では
勿論ただ戦っても苦戦するし、装備次第では敗北もあり得るだろう。
だが、
アインズの姿になっている以上炎ダメージが弱点のパンドラには接近戦はきつい。だが、御方の為なら何とでもない。
高速の剣技と拳がぶつかり合う。
はたから見れば残像すら終えぬ高速の剣舞。一流を優に超えた超越者の戦いだ。
一撃、強力な
「おぉ、怖い。お前を弱者と侮ったのは謝罪しよう……故に完璧なる一手をのちに撃つとして──今はここから退こう。そして警告だ。今すぐこの王都から逃げるといい。ここは次期悪魔と火によって沈む」
そう言って
「さて……無事ですか? お嬢さん」
イビルアイは恋に落ちた。