えっ凡人がアインズ様に憑依?!   作:Revak

9 / 9
お久しぶりです
原作十六巻分まではやりたいところです


第9話

現在0文字 リアルタイムプレビュー 表示切り替え: 縦書き(IEのみ) 文字サイズ:大きく | リセット | 小さく

 翌日の夜。

 アインズは王都の空高く上を飛んでいた。

 雲より高く飛び、素顔を晒した状態で月を見上げる。

 

「俺は何がしたいんだろうな」

 

 何故かアインズ・ウール・ゴウンとなり、謎の使命感に駆られアインズがしたことをやっている。

 正直生きるだけならば適当にナザリックに引きこもってればいい。千年は財宝が持つのだからそうして閉じていればいい。

 世界に出たいのならば配下は出さず己の手で歩いてみて回ればいい。それが怖くて配下に任せているが。

 

 結局のところ、アインズ──■■には芯がないのだ。環境に流されるがままに動くだけの空っぽの人間だ。

 

 それではだめだという思いとそれでもいいじゃないかという思いが反発する。

 

「どうしたいんだろうな……」

 

 原作の悲劇を救いたいとは思わない。

 いや、そもそも原作に悲劇なんてあっただろうかとすら考える。

 よくフォーサイトや聖王国でのマッチポンプがあげられるがそれらは悲劇ではないと思う。

 何せやってることは組織としてみれば正しいからだ。

 ワーカーに関しては普通に侵入者をぶち殺しただけだし、聖王国では仮想敵国に対し先手を打っただけだ。

 

 ならばそれ以外の自分のしたい事は。

 

「アニメ見てぇ! 漫画読みてぇ! ラノベどこ?!」

 

 ──それが本音だった。

 

 中の人はいわゆるオタクだ。消費者側の。

 ラノベ原作の漫画を読んだりラノベを読んだり、ジャンル問わず楽しむタイプのオタクだ。

 

「──決めた。文明発展させてオタク文化をこの世界に作る」

 

 まずは人間国家全てを征服し支配下に置き、モンスターの脅威を取り除き娯楽を作る。

 アニメも漫画もゲームも全てこの世界の技術で作り出してやる。

 

 アインズはそう思い地上へと降りていった。

 

 

 

 

 ■

 

 

 アインズは原作通りに進めた。

 少し変わったところと言えばツアレが攫われるところを本人が攫われるのはかわいそうだとドッペルゲンガーを用意しドッペルゲンガーにツアレに変化させ攫われさせたぐらいだ。

 そのあとは原作通り進み、ブレインが居ないのでクライムが少し危なくなったぐらいで後は問題なく進み──ついにエントマとガガーランが遭遇した。

 

 夜。

 ヒルマの館の前で。

 

「よぉ、そこのあんた。何を美味しそうにもりもり食ってんだ?」

 

 男にも見える女──ガガーランがそうエントマに尋ねた。

 

「おにくぅ。人間の」

 

 そう言うとエントマは食べ終えた人間の腕の骨を投げ捨てた。

 

「なるほどな。八本指がモンスターまで飼ってたとは。飼育には失敗した見てぇだが」

「あのさぁ、お互いに見なかったことにしない? 私は戦闘行為厳禁って言われてるんだぁ」

 

 その台詞にガガーランは疑問を抱いた。

 最初は八本指が飼ってたモンスターが逃げ出したのかと思ったがまるで上位者が居るかのような言い回しだ。

 

「悪いが俺も冒険者なんでな。人食いのモンスターを見てはいそうですかって見逃すわけにはいかねぇんだ」

「そうなんだ、それじゃあ──」

 

 そうエントマは思考が戦闘にシフトしかけ──デミウルゴスからの命令を思い出す。

 その命令内容はこうだ。八本指以外との戦闘行為の厳禁。万が一遭遇した場合は倒すよりも撤退を最優先にしろ、と。

 

「……あなたって八本指の一員だったりしないぃ?」

「俺は善良な冒険者だぜ。八本指と繋がりなんてねぇ──よ!」

 

 そう言い終わるが早いかガガーランはウォーピックを持って突撃してくる。

 攻撃は空振りし地面を壊すだけに終わり、エントマは華麗に回避した。

 

「そっか、じゃぁまた今度ね──爆散符!」

 

 エントマは符を投げた。

 真っすぐと飛びガガーランに命中。

 それと同時にエントマはジャンプし飛行できる蟲を呼び出す。

 エントマの背中をかっちりと掴みエントマは飛んで行った。

 

「ち、逃げやがったか」

 

 ガガーランはそうウォーピックを担ぎながらぼやいた。

 

「俺より上のモンスターか……こりゃ何かあったと見た方が良いな」

 

 取りあえず八本指の拠点に入ろうか、とガガーランが振り向いた瞬間──それは来た。

 

 空から赤い彗星のように落下し着弾。その姿を現した。

 

 憤怒を湛える恐ろしい顔つきで牙が顔ある。

 鱗のある巨体で太い豪腕には鋭い爪を備えた燃え上がる拳を持っている。蛇のように長い尻尾の先と、バサリと広がる翼に炎を纏っている。

 

「悪魔か……?!」

 

 ガガーランが武器を構えた。

 

「いかにも。我こそはヤルダバオト。魔皇である」

 

 そう悪魔、憤怒の魔将(イビルロード・ラース)は言った。

 ナザリックに居る魔将である。

 

 目的はただ一つ。この王都を襲撃しあらゆる物資を回収する事だ。

 ついでにモモンと対峙する事でモモンの武勇を上げる事でもある。

 

 ナザリックのNPCは使えないが、シモベは別だ。

 所詮憤怒の魔将(イビルロード・ラース)は量産型のモブモンスターなのでこれだけでナザリックと結び付けるには無理があるのだ。

 だからアインズも出撃を許可した。

 

「悪魔さんが人間の都市に何の用だい?」

 

 ガガーランは警戒しながら問いかけた。

 その問いに憤怒の魔将(イビルロード・ラース)は笑いながら答える。

 

「無論、現世を地獄に変える為よ。我らが故郷であるムスペルヘイムのように祝熱の地獄に変えてやろう」

「そりゃ恐ろしい。なら──ぶった倒さないとな!」

 

 そうガガーランは叫び突撃した。

 ガガーランとて彼我の戦力差は理解している。

 だがここで逃げても逃げの目は万が一にもない。

 ある種やけっぱちともいえる突撃だが、勝算が完全に無い訳でもない。

 時間をかければ仲間であるイビルアイが来るはず。イビルアイは青の薔薇全員よりも強い魔法詠唱者(マジック・キャスター)だ。だからまだイビルアイが来るまで耐えれれば勝ち目はある。

 

「愚かな……」

 

 そう言って憤怒の魔将(イビルロード・ラース)は近づく。

 常時発動型(パッシブ)特殊技術(スキル)である<炎のオーラ>は使わない。

 

 憤怒の魔将(イビルロード・ラース)の目的は自身の強さを知らしめる事。

 アダマンタイト級を殺して死体を見せびらかすだけでもいいが、それだとよくわかってくれないだろう。

 故他者の前で圧倒的な力を持って殺す必要がある。

 

<炎のオーラ>で簡単に死んでもらっては困るのだ。

 

「おんどりゃぁぁぁあ!」

 

 ガガーランがウォーピックで殴打をしてきた。

 憤怒の魔将(イビルロード・ラース)の腹部に命中するが、ダメージはない。

 単純にステータスに差がありすぎてカスダメージにすらなっていないのだ。

 

「弱い弱い。脆弱よのぉ」

 

 そう笑いながら蹴りを入れる。

 本人にとってみれば蠅が止まるような速度でもこの世界の一般的な住人からすれば人知を超えた速度だ。

 腹を蹴られ、サッカーボールのように跳んで行った。

 ガガーランの体重は装備込みで八十キロ以上はある。その相手を軽く吹っ飛ばしただけで憤怒の魔将(イビルロード・ラース)の身体能力の高さがうかがえる。

 

「どれ、もう少しもてあそんでやろうか」

 

 そう憤怒の魔将(イビルロード・ラース)が何かしらの魔法を発動するアクションを見せる。

 

「<火炎球>(ファイヤーボール)」

 

 唱えたのは第三位階魔法。

 と言ってもステータス構成が戦士の物である憤怒の魔将(イビルロード・ラース)の魔法は同レベル体だと大きく劣る。

 だが、この世界の者にとってみれば致命の一撃だ。

 

 火球が当たる寸前、ガガーランの姿が書き消えた。

 

「転移魔法……いや、特殊技術(スキル)か」

 

 <火炎球>(ファイヤーボール)より奥のところには忍者三姉妹の一人、ティアだ。

 

(しかし転移系の特殊技術(スキル)は高レベルでないと使えないはず……見る限り弱そうだが)

 

 憤怒の魔将(イビルロード・ラース)はある程度のユグドラシルの知識を持つ。故そう疑問を抱いた。

 だが二人に増えたならば片方をさっくり殺せばいい。そう判断するが──更に追撃がかかった。

 

 空から結晶で出来た槍が降って来たのだ。

 憤怒の魔将(イビルロード・ラース)はそれを片手で受け止め、そのまま握りつぶした。

 

(強いな)

 

 事前情報で得ていたこの世界の平均レベルから大きく逸脱した者だ。

 空からガガーランとティアの前に急降下してきたのはご存じイビルアイだ。

 

「ガガーラン! ティア! 逃げるぞ!」

 

 そうイビルアイは叫んだ。

 その声に応じ、二人が憤怒の魔将(イビルロード・ラース)とは反対方向に逃げ出す。

 イビルアイが一も二も無く逃げろと叫ぶ。それだけの強敵を前に自分たちが居ても何も出来ない。それどころか邪魔になる。

 そう判断しての行動だ。

 

「逃げられると寂しいじゃないか──<焼夷>(ナパーム)」

 

 炎の柱が空高く昇り、ガガーランとティアは焼死した。

 

「……たった一撃で……!」

 

 そのことにイビルアイは驚愕する。

 最初から気配で強いとはわかっていた。だが、仮にもアダマンタイト級をたった一つの魔法で即死させる程とは。

 

(ならば──!)

 

 自分に出来る事は戦場をここからずらし、遺体を損傷させない事。

 遺体させ無事なら後でラキュースが蘇生出来る。

 勿論そんなことをしようとすれば自分はどうなるかわからないが、二百年以上生きた老人だ。死ぬのは老人だけでいい。

 

「行くぞ! <結晶散弾>(シャード・バックショット)!」

 

 無数の結晶の弾丸が憤怒の魔将(イビルロード・ラース)を襲う。

 

「脆弱な魔法よな」

 

 だが全て着弾するも、大したダメージにはならない。

 憤怒の魔将(イビルロード・ラース)は上位魔法無効化Ⅲなどは持っていない。だから普通に低位の魔法でも通じる。

 しかし通じる事とダメージの有無は別だ。カスダメージにしかならないのである。

 

(とりあえず適当に蹴り飛ばして移動するか)

 

 そう判断し憤怒の魔将(イビルロード・ラース)はあえてゆっくりと歩く。

 

 イビルアイが何かしらの魔法を唱える──その前に空からグレートソードが落ちて来た。

 

 そのことに両者驚愕の表情を浮かべる。

 

「とうッ!」

 

 そう空から一人の偉丈夫が降りて来た。

 モモン扮するパンドラズ・アクターだ。

 

 パンドラはシュタ! という擬音が出てきそうな感じに着地して見せた。

 

「悪魔が幼い子を襲う……絵面としては最悪だな。俺が倒してやろう」

 

 そう言いながら落としたグレートソードを拾い、二刀流を疲労する。

 

「脆弱な定命の者が……弱い犬程良く吠えるというな」

「俺が弱いかどうか、その身で確かめてみるといい──行くぞデーモン!」

 

 そう叫びパンドラが突撃した。

 パンドラはあえて手加減をする。

 今のパンドラはアインズの姿をしたうえで<完璧なる戦士>(パーフェクト・ウォーリァー)を唱えている。

 故ステータスはレベル百戦士の物と同等になっている。そのためステータス上では憤怒の魔将(イビルロード・ラース)を上回っているのだ。

 勿論ただ戦っても苦戦するし、装備次第では敗北もあり得るだろう。

 だが、憤怒の魔将(イビルロード・ラース)を倒すのは最初からアインズと決まっている以上、善戦はしても圧勝はしてはならない。

 

 憤怒の魔将(イビルロード・ラース)は優雅な動きでパンドラの攻撃を避けつつ、殴打を入れる。

 憤怒の魔将(イビルロード・ラース)は戦士職──その中でも素手攻撃に特化している。ただの拳にも炎属性の追加ダメージが発生する。

 アインズの姿になっている以上炎ダメージが弱点のパンドラには接近戦はきつい。だが、御方の為なら何とでもない。

 

 高速の剣技と拳がぶつかり合う。

 はたから見れば残像すら終えぬ高速の剣舞。一流を優に超えた超越者の戦いだ。

 

 憤怒の魔将(イビルロード・ラース)は途中から拳だけでなく足も入れて攻撃を始める。

 

 一撃、強力な特殊技術(スキル)を幾つか込めた蹴りによってパンドラが吹っ飛ばされた。

 

「おぉ、怖い。お前を弱者と侮ったのは謝罪しよう……故に完璧なる一手をのちに撃つとして──今はここから退こう。そして警告だ。今すぐこの王都から逃げるといい。ここは次期悪魔と火によって沈む」

 

 そう言って憤怒の魔将(イビルロード・ラース)は翼を広げると飛翔し、逃げていった。

 

「さて……無事ですか? お嬢さん」

 

 イビルアイは恋に落ちた。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

オーバーロード シャルティアになった一般人、洗脳ルートだけは全力で回避する(作者:あかちゅきぼちゃん)(原作:オーバーロード)

ナザリック地下大墳墓が新世界へ転移したその瞬間、ひとりの一般人は目を覚ました。▼しかもその身体は、第一〜第三階層守護者シャルティア・ブラッドフォールン。▼アニメ版の流れを知る主人公は、自分がいずれ世界級アイテムによって洗脳され、主であるアインズと殺し合う未来を思い出して絶望する。▼中身が一般人だとバレれば終わり。けれど、残虐な吸血鬼を自然に演じられるほど肝も…


総合評価:1224/評価:7.4/連載:7話/更新日時:2026年07月04日(土) 21:17 小説情報

蝙蝠侯爵と死の支配者(作者:澪加 江)(原作:オーバーロード)

リ・エスティーゼ王国貴族エリアス・ブラント・デイル・レエブンには大きな野望があった。▼そんな彼は侯爵の継承式を目前に控えた領地の視察の帰り道、賊に追われてモンスターに襲われた所を怪しい仮面をつけた魔法詠唱者に救われる。▼


総合評価:10280/評価:8.44/連載:58話/更新日時:2026年09月11日(金) 22:00 小説情報

デミウルゴスに憑依した一般読者(作者:目ん玉)(原作:オーバーロード)

オバロの不幸はだいたいデミウルゴスのせい。▼じゃあ何とかしたら、どうなるんだろうか?▼てことで、書いてみました。▼二次創作は初です。お手柔らかにお願いします。▼AI使用状況▼・本文不使用▼・校正不使用▼・調査不使用▼設定確認はなろう原文やwikiなどを参照しています。


総合評価:9230/評価:8.28/短編:35話/更新日時:2026年09月16日(水) 17:00 小説情報

オーバーロードはダークエルフになりました(作者:トドロ)(原作:オーバーロード)

シャルティアとかアルベドはあったけどアウラってないなと思って作った妄想の産物▼モモンガ様が成長したアウラの姿で冒険するだけの話▼※モモンガ様強化要素があります


総合評価:496/評価:7.47/連載:11話/更新日時:2026年10月18日(日) 17:01 小説情報

ワンパンマン世界で影の君主になった、サイタマは居なかった(作者:寝心地)(原作:ワンパンマン)

ワンパンマン世界に転生した主人公、しかし主人公であるサイタマは居なかった。▼主人公の居ない世界でそれでも手に入れたチート【影の君主の力(システム限定)】を使い迫り来る災厄に立ち向かう。


総合評価:519/評価:7.57/連載:29話/更新日時:2026年08月14日(金) 10:00 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>