退廃的な主人公はプロジェクトセカイの夢を見るか? 作:針が11を指している
ゴールデンウィーク三日目(休日と休日の間にある平日)
視点変更…足立景
神山高校、放課後にて
景「・・・」
帰りのホームルームが終わり、荷物を片付ける
そうしていると
四季「Guten Tag(グーテン・ターク)、少年」
景「・・・おはようございます、天野川四季先輩」
文芸部の部長、天野川四季(あまのがわしき)が話しかけてきた
四季「さぁ、放課後だ 文芸部の活動が始まるぞ~」
景「えぇ、そうですね」
そう言って、適当にあしらい
景「・・・さぁ、行きますよ」
荷物を背負ってそう言う
数分後、文芸部の部室にて
四季「さーてと、今日は何を読もうかな~」
景「・・・」
本(瑠璃色のステンドグラス)を読みながら、天野川四季の茶番を聞き流す
四季「・・・なぁ、少年 何の本がいいと思う?」
景「天野川四季先輩が読みたい本を読んで下さい」
四季「少年が選んだ本を読みたいと言ったら?」
景「・・・分かりました、探します」
そう言って、開いている頁に栞を挟んで立ち上がる
そして、部室の壁に並んでいる本棚を流れるように見始める
景「・・・これ...はどうですか」
そう言って、一冊の本を天野川四季に差し出す
四季「ん~、何々...」
四季「『恋する寄生虫』? どういう話なのかな」
景「・・・社会に馴染めない主人公が、ひょんなことから同じく社会に馴染めない」
景「女子高生と一緒に社会復帰を目指す話です 色々端折っていますが...」
四季「いいね、読むよ 少年が勧めてくれた本だからね!」
景「そう、ですか...」
そう言いながら席に座り、栞を挟んだ本を開く
四季「なんだ~、もう本を読むのか~」
天野川四季の腕が背中から首筋に巻かれる
景「・・・」
気にせずに本を読み進める
四季「無視いないでよ~、少年~」
景「・・・」
そうして無視を続けていると
瑞希「失礼しま~す、景君はいます、か...」
暁山瑞希が部室に入ってきた
四季「・・・」
景「・・・」
瑞希「・・・え~っと、お取込み中でしたか?」
景「いえ、お構いなく それで、暁山瑞希さん、何の用ですか?」
瑞希「う、うん 景君から借りていた本を返そうと思って」
景「あぁ、そうですか 受け取ります」
暁山瑞希に貸していた火車が返される
景「ありがとうございます わざわざ、部室に来て頂いて」
四季「・・・・・・・・・むぅ...随分と仲が良さそうだね、少年」
景「そうでしょうか? 天野川四季先輩」
四季「そうそう、仲良さそうだよ」
瑞希「え~、本当ですか~」
瑞希「・・・まぁ、それはそれとして...」
瑞希「ねぇ、景君 また、本を貸してくれる?」
景「・・・どのような本をご所望ですか」
瑞希「口調硬いな~...まぁ、いいや」
瑞希「恋愛系...お願いできる?」
景「分かりました 数冊、候補に出します」
そう言って、開いている頁に栞を挟んで立ち上がる
そして、部室の壁に並んでいる本棚を流れるように見始めて
流れるように何冊かを手に取る
景「・・・これとこれとこれ...はどうですか」
机に三作品、並べられる
瑞希「『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』と...」
四季「『君の膵臓を食べたい』と『僕はロボットごしの君に恋をする』か...」
四季「実に少年らしいラインアップだねぇ~」
景「・・・そうでしょうか」
四季「そうだよ」
景「・・・まぁ、それはいいです 暁山瑞希さん、どうでしたか」
瑞希「全部借りるよ! 景君が選んでくれた本だからね」
景「左様ですか...」
四季「・・・そうだ!なぁ、君、文芸部に入らないか」
瑞希「え、文芸部?」
四季「そう、いちいち少年を介さなくても、本が借りれるようになるよ!」
瑞希「・・・そう、ですね 考えておきます」
景「・・・天野川四季先輩、一ついいですか」
四季「何だい少年?」
景「・・・普通に図書室で借りるでは、ダメなんですか」
瑞希「・・・そう言われれば、そうだね」
四季「だってさ~ ここの図書室って、資格の取り方とか」
四季「自己啓発書とかが多いじゃん 文学作品も、有名どころだけで」
四季「マイナーな作品はあまりないし...」
四季「それに比べて、ここ文芸部の本棚は、圧倒的な書籍数」
四季「純文学から、先輩方の自作小説、更には海外書籍まで取り揃えている」
四季「実に素晴らしいではないか!」
瑞希「へぇ~、自作小説もあるんですか~」
四季「あぁ、そうだ」
景「まぁ、ありますね」
瑞希「景君も小説を書いたりするの?」
景「いえ、書きません」
瑞希「え~、書かないの~」
四季「なぜ少年だけに聞く 私にも聞け!」
瑞希「じゃあ、四季先輩は書くのですか?」
四季「(* ̄▽ ̄)フフフッ♪よくぞ聞いてくれた」
景「聞くように促したじゃあないですか、天野川四季先輩」
四季「・・・まぁ、兎に角 私は、作家である」
四季「そして、その編集を少年がやってくれているんだ」
瑞希「え、そうなの」
景「えぇ、まぁ...」
瑞希「へぇ~! すっごーい」
景「・・・天野川四季先輩、なぜ編集のことを...」
四季「私の勘が言っている 瑞希ちゃんは、面白いと...」
景「判断基準そこなんですね」
四季「(* ̄▽ ̄)フフフッ♪」
景「どうして笑うんですか?」
四季「だって、少年が褒めるから...」
景「褒めていませんよ?」
瑞希「お~い!二人の世界から帰ってきて~」
暁山瑞希がそう問いかけると
司「失礼するぞ! 天野川、足立!!」
類「フフッ♪失礼するよ」
変人コンビが来た
四季「はぁ~、もう何しに来たの? 変人ワンツー」
司「ハハハ、決まっているではないか」
司「次にやるショーのストーリーを探していてな」
司「文芸部は、沢山の本があるからな シナリオを探すなら、ピッタリな場所だ」
瑞希「・・・ねぇ、類」
類「おや、瑞希じゃあないか 珍しいね、文芸部にいるなんて」
瑞希「うん、少し成り行きでね」
瑞希「それで司先輩って、いつもここでシナリオを探しているの?」
類「いつもではないけど、大半はここで探しているね」
瑞希「へぇ~、そうなんだ」
司「それで、だ 天野川、足立 何か、ショーにピッタリな本はないか?」
四季「え~、何がいいかな」
景「・・・ハッピーエンドで終わる方がいいですよね」
ポツリと聞く
司「あぁ、頼んだぞ」
景「・・・分かりました」
そうして、席から立ち上がり
無数の本が立ち並ぶ、本棚に向かい合う
景「・・・」
そして、無言で本々を眺める
瑞希「・・・迷っている?」
類「景のことだからね ハッピーエンドで終わる無数の本から」
類「僕たちのショーに合いそうなストーリーを取捨選択しているんじゃあないかな」
景「・・・天野川四季先輩、いいですか?」
四季「ん?何が...あぁ、そういうこと 全然いいよ、いいよ~」
景「ありがとうございます」
そう言って、本棚の端にある、手作り感がある本を取り出す
景「・・・これはどうですか」
そう言って、天馬司の前に一冊の本が出される
司「『カチューシャの歌』か...一体どういう話なんだ」
景「それは、天野川四季先輩から...」
景「いえ、著作者の『シン』先生から」
四季「もう少年、ペンネームで紹介して~」
四季「え~コホン 『カチューシャの歌』は」
四季「ロシア民謡のカチューシャという曲をベースにしながら」
四季「北国の生活やその時代特有の背景を差し込み、戦場に赴いた彼を思う話だよ」
四季「本来だったら、バットエンドで終わるハズだったんだけどね~」
四季「編集者がラストを変えちゃってね~」
景「『シン』先生は、変更後のラストに随分とご満悦だったはずですが」
四季「そうだよ、少年が書いたラストは凄く良かったよ」
四季「だから、私もこれを勧めるよ」
司「ふーむ、そうなのか ありがたく使わせてもらう!」
類「フフッ♪ どうやら、決まったみたいだね」
瑞希「そうみたいだね」
司「では、俺たちはショーの練習に行っているぞ」
司「ありがとうな 天野川、足立」
類「失礼になったね」
四季「はいはい、いってら」
景「行ってらっしゃい」
そうして、天馬司と神代類は文芸部を出ていった
景「・・・それで、暁山瑞希さんはどうしますか」
瑞希「ボクも帰ろうと思うよ 景君が勧めてくれた本を読みたいからね」
景「そうですか では、さようなら」
瑞希「うん、さようなら」
四季「はい、さいなら」
そうして、暁山瑞希は文芸部を出ていった
四季「・・・さーてと、少年」
景「なんです、か...」
ドサッと、天野川四季が抱きついてくる
景「・・・なんですか」
四季「んー?いいじゃないか 少年と私の仲なんだから」
景「・・・まぁ、いいか」
四季「(* ̄▽ ̄)フフフッ♪少年なら、そう言ってくれると思ったよ」
そうして、読書を再開する