転生した女(オレ)って話【美少女といちゃつきたいのに俺が美少女なせいでイケメンしか寄って来ん】 作:りりらりら
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|プロローグ「チャラくてチョロい」
・その男、因果応報・自業自得につき
"人生勝ち組だな"
それが俺の人生で最も多く聞いた言葉だ。
なぜならそう、俺は正真正銘の勝ち組人生を送っていたからだ。
俺の始まりは29年前、とある元アイドルの大女優とIT企業の重役勤めの夫婦の間に産まれたところから始まる。
まあつまり俺はこの時点でエリート街道まっしぐら、勝ち組決定だったというわけだ。
その赤ん坊は、まるで天使のようだった。
バニラアイスのように白い肌、大粒のクリクリとしたなんとも愛らしい瞳、そして何より整った顔の造形!パーツの位置!
そう、この赤ん坊こそ、まさしく俺、藤咲 瑞貴だったのだ。
藤咲 瑞貴、ふじさき みずき、並べ替えて読みを変えて、みずさき とうき、水崎 透輝。
これは俺の芸名。
幼少期から同級生、先輩、後輩、先生、近所の人、家の家政婦さん、ありとあらゆる人を惚れさせた俺は小学校を卒業する辺りに俳優になることを決意。
母譲りの高い演技力、歌唱力、運動神経、そして何より美男美女の両親から産まれた高すぎるルックス。
使えるものは全て使って努力し、それら自分の武器をただひたすらに磨き続けた。
その後父譲りの頭脳とカリスマで難関大学に合格。
芸能人推薦という手もあったが、このネット社会、その行為が一切悪くなくとも、どこで自分の弱点になるかわからない、少しでも不安材料は潰しておきたかった。
今思えば普通に必要なかっただけかもしれないが。
母に諭されたため少し興味のあったアイドルは諦め、俳優になるため一直線に進んで行った俺は親の七光を一切受けずに、才能だけで芸能界デビュー。
流石にここに至るまでには様々な葛藤やドロドロとした人間関係などがあったにはあったが、それらは長くなるので割愛。
トントン拍子にはいかなくとも、地道な努力ととにかくどんなことにもチャレンジして仕事に全力になった。
結果、その努力は報われ、俺は若手イケメン俳優として大ブレイク!仕事もじゃんじゃん来て、人気作もそれなりに出ていた。
はあ、なんという素晴らしき薔薇色の人生。
何より素晴らしいのは、可愛い女の子と好きなだけ遊び放題ってことだ!
仕事が仕事だからバレたらそれこそ人生終わりだが、そこは流石俺、完璧にこなしていた。
俺は俺に生まれて本当に良かった。
最高のルックスも、可愛い女の子も、才能すらも、全てを手に入れていた。
さながら漫画の海賊王のように。
まさに神に愛されていた。
だが悲劇は突然引き起こる。
ある日のこと、俺は家に帰る途中の車の中、外を眺めながらうとうとしていた。
ドライバーはベテランのおじさんだし、マネージャーは今日は別用で一緒にはいなかった。
だからこういう暇な時は窓の外を眺めている。
今日共演したあのアイドルグループ、ビジュはいいけど歌はイマイチだったな。
あのMCはいじりといじめの区別つかなくて炎上するタイプだな。
あの女優は…。
あの俳優は…。
そんなことをぼんやり、特に何も思わず考えていると
キキーッッ!
と、珍しく荒い急ブレーキがかかった。
「港さん、どうしたんだよ、あんたにしては珍しい」
「あ、ひ、人が…いたので…」
「人?こんな時間に、道路の真ん中に?」
俺は不審に思って車の外に出た、今思い返せば、不用心にも程がある。
本当に芸能人か?俺は。
「あっ危ないですよ!」
そう、そうだったんだよ港さん。
その声は俺には届いてなかったけどな!
「ん?女の子?」
外に出てみると、確かに夜の真っ暗な道路のど真ん中に、女の子が立っていた。
何やらボソボソ呟いていて、仕事終わりでイライラしてなかったらかなり不気味だっただろう。
「……くん、……で」
「は?なんて?それより君、そこにいると危ないよ、それに、そこ通るから、用があるなら後に…」
「透輝くん!なんで!なんでよ!」
「は…」
声をかけて車に戻ろうとした時、後ろからそんなことを叫びながら、女の子が思ったより速い足で走って来て、そして。
その手には、包丁が。
俺は後ろから刺されて、腹から血がドクドクと流れ出ていた。
振り返ろうとする横目に、唖然と言うか呆然と言うか、そんな様子で絶句する運転席の港さんがチラッと見えた。
「ぐ …おま、あんた…」
「透輝くん…!透輝くん!なんで、どうして?あたしあんなに貢いだのに!あんなにツイッターとかインスタとかで、厄介リアコとかアンチとか潰してきたのに!」
ああ、あのひっでぇレスバ地獄作ってたのお前だったのかよ…。
てか、リアコって、お前が言うのか。
「どうして、どうして他の女と会うの?遊ぶの?一番はどうせあたしだって思って我慢してきたけど、家も帰路に使う回り道だって、いっつも飲んでる好きなお茶だって、クローゼットに入れてる消臭剤の種類だってなんだって知ってるのはあたしだけって思って我慢してきたのに!」
ばちこりストーカーじゃねぇか…。
「ねえ、好きなんだよね?あたしのこと、ほら、前にラジオで付き合いたいタイプとか、女の子の好みの洋服とか言ってたでしょ?あれ、まんまあたしだったし、流石に運命だよね?会うたびいつも意識してたんでしょ?今言ったら許してあげるからさぁー」
「ね?愛してるってさ、言ってよぉ」
そう、女の子は泣きながら涙声で言った。
愛してる……、愛してる、ねぇ。
「…あは、きみ、かわいいね、よかったら、さ、このあと、あそんで、く…?」
俺の意識はそこで途絶えた。
結局この人生では、一度も、心の底から好きだとか、愛してるとか言えた女の子はいなかった。
にしても最期の最期までナンパとは俺らしい。
ああ神様!このハンサムな俺に、どうかもう一度チャンスを!
可愛い女の子に殺されたので、とくに未練はありませんが、こんな綺麗な俺が道路で野垂れ死は惨めすぎる!せめて高級タワマンの自室のベッドで寝かせてください!
その時、もう意識はないはずなのに喚く魂に呼応したのか、視覚がないはずなのに強い光を感じて、思わずもう無い腕で目を覆おうとしたその時、なんと、本当に目を覆えた。
気付けば腕も足も体も、美しい俺の顔も何もかも元通り。
女の子に刺された傷も、すっかり消えて、跡形もなくなっていた。
一体何が起きている?
漫画やアニメさながらのこの展開に一人おたおたしていると、ふいに上から声がした。
「こんにちは、藤咲さん、私は神です」
「は?いや、え、おま、浮いてんじゃん!?」
声の方には女とも男とも取れるような神々しい人型の奴がいて、何やらおかしなことを言っている。
「え、神って、なんだよ」
「なに、と言われても困りますね、そこはフィーリングでなんとなく察してください」
「適当だな、そんなんで本当に神様なのか?」
「ええ、神様ですよ」
まあ、死んでからもうっすら意識があるところからなんとなくおかしいなと思ってたんだ。
間違いなく致命傷だった傷も消えて、体もあるし、あながち奴の言っていることは間違ってないだろう。
というかこの状況じゃ信じるしかない。
それに何より、こういうのラノベで見たことあるしな。
俺は転生系ラノベの実写ドラマで主人公やったんだ、適応能力舐めてもらっちゃ困る。
「あー、わかった、あんたを信じるよ神様、で、なんで死んだはずの俺がここにいるんだ?」
「ええ、実はあなたには、やって頂きたいことがあるのです」
「なんだよ?」
「あなたは、人生において沢山の女性と関係を持ち、何人もの人々を悲しませ、涙を流させましたね」
「ははは、嫌だなー神様、俺はちゃんと同意もとったし、彼女達だって俺に遊ばれてる自覚はあったはずだ。それに、俺はガチになるような子とはなるべく関係は持たない主義でね」
「ええ、まあ、あなたのことですからそうなのでしょう、ですが、遊ばれている自覚があっても、やはり彼女達が流した涙は本物です」
「だったらなんだ?地獄にでも送るか?」
「いいえ、あなたに行っていただくのは」
「異世界です」
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「え、まじ?」
「はい、マジです」
「うっひょー!いいのかよ!そんなんご褒美じゃん!」
「あ、まさか罠だな?超過酷で残酷な運命を背負わせる気だろ?そうなんだろ?」
「まさか、ただあなたには、泣かせた分だけの女性を救って頂きます」
「は?なんだそれ」
「異世界であなたは新たな人生を、その記憶を引き継いで始めることになります。そこで、あなたのその、図太さや自尊心、自己肯定感の高さを利用し、不幸や悲しみに暮れる女性達を、なるべく多く救うのです」
「ほー、なんか遠回しにディスられた気もするが、要は女の子を笑顔にすりゃいいんだろ?余裕だな」
「俺の美貌があれば、そんなのかんた…」
「ただし、あなたは超美少女として生まれ変わってもらいます」
「…は?」
「実は、正確には転生と言っても、すでに11歳を迎えている少女に成り代わる、という形なんです」
「なんで、そんなことを?」
「それは、あなたがその目で確かめて下さい」
「はぁ?もったいぶんな!教えろよ」
「あなたには、散々悲しませてきた女の苦しみを味わってもらいますので、それは無理です」
「まあ、少し言うと、その子は私とは別の神に寵愛されていて、加護も受けているんですが、色々ありまして、その子を救うために、あなたに罪滅ぼしをさせている、という感じです」
「さらに言うと、あなたの罪滅ぼしは、もちろん先程言ったこともそうですが、最重要事項はあなたが成り代わるその子を幸せにすることです」
「つまり…この俺に、女になって女を救えと?」
「はい、そうです」
「はんっ、聞いてりゃ馬鹿馬鹿しいな、そんな面倒事なら、他の色男にでも頼むんだな、俺はそんな新しい命なんていらな…」
「もしやり遂げて頂いたら、罪滅ぼしの達成と少女の救済の報酬に、異世界で男に生まれ変わってモテモテハーレムライフを贈るようにと、言い付けられているんですが」
「ぜひやらせてください」
「はい、それでは早速お願いしますね」
「あ、一応あなたにも、私の加護をつけておきますね」
「はい、謹んでお受けいたします」
「では、良い人生を、藤咲さん」
プロローグですので少し短めです。こんなキャラが見たい!などのリクエスト受け付けております。(このサイトを使うのが初めてなので出来るのかは分かりませんが…)
|おまけ
・港 彰(みなと あきら)…藤咲の専属ドライバー。あの後事件のショックから中々立ち直れず、歳だったこともありそのまま辞職。
その後は趣味だった釣りを息子と楽しむなど穏やかな生活を送っている。
・橋口 鏡花(はしぐち きょうか)…藤咲のストーカー、重度のリアコで強火同担拒否。
あの後港さんがやっとの思いで通報し、駆けつけた警察によって現行犯逮捕。
最初はただのファンだったが、ある日偶然街中で変装した藤咲に会い、運命を感じて付き纏うようになり、そんなことをしている間に恋人だと錯覚するようになってしまった。
藤咲が家に女を連れ込んでいるのを見て我慢できなくなり、凶行に走った。
殺してしまったとは思っておらず、まだ生きていると強く信じている。
元から思い込みが激しく、本気で自分は藤咲に愛されていると思っていた。