マブラヴガールズガーデン You're Under Arrest   作:マブラマ

13 / 19
第13話 CALLING

ステージの片隅で、ドロテア・カークランドはまだ泣きじゃくる貴族生徒1の少女を優しく抱きしめていた。

彼女は少女の頭をそっと撫で、背中を優しく、優しく、まるで大切な宝物に触れるように何度も撫で続けた。

涙でぐしゃぐしゃになった少女の髪に指を梳き、震える肩を抱き寄せる。

そして、ドロテアはとても柔らかく、しかしはっきりと歌い始めた。

 

「あなたには わたしがいる

ちがうよ ひとりじゃない

おなじ未來に伸ばした手を つなごう……」

 

少女の嗚咽が、一瞬だけ大きくなった。

ドロテアはさらに優しく、背中を撫でながら歌を続ける。

 

「どうやったって傷つく時はつく

信じることがもっと痛くする

裏切らない事と 裏切られる事って

なんかちょっと似てるなって

気づいちゃったりするよね……」

 

周囲にいたハリエット、ミリアム、ケイト、そしてリュシーは、静かにその光景を見つめていた。

誰も言葉を挟まなかった。

ドロテアの歌声だけが、血と混乱の匂いが残るステージに、穏やかで温かい風を運んでいた。

 

「コンクリートの街で生きるには

コンクリートのハートでなきゃツライ

だんだんと固められて 動けなくなってしまう

カナシイ……」

 

貴族生徒1はドロテアの胸に顔を埋めたまま、肩を震わせて泣き続けた。

これまで誰にも見せたことのない、本当の自分の弱さを、初めて誰かに預けているような泣き方だった。

ドロテアは少女の頭を優しく抱き、頰をそっと自分の肩に預けながら、歌い続けた。

 

「あなたには わたしがいる

ちがうよ ひとりじゃない

青い空さえ見えない 場所でも

CALLING いつだって

いいよ 呼んでいいよ

ずっとそばにいて あげるから……

 

だいじょうぶ?って聞かないでいてあげる

ぜんぜん平気な顔で笑うまで

守らなきゃいけない 夢をかかえてると

正直な気持ちさえ むずかしくなっていく

ナンデだろう……」

 

 

リュシーが少し離れた場所で腕を組み、静かに目を細めた。

ハリエットはそっとケイトの手を握り、ミリアムは無言でその光景を胸に刻み込むように見つめていた。

ドロテアの声は、まるで母親のように、姉のように、優しく包み込む。

 

「信じ合う気持ちだったり

許し合うやさしさが

ふたりに永遠の勇気をくれるよ……

 

逢いたくなったって

せつなくなんないように

もっと無邪気に 絡まっていたいよ……」

 

最後に、ドロテアは少女の耳元で、まるで祈るように優しく歌った。

 

「あなたには わたしがいる

わたしには あなたがいる

夢見るように抱きしめて あげたい……

 

あなたには わたしがいる

ちがうよ ひとりじゃない

おなじ未來に伸ばした手を つなごう

CALLING いいんだよ

泣いちゃったっていいよ

ずっとそばに いてあげるから……」

 

歌が終わっても、貴族生徒1はまだドロテアの胸に顔を埋めたまま、声を殺して泣き続けていた。

ドロテアは黙ってその背中を撫で続けた。

涙が止まるまで、ずっと。ハリエットが静かに呟いた。

「……私たちも、いつかこうして誰かのそばにいてあげられるようになりたいですね」

ミリアムが小さく頷いた。

「うん……」

ケイトはただ、そっと目を細めて二人の姿を見つめていた。

事件は終わりを迎えようとしていた。

しかし、ここにいる何人かの心には、新しい何かが静かに芽生え始めていた。

ドロテアは少女の髪に唇を寄せ、最後に小さく囁いた。

「……もう大丈夫。一人じゃないからね」

 

Fortgesetzt werden

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。