マブラヴガールズガーデン You're Under Arrest 作:マブラマ
事件から数時間後――ノヴァセレス・エンタメフェス会場は、警察車両の赤色灯に染まっていた。
拘束された伝淑会のメンバーたちが次々と連行される中、グレーテルが厳しい表情で通信端末を耳に当てていた。
やがて彼女は端末を下ろし、重い声で皆に告げた。
「……黒幕が特定された」
その言葉に、周囲の視線が一斉に集まった。
ドロテアが静かに尋ねた。
「誰ですの?」
グレーテルは一瞬目を伏せ、静かに答えた。
「伝淑会の黒幕の正体は―――ハインツ・アクスマン。現ユーロ・タワー校長だ」
場が一瞬、静まり返った。
アネットが目を剥いた。
「アクスマン校長……!?」
イングヒルトも信じられないという顔をした。
「まさか……あの人が……」
グレーテルが続けた。
「彼は平民出身でありながら、貴族側の生徒たちや伝淑会のメンバーを自分の駒として巧みに操っていた。表向きは中立を装い、裏では反融和派を扇動し、今回の事件を計画・実行させた張本人だ。ミヒャエル・ゾーネ教頭も共犯として逮捕された」
リュシーが拳を鳴らした。
「クソ野郎……結局、ずっと陰で糸を引いてたってわけか」
ドロテアが冷たい微笑みを浮かべた。
「校長自らがこんな陰謀を……。ユーロ・タワーの信頼は地に落ちるでしょうね」
その頃、会場外ではノヴァセレス地区警察による大規模な逮捕劇が展開されていた。
ハインツ・アクスマンは、手錠をかけられた状態で警察車両に連行されながらも、冷めた笑みを浮かべていた。
「ふん……所詮はこの程度か」
隣で同じく拘束されているミヒャエル・ゾーネが、悔しげに歯を食いしばっていた。
警察官の一人が二人を厳しく見据えながら言った。
「ハインツ・アクスマン、ミヒャエル・ゾーネ。両名ともノヴァセレス地区反乱罪、テロ等準備罪、多数の生徒に対する扇動罪などで逮捕する。以後、地区裁判所にて厳正に裁かれることになる」
アクスマンは最後に、遠くのコンテスト会場の方を一瞥し、薄く笑った。
「……結局、時代は変わっていくのか。私の読みは、間違っていたようだな」
彼の言葉を最後に、二人は警察車両に押し込まれ、現場から連れ去られた。
ステージに戻ったグレーテルは、皆に簡潔に結果を伝えた。
「アクスマンとゾーネは共に逮捕された。これで伝淑会の組織的活動は壊滅した。……長い戦いだったが、ようやく一区切りだ」
アネットが拳を強く握りしめた。
「アクスマン校長……あの人が全部裏で操ってたなんて……許せない!」
イングヒルトが静かに言った。
「でも、これでユーロ・タワーも少しは変わるかもしれませんね」
ドロテアが優雅に微笑んだ。
「ええ。少なくとも、表向きは中立を装いながら陰で暗躍する輩は、一人減ったということですわ」
リュシーが肩を回しながら笑った。
「さっさと終わらせて、残りのコンテスト楽しもうぜ。せっかくコスプレしたんだからな」
ハリエット、ミリアム、ケイトの三人は、少し離れた場所で静かに互いの顔を見合わせていた。
ハリエットが小さく微笑んだ。
「……これで、少しだけ前を向けるかもしれませんね」
ミリアムが元気よく頷いた。
「うん! ボクたちも頑張ろう!」
ケイトも静かに、しかし力強く頷いた。
事件は終わり、ノヴァセレス・エンタメフェスは再び、華やかな祭りの空気を取り戻し始めていた。
しかし、そこにいた誰もが知っていた。
この一件は、ユーロ・タワーとノヴァセレスに、新たな時代の幕開けを告げる、大きな一歩となったことを。
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