マブラヴガールズガーデン You're Under Arrest 作:マブラマ
コンテスト会場のステージは、事件の後片付けが一段落した頃、再び静かな緊張に包まれた。
照明が落とされ、スポットライトがステージ中央に集まる。
そこに、かつてアネットたちを徹底的にいじめ、差別し、キャバリエを廃棄に追い込んだ元貴族生徒たちが、揃って立っていた。
『ユーロ・ナイツ』
『ユーロユーゲント』
『ライプシュタンダルテ』
『アインザッツグルッペン』
かつてのエリート貴族チームの面々だった彼女たちは、今や華やかなドレスやコスプレではなく、簡素な制服姿で、顔を伏せ、肩を震わせながら立っていた。
アネット、グレーテル、イングヒルト、シルヴィアの四人は、ステージ脇からその姿を無言で見つめていた。
ユーロ・ナイツのリーダーだった少女が、最初に一歩前に出た。
彼女は深く頭を下げ、声が震えながらも、必死に言葉を絞り出した。
「……アネット・ホーゼンフェルト、グレーテル・イエッケルン、イングヒルト・ブロニコフスキー、シルヴィア・クシャシンスカ……私達は……あなた達に、謝罪に来ました」
他のメンバーたちも一斉に深く頭を下げた。
「本当に……申し訳ありませんでした」
「私達のしたことは、許されることではないと……今なら分かります」
「存在するだけで目障りだと言って、机を隠し、陰口を叩き、キャバリエを廃棄し……
あなた達の未来を、踏みにじろうとした……」
アネットは無言でその光景を見つめていた。
グレーテルは腕を組み、冷ややかな視線を向けている。
イングヒルトは静かに、シルヴィアは瞳の奥で冷たい目を細めていた。
リーダーの少女が、声を詰まらせながら続けた。
「……あなた達に完敗した後、私達はすべてを失いました。親から見捨てられ、家から勘当され、ユーロ・タワーからも追放されました。今まで隠していた悪事がすべて明るみに出て……私達の『誇り』は、粉々に砕かれました」
もう一人の少女が、涙を浮かべて言った。
「ゾリャー校舎に『再教育』として送られました。そこで……毎日、周囲から無視され、孤立し、蔑みの目で見られながら……厳しい授業と訓練を受け続けました。道徳、倫理、平民との共生……本当に、死ぬほど辛かったです。でも、逃げたら終わりだと……必死に耐えました」
リーダーが再び深く頭を下げた。
「私達は……ようやく、自分のしたことがどれだけ愚かで、残酷だったのかを理解しました。今更、謝罪など遅すぎるかもしれません。それでも……どうか、この言葉だけは、受け取ってください。本当に……ごめんなさい……」
ステージ上に、重く長い沈黙が落ちた。
アネットは拳を強く握りしめ、唇を噛んでいた。
やがて、彼女は静かに口を開いた。
「……あたし達は、もうあんた達を憎んではいないよ。でも、許すことも……まだできない」
グレーテルが冷たく、しかし淡々と続けた。
「貴様達が受けた再教育は、当然の報いだ。私達が味わった屈辱に比べれば、遥かに軽い。それでも……生きて、償い続けろ。それが今のお前達に出来る、唯一の贖罪だ」
イングヒルトが優しく、しかしはっきりと言った。
「私達は前に進みました。あなた達も……自分の足で、ちゃんと前に進んでください」
シルヴィアはただ、冷たい視線を向けたまま、何も言わなかった。
元貴族生徒たちは、深く頭を下げたまま、肩を震わせていた。
かつての傲慢さは影も形もなく、そこに残っていたのは、ただ傷つき、変わろうとする、弱い人間の姿だけだった。
ドロテアが静かにステージに上がり、穏やかな声で言った。
「これで……本当に終わりね」
指揮官が小さく息を吐いた。
「長い戦いだったな……」
コンテストの照明が、再び優しく四人を照らした。
過去の因縁は、ようやく――一つの区切りを迎えようとしていた。
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