マブラヴガールズガーデン You're Under Arrest   作:マブラマ

16 / 19
第16話 元貴族生徒の謝罪

コンテスト会場のステージは、事件の後片付けが一段落した頃、再び静かな緊張に包まれた。

照明が落とされ、スポットライトがステージ中央に集まる。

そこに、かつてアネットたちを徹底的にいじめ、差別し、キャバリエを廃棄に追い込んだ元貴族生徒たちが、揃って立っていた。

 

『ユーロ・ナイツ』

『ユーロユーゲント』

『ライプシュタンダルテ』

『アインザッツグルッペン』

 

かつてのエリート貴族チームの面々だった彼女たちは、今や華やかなドレスやコスプレではなく、簡素な制服姿で、顔を伏せ、肩を震わせながら立っていた。

アネット、グレーテル、イングヒルト、シルヴィアの四人は、ステージ脇からその姿を無言で見つめていた。

ユーロ・ナイツのリーダーだった少女が、最初に一歩前に出た。

彼女は深く頭を下げ、声が震えながらも、必死に言葉を絞り出した。

「……アネット・ホーゼンフェルト、グレーテル・イエッケルン、イングヒルト・ブロニコフスキー、シルヴィア・クシャシンスカ……私達は……あなた達に、謝罪に来ました」

他のメンバーたちも一斉に深く頭を下げた。

「本当に……申し訳ありませんでした」

「私達のしたことは、許されることではないと……今なら分かります」

「存在するだけで目障りだと言って、机を隠し、陰口を叩き、キャバリエを廃棄し……

あなた達の未来を、踏みにじろうとした……」

アネットは無言でその光景を見つめていた。

グレーテルは腕を組み、冷ややかな視線を向けている。

イングヒルトは静かに、シルヴィアは瞳の奥で冷たい目を細めていた。

リーダーの少女が、声を詰まらせながら続けた。

「……あなた達に完敗した後、私達はすべてを失いました。親から見捨てられ、家から勘当され、ユーロ・タワーからも追放されました。今まで隠していた悪事がすべて明るみに出て……私達の『誇り』は、粉々に砕かれました」

もう一人の少女が、涙を浮かべて言った。

「ゾリャー校舎に『再教育』として送られました。そこで……毎日、周囲から無視され、孤立し、蔑みの目で見られながら……厳しい授業と訓練を受け続けました。道徳、倫理、平民との共生……本当に、死ぬほど辛かったです。でも、逃げたら終わりだと……必死に耐えました」

リーダーが再び深く頭を下げた。

「私達は……ようやく、自分のしたことがどれだけ愚かで、残酷だったのかを理解しました。今更、謝罪など遅すぎるかもしれません。それでも……どうか、この言葉だけは、受け取ってください。本当に……ごめんなさい……」

ステージ上に、重く長い沈黙が落ちた。

アネットは拳を強く握りしめ、唇を噛んでいた。

やがて、彼女は静かに口を開いた。

「……あたし達は、もうあんた達を憎んではいないよ。でも、許すことも……まだできない」

グレーテルが冷たく、しかし淡々と続けた。

「貴様達が受けた再教育は、当然の報いだ。私達が味わった屈辱に比べれば、遥かに軽い。それでも……生きて、償い続けろ。それが今のお前達に出来る、唯一の贖罪だ」

イングヒルトが優しく、しかしはっきりと言った。

「私達は前に進みました。あなた達も……自分の足で、ちゃんと前に進んでください」

シルヴィアはただ、冷たい視線を向けたまま、何も言わなかった。

元貴族生徒たちは、深く頭を下げたまま、肩を震わせていた。

かつての傲慢さは影も形もなく、そこに残っていたのは、ただ傷つき、変わろうとする、弱い人間の姿だけだった。

ドロテアが静かにステージに上がり、穏やかな声で言った。

「これで……本当に終わりね」

指揮官が小さく息を吐いた。

「長い戦いだったな……」

コンテストの照明が、再び優しく四人を照らした。

過去の因縁は、ようやく――一つの区切りを迎えようとしていた。

 

Fortgesetzt werden

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。