マブラヴガールズガーデン You're Under Arrest 作:マブラマ
コンテスト会場のステージは、事件の余韻がまだ残る中、ようやく落ち着きを取り戻しつつあった。
その時――会場の西側入口から、甲高いエンジン音が響き渡った。
ブォォォォン!!
ガアアアアアアア!!
赤いEG6シビックと、オレンジのS14シルビアが、タイヤを激しく鳴らしながら強引にステージへ乗り込んできた。
二台の車は派手なドリフトを決め、ステージ中央で綺麗に並んで停止した。
観客席からどよめきと驚きの声が上がる。
リィズ・ホーエンシュタインが、赤いEG6の運転席から悠然と降り立った。
彼女はいつもの優雅で少し意地悪な笑みを浮かべ、ステージの混乱を一瞥した。
「ふふ、その様子じゃ、無事終わったのね」
グレーテルが目を丸くして叫んだ。
「ホーエンシュタイン!? 何でここに!」
アネットも呆然としながら、赤いEG6に釘付けになった。
「え? リィズ……?」
リィズは軽く髪を払い、悪戯っぽく微笑んだ。
「頭文字D・MFゴーストのブースに展示してた赤いEG6を、スタッフさんに事情を話してから借りてここに来たのよ。……まあ、かなり強引だったけど」
その後ろから、オレンジのS14シルビアのドアが開き、ファルカ・ミューレンカンプが降りてきた。
「リィズ先輩、終わりましたね……」
リィズが優しく微笑んで答えた。
「ええ。ご苦労様、ファルカ」
アネットは両目を輝かせ、赤いEG6に駆け寄りながら興奮気味に叫んだ。
「す、すっごい! 本物のEG6だ……! しかもあの赤! 庄司慎吾仕様じゃん!」
リィズがくすっと笑った。
「まあ、似たようなものよ。スタッフさんには後でちゃんと謝っておくつもり」
グレーテルが額に手を当て、呆れたように言った。
「……相変わらず、派手な登場の仕方をするわね、あなたは」
イングヒルトも苦笑しながら近づいてきた。
「本当に……びっくりしました」
リィズはステージに上がったまま、倒れている伝淑会の残党や、手錠をかけられている元貴族生徒たちを一瞥し、満足げに頷いた。
「ふふ、随分と派手にやったみたいね。アクスマン校長の逮捕の報せはもう聞いたわ。……これでようやく、ユーロ・タワーも少しは綺麗になるかしら」
アネットがEG6のボンネットを軽く撫でながら、興奮冷めやらぬ様子で言った。
「でもさ、リィズ! こんな大事な展示車を借りてくるなんて……本当に大丈夫なの?」
リィズが肩をすくめた。
「大丈夫よ。『緊急事態だから』って頭を下げて事情を説明したら、スタッフさんたちも快く貸してくれたわ。……まあ、返却の時に盛大に謝る必要はあるでしょうけど」
ファルカが静かに微笑みながら付け加えた。
「先輩が『どうしても必要』って譲らなかったので……私もついてきてしまいました」
リュシーが遠くから声を張り上げた。
「おいおい、また新しい派手なのが増えたぞ!」
ドロテアも優雅に笑いながら言った。
「本当に、今日のイベントは波乱万丈ですこと」
ステージ上は、再び賑やかで、どこかほっとした空気に包まれていた。
アネットはEG6の隣に立ち、満足そうに胸を張った。
「ふふ……やっぱり車って最高だね! 特にこの赤!」
リィズがアネットを見て、優しく微笑んだ。
「あなたも、ずいぶん元気そうで何よりよ。アネット」
リィズは赤いEG6のボンネットに軽く腰をかけ、優雅に脚を組んだまま、皆の視線を受け止めながら小さく微笑んだ。
「ふふ……EG6を借りてきた理由、気になります?」
アネットが目を輝かせて身を乗り出した。
「めっちゃ気になる! どうして急に展示車を借りてきたの?」
リィズは指で自分の頰を軽く突きながら、悪戯っぽく言った。
「単純よ。まず一つ目……この会場、MGが何機も入ってきてる状況で、普通の車じゃステージに上がるのも一苦労でしょう? でもこのEG6なら、軽量でパワーもあるし、ドリフトで無理やり乗り上げられる。実際、上がれたでしょ?」
グレーテルが呆れたように言った。
「……それが主な理由か?」
リィズがくすっと笑った。
「もちろん、それだけじゃないわ。二つ目……私がこの赤いEG6を見た瞬間、思ったの。
『これは、今日の騒動を締めくくるのに相応しい演出になる』って」
彼女はゆっくりとステージを見回し、倒れた伝淑会のメンバーや、手錠をかけられている元貴族生徒たちに視線を止めた。
「派手で、派手すぎて、馬鹿馬鹿しいくらい目立つ車。それで、事件の後……『秩序を守る者』として、華やかに登場したかったの。頭文字Dのスピリットそのままに、派手に乱入して、すべてを終わらせる。……ちょっとロマンチックでしょ?」
アネットが両手を叩いて笑った。
「ロマンチックっていうか、完全にノリと勢いじゃん!」
リィズが肩をすくめた。
「まあ、それもあるわ。でも本当の理由は……あなた達が無事で、ちゃんと戦い抜いた姿を、この目で直接見たかったからよ」
彼女はアネットとグレーテル、イングヒルトを順番に見つめ、柔らかく微笑んだ。
「特にアネット……あなたがオベレーグに乗って戦ってる姿、ちゃんと見届けたかったの。だから、ブースのスタッフさんに頭を下げて、事情を全部話して、展示車を借りてきた。……迷惑はかけたけど、後でちゃんと謝罪と補償はするつもりよ」
ファルカが後ろで小さくため息をついた。
「先輩、本当に強引でしたから……私、冷や冷やしてました」
リィズがファルカの頭を軽く撫でながら笑った。
「結果がすべてよ、ファルカ。無事終わったんだから、良しとしましょう」
アネットがEG6のボンネットを優しく撫でながら、嬉しそうに言った。
「まあ……リィズが来てくれて、なんか締まった気がするよ。この赤いEG6、最高にかっこいいし!」
リィズは満足げに微笑み、夜空を見上げた。
「ふふ……今日のノヴァセレス・エンタメフェスは、いろいろと記憶に残るイベントになったわね」
赤いEG6とオレンジのS14シルビアは、ステージ上で静かにライトを反射しながら、事件の終わりを華やかに飾っていた。
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