マブラヴガールズガーデン You're Under Arrest   作:マブラマ

9 / 10
第9話 墨東作戦始動

講談社ブースの裏手では、緊迫した空気が流れていた。

グレーテルは通信端末を耳に当て、短く、しかし鋭く指示を出した。

「アネット、聞こえるか?」

《……聞こえてるよ。どうしたの、グレーテル?》

「『墨東作戦』を発動する。すぐにステージを降りろ。裏口から抜け出せ。合流地点は講談社ブース北側の緊急車両待機ゾーンだ」

通信の向こうでアネットの声がわずかに緊張した。

《……了解。すぐに行く》

グレーテルは端末を切ると、すでに準備を整えていたスタッフたちに視線を向けた。

「時間がない。オベレーグの起動準備を急げ」

 

 

 

 

ノヴァセレス行政府が緊急時に使用する大型アドトラックが、ブース裏の待機エリアにずらりと20台並んでいた。

各車両の側面には、大きな白文字でこう書かれていた。

 

『Auf dem Weg zu einer Ära der Versöhnung zwischen Adel und Bürgertum』

―――「貴族と平民の融和時代へ」

 

表向きは融和施策の広報車両として配置されていたものだが、その内部には完全に武装されたMG〈オベレーグ〉が1機ずつ、厳重に固定されて隠されていた。

グレーテルが先頭のアドトラックに乗り込むと、すぐにコックピットに滑り込んだ。

慣れた手つきで起動スイッチを入れ、システムを立ち上げる。

低く唸るような起動音が響き、モニターが次々と明るくなった。

「全機、起動確認。墨東作戦、フェイズ1移行」

他のアドトラックからも、次々とオベレーグの起動報告が入ってくる。

その頃、アネットもステージの袖から密かに抜け出していた。

千束のコスプレのまま、裏口のスタッフ通路を全力で走り、指定された待機ゾーンに到着する。

「グレーテル! 来たよ!」

「遅い。早く乗れ」

アネットは息を切らしながら、割り当てられたアドトラックに飛び乗り、オベレーグのコックピットへと滑り込んだ。

長刀を主武装とする灰色と緑の迷彩柄の機体が、彼女の意志に応じて静かに目覚める。

「ふぅ……やっぱりこの感触、懐かしい……」

アネットは操縦桿を握り、通信回線を開いた。

「アネット・ホーゼンフェルト、オベレーグ起動完了。いつでも行けるよ!」

グレーテルが全機に指令を出した。

「全機、聞け。会場内に侵入したウォーデン型MGは反融和派のテロリストである可能性が極めて高い。我々は『融和の象徴』として、この場を鎮圧する。被害を最小限に、かつ迅速に。……いいな?」

アネットが通信越しに笑った。

「了解! 久しぶりの本気オベレーグ……張り切っちゃうよ!」

20機のオベレーグを搭載したアドトラックが、次々とエンジンを唸らせて動き始めた。

“貴族と平民の融和時代へ”というスローガンを背負った車両群は、コンテスト会場の混乱の中心へと向かっていく。

 

Fortgesetzt werden

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。