貞操逆転世界に転生した読者の俺はどうすりゃいいですか?   作:カナのドリルで精通侍

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そんなに見たいか? 「異常編」が!──ドン!!──

原作御大が更新を再開なさいましたが、ほそぼそ続けていこうかと思います。
お気に入り登録、感想、評価などありがとうございます。



第3話 まず、おねショタとは…何か(ネットリ

 

 前世、俺は懺悔という文化を理解できなかった。

 ここでいう懺悔とは…ざっくり説明すると、教会とかで神父さんに罪を告白し、†悔い改めて†心を保つことだ。あるいは大衆の前で未成年の主張みたく打ち明ける場合もある。

 

 いやお前理解してんじゃんって? 違うね、俺はこの懺悔が気に入らないって意味で理解できないのである。

 理由はある。あれって要は抱えきれない罪からの逃避であって、そこにある罪悪感ってのは謂わば我が身可愛さを都合よく言い換えただけなんじゃねーの、という考えがあったからだ。

 

 ただし、ここで勘違いしないでもらいたいのだが、俺は懺悔する人を冷笑したいわけじゃない。飽くまでもその価値観のもとに自分を律したいのだ。勿論のこと、懺悔という発明の有用性は知っているし、懺悔したからといって性格が歪むなんて極端な思考はしていないつもりだ。

 まあ、だからなんだという話ではある。で? っていう。

 結論から言おう。

 

 この世界は、異常編だった。

 しかし、弟はまだ誰ともヤッていなかった。

 なぜわかったのか。その説明をする前にまずは今の弟の状況を理解する必要がある。少し長くなるぞ。

 

 またしても夜更かしして勉強していた俺が水を飲みに部屋を出た時、弟の部屋の扉が半開きだったのが事の始まりだった。

 閉めようと思って近付いた俺は、妙に水っぽい()()()を耳にした。あっ…(察し)である。見て見ぬ振りしようかと思ったのも束の間、なんと弟自ら俺に近付いてきたのだ。

 すわやらないか♂と誘われちまうのかと脳裏を過ったのだが、俺の顔を見た弟はサーッ! と顔を土気色にして、聞いてもいないのに洗い浚い吐き始めたのである。

 

 曰く、弟は佐藤家の女を誘う為に、わざと扉を開けて聞こえるよう自慰に走ったという。それで釣れたのが男の俺で、家から追い出されると直感したんだと。いやいやそんなことで? となるかもしれないが、本人からすれば自分の性欲は()()で社会の悪である、という思考回路があったそう。そんなわけで弟は、自分のしようとしたことを酷く卑下していた。

 己で家族だと嘯いておきながら一線を越えようとした、救いようのない大罪人だ、と。

 

「だから…俺は貴方の弟を名乗る資格なんてない。極悪人、なんだよ…」

「…あのなぁ」

 

 鍵のかかった部屋を薄ぼんやりとした豆球の橙が満たす。

 同じ背丈でも、彼我の頭は地と天ほどに遠かった。

 

「この際だから言っておこうぜ。お前別世界から来ただろ」

「ッ!? な、なんでそれを…」

 

 膝を付いた俺は、顔を上げた弟の目を正面から見た。

 俺と鏡写しの相貌は驚愕と恐怖に染まっている。構わず俺は言葉を続けた。

 

「俺も似たようなもんだからだよ。まあ転移のお前と転生の俺じゃ勝手も違うけどな」

「転生…? それって、いわゆる転生…?」

「そうだ。赤子の頃から前世の記憶持ちの、紛い物の子供だよ」

 

 厳密には違うが、あえてここが創作の世界であることは伏せておく。混乱するだけだしな。

 

「じゃ、じゃあ、貴方も女神に会った…んですか?」

「なにそれ知らん…コワ…」

「えぇっ…!?」

 

 急に新要素を生やさないでもらっていいすか? 原作にそんなんあったっけ…

 弟が言うには、夢に出てきた女神が入れ替わりだと教えてくれたんだとか。初耳である。俺が忘れてるだけ説あるな。

 一先ず、情報を共有する必要がありそうだ。

 

「えーとだな。まず前提として、この世界は前の世界と貞操観念が逆転してる。だからといっちゃあなんだが、別にお前がマミー相手に欲情して孕ませたとしても何ら問題ないんだよ。菫ちゃんや桜、そのへん歩いてる赤の他人でもな」

「…マジで?」

「マジマジ。なんなら褒められた行為だな。国が男性による種付けを後押ししてんだ。俺らからしちゃ変な話だわ」

「は、はは…」

 

 俺の嘲笑に弟は乾いた笑みで応えた。

 まあエロ漫画的都合良すぎ世界に竿役として生きられるってなったら、一旦自分の正気を疑うよな。あまりにも現実味が無さ過ぎて夢か幻なんじゃないかって。

 ところがどっこい夢じゃありません、現実ですこれが現実、って何のネタだっけ。まいいや。

 

「で、どうするよ」

「え…何を…?」

「お前の性欲。溜まってるんなら発散してこいよ。明日休みだし、マミーならあっさり抱けると思うけど」

 

 自分で言っといて、倫理的にヤバい発言だと自嘲する。

 ふざけた話だ。俺は今、実質的に、母たち(家族)を売ったのだ。それも、(家族)に。

 母たちが俺や弟を性的な目で見ている、というイカれた大前提がなければ失言どころじゃない。いや、その前提も状況証拠からの俺の勝手な推測でしかないが。とはいえど状況証拠が多すぎるんですけどね。

 

「いや、いやいやいや…え? この世界ってそんなあっさり近親相姦勧めてくるんです?」

「まあうん…女からやるのは駄目だと思うけど男からなら大丈夫なんじゃね」

「そんなもんなのか…」

 

 しばし、沈黙が流れる。

 気まずいし茶化してみようか。

 俺は弟と同じように座り込んでから、口火を切った。

 

「んだよ、ビビってんのかぁ?」

「そんなんじゃない。ただ…まだ実感がついてこなくて…」

 

 さっきまでイキり勃ってた弟だが、俺の介入でガン萎えしたのか怖気付いてしまったようだ。

 しかし、それも一時的なものなんじゃなかろうか。遅かれ早かれ弟は母を抱くし、姉と妹も抱くのだろう。そうなるべくして環境は…舞台は整っている。後は弟の感情次第なのだ。

 

「貴方はどうなんですか。あんな美人でエッチな母親がいて…」

「いやぁキツいっす」

「えぇ…? それはまた、なんで…?」

「だって転生者だし。なんかねぇ、確かに体のエロさは認めるんだけど、顔が血縁すぎるんだよなぁ。例えるなら昔の同人誌を読んでる感じというか、体はいいけど絵柄が…ってなるんよ」

「あ〜…」

 

 弟がなるほどねって顔してる。いや家族みんな美人だよ? それはそれとして興奮はしないよねって話で。

 

「その点お前は転移だし、前の世界じゃ天涯孤独なんだったっけ? そんなんほぼ他人じゃんね」

「それは…まあそうですけど」

 

 お互い腰を落ち着けて話してみる。

 数日前までの弟とはしてこなかったことだ。

 後悔と呼べるほどの感情はない。ただ、惜しいことをしたなと。

 あっそうだ。今ヤらないってんなら、いいアイデアを思いついた。

 

「蒼」

「はい?」

「明日の午後俺に付き合ってもらおう。お前に本物の()()がどんなものか教えてやる」

「え?? な、なに? なんかのネタ?」

「美味しんぼ知らんの?」

「名前だけなら…でも古い漫画じゃないですか」

「古い言うな。前世21の俺でも読んだことあるぞ」

「あ、21歳だったんですね。…なんで亡くなられたんですか?」

 

 聞くな! 一生の恥だよ。まあそれで一生終わったけど。

 

「恥ずかしいから言わない」

「えぇ…」

 

 閑話休題。

 

「真面目に言うとだ、明日精子総合センターに行ってスッキリしてこよう」

「せいしそうごうせんたー」

「この世界の男が月に一度納精を義務付けられているのは知っているな?」

「初耳なんですけど」

「受け入れろ。で、そこの職員さんを引っ掛けろ。お前の容姿なら選び放題だぞ」

「んな節操なしな…」

「初体験が母親よりは気の持ちようがいいだろ」

 

 図星だったのか弟は口を噤んだ。

 

「ごめん、責めてるわけじゃないんだ。ただ、これから先お前は自身の性欲に振り回され続けるだろう。そこに理性の入る余地を差し込んでおかないと、必ずいつか後悔する。と思う」

 

 何事においても初心は肝要である。ならその一歩目、こちらで都合させてもらおうじゃないか。

 弟には、俺みたいにはなってほしくない。

 

「わかり、ました。そうしてみます」

「ああ。…明日マミーを説得するの手伝えよ」

「それはもちろん」

「めっちゃゴネるぞ」

「お、おう…やってみます」

 

 交渉成立。しかし、言ってみたはいいけど完全ノープランであった。

 まあなんとかなるだろ。二人してはにかんだ。

 そうしてひと段落すると、眠気がやってくる。

 

「…あの、よければなんですけど…」

「なんだ?」

「眠くなるまでもう少しだけ、俺と話してくれないですか…?」

 

 恥ずかしそうに目を逸らした弟が、俺には。

 父親にかまってほしがる息子のように見えた。

 しょうがねぇなぁ。

 

「…ああ、いいよ。じゃあ、まず年齢を教えてくれるかな」

「え? …あ、24歳です。…ははっ、汚いなホント貴方は」

「同じ穴の狢じゃん」

「いや普通に趣味とかでいいじゃないですか。漫画とか」

「漫画かぁ。ジャンプは大体知ってる。蒼は?」

「僕は~鬼滅とかですね」

 

 その後しばらく、俺と弟の会話は続いた。

 他愛ない、特別盛り上がらない、馴れ合いのような弾まぬ会話。

 

 まさしく、兄弟の会話だった。

 

 

 


 

 

 

 来たぜぬるりと。精子総合センターへ!

 

 いやぁ母は強敵でしたね。俺が行くのはいいとして弟が行くのは早すぎるって感じで。説得の最後弟がなんか耳打ちして腰砕けにしてたけど、蒼お前何言ったんだよ。

 それはさておき。

 

 精子総合センター。

 字面が前世基準だと可笑しく思えるが歴とした公共施設、市役所みたいなものだ。市に一つ或いは役所と併設してあって、国民の男性は月に一度納税ならぬ納精する義務を負う。んで今の所俺くらいしかいないが、最短で週一ペースで通うことができる。それ以上は無理。昔色々問題があったとかで。

 そんで、俺はここの常連ってわけだ。風俗に自信ニキである。

 家族全員で訪れたそこで、俺だけは勝手知ったる他人の家とばかりに受付に顔を見せた。家族の前じゃ話せないからな。

 

「あっ、裕…佐藤くん! 今週も来てくれたんですね」

 

 看護婦のような仕事着を身に纏う彼女は、誰あろういつも俺を担当してくれているお姉さんだ。

 本名は知らない。センターを利用する男性に教えるのは就業規則違反にあたるかららしい。出会って5年になるというのに歯痒い限りである。

 

「どうも。今日は弟も同伴なんですけど、後で他の職員さんに頼みたいことがあって」

「弟さん? あ〜あの子ですか。他の職員って、もしかして…コレ?」

「察しが良くて助かります」

 

 指の穴に指を通すお姉さんのジェスチャー。私は密かに腰の炎を燃やします。すぐ鎮火するけど。

 すると、俺のフライングを咎めに来たのか妹が駆け寄ってきた。

 

「ユウ兄、先に行っちゃだめだよ。蒼兄が説明受けてからじゃないと」

「あーゴメン、そうだったな」

 

 次いでこちらに来た皆も交え、お姉さんの説明を聞く。

 …ん? 妹は弟を「あの人」と呼んでいたはず。しかし先ほどは「蒼兄」と…?

 かぁーっ! 弟も隅に置けないな! 妹とおっぱじめるのはできればもう少し妹の成熟を待ってほしかったところだが、原作を鑑みるに厳しそうである。止めないのかって? 前世の価値観(そんなもの)、ウチにはないよ…

 …俺自身、そんな忠言できる立場じゃないってのもある。

 

 そして件の弟は、記憶喪失(という体)のためか真剣な表情でお姉さんの言葉に耳を傾けていた。

 僕のだぞッッッ!

 …えーはい。そろそろ懺悔タイムに入るべきだろう。

 今世における俺の最大の過ちを。

 

 即ち、おねショタへの冒涜である。

 

 思春期でちょっと頭がパープリンだった俺は、新人だったお姉さんを言い包めて…ヤッちゃったのだ。

 当時は若く、女体が必要でした。俺は11歳、学校には通わなかったが6年生の時分か。そして彼女は18歳、高卒でセンター職員になったばかりだった。

 そう、人によっては蛇蝎の如く忌み嫌うだろう。中身大人がショタのフリしておねを頂く、アレにあたる。前世の俺も別にそこまで大人だったわけではないが、うるせえよ黙れよおねショタを騙るなと強虫されるのも当然の過ちだ。

 

 だが待ってほしい。美談にするつもりは毛頭ないことを念頭に、俺はお姉さんによって心を救われている。

 どっかの心理学者が言ってたように、ある程度性欲が満たされないと人格が終わるのである。家族でヌければだいぶマシだったんだろうが、生憎と今世の俺ボディは近親がNG。そして家族は俺を蝶よ花よと家に押し込める。そんなの、ムリゲーだろう。

 極端な物言いなのは理解している。でも、俺がこの世界の男のようにならずに済んだのは、お姉さんのおかげなんだ。これは疑いようのない事実なんだ。

 転生者のくせに、生まれ変わった体に振り回されて情けない。そう思ってくれて構わない。おねショタの主導権をショタに握らせない派閥の人からすれば、俺は酷く醜く見えるのだろう。

 

 そうして、読者はこの二次創作から離れて、低評価をつけて、いるかどうかもわからない作者がやる気を失って、作品がエタったその時。

 果たして俺は、文字だけの存在である俺は…息を吸うことが、意識を保つことができるのか。

 いっそのこと、俺がしたいことだけして生きていいのなら、この世界は理想郷だった。前世基準で男に都合の良すぎるこの世界なら俺は、異常編の佐藤蒼のように自らの性欲を振り回していた。どうやらこの世界は異常編…に近いようだが、どう転ぶかなんて、いちキャラクターの俺にはわからない。そもそも、俺がこの物語の主人公なのかすら怪しいのだ。

 

 …お姉さんの説明が終わったみたいだ。

 俺と弟に紙コップが渡される。まあ、これを使うことはないだろうけど。

 ああ、早く一週間分溜まった精を吐き出したい。

 

「行こ、()()()()

「──は?」

 

 第一に、焦りがあった。第二に、不安があった。

 故に俺は口を滑らせた。

 

「ちょっ裕ッ…佐藤さん家族が…!」

「え? あ」

 

 俺とお姉さんの関係が、姉と妹に勘付かれた。

 

 

 


 

 

 

「誰よその女ァ!!」

「菫ちゃん待って、一旦待って!」

「待たないわ! ユウあんた、その女に騙されてるんでしょ! でももう大丈夫よ、なぜって? わたしが来た!」

「オールマイトやんけ! ちょっ、力強くね!?」

 

 兄は何をやってるんだ。

 唖然と紙コップを手にした俺はまず、狂った状況の把握にかかった。

 

 すみれ姉さんが突然激昂したかと思えば、今にも受付のお姉さんに殴り掛からんとしてる。

 兄はすみれ姉さんを羽交い絞めにして抑えてるけど、さくらはその明晰な頭脳で察したらしく、伏兵として背後からお姉さんをアンブッシュしようか迷ってるようだ。

 一方で母さんはオロオロと両手をまごつかせるばかりで、現状を解決に導けるとは思えない。

 

 なるほど、把握した。

 つまり、うるさい口を塞げばいいんだな?

 

「すみれ姉さん、ちょっと」

「蒼、悪いけど今は虫を退治してる途中だから!」

「蒼手伝って! 桜抑えて! お姉さん逃げてぇ!」

 

 俺たち以外人気のない精子総合センターに叫び声が木霊する。

 お兄ちゃん、本当に悪いんだけど、昨日俺を萎えさせてくれたの、結構ムカついたんだよね。

 

「悲しいな、俺のことは見てくれないの?」

「んむっ!?」

 

 だって、ほら。

 

「んん♡ はむ、んちゅ…れろぉ♡」

 

 少なくともすみれ姉さんは、俺がキスをするだけで腰が抜けるほどの雑魚メスなのに。

 

「や、やりやがった、マジかよ蒼ッ、やりやがったッ!」

「ちょおぉぉぉ!? ななな、なにやってるの蒼ちゃん!? すみれちゃん!?」

「そ、そんな…さくらはユウ兄のも、蒼兄のも、初めてをいただけなかったのですか…?」

「裕也くんの弟くんすご…」

 

 羽交い絞めを解かれたのか、すみれ姉さんが俺の首に腕を回してくる。俺はより一層姉さんの体を抱きしめて、口内の蹂躙に注力した。

 

「ん゛ん゛~~!?♡♡」

 

 すると、どうだ。腕の中のメスは、キスだけで達してしまった。

 酷い話だよ。俺はまだ全然満足できてないってのに。

 

「母さん。それにさくら」

「はぁっはぁっ、はっ!? な、なにかしら蒼ちゃん?」

「フゥーッ…フゥーッ…お母さん、興奮しすぎですよ。ねー、蒼兄♡」

「内なる獣を抑え込めている。長男ポイント+114514点」

「あのー、裕也くん? これ収拾つくのかな…?」

「俺から言えるのは一つだけですよ。“ほう、姉ショタですか。たいしたものですね”と」

 

 外野がうるさいな。まあいい。これでも兄にはちゃんと感謝してるんだ。

 初体験が母親ってのは外聞が悪い? 確かにそうかもしれない。

 じゃあ家族全員同時に抱けば? 一人抱けば犯罪でも、千人…いや一万二千六百六十人抱いたら英雄なんだ。

 

「採精室に行こうか」

「あっ、そこだと狭いから個室行け」

 

 ナイス助言だお兄ちゃん。やっぱり経験者は違うね。

 俺は我が愚息の存在を隠すことなく、堂々と立ってみせた。いや勃って見せた。

 

「わかった、そうする。ほら、すみれ姉さん? 立てるよね?」

「は、はひぃ♡ どこまでも突いて逝きますぅ♡」

「蒼ちゃんの蒼ちゃんかっこいい♡ 好きなだけママのおっぱいちゅっちゅしてぇ♡」

「蒼兄♡ わたしだけの蒼兄♡ 今年限りのJCおま〇こ、どうぞお召し上がりください♡」

 

 さあ、解放のドラムを響かせようじゃないか。

 

 

 


 

 

 

 なんというか、男としての格の違いを見せつけられたような気分である。

 

 家族は施設の奥へと姿を消していった。見送った俺は、嵐の過ぎ去った田畑のごとくくたびれた全身を棒立ちさせていた。

 ちょっとばかし、俺の聞かん棒も勃っていた。いやぁ食わず嫌いで家族とそういう関係になるのを拒んできた俺でさえ、あの立派な竿役仕草には興奮させられた。エロは女体のみにあらず、男根という清濁併せ吞んでこそなのだなぁと。どっちかというとパブロフの犬かな? スリーパー見ると不意勃ちするやつ。

 

「なんの騒ぎですか!? 一体!?」

「あっ、チーフ」

「あ、ども。いつもお世話になっております」

「あぁ佐藤さん、いつも御贔屓に…って違います! 先ほど女性の怒号が聞こえてきましたが何事ですか!?」

 

 騒ぎを聞きつけたこの道45年の大ベテランことチーフの美魔女職員さんがエントリーしてきた。

 お姉さんが言うには、このチーフさんは産まれた時からこの世の男根を搾り取るべくして存在するみたいな人らしい。生粋のサキュバスってことだね。いやどういうことだよ。

 

「いやぁちょっとわかんないっすねぇ~。じゃ、僕お姉さんとよろしくやってきますんで」

「え、ちょっと、裕也くんったら♡」

「いや就業規則違反! そっち採精室でしょうが!」

 

 チーフさんがそんなことを言ってくるが、知ったこっちゃないね。

 既に理論武装は終わっているのだから。

 

「何の問題ですか? ()()の協力のもとの採精はルール上全く! 何の問題もないね♂」

「えっ、そ、それって…!?♡」

「お姉さん、貴方も家族だ」

 

 背の高いお姉さんの肩を優しく抱いた俺は、そのままセンターの奥地へ向かった。

 歪みねえな。

 

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