こういうクロスオーバーってないなって思って
青空を見上げ神秘を見よ
目を覚ますと始めに見えたのは青色の地平線だった
キラキラと太陽の光を反射するその景色はあまりにも綺麗で現実感が薄い
潮風が頬をかすめていく感覚だけがやけに生々しくて、俺はしばらくの間まばたきすら忘れていた。
(……………いや待て、どこだここ。)
起き抜けの脳が活性し状況を理解し始める。
周囲を見渡せばそこは駅のホームのような場所で、壁はなく簡易的な三角屋根とベンチ、コーヒーの自動販売機があるだけだった。
ホームの先にはレールがどこまでも続いていて
その向こう側には、見たことのない都市が………。
いや、知っている都市が広がっていた。
なぜならその都市の上空には大きな水色の輪っかが浮かんでいるからである。
そう、それは画面の先で何度も見た『ブルーアーカイブ』の都市であった。
「は?」
思わず声が漏れ出てしまう。
理解しがたいものを見て脳が思考を放棄してしまったようだ。
瞬きの数が多くなりパチパチと視界が途切れる。
と、その瞬きの一瞬の間に俺は電車内に移動して席に座っていた。
「……は!?」
今度は驚きと困惑が合わさった声を上げる。
思わず反射的に立ち上がろうとする。
だが身体は動かない。
見えない何かに固定されたように、指一本すら動かせなかった。
仕方なくあたりを見渡してみるが車内には誰もいない。
聞こえるのは規則正しい走行音だけ。
ガタン、ゴトン。
ガタン、ゴトン。
静かな音だけが響く。
やがて。
向かい側の座席に、一人の少女が座っていることに気付いた。
いつからいたのか分からない。
気付けばそこにいた。
長く淡い水色の髪。
透き通るような青い瞳。
白を基調とした制服と紀章。
連邦生徒会長。
ゲームで見た姿と寸分違わない姿でその少女は俺の目の前に現れた。
会長は静かにこちらを見つめている。
その顔に感情らしい感情は読み取れない。
ただ、その青い瞳だけはどこまでも澄んでいて、まるでこちらの全てを見透かしているような錯覚を覚えた。
「えっと……こんにちは?」
疑問を投げかけるように俺は会長に向かって言葉を投げかける。
だが数秒待ってみても返事どころか音すら返ってこなかった。
会長は瞬き一つせず、ただこちらを見つめている。
その様子に妙な居心地の悪さを覚えながらも、俺はもう一度口を開いた。
「……聞こえてます?」
反応はない。
ただ変わらず静かにこちらを見つめている。
その青い瞳には確かに俺の姿が映っているのに、まるで別の何かを見ているようでもあった。
背筋が妙にむず痒くなる。
無視されているというより、会話の相手として認識されていない。
そんな感覚。
やがて会長はゆっくりと目を伏せた。
そして、
『 』
不意に声が響いた。
耳で聞いたのではない。
頭の中へ直接流れ込んできたような声だった。
「え?」
思わず辺りを見回す。
しかし車内には俺と会長しかいない。
『 』
再び響く。
けれど肝心の言葉だけが聞き取れない。
まるで壊れた音声データのように。
ノイズが混じったように。
内容だけが綺麗に抜け落ちている。
会長は俺を見ていない。
視線は窓の外へ向けられていた。
遠く。
遥か遠く。
この電車が向かう先を見ているように。
『 』
ガタン。
ゴトン。
車輪の音が少しだけ大きくなり、窓の外の景色が変わり始める。
青い海。白い雲。キヴォトスの街並み。
その全てが徐々にセピア色に色褪せていく。
まるで一枚の絵が水に溶けていくように。
その間にも会長は
『 』
淡々と。
『 』
静かに。
『 』
まるで決められた台本を読み上げるように会長は言葉を紡ぐ。
突然、会長は静かに立ち上がった。
その動作に合わせるように車内へ白い光が差し込む。
窓の外を見る。
空が白く染まっていた。
海も。都市も。線路も。
全てが光に飲み込まれていく。
『 』
会長の輪郭が薄れていく。
『 』
白い粒子となって崩れていく。
そんな中、初めて会長の視線が真っ直ぐこちらへ向けられた。
青い瞳。
どこまでも澄んだ瞳。
その瞳の奥に、ほんの僅かな安堵の色が見えた気がした。
そして。
世界が完全に白く染まる寸前。
今まで聞こえなかった言葉が、たった一つだけ鮮明に届く。
『どうか生徒の皆さんをよろしくお願いします』
その声は優しく。
どこか寂しく。
そして全てを託すような響きを持っていた。
視界は純白に包まれた。
『……私のミスでした。』
――【連邦生徒会長】
最初のテーマ 〜第1位から3位まで最初は登場させる〜
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