当日
頼人は前日、京香と天下に言われたとおりに警視庁を出て、車で東京クナドに向かった。
「昨日ぶりですね、和田さん」
入り口に向かうと、京香が待っていた。
「まさか、1人で魔防隊まで来いと言われるとは思いませんでしたよ」
「で、俺をここまで呼ぶってことはあの場では言えない何かをするってことですかね?」
「さすが刑事さん。鋭いですね」
昨日のやり取りを思い出した。
「でも、しがない刑事の俺が魔防隊本部に行って何するんですか?」
「それは本部についてからのお伝えします」
ここでは教えてくれなかった。
「なるほど…。ま、いいですよ。行きます」
「ありがとうございます。では、明日、東京クナドで会いましょう」
そう言って2人はその場から離れた。
2人が詳細を話さなかったのは内通者が警察にもいるということだろう。
そんなことを思い出しながら頼人は京香と共に本部に向かった。
「優希は普段どんなことをしているんですか?」
頼人はふと気になったので質問した。
「優希は普段は7番組の管理人として、料理、洗濯、掃除などをしてもらっています。後は鍛錬をしています」
「あいつ、前から家事が得意だったからなぁ」
「優希はかなり頑張ってくれています」
魔防隊本部に到着した。
「こ、これが魔防隊本部…」
頼人は本部に来たのは初めてだったので中の荘厳さに驚いた。
「とりあえずこの部屋に入ってください」
京香に案内された部屋に入るとそこには2人の警察関係者がいた。
「こんにちは、和田さん。私は東空子、対能力犯罪専門の特殊部隊に所属しています」
「同じく特殊部隊に所属している東竹美です」
2人は頼人に挨拶をした。
「捜査一課の和田頼人です」
「早速ですが和田さんには内通者を探してもらいたのですがいいでしょうか?」
「内通者探しですか…」
「はい、昨日行われた捜査会議で内通者がいると発表しました。恐らく、何かしらの形で動いていると思われます」
「なるほど。俺はその怪しい奴を見つけ出して、報告すればいいんですね」
「はい。ちなみに、現時点で怪しいと感じる人物はいませんか?」
そう言われた頼人はしばらく考え込んだ。
「...強いて言えば部下の黒須かな」
「その黒須という人間はどの辺りが怪しいと?」
空子が聞いてきた。
「あいつ前、張り込みの帰りに言っていたんですが魔防隊を良く思っていない感じでしてね。あいつ確か家族を魔都災害で亡くして、もし魔防隊がもっと早く来ていればと話していた気が」
「確かに内通者になりえる理由にはなりますね。和田さんは黒須さんの行動を注意深く見といてください。我々もサポートします」
「了解です」
「何か質問はありますか?」
竹美が聞いた。
「何故、内通者探しに俺が抜擢されたんだろうなと思って」
近くにいた京香が口を開いた。
「1つは、男性であるから。能力がないのでもしもの時も簡単に対処ができること。もう1つは優希の助言ですね。優希はよくあなたのことを話していました。銃の腕前はピカイチ、運動もでき、勘も鋭いと」
あいつ、良いこと言うじゃないか。そう心の中で呟いた。
「ま、仮にあなたが内通者なら、この剣で捕まえるだけですけど」
浮ついていた心が一瞬にして絶対零度になった。
話し合いも終わり、頼人と京香も部屋を出た。
「そういえば、昨日、会議前に襲撃犯の行動を捜査一課の警部や警部補に聞こうとしたんですけど、警部は忙しいので今は無理と言われ、警部補は見つからなくて教えられなかったんですよ」
「警部が教えないとかあるのかぁ」
「まあ、数ヶ月前に話題になっていた詐欺事件の主犯格の大森 真紀の逮捕とかかな」
大森 真紀...ここ数ヶ月都内近郊を中心に詐欺を企てた人間。彼女の能力である催眠能力
で被害者を催眠状態にして詐欺を働いた事件だ。
「大森はまず、警察のふりをして被害者に電話をかけて、その家まで行く。家まで行ったら能力で催眠状態にさせ、金やカードを出させて受け子に渡して金を下ろさせていた」
「で、警察が大森のアジトを見つけて乗り込もうとする数時間前かな。例の襲撃犯が来たみたいで、警察がアジトに来た時点で縄でグルグル巻きにされて動けなくされていたんです。他にも前から警察が追いかけていた
「襲撃犯は一体何をしたかったんでしょうか?」
京香は首を傾げながら聞いた。
「そこがいまいちわからないんですよ。どの事件の犯人に聞いても何も答えてくれないし」
「何だか不気味ですね」
京香はそう言った。
頼人は1人で考え事をしていた。義秋のこと、大森の事件。義秋は当時、あの事件に関わっており、ちょくちょく頼人に相談していた。
『先輩、相談いいですか?』
『おう、どうした?』
『先輩も知ってると思うんですけど大森が縄で巻かれて発見された件は知ってますよね?』
『ああ知ってるよ。またしても奴が現れたんだろ』
『はい、で1個気になることがあるんです。奴、大森に何か話している気がするんですよ』
義秋はノートパソコンの画面に監視カメラに映っている犯人を見せた。
『音声は?』
『この監視カメラ、録音機能がなくて映像しかなくて…』
義秋はバツが悪そうに話した。
『口パクだけで何を言ってるかわかる能力を持ってる奴はいないのか?』
『警視庁にそんな人はいないです。別の組織にいるってのは聞いたけど』
『そうか…』
ふとそんなことを思い出した。そして一連の会話が妙に引っかかった。あの口パクは何を話していたのか。そして義秋は別組織にこれを解読できる人間がいると。
魔防隊にいてくれれば事件解決の糸口をつかめるのにな。そう考える頼人であった。
まとスレとは関係ないけどvivantのあの展開にはめっちゃ驚かされた