私の最推しがクラスメイト?! ガチ恋なのをいいことに好き放題やられてるんですが、この超性格の悪いVTuberからどうやって逃げればいいですか.....?   作:顔のない女@人外ものしか書けない人

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第12話 うるさい家族たち

「ただいま〜」

 

 玄関のドアを開けた瞬間、温かい家の匂いが鼻をくすぐった。

 ――そしてすぐに、足音がこっちに近づいてくるのが聞こえてきた。

 

「遅かったね、お姉ちゃん。何やってたのー?」

「そうよ、茜。流石に高校生だからと言って、ここまで遅いのは変だわ! 何してたのか言いなさい!」

 

 リビングのドアが開いて、母と妹の顔が並んで出てきた。

 

 ……うわぁ。

 帰って早々これか。

 厄介だなぁ。

 

「……久しぶりの通学だったので、ちょっとした補習を受けてたのと、あとはバスに乗る時間を間違えただけです。気にする必要はありません」

「うそ」

「嘘ね」

 

 即答。

 

 息ぴったりで被せてくるあたり、ほんと似た者親子だと思う。

 

「…………」

 

 二人を見ていると、思わずため息が溢れてくる。

 

 それにしても、なんでこんな過保護なんだこの人達は――!

 ……いや、私のせいか。

 

 だって今までは外に出る時は、2人のうちのどっちか――というか大体は妹に付き合わせてたし、そうさせられていた側からすれば、心配するのも当然なのかもしれない。

 

「わざわざそんな隠すような事? お母さん隠し事されると心配になっちゃうわ」

「今まで散々迷惑かけておいて、急に隠し事。流石に見逃せないよお姉ちゃん。次に何やらかすか分かんないし」

 

 そう言いながら2人は、2階に上がろうとしている私の前に立ちはだかる。

 まるで、家の入口で職質されてる気分だ。

 

 ……言った方が面倒になると思っていたけど、これは黙ってる方がよくないかもしれない。

 

 私は別になんでもないように、ありのままの事実を話す。

 

「友達とお話ししてて、帰るのが遅くなっただけですよ……別に貴方達から心配されるような真似はしてません」

「もう友達なんてできたの? 凄いわ、茜。私は自分のことように嬉しくなっちゃう」

「と、ととっ友達?!……今まで全然その気が無かったお姉ちゃんが、友達ぃっ!!??」

 

 ……あぁもう、騒がしい。

 ここで会話する時間が無駄だ。

 遅れた私が悪いといえど、こんなところで時間を使ってるほど、私に余裕はない。

 夜21時30分からはシオンちゃんのマ◯オカートのゲーム配信があるし、それまでには家事を終わらせたいところだ。

 

「次に何か質問したら、今日は夕飯作りませんよ。私は疲れてるので」

 

 私はそう言い捨て、二人を両手で押し分けて階段を上がる。

 背後からは、申し訳なさと諦めが混ざった声が追いかけてきた。

 

「ごめ〜ん、茜。お母さんもうお腹ペコペコなの。許してぇ〜」

「…………お姉ちゃん、この数日でちょっと変わりすぎ。恋人でもできないと、普通こうはならないでしょ……」

 

 うるさい二人だ。

 とても私と血が繋がっているとは思えないほどに。

 

 でも「恋人」という言葉に、ほんの一瞬だけ心が跳ねた。

 

 妹の言う事は……的外れ、ではない。

 だって愛するシオンちゃんの中の人――月宮さんが、今は“友達”という名目で、私の隣にいるのだから。

 愛しのシオンちゃんの中の人が、私の友人として一緒に学校生活を送ってくれると言っている。

 これは実質的に恋人と過ごしていると言っても良いのかもしれない。

 とはいえ彼女は()()()()であって、シオンちゃんではないけど。

 

 ――月宮さんと学校生活を送る。

 おそらく私が高校に通う上で、これ以下の条件を出されたら、絶対に学校なんか行ってなかったと思う。

 いや……まぁ、友達としての月宮さんが同じ県内に住んでると分かった以上、隙をついて学校を辞めるという選択肢は私の中で変わらないけど。

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