夕方になっていた
水族館を出る頃には空の色が変わり始めていた。
オレンジと青の境界が見える
海風が涼しい。
ホシノは観覧車を見上げながら、ふっと笑った。
「ねぇ先生」
「ん?」
「最後にあれ乗ろうよ?」
名古屋港シートレインランド。
水族館のすぐ隣にある遊園地だ。
その象徴みたいに建っている大観覧車が見える。
夕焼けを背負ったそれはどこか幻想的に映った。
「観覧車?きっと空が近くて高いよ」
「先生、高いとこ怖いの?」
「いやいや、そういうわけじゃないよ」
「じゃ決まり〜行こ〜」
半ば強引に引っ張られる。
私とホシノはゴンドラへ乗り込む。
ゆっくりと上昇していく景色。
運河に橋に港を越えて、そして遠くの名古屋駅ビル群が見えた。
夕焼けが水面へ反射していて眩しくて…でも綺麗だった。
「……綺麗だねぇ」
ホシノが窓へ頬杖をつく。
同じ事を考えていたようだ。
ホシノの髪が夕陽に透けて輝いていた。
私はその横顔を見てしまう。
今日一日何度もそうだった。
ホシノが綺麗だと思ってしまう瞬間があった。
それを口に出せないまま。
「先生さ〜」
「うん?」
「今日、結構楽しそうだったよね」
「私かい?そう見えたかな?」
「見えた見えた」
ホシノは笑う。
「イルカショーとか、めっちゃ見てたし、すごい手叩いてたよね」
「普通に凄かったからね。ホシノだって」
「そりゃあそうだよ〜。でも先生って案外素直に感動するタイプなんだ」
「もちろん。すごかったし。
でも大人がこういう風に感動とかするのは変かな?」
「ううん全然変じゃないよ〜」
その声は柔らかかった。
ゴンドラはさらに上昇する。
夜景が少しずつ灯り始めていた。
ホシノは窓の外を見つめながら、小さく息を吐く。
「帰りたくなくなるねぇ…」
「楽しい時間ほど終わるのは早いからね。明日は仕事だからこそ…」
「うわ先生、大人っぽいこと言う」
「先生だからね…」
「でも本当にーーー」
ホシノは静かに続けた。
「こういう時間ってさ」
「終わるってわかってるから…ちょっと寂しいよ」
夕焼けが終わる。
街の灯りが増えていく。
その中でホシノだけがやけに綺麗に見えた。
「でも」
ホシノはこちらを向く。
金と青のオッドアイ。
その瞳にはそこへ夜景が映っていた。
「また来ればいいよね」
その笑顔は少し照れくさそうで、でも楽しみにしている顔だった。
私は頷く。
「うん、また来よう」
ホシノは目を細める。
「約束だからね、先生」
そう言って笑った。
観覧車は夜空へ昇っていく。
港の灯りが海へ滲む。
水族館の青い光が遠く下で静かに揺れていた。
まるで深い海の底に輝くブルーグラスみたいに。
ここまで読んでくれてありがとうございました。
名古屋はブルーアーカイブ、アビドス高等学校、そしてハイランダー鉄道学園とコラボをしています。
今回小鳥遊ホシノと先生が名古屋港水族館でデートをする話を思いつき書きました。
彼女は海が似合うと感じます。
みなさんはブルーアーカイブ名古屋コラボ、初夏ぽっぽーぶらぶら名古屋さんぽのスタンプラリーイベントを行ったでしょうか。
実際に歩くとまた違う感想があったりするかもしれないでしょうか。
小鳥遊ホシノがポートビルにいると考えた時、ホシノはどうしてここを選んだかを考えました。
海が近く、彼女が好きな水族館がある。
そういう時に誘うのがやはり先生なのではと考えました。
メモロビでもありましたね。
このイベントは2026年5月22日から2026年6月21日までやっています。
ここまで読んでくれてありがとうございました