鋼は錬金術師   作:むつきばな

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感想でちょっと目に止まった奴を補足↓

問.鋼くんキャンプに酒持ち込んでんの?
解.本人は飲まないけど料理用という名目で幾つか持ち込んでる。

問.遥ちゃん、未成年というか中学生は犯罪では?
解.鋼くんから手を出させようとしてるだけなのでセーフ()。


戦闘回です。戦闘描写は苦手ですわ。

よくよく考えたら、原作でも生徒に簡単に鎮圧された連中に佐渡侵攻経験者の鋼くんが苦戦する理由なくね?って思い直したのであっさり目。
申し訳ないですが、ガチギレデストロイモードの鋼くんは横浜までお待ち下さい。



入学編らしいよ 13

 

『私は生徒会長としての最後の仕事として生徒会役員を一科生だけではなく、二科生も指名出来るように退任時の生徒総会で取り上げるつもりです』

 

 

『そして、同じ国立魔法大学付属第一高校の生徒であるにも関わらずブルームとウィードという制服にある一点の違いが差別を生む要因となっているのであれば、我が校を運営する立場である学校側に制服のデザインを揃えるよう働きかけることを誓います』

 

 

『最後に、以前私にこのような言葉をくれた生徒がいました』

 

 

『「この学校に本当に必要なのは、手入れのされなかった花は枯れ、たゆまぬ努力を重ねた雑草が花を咲かせられるような公平な環境である」私も、この言葉のように我が校が公平な環境になってくれる事を願っています』

 

 

『私の任期はまだ半分が過ぎたばかりです。人の心を力で無理矢理変える事は出来ませんし、してはいけない以上、それ以外の事で学内の環境を少しでも改善するために、任期の最後まで精一杯取り組んでいきます』

 

 

 

⬜︎ ⬛︎ ⬜︎ ⬛︎ ⬜︎ ⬛︎ ⬜︎ ⬛︎ ⬜︎ ⬛︎ ⬜︎ ⬛︎

 

 

 

正面に校門が見えるベンチでポツンと一人寂しく座り、学校側に見つからない様に持ち込んだ装備の点検をしていく。

 

出来れば俺も銃火器などを持ち込みたかったが、バレると面倒な事になりそうなのでギリギリ護身用で通用しそうな物だったり、パッと見だとわからなそうな物を選んで持ち込んだ。

 

「ノリノリだな、真由美さん」

 

耳に着けたインカムから七草先輩の堂々とした言葉と、それに応えるように万雷の拍手の音が聞こえたので来て欲しくはないが、来るならそろそろだろう。

 

いやさ、確かに昨日公開討論会の準備を手伝っていた時に「この際だから言いたい事は全部言ってしまえばいいんじゃないです?対応を七草先輩に任せたの学校側ですし」と七草先輩には言ったが……ここまでハッキリと言いたい放題するとは思わなかったわ。

 

表面上は落ち着いた雰囲気で真面目な顔をしてるだろうけど、内心はうっきうきで演説してそう。

 

装備の点検を終え、靴紐を結び直した所で、こちらに近付いて来る複数のエンジン音が聞こえた。

 

エンジンが元気に唸っているので、速度もそれなりに出ているような感じだね。

 

「…………来た。来ちゃった。来るな、帰れ」

 

思わず本音が出てしまったが、実際に来てしまったものは仕方ないと諦めて関係各所に連絡を入れていく。

 

七草先輩と十文字先輩。遥さんに一校周辺を巡回してくれてるらしい知り合いの刑事さん……一応、戦力としては特級なので司波兄妹にも送っておく。

 

司波兄妹以外は昨日の段階で話を通してあるので、各々適切に動いてくれるでしょ。

 

「雫や光井さんが怪我とかしないと良いけど」

 

今日は部活に行くと言っていたので、きな臭い雰囲気があるからCADを受け取ってから部活に行け、単独行動は絶対にしないようにと伝えたら真面目な顔で頷いていたから大丈夫だと信じよう。

 

「雫にも無理せず出来る事だけをすればいいよって送っとくか」

 

俺が何時でも何処でも彼女たちを窮地から助けられる訳でないし、現状で魔法師を目指すなら戦いからは逃れられないからね。性根が歪まず、治らない傷だけは負わないように願うだけだ。

 

討論会を盗聴してたインカムを外して端末と一緒にポケットへしまうと、ベンチから立ち上がって軽く伸びをしたら甲高いブレーキ音と共に敷地内に滑り込んで来た複数の車からテロリストがぞろぞろ出て来るのを眺め……意識を切り替える。

 

俺の役割は時間稼ぎ。戦える連中が準備を整え、戦えない連中が避難する時間を稼ぐ。

 

過去に佐渡でもやった事だけど、今回は佐渡でやったような■■はなし。高校生の目に触れさせるのはちょっと厳しいからね。

 

正直にいえば、遮蔽物が碌にない場所での戦闘は苦手なんだけどなぁ。

 

 

――仕方ないか、始めましょう(オープンコンバット)

 

 

散歩をするような軽い足取りでテロリストの方へ歩いていく。

 

此処とは別の場所から爆発音が聞こえた、裏門かどっかから入り込んだ別動隊が動き出したのかね?そっちはそっちにいるであろう誰かに任せよう。

 

徐々に自分たちに近付く俺の姿に気付いたテロリストたちが銃を構えるのを見て、笑みを浮かべ声をかける。

 

「国立魔法大学付属第一高校へようこそ、来校の目的は?許可証はお持ちですか?」

 

銃で武装し物々しい空気を隠しもしない自分たちを相手に、CADという魔法師に必須な武器すら持っていない無手の俺にテロリストたちが怪訝そうな表情を浮かべる。

 

「許可証はお持ちでない、では不審者としての対応を希望されますか?」

 

全く、反魔法師という思想を持つ割に魔法師について詳しくないね。

 

CADだけが魔法を使う手段ではないというのにさ。

 

「撃てっ!!」

 

複数の銃を向けられながらも顔色を一切変えず、笑顔のまま話を続ける俺に向けられていた銃口から弾丸が飛び出す。

 

「おせぇ。敵を相手に様子見なんてしないで撃っとけや」

 

地面を這うような前傾姿勢を取り、迫り来る銃弾を潜り抜けながら一番近いテロリストへと駆ける。

 

人数差もあるから、混乱させて士気を下げたいので申し訳ないけど最初の数人だけは生かしておく気はないんだ。すまないね、恨んでいいよ。

 

「――駆爪(かけづめ)

 

靴に仕込んである刻印型術式にサイオンを流して魔法を起動する。

 

地面を一歩踏み込む度に足が軋む感覚と共に馬鹿みたいに身体が加速していくのでバランスを崩して転ばないように注意を払い、腰に付けていたケースからナイフを掴んでテロリストの首に突き刺し、走る勢いを利用して首を切り裂いていく。

 

「ひとり」

 

大量の血を吹き出しながら崩れ落ちるテロリストに目を向ける事なく、ナイフを振って血を払うと次に近い場所にいるテロリストへ走ると同じように首にナイフを刺し、身体を仲間の方へと蹴っ飛ばしながらナイフを抜く。

 

「ふたり」

 

「こ、殺せぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 

つい数秒前まで生きていた仲間から吹き出した生暖かい血を被った男が狂ったような叫びを上げるのを横目に、立つ場所を少しだけ調整する。

 

「っ!?撃つなっ!!」

 

残念。此処ってば同士討ちさせられる絶好のポイントだったのに。

 

二つの相反する指示が飛び一瞬だけテロリストが硬直した隙を見逃さず、「撃つな」と指示を出した冷静さを残しているヤツの所へ向かう。

 

他のテロリストと違って無駄に素材の良さそうな物を着ていたので指揮役と判断、後々の事を考えると殺す訳にもいかなくなったのでナイフの柄でわき腹をぶん殴ってから肘を顎に入れ、崩れ落ちる男の手からマシンガンを奪い取る。

 

鋼は念願の銃火器を手に入れたぞ。

 

「さんにん」

 

ハイパワーライフルみたいな対魔法師の武器ではないけど、意外に良い銃を使ってんな?有効活用しましょ。

 

ハワイで親父に教わった訳ではないが、銃の扱いはそこそこ学んでいるので問題なく使える。流石に目隠ししたまま分解して再度組み上げるとかは出来ないけど。

 

狙い撃たれない様に移動しながら連射になってたレバーを単発に切り替えて立ち止まったまま俺を狙って来るテロリストの足に向けて引き金を引く。

 

ちょっとズレた。もう一回、命中。

 

足を止めずに移動しながら撃って、弾が無くなったらナイフに持ち替えて、隙を見て倒れているテロリストから適当に銃か弾を拝借してまた撃つ。

 

そんな感じな事を繰り返していたら……。

 

「時間を稼ぐはずが、終わっちゃった」

 

弾を撃ち切った銃をポイ捨てして、俺以外立っている人がいなくなった校門前で肩を落とす。

 

おかしい。絶対におかしい。

 

死ぬつもりはなかったけど、最悪大怪我するくらいは覚悟してたのに。多少傷は負ったが何事もなくあっさりと終わってしまった。

 

もし戦闘前に俺以外に誰かいたのなら「別に、アレを倒してしまっても構わんのだろ?」って台詞を決めるくらいには、時間稼ぎをする気満々だったのに。

 

はぁ、前に感じた嫌な予想が当たってる気がしますわ。本当に面倒な事になりそう。

 

「あとかたづけ、しよ」

 

流石にこのまま放置して別の場所に行くことは出来ないので、まだ生きているテロリストを拘束したり、念のため関節を外したりしながらズルズルと引きずって一か所に集めていく。

 

生きている奴が優先なので、死体の片づけは後にしよう。

 

銃弾の当たり所が悪くてこのまま放置すると死にそうな人には一応は止血とか応急処置は施したので、あとは警察か救急が早めに来てくれる事を祈って欲しい。

 

うめき声を漏らす連中を雑に引きずっていると、校内の方から警察の制服を着た二人組がこちらに近付いて来るのが見えたのでちょっと作業は中断。

 

外からじゃなくて校内からってのはどういう事なのだろう。裏門の方から校内に入って来たのかな?まぁ、流石に警察のコスプレするテロリストはいないと思うけど。

 

「うひゃあ。派手にやったな十三束くん」

 

「遅くなって申し訳ない十三束くん。でも、大きな怪我はしてないようで良かった。ほら、軽口叩いてないで手伝いますよ警部」

 

普通に知り合いでした。警戒する必要なかったわ。

 

現れたのは、お兄様と愉快な仲間たちのメンバーである千葉エリカの兄である千葉寿和とコンビの稲垣さん。

 

稲垣さんは何故かどれだけ聞いても下の名前を教えてくれないので、下の名前は知らない。

 

キラキラネームの類だから名乗るのは嫌なのかな?稲垣 勝利(ヴィクトリア)みたいな。

 

「千葉さん、稲垣さん。結構無理なお願いだったのにありがとうございます」

 

「気にしなくていいよ、市民を守るのは警察の義務だからね。エリカには「何でこんな所にいるのよ!」って怒鳴られたけどさ」

 

妹にはもう会ったのか。千葉さんは雰囲気が軽いし、実は結構な努力家だけど努力を他人に見せられない理由を持つ人だから誤解されやすいのは仕方ないね。

 

そんな訳で、二人と情報交換をしながら引き続きテロリストを拘束していく。

 

千葉さんが個人的に応援を頼んだ警察官と共に校内に侵入したテロリストたちの掃討は大体終わっており、今は隠れているテロリストがいないかを有志の生徒と探している感じらしい。

 

「ちょっとタレコミがあって、エリカが通ってる学校がヤバそうだから付近を今日は巡回してくれない?」って頼んだら結構な人数が上司に内緒で来てくれたり、上司が見ないフリしてやるから行ってこいと快く送り出された人もいたとか。

 

千葉道場の姫なのは原作知識で知っていたが、そこまで人気なのか千葉エリカ。

 

あと、生徒に怪我人は多少は出たが重傷者が出たという報告はないらしい。

 

まぁ、案の定というか何というか学校の上層部に生徒と一緒に警察がテロリストを捕縛してる姿を見て苦い顔をしていた奴もいたとか。

 

いつの時代も学校内での不祥事に外部組織に介入させたくないって考えは変わらないらしい……今回のコレは学校内の不祥事を越えてるんだけどなぁ。

 

「ところで、俺の所にだけ救援が来なかった理由とか知ってます?」

 

「七草家のお嬢さんと十文字家の長男が他の生徒が近寄るのを止めてたらしいよ。七草家のお嬢さんなんかは自分が十三束くんの救援に行くって周囲に言ったらしいけど、生徒会長なんだから全体の指揮を執れって怒られたらしい」

 

あー、うん。救援が来なかったの自分のせいでしたわ。

 

七草先輩と十文字先輩には昨日情報を渡すついでに、明日は校門の所で念の為に一人で待機してますねって提案したら二人から危ねえから止めろって言われたのよね。

 

その時に「佐渡侵攻の時に似たような事やったんで大丈夫ですよ」って言ったらさ……七草先輩が瞳のハイライト消してガン詰して来たよ。

 

七草先輩に佐渡侵攻に巻き込まれたの話してなかったなぁと思ったけど、まさか十文字先輩が慌てて七草先輩を止めに入るレベルでガン詰されるとは予想もしてなかった。

 

俺が佐渡侵攻事件で噂になった謎の美少女(笑)である『血濡れの人形姫(ブラッディ・コッペリア)』だという事までバレたし、散々であった。

 

結果的に、俺が一人で校門の所で待機するのも認めてもらったけどさ。

 

そうだよね。十師族なら『血濡れの人形姫(ブラッディ・コッペリア)』が何を新ソ連の侵攻軍にやったのか噂くらいは聞いてるよね。

 

そりゃ生徒が近寄って来るの止めますわ。俺も多分普通の生徒が救援に来るって言われたら拒否してたよ。

 

「で、生徒は無理なのでってお願いされた自分らが来たのだけど……まぁ、生徒じゃなくて自分らにお願いした理由がよくわかったよ。この血生臭い光景を生徒に見せたらトラウマになる子も出そうだ」

 

血の海ってほどではないですが、景色が全体的に鉄臭いから気が弱い人なら普通に吐いてますね。

 

「十三束くんが戦ってる間に来れなかった自分らが言うのもアレだけど、死者5名、重傷者4名、軽傷者12名、計21人のテロリストを単独で相手にして大きな怪我もなくピンピンしてる十三束くんを見たら本気で怖がる子も出るだろうし」

 

ぷるぷる、ぼくはわるいまほうしじゃないよ。

 

冗談はさておき、髪や制服も返り血ベッタリだもんなぁ。

 

顔にも血が付いてそうだし、こんな姿を見られたら怖がられそうだけど……俺の戦い方だと初めから銃火器とか持ってないと返り血防ぐのは難しいから仕方ないよね。

 

「全く、相変わらず君は他人からどう見られるかって事には無頓着だな。残りの処理は自分と稲垣くんでやっとくから、君は汚れを落として傷の手当てをして来なさい。流石に、無傷ではないんだろ?」

 

「そこまで他人とズレてるつもりはないんですがね……お気遣いありがとうございます。あと、お願いします」

 

溜め息吐かれて呆れられてしまった。解せぬ。

 

まぁ、申し出は正直ありがたいのでお願いしちゃおう。

 

千葉さんと稲垣さんには気付かれなかったみたいだけど、魔法の反動で足がくっそ痛くて怠いのよ。

 

たぶん、筋繊維が切れてたり骨に異常が出てはないと思うけど……疲れが酷い。

 

鼻の奥まで血の匂いがするし、七草先輩とか魔法で制服の血を落としてくれないかな?後処理に忙しいだろうから無理か。

 

とりあえず、シャワー使わせて貰うか。流石にこの姿を見たらシャワーくらい使わせてくれるでしょ。

 

ダメだったら水道で水浴びかな?まだ春になったばかりだから流石に水浴びは嫌だなぁ。

 

 





かいちょー「詳しく、詳しく説明しなさい鋼くん。今、私は冷静さを欠こうとしています」

かいとー「落ち着け。とにかく落ち着け、七草」

はがね「くぅん」


駆爪(かけづめ)

鋼くんのオリジナルの魔法。名前だけで元ネタがわかる人は作者と握手。

分類として加速系魔法だが、実は加速系魔法の皮を被った反射障壁というキワモノ。

人に見せたら「こいつ正気か?」と狂人を見る目をされる。

靴裏に極薄の反射障壁を展開し、踏み込んだ力に応じて得られる反発を加速力に変える。

普通に使えば足の骨が砕ける代物であり、素直に自己加速術式を使えと言われる。残当。



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