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ちょっとじゃないくらいご都合主義が入った気がするけど、気にせずに投稿。
次回で『入学編』は終わりの予定。
幕間を入れるか、そのまま九校戦に行くかは悩み中。
「あぁ~さっぱりしたぁ」
シャワー室でテロリストの血を洗い流した俺は、バスタオルで髪を拭きながらサンダルをぺたぺた鳴らしながら校内を歩いていた。
千葉さんと稲垣さんと別れた後、テロリストの血を洗い流すべくシャワー室を求めて校内を歩いていたら、たまたま怪我をした生徒が取り残されていないか見回っていた遥さんと遭遇。
髪から服まで全身血に染まった姿だったので当然のように悲鳴を上げられたが、俺の血ではなくテロリストからの返り血だと説明すと「心配させるな。あと、そんな血まみれの状態で歩き回るな」と叱られてしまった。
流石に今回は俺が悪いのですぐに謝った。本当に心配したんだからと涙目で言われると罪悪感が半端ないね。
その後、遥さんに連れられ部活棟にあるシャワー室を使わせてもらった……のはいいんだけど。
「シャンプーとかは良かったらこれ使ってね。タオルと着替えは此処に置いとくから。あ、よく見たら汚れてるだけじゃなくてボロボロになってるから制服はこっちで処分しちゃってもいいかな?靴は特殊な物っぽいから袋に入れておくね」
こんな感じで色々と用意してくれて、制服の処分までしてくれるのは本当にありがたかったのだけど……何で遥さんが用意した服とか下着が俺のサイズぴったりだったのだろう。教えた覚えないんだけどなぁ。
あと、微妙に服のチョイスがおかしいのは遥さんの趣味なのか?裾が長い黒色で無地のTシャツとショートパンツって。
このTシャツの裾の長さだと、ショートパンツが見えなくなるんじゃないか?履いてるのに履いてないように見えるぞ。癖の主張が強すぎる。
うん…………何か怖いから、考えるのは止めておこう。
幸いと言っていいのか、流石の遥さんもこの非常事態に色ボケを優先してシャワー中に乱入して来るとかはなかったので、ゆっくり丁寧に汚れを落としていく事が出来た。
髪の間に入り込んだ血が手で洗っているだけだと全然落ちなくて、シャンプーしながら髪に櫛を通すとか謎な事をしなきゃいけなくなって時間が掛かったが、もう長髪にしてる人の宿命だと諦めた。
「しかし、保健室に呼び出しとか面倒だなぁ」
シャワーを浴びた後、銃弾がカスったりして出来た傷の手当てをしていると端末に七草先輩から結構な数の着信やらメールが来ている事に気付いた。
メールの方には、無事だったならさっさと連絡しろ。本当に怪我とかしてないのかちゃんと姿を見せろ、みたいな感じの内容が来てましたわ。
七草先輩を心配させちゃったのは事実なので、すぐに連絡を返したら保健室に呼び出しされちゃった。
保健室っていま壬生先輩の事情を聞いて慰めたりする原作入学編における重要な場面じゃないっけ?もう終わってるといいなぁ。
流石にドライヤーは置いてなかったし、魔法で乾かそうにも今日は汎用型CADは持って来てなかったので、仕方なくバスタオルでまだ水分が残る髪をわしゃわしゃしながら保健室へと歩いていく。
時折すれ違ったり、遠くに見えた生徒からどよめきが聞こえたりもしたが……何かあったのかな?
はい、到着。ノックしてもしもーし。
「1-Aの十三束です。入っていいですか?」
許可が出たので部屋に入ると……めっちゃ空気悪いな、おい。
「呼ばれたから来ましたが、これどういう状態です?」
睨み合うような厳しい視線を交わしてる三年生組と一年生組。そして、ベッドの上でおろおろしてる壬生先輩という一触即発な空気が……。
何故か俺の姿を見た途端、全員が街中に現れたツチノコを目撃したような顔になったんだが?
何がどうしてそうなった。
「十三束。その……下は履いてないのか?何というか、痴女みたいだぞ」
そんな微妙な空気の中、渡辺先輩からとても言い辛そうな困った顔で変な事を言われましたよ。
いや痴女って、男の俺に向かって使う言葉ではないでしょうに。痴漢と言われたら、それはそれで困るけど。
「下?ちゃんと履いてますよ」
「「「「シャツをめくるなー!!」」」」
ペロっとシャツの裾をめくって隠れていたショーパンを見せたら複数人から怒られた。解せぬ。
何だよ皆して叫ばなくても良いじゃないか。下を履いてない痴女だって言われたからちゃんと履いてるって確認させただけだというのに。
「皆さんの反応って普通女性に対してするヤツでは?知っての通り俺は男ですよ」
「鏡見てから言え」
酷くない?鏡を見ても女顔した男が鏡に映るだけであって、俺の性別が男なのは変わらないでしょうに。
へそチラした訳でもないのに……男の生足なんて見たくないだろと言われたら、その通りなので謝るけど。
しかし、西城と十文字先輩は何故に俺から視線を外してるんですかね?割と傷つくのでお兄様を見習って普通にこっち見て下さい。
「で、何でこんな空気になってるのです?」
「鋼くんも何でそんな恰好してるの?無事でいてくれたのは嬉しいけど、何があったらそうなるのよ」
がっくりと肩を落とした七草先輩には服がズタボロになったので着替えを遥さんが用意してくれたと説明し、保健室にいた人たちの状況を聞いていく。
うむ。壬生先輩の洗脳は無事に解け、渡辺先輩との間にあった誤解も解消したと。
で、お兄様がぶっ殺殺ぽんマンな発言して深雪さんや西城に千葉妹が賛同。三年生組が危ないから止めとけって反対してた所に丁度俺が来たと。
「別に行かせればいいんじゃないですか?ブランシュの拠点へ行っても公安か警察に捕まると思いますが、それが本人たちの選択ですし」
「公安や警察は既にブランシュの拠点の位置を把握していると?」
「以前から把握はしていたみたいですよ。現在は公安がブランシュの拠点を張ってて、戦力が整い次第突入する予定と聞いてます」
この辺はシャワー室に行くまでの間に遥さんから聞いた。一高が襲撃されるという事態を受け、上司も慌てて重い腰を上げたらしい。
遥さんはこういう時だけは動きが早いってめっちゃぷりぷり怒ってたけど……まぁ、こればっかりは仕方ないね。本当に一高へ襲撃を仕掛けて来るなんて普通は予想出来ないからね。
「十三束も場所を知っているのか?」
「知ってますよ。一高からそんな遠くない場所にある廃工場ですね」
自前の端末はまだ血で汚れているので七草先輩から端末を借りて地図アプリでブランシュの拠点を表示させる。
いやぁ、地図上でみると本当に近いよね。
公安にマークされてる反魔法主義の国際政治団体の拠点が、自分たちの家の子供が通う学校から近い場所に置かれていたのを気付けなかったのは七草家と十文字家の怠慢になる気がするけどさ。
実際、公安はちゃんと突き止めてた訳ですし。
「十三束。お前がいつその情報を入手したのかは知らんが、何故拠点の位置を知った段階で俺と七草に共有しなかった?」
「ブランシュは元々公安が担当してる案件なので。というか、十三束家は別に十文字家や七草家の分家でも下位組織でもないので、手に入れた情報を全て共有する義務は本来ありません。昨日そちらに情報を共有したのはこちらの善意だという事をお忘れなく」
ちょっとだけ不機嫌そうな雰囲気になる十文字先輩。同じ魔法師の家なのに公安の事情を優先したのが気に入らないのかな?まぁ、知らんけど。
というか、話をするならちゃんと俺を見ましょうよ。視線の位置的に見てるの俺の頭より上なんですけど。
「かなりの数の警察官が襲撃から間を置くことなく我が校に来れたのは?」
「俺ではなく、そこにいる千葉家のお姫様のお陰ですね。警察官してる千葉家の長男が「妹の学校がちょっときな臭いから手伝って」と、千葉道場の門徒に声を掛けた結果なので」
本人にバカ兄貴が居たのはお前が原因かーと叫ばれた。
別に俺は千葉さんに口止めとかはお願いしてなかったので、知らなかったのは兄妹で情報交換をしなかったそちらが悪いのですわ。
「鋼は壬生先輩がこのまま家裁送りになってもいいと?」
「その言い方だと壬生先輩以外のエガリテに所属してる生徒は家裁送りになってもいいように聞こえるかな」
お兄様が会話にエントリーして来たけど、ちょっと今回は思い通りにはならないと思うよ。
というか、原作と違ってブランシュの襲撃に警察と公安がガッツリ介入してるから、エガリテに所属してた生徒が家裁送りにならない方が無理があるでしょうに。
普通にもみ消すのはもう無理なんよ。もみ消せる可能性があるとしたら、四葉家と七草家と十文字家が協力して情報操作やら何やらをするくらいしなきゃならないと思うけど、四葉家が他の十師族の家と協力してやるとか絶対に有り得ないからね。
「達也は自分の憂さ晴らしで暴れたいだけでしょ?都合の良い言い訳として壬生先輩を使うなよ。警察と公安が動いてるこの状況でブランシュの拠点を襲撃する名目はどうするのさ?流石に自衛の範疇は越えてるよ」
妹の平穏が脅かされた事に怒ったせいで判断力が鈍ってるのだと思うけど、本当に四葉だと隠す気があるので?身内に手を出されたから相手を滅ぼすっていう過剰報復は四葉家を容易に連想させるからかなり悪手だぞ。
「まぁ、安心していいよ。警察と公安、ついでに
これは本当。壬生先輩のパパとは知り合いではないけど、内調にも伝手はあるのでちょっと頑張った。
やっぱり持つべきモノはコネというか繋がりだね。うちの社員たちが入社する前に居たグレーな環境の情報とかを警察や公安、内調にまで渡しまくったのが生きたよ。
うちに入社する頃には綺麗な身になっているよう、司法取引みたいな事をやり続けて来た甲斐があった。
「という訳で、ちょっと提案です」
本来ならわざわざお兄様たちがブランシュの拠点にカチコミする理由はないし、このまま公安とかに任せておいた方が楽なのだが、魔法師というか十師族の面子ってのが面倒くさいのよね。
特に、今回は十師族のうち七草家と十文字家の子息令嬢が所属してる学校への襲撃なので、このまま他機関に任せっぱだと大変よろしくない。
下手をしなくても面子を保つために何か大きな事をやらかす予感がするし、それがどう影響するのかわからんのですわ。
「先程ブランシュの拠点への突入は戦力が揃ってからとお話ししましたよね?十文字家の次期当主である十文字先輩の主導で、そこの不満そうな顔してる血の気の多い一年生組を連れてブランシュの拠点へ行って貰えませんかね」
なので、公安へ十師族が戦力を提供したという形を取って解決するのですわ。
公安は包囲と護送だけで自前の戦力を消費せずに済む。十師族は身内の指揮を受けた魔法師がテロリストの拠点に突入し見事制圧したという成果が得られる。まさしくwin-winってやつだね。
「十文字家の人間としてはありがたいが、大丈夫なのか十三束?」
「何とかします。こうでもしないと七草家のご当主辺りが後々面倒な事を言い出すのが目に見えてますから。あと、どこぞのお嬢様が
七草先輩には悪いけど、あのタヌキ親父はこういう事態になるとウッキウキで妙な策謀を企みそうなので、出来るならその可能性は潰しておきたいのですわ。
俺の言葉に七草先輩が無言で腕を組んで頷いてる辺りとても信頼できる予測なのがとても嫌である。身内からもこういう評価されてるの、本当に直した方がいいと思うのだけど、あの人はあの人で色々と拗らせているからなぁ。
あと、その手があったかみたいな顔でこっち見るな千葉妹。組織間のバランスとか何も考えずに面白半分で場をかき回されるとマジで面倒くさいので止めて頂きたい。
「公安にはこちらから話しますので、なるべく早くに行ってくれると助かります。あと、ブランシュのトップだけは必ず生かして、最低でも会話が可能な状態で捕縛して下さい。割と公安に無茶を言う形になりますので、ブランシュのトップは公安に渡してあげて欲しいです」
十文字先輩がオッケーをしてくれたので、尻ポケットに入れていた自分の端末を取り出し遥さんへメールを入れる。
端末を取り出したときに何人か眉をひそめていたが、そういえばこの端末って所々にテロリストの血がまだ付いてましたね。
まぁ、何も言われなかったのでこちらもスルー。早々に遥さんからオッケーの返信が来たので、これで準備は終わり。
「公安の許可が取れましたのでお願いします。ほら、お膳立てはしてやったから好きに暴れてこいバーサーカー共め」
端末をしまって一年生組に声をかける。本当に、なんでこいつらは血の気が多いのだろうか。
「鋼は行かないのか?」
「俺は必要だからやってるだけで元々戦いも殺しも嫌いなんだよ。今日はもう散々血を被ったし、俺が行かなくても戦力が十分なら行く必要はないだろ」
俺を誘ってないで友達と妹と一緒にはしゃいで来てくれよお兄様。
学生とはいえ十師族の十文字先輩に隠れ十師族である司波兄妹の三人も十師族がいるなら俺とか必要ないだろうに。
特に工場内という閉所で十文字家の『ファランクス』を相手にするとか俺なら絶対に嫌だよ。テロリストに同情するわ。
「七草家の人間として私は行ったほうがいいかしら?」
「十師族の面子を保つという意味合いなら十文字先輩だけで大丈夫なので、真由美さんは渡辺先輩と校内で生徒会長と風紀委員長としての仕事をお願いします。というか、真由美さんが参戦するとご当主が「公安に貸しを作れたな。ヨシッ」とか勘違いしそうなので学校に居て欲しいです」
二度目の父親ネタに流石の真由美さんも遠い目をしてしまった。
実の父親をボロクソに言って申し訳ない。事実だけど許して欲しいですわ。
そんな感じで無事に話が纏まったので、俺は真由美さんたち学校に残る組とともにブランシュの拠点である廃工場へ向かう連中を見送るのであった。
いやはや、何とかなってよかったですわ。
まぁ、後始末といいますか……別の偉い人に相談しなきゃいけない事もあるから、そっちのが面倒なんだけどね。
本当にさぁ、厄介な事をやってくれたよ京都弁話しそうな声の若作りチャイニーズが。
秋に横浜でどさくさにまぎれて処せないかな?ちょっと考えてみるか、証拠を誤魔化すのやたら上手いから多分無理だろうけどさ。
「黒色のTシャツだけを着た生足を晒している黒髪ロングの美少女()が、憂いを感じさせる表情をしながら濡れた長い髪をタオルで拭きながら校内を歩いていた」
そんな姿を目撃してしまった、何も知らない男子生徒の将来は如何に……。
鋼くんは割と自分の容姿には無頓着。
女顔ってのはちゃんと自覚してるし、女装すれば女子に見えるよね。くらいにしか考えていない。
「いや確かに女顔だけど仕草とかは普通に男だし、本物の女の子には叶わないだろ」とか平気で言う。
鋼くんが基準としてる女の子は昔から家同士で付き合いのある七草姉妹と、中学以降で知り合った北山雫であり……基準自体がおかしい事には気付いていない。
おまけ:皆が出発し、小野先生が壬生先輩を病院へ搬送する為に保健室にやって来たよ↓
かいちょー「っ!?(
はがね「?(何か真由美さんが微妙に引き攣った顔で遥さんを見てるなぁ)」
はるかちゃん「ニッコリ(私が使っているのと同じシャンプーを鋼くんに使わせただけです)」
かいちょー「!!(無言で鋼くんを自分のそばに寄せる)」
はがね「?(真由美さん急にどうしたんだろ?)」
はるかちゃん「ニコニコ(無意識かな?嫉妬してて面白いなぁ)」
みぶ・まり「(なんかあそこの空気が怖い)」
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