鋼は錬金術師   作:むつきばな

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入学編エピローグとなります。

部屋の本棚から原作の該当部分を探すのが面倒だから元老院ハゲの口調がわからん。

偉そうな老人っぽい口調にしとけば大丈夫でしょの精神で投稿。



入学編らしいよ 15

 

ブランシュによる一高襲撃事件の後、学校側から生徒の精神的な負担を考慮し、校内の修繕作業を含めて一週間ほど休校すると発表された。

 

発表された内容も嘘ではないだろうけど……責任の所在やら政治的な問題が多く出たのだろうなぁと思う。

 

当日の夜と翌日はマスコミがすごかったらしいからね。何故かすぐに消えたけど。

 

俺は俺でやるべきことが多くあったので、正直休校してくれて助かったよ。

 

そうそう、うちの社員の友人でブランシュに勤めていた人はうちの会社で引き取った。

 

本人からの希望もあったのだけど、前職はブランシュですと書かれた履歴書を通す企業はまずないので仕方ないね。

 

事務仕事が出来る人は結構貴重なので素直に嬉しい。

 

そんなこんなでやるべき仕事を終え、学校が再開されるまでまだ何日かあったので……俺はリフレッシュも兼ねて久しぶりにキャンプに行く事にした。

 

というか、社員さんから「社長、休みましょ?というか休め、大丈夫だから会社に来るな」と言われてしまい暇な時間が出来てしまったのだ。

 

バイクの免許を取ってから初めてのキャンプだったので、バイクの積載量を試す意味も含め少しだけ普段のキャンプより荷物を多く積み、馴染みのキャンプ場へと向かう。

 

長年通っているだけあってすっかり顔馴染みとなったスタッフさんに料金を払い、いつも使っている場所にテントを張り、椅子を出したら焚き火台に薪を入れて火を点ける。

 

パチパチと焚き火台へ入れた薪が立てる音を聞きながら、宵闇に移ろうとしている空を眺める。

 

記憶に残っている前世の空と比べると、この世界の空の方が澄んでいるように感じるのは寒冷化や第三次世界大戦で人口が激変した影響もあるのだろうか?

 

そんな他愛のない事を考えていると、誰かがこちらに歩いて来る音がした。

 

身長や体格的に男性。薄闇の中を真っ直ぐに歩いて来るので一応警戒をしておく。

 

管理されたキャンプ場とはいえ、警戒はしておいて損はないからね。

 

「息災そうだな、小童」

 

現れたのは知り合いの無駄に威厳のある剃髪したご老人でした。警戒して損したわ。

 

相変わらず濁った左眼と普通な右眼から放たれる眼光がやたら鋭い、こういう薄暗い場所で遭遇したら子供なら泣くぞ。

 

「前に会ったのは一高の受験前でしたっけ。息災ですよ、じぃさん」

 

じぃさんが座れるようテントから予備の椅子を取り出して設置する。

 

本当はとても偉い人なのでキャンプ用の折り畳み椅子とかに座らせるべき存在ではないのだけど、俺が用意した椅子に特に気にする事なく座るのは本人の懐が広いのか、こんな場所では上等な椅子など出て来ないのは当たり前だと気にしていないのかどっちなのだろう。

 

椅子に座ったじぃさんに何か飲むかと尋ねたが、首を横に振って断られたので前置きなしで話をしていく。

 

「ブランシュの後始末の件で無理を言って申し訳ありません。七草家に借りを作ってもよかったのですが、じぃさんに頼んだ方が早いと思いまして」

 

「構わん。あれくらいなら些事であるからな」

 

じぃさんにお願いしたのはブランシュの後始末の一部で主にマスコミ対策というか、世間への情報操作の部分。

 

マスコミとかに伝手があって情報操作が得意な七草家に頼むのが一番楽だったのだけど、何故か七草家に頼むのは嫌な予感がしたので、一旦九重さんに相談したのである。

 

その九重さんからじぃさんを頼ってみたらいいと言われたので、半信半疑で連絡してみたら二つ返事で引き受けて貰えたので本当に助かった。

 

以前に感じたブランシュに対する違和感というか、中華街に生息するドブカスの思惑への対処は変に欲を出しそうな七草家より厳格にやってくれそうなじぃさんの方が適任だからね。

 

ブランシュが学生にすら対処出来る程度の戦力で一高を襲撃してきたのは、「碌に訓練を受けていない学生ですら魔法という力を使えば銃火器で武装したテロリストに対抗出来る一級の戦力となる。そんな力を精神的に未熟な子供が持っている状況は危険である」という風聞を世間に広め、日本における反魔法思想を強化したいのでは?と思い付いた。

 

というか、そういう理由でもないとあんな中途半端な戦力で襲撃を仕掛けて来る理由がないよね。

 

千葉さんと稲垣さんにも聞いてみたけど、広い一高を攻め落とすには襲撃の人員が明らかに足りなかったのと、特別閲覧室の秘匿資料を目当てにしてた割に退路の確保も碌に出来てなかったらしい。

 

で、襲撃が失敗したのにも関わらずトップが逃げる訳でもなく拠点で余裕綽々な様子で待ち構えているとか馬鹿なのではと思ったが、日本の魔法会においての重要施設を襲撃した場合の警察や軍の動きを見ておきたかったと考えれば納得がいく。

 

中華街にいるドブカスは、秋の予行練習として公安のマークが厳しくなりつつあったブランシュを切り捨てるついでに有効活用した形なのだろう。

 

全部俺の予想というか妄想なので正解なのか不正解なのかは知らないが、ドブカスの思惑通りに反魔法師の思想が広がるとうちの会社も困るのでじぃさんに対応をお願いした感じだ。

 

「して、小童は司波兄妹こと四葉の子らをどう見ている?」

 

いきなり爆弾ぶち込んで来るの止めていただけますかね?司波兄妹って指定されてるせいで話を逸らせないじゃないですか。

 

「それ、俺に言っていいんですか?」

 

「儂が元老院である事も気付いておった小童には今更であろう」

 

追加で爆弾ぶち込んで来るの本当に止めて頂けませんかね?

 

そっちも明言していい内容じゃないでしょうに。元老院の存在自体を知ってる人のが少ないってのに。

 

その辺を互いなぁなぁにしてたからこれまで気にせずに相談とか出来ていたというのにさ。

 

「じぃさんへの言葉使い、直した方がいいですかね?」

 

今までは何となくで誤魔化してきたけど、元老院だと明かされてしまったら言葉使いも今まで通りの適当な敬語でいいのかちょっと悩む。

 

俺みたいな小市民からすれば、本来元老院とは雲の上も上な位置に座す存在なのですよ。

 

「それこそ今更であろう。儂が許容しておるのだ、気にする必要はない」

 

良いらしい。正直きちんとした敬語はとても苦手なので凄く助かる。

 

「では、今まで通りで。司波兄妹をどう見ているでしたっけ?まぁ人間初心者だなって感じですね」

 

それなりに高等な教育を受けている司波兄妹の公としても姿は年齢を考えれば上等な方だ。

 

特に達也の方は年齢の問題もあって非公式ながらも軍属であり、トーラス・シルバーとして会社の人間と大人の付き合いもしているから……うん、もうちょっと高校生らしい態度をしろと言いたい。

 

深雪さんの方は現状だと未熟な部分も多いけど、授業中とかは理想的な優等生を意識して演じているような感じはするかな。

 

ただ、二人とも私としての姿が下手くそなんだよね。

 

達也が前に家庭環境的に親しい友人を作れなかったみたいな事を言っていたが、兄妹で依存し合って他者を必要としてない空気を何時でも何処でも簡単に作り出すから余計に友人や先輩連中が距離を詰められないんじゃね?と思わなくもない。

 

家族ではなく守護者(ガーディアン)女主人(ミストレス)としての関係を四葉本家から強要され、達也の方は実の父親と再婚相手(義母)から高校へ行かず仕事を手伝えと言われる日々から解放されて、兄妹仲良くひとつ屋根の下で暮らす事が出来てウッキウキになってるのは……まぁ、仕方がないのかね。

 

なので、俺からすればあの兄弟は公は出来ても私が未熟な人間初心者って印象が強い。

 

まぁ、その辺りはこの世界の魔法師は大人も子供も全般的にそんな感じよね。

 

公と私での落差が酷いと言うか、公をしっかりさせている分のツケで私がはっちゃけてる事が多いかな?

 

大人の方は原作知識頼りになってしまうので何ともだけど、子供で言うと香澄ちゃんとか特にそんな感じ。

 

七草家主催のパーティーとかで会うと令嬢らしい姿を見せてくれるのに、プライベートで会うとボクっ娘で生意気なメスガキ風味だし。

 

「何かあるなら手伝った方が良い感じですかね?じぃさんには世話になってるので、出来る範囲なら手伝いますが」

 

「そのままで構わん。小童は小童が思うままに動いた方が面白い事になる」

 

どういう印象よ?まぁ、じぃさんが構わないって言うならそうするけど。

 

その後はお互いに近況報告とかをしていったのだけど、直接会ったのが久しぶりだからかじぃさんの愚痴がすげぇの。

 

やれ十六夜の連中が調子に乗っててうぜぇとか、寺のハゲが相変わらず飄々としててうぜぇとか、スポンサーしてる所に送った監視役がババアに絆されててうぜぇとか……その愚痴本当に俺が聞いていい内容ですかね?結構ヤバい事を平気で言ってますよね??

 

じぃさん、俺に元老院ってバラしたからか、びっくりするぐらい容赦なく愚痴ってる。

 

偉い人は偉い人で大変なんだなぁとしみじみと感じるよ。

 

んで、言うだけ言ってある程度スッキリしたのか帰る時間になったのかは知らないが椅子から立ち上がると。

 

「此度の働きに相応しい褒美を送る。楽しみにしておけ()

 

意味深な言葉と、絶対何か企んでますって顔をして帰って行った。

 

じぃさんが小童じゃなくて鋼って名前で呼んでいったのが怖いんだけど……何を褒美に送ってくるのやら。

 

「じぃさん行っちゃいましたけど、護衛とかいいんですか?」

 

「閣下なら大丈夫だよ。僕より優秀な護衛が就いてるからね」

 

多分いるだろうなぁと思って声をかけたら案の定ハゲがひょっこり現れたよ。

 

「お疲れ様、鋼くん」

 

「九重さんもお疲れ様です」

 

何が楽しいのか、さっきまでじぃさんが座っていた椅子に笑顔で勝手に座る九重さん。

 

そんなんだから、じぃさんに寺のハゲが飄々としててうぜぇって言われるんですよ?九重さんは自覚しても直す気は更々ないのだろうけど。

 

「遥くんも少ししたら来るから、お肉でも焼いて待っていようか」

 

「俺の持って来た肉を九重さんが食べたいだけでしょ」

 

あっはっはと笑う僧侶のクセに肉を求めるダメな大人をジト目で眺めるが、どうせ食うまで帰る気はないだろうし諦めて肉を焼く準備をしていく。

 

荷物からスキレットやトングに皿などを取り出し、クーラーボックスから肉とフランベ用の酒を取り出す。

 

「遥さんが一緒にいなかったのは、じぃさんと会わせない為ですかね?」

 

九重さんにそう聞くとうんうんと頷かれた。だと思ったよ。

 

所謂『Need to know』というヤツだろう。遥さんの副業の階級ではじぃさんの存在を知る必要はないからね。

 

何故に俺が『Need』の側で判断されているのかは不思議でしかないが……昔、偶然知り合っただけなんだけどなぁ。

 

過去の自分の所業に溜め息をついているとハゲが肉はよと急かして来たので、薪を幾つか追加で入れて火が馴染んで来た所で肉を焼いていく。

 

肉を焼いている最中に遥さんが来てフランベが終わり用済みとなった酒を懐にパクったり、ハゲに最近また胸が大きくなってない?とセクハラされたりしていた。

 

今日は一人でのんびりキャンプをする予定だったが、まぁこんな日があってもいいだろう。

 

俺は目の前で言い合う二人に焼けた肉を配膳しながら、そんな事を思うのであった。

 

 

 

⬜︎ ⬛︎ ⬜︎ ⬛︎ ⬜︎ ⬛︎ ⬜︎ ⬛︎ ⬜︎ ⬛︎ ⬜︎ ⬛︎

 

 

 

さて、ここで綺麗に終わればよかったのにね。

 

本当に綺麗に終わって欲しかったのだが、残念ながらそうはいかなかったよ。

 

案の定というか、実はこの人わざとやってないか?と漸く気付いた訳なのだが……今回はマジで頑張って貞操を守ったよ。

 

気付いたら缶ビール片手に肉をつまんでいたハゲが消えていたのでアレ?と思ったら時には既に遅かった。

 

こっちが止める間もなく服を脱いだと思ったら、下からスク水が出て来るとか誰が予想出来るか。しかも旧スクとかこの時代だと何処で仕入れて来たんだよ。

 

学校教育の現場だととっくの昔にスク水は廃止されてるから、旧世紀のエロに詳しい店でもなきゃ売ってないだろうに。

 

ご丁寧に胸のネームプレートは「小野」でも「遥」でもなく「はるか」ってひらがな表記だったし。デカパイで布が引っ張られ過ぎて名前の文字が歪んでるのもお約束だったよ。

 

最近の遥さんは芸が細かくなってるというか、的確にこちらの性癖にクリティカルを刻んで来るから本当に油断ならん。

 

サポーターでいいのだろうか?割れ目やぽっちが浮かばないようにするヤツは当然のように装着してなかったので、歩くセクロスの化身となった遥さんは戦略級魔法より脅威だった。

 

肩紐のところにコンドウ=サンを挟んでるのは流石にやりすぎでしょ。こういう直接的な誘いに恥じらいを持つ価値観になったんじゃなかったのかこの時代は。

 

全身凶器と化した身体を俺に押し付けてニヤニヤ笑う痴女に心を殺して追加でアルコール度数が高い酒を飲ませ、何とか寝落ちさせてテントに放り込むまで本当に生きた心地がしなかった。

 

人生二度目で長男だから我慢出来ると思っていたけど、やっぱつれえわ。

 

ちょっとイラっとしたので、幸せそうな顔で寝ている痴女の頬をぺしぺしと叩いておく。

 

酒をしこたま飲んでいるので寝ながら嘔吐しても大丈夫そうな体勢に身体を動かし、もしもの時用に顔の下には防水シートを敷いておく。

 

ついでに、股間がマテリアルバーストしそうな格好をした痴女の姿は思春期男子には劇毒なので、寒さ対策で用意してたブランケットを掛けて顔以外見えないようにしておく。

 

「………………つかれた。このあいだのころしあいよりよっぽどつかれた」

 

テントの中に旧スク姿で寝てる酔っ払いの痴女がいるとか、もし誰かに見られたらどう言い訳をすればいいのだろうか?むしろいまの姿を写真に撮っておけば何かに使えたりは……しないわ。

 

そういう写真を持っている方が危なそうな予感がするのですっぱりと諦める。

 

「鋼くんに脅されて嫌がる私を無理矢理着替えさせたの。こうなったら責任取って貰わなきゃ」とか逆に俺が脅されそうだ。

 

「まだ春先でよかったわ」

 

もう少し時期が前だったら夜に外で過ごすとか寒くて仕方なかったし、もう少し時期が過ぎてたら今度は虫が出て来てただろうからね。

 

火が落ちかけてた焚き火台に薪を入れ少しだけ光量を増やすと、荷物から防寒具と読書用の端末を取り出して火の前に置いた椅子に座る。

 

「何だかんだでいつも通りのキャンプか」

 

俺がのんびりしてる所に九重さんと遥さんが来て、適当に話しながら肉を食べて、遥さんが酒を呑まれて……これが、いつも通りなの嫌だなぁ。

 

「まぁ、何もないよりは悪くはないのかな?」

 

夜が明けたら誰かが来る前に遥さんを起こして着替えさせねばと決意し、俺は端末に目を落とすのであった。

 

 

 





ハゲーズは鋼くんが元老院の存在を何故知っているのか?とかは別に気にしていない。

これまでの付き合いから「だって鋼(くん)だし」でスルーしてる。


オチは小野先生。

おかしいなぁ……プロットの段階だとまともな先生だったのに。

小野先生が普段より過激だったのはハゲ(師匠)のせい。

「遥くんも知っての通り鋼くんって意外に繊細だからさ。この間の殺し合いは精神的にキてると思うんだ……あとは、わかるよね?」

小野先生のお目眼がグルグルするまで誑かして鋼くんに嗾けた。小野先生の奇行はだいたいこのハゲが元凶。

実際、鋼くんはかなり精神的に疲れていたので今回ばかりは正直かなり危なかった。

小野先生は鋼くんが自分の意思で手を出してくれる様に誘惑していたが、実は勢い余って押し倒していたら鋼くんの理性がプッツンして遥ちゃん大勝利な展開になってた。

賢さが必要ないポイントで賢く立ち回ろうとしたのが敗因である。

ちなみに、ハゲ(元老院)からの褒美は遥さんの痴態ではない。

とある意味で鋼くんが喜ぶ褒美ではあるけどね。


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